335 / 406
第四章「カルネアデス編」
第94.5話 009メザイヤ編「歓楽街メザイヤ ①」
しおりを挟む
――何なんだいったい!
いきなり模擬戦だと言われて戦闘してみれば、今度は剣を見せろだの騎士団に入らないかだの色々と言ってくる。
目立つな。
システィーナとの約束はいきなりご破算となりました。
いつもの事かも知れないけど、オレって約束を守れない男なの?と疑いたくなる。
何しろ大切な案件になると必ず邪魔が入るというか、下手をすれ続行不可能なくらいに横やりが入るのだ。
――オレは悪くない!
悪くない……はずだ。うっかり盗賊に出くわしてしまったのも、それを撃退したのも不可抗力だ。その結果が今のようになってしまったきっかけでなあるが、オレが自発的に起こしたことではないことだけはしっかりとさせておかなければならない。
何が「私と契約して騎士団に入りな」だ。オレは別件でここにきているんだ。騎士団なんてそんなものに入るつもりなど毛頭ない。
「そうか……」
オレの答えを聞いて、アマンダ団長はしばらく考え込んでいた。
「まあ、よかろう。もし気が変わったならいつでも来るがいい」
お前ならいつでも大歓迎だ。とアマンダ団長は言ってくれたが、何が悲しくて男ばっかりの騎士団に入らなきゃならんのだ。そんなことするくらいならミーシャたちと楽しく冒険者として暮らした方がよっぽどいい。
「オレには果たさなければならない崇高な使命があるんだ」
「な、なんだと……まさか……そうか、そういうことか……なるほど……」
クツクク……と意味深な笑みのアマンダ団長。
いや、オレ何も言ってませんけど。
オレを置き去りにしてアマンダ団長はなんだか一人で盛り上がっているみたいだった。
――もう勝手にしてくれ……
こういったタイプは一度信じてしまうと壁にぶち当たっても軌道修正しない。壁を破壊するまで挑み続けるのだ。
オレは説明をあきらめその場を後にする。とにかく疑いは晴れたのだ。これ以上ここにいる必要はない。
「オレは宿に戻りたいんだが……」
もちろん嘘だ。この街に来る前に衛兵に出会ってしまった。故に宿を探す暇も何もなかったのだが。
「そうか、それはすまないことをしたな」
アマンダ団長はあっさりと引き下がった。その姿を見、ダンベル他騎士たちも名残惜しそうに剣をオレに返してくれた。
「ノゾミ殿、我々はいつでも貴殿をお待ちしておりますぞ!」
ダンベルが熱く握手を交わす。
潔い男だと思った。
常に一緒にいるのは嫌だが、たまになら付き合ってやらなくもない。
「ああ、また来る」
オレはそう言って騎士の詰め所を後にした。
◆ ◆ ◆ ◆
「ダンベル副団長、今の男どう思う?」
ノゾミが立ち去った後、アマンダ団長がポツリと呟いた。
「死んだ魚のような目をしておりますが……なかなかどうして、実力はかなりのものだと」
ダンベル副団長の言葉にアマンダ団長も「そうだな」と頷いた。たとえ剣がなくとも騎士団全員で――アマンダ団長を含めて――襲い掛かったとしても勝てるビジョンが思い浮かばない。
「他の支部に連絡だ。至急あの男についての調査を行うように……それと……」
アマンダ団長は言葉を切る。
「私を含めて……特訓のやり直しだ」
「い、今からですか?」
再確認するダンベル副団長にアマンダ団長はぞっとするほど妖艶な笑みを浮かべる。
「もちろんだ。安心しろ今夜は寝かせんぞ!」
騎士団全員から悲鳴が上がったのは言うまでもなかった。
いきなり模擬戦だと言われて戦闘してみれば、今度は剣を見せろだの騎士団に入らないかだの色々と言ってくる。
目立つな。
システィーナとの約束はいきなりご破算となりました。
いつもの事かも知れないけど、オレって約束を守れない男なの?と疑いたくなる。
何しろ大切な案件になると必ず邪魔が入るというか、下手をすれ続行不可能なくらいに横やりが入るのだ。
――オレは悪くない!
悪くない……はずだ。うっかり盗賊に出くわしてしまったのも、それを撃退したのも不可抗力だ。その結果が今のようになってしまったきっかけでなあるが、オレが自発的に起こしたことではないことだけはしっかりとさせておかなければならない。
何が「私と契約して騎士団に入りな」だ。オレは別件でここにきているんだ。騎士団なんてそんなものに入るつもりなど毛頭ない。
「そうか……」
オレの答えを聞いて、アマンダ団長はしばらく考え込んでいた。
「まあ、よかろう。もし気が変わったならいつでも来るがいい」
お前ならいつでも大歓迎だ。とアマンダ団長は言ってくれたが、何が悲しくて男ばっかりの騎士団に入らなきゃならんのだ。そんなことするくらいならミーシャたちと楽しく冒険者として暮らした方がよっぽどいい。
「オレには果たさなければならない崇高な使命があるんだ」
「な、なんだと……まさか……そうか、そういうことか……なるほど……」
クツクク……と意味深な笑みのアマンダ団長。
いや、オレ何も言ってませんけど。
オレを置き去りにしてアマンダ団長はなんだか一人で盛り上がっているみたいだった。
――もう勝手にしてくれ……
こういったタイプは一度信じてしまうと壁にぶち当たっても軌道修正しない。壁を破壊するまで挑み続けるのだ。
オレは説明をあきらめその場を後にする。とにかく疑いは晴れたのだ。これ以上ここにいる必要はない。
「オレは宿に戻りたいんだが……」
もちろん嘘だ。この街に来る前に衛兵に出会ってしまった。故に宿を探す暇も何もなかったのだが。
「そうか、それはすまないことをしたな」
アマンダ団長はあっさりと引き下がった。その姿を見、ダンベル他騎士たちも名残惜しそうに剣をオレに返してくれた。
「ノゾミ殿、我々はいつでも貴殿をお待ちしておりますぞ!」
ダンベルが熱く握手を交わす。
潔い男だと思った。
常に一緒にいるのは嫌だが、たまになら付き合ってやらなくもない。
「ああ、また来る」
オレはそう言って騎士の詰め所を後にした。
◆ ◆ ◆ ◆
「ダンベル副団長、今の男どう思う?」
ノゾミが立ち去った後、アマンダ団長がポツリと呟いた。
「死んだ魚のような目をしておりますが……なかなかどうして、実力はかなりのものだと」
ダンベル副団長の言葉にアマンダ団長も「そうだな」と頷いた。たとえ剣がなくとも騎士団全員で――アマンダ団長を含めて――襲い掛かったとしても勝てるビジョンが思い浮かばない。
「他の支部に連絡だ。至急あの男についての調査を行うように……それと……」
アマンダ団長は言葉を切る。
「私を含めて……特訓のやり直しだ」
「い、今からですか?」
再確認するダンベル副団長にアマンダ団長はぞっとするほど妖艶な笑みを浮かべる。
「もちろんだ。安心しろ今夜は寝かせんぞ!」
騎士団全員から悲鳴が上がったのは言うまでもなかった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる