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第四章「カルネアデス編」
第94.5話 031メザイヤ編「武闘大会に…… ③」
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裏路地を受けスラム街へと足を踏み入れる。
そこは歓楽街の闇の部分。騎士団ですらなかなか足を踏み入れないダークサイド。
花束に仕込まれた手紙に指定された地点へと向かう。
わざわざお金を払って手紙を受け取るとか――他に方法はなかったのだろうか。
悔しい。何となく悔しい。
オレは薄暗くなり始めた通りを油断なく歩く。
スラム街の空気はどこか淀んだ感じがする。
物乞い、何をするでもなく地面に座り虚ろに空を見上げる者。
明らかにガラの悪そうな男たち。
(警告。複数の武器を所持した人物を確認しました)
マザーさんも通常運転に戻ったようだ。
オレはいつでも対応できるように緊張しながら進む。攻撃で心配しているのではない。乱闘になると勢い余って殺さないように手加減するのが難しいからだ。
「よお兄ちゃん。いい服着ているじゃねえか」
オレの目の前に厳つい男が現れる。
気づけば何人かの男たちに囲まれていた。全員が剣を手にしている。抜刀はしていないがいつでも抜けるようにその手は柄にかけられていた。
――どうしよう……
悩んでしまう。ここで騒ぎを起こすのはまずい。
だからといってこんな変な男たちに触られるのも嫌だ。
ここは、軽く相手をしてお引き取り願うとしよう。
「おい、兄ちゃん聞こえてるんだろ!」
目の前の男が肩を掴もうと腕を伸ばす。オレはその腕を掴んで背負い投げ――と思ったら予想以上の放物線を描いて男は建物の向こうへと飛んでいった。
「うおおお――――――っ!」
男は声を上げながら消えていった。
「ア、アニキ――!?」
周囲の男たちがざわめく。
「てめぇ! よくもアニキをヤりやがったな!」
「アニキの仇はオレが!」
「アニキの弔い合戦だ!」
男たちが一斉に剣を抜いた。
「いや、まだあの男が死んだわけじゃないんだけど……」
「死ねえっ!」
聞いちゃいないし。
オレは仕方なく剣を抜く。
とりあえず男たちの剣を一本一本丁寧に叩き切りながらその後、確実に風魔法で吹き飛ばしていった。男たちの身体が面白いように吹き飛んでいく。
「こ、こいつ……めちゃくちゃ強いぞ!」
お前らめちゃくちゃ弱いぞ。
「森にいた盗賊団の方がまだ強かったぞ」
「何、お前まさか……ツガンを捕まえた奴か!」
おや、どうやら森の盗賊団はこいつらのお知り合いだったらしい。
「馬鹿な……こんなやる気のない男にツガン達がやられたってのか!」
失礼な奴には神の名の下に地獄へと導いてやろう。
「ま、待ってくれ……話せばわかる!」
「問答無用!」
「あ――れ――っ!」
男たちが吹き飛ぶ。
ついに最後の一人になった。
男はガタガタと震えながら剣を構えている。
オレは剣を鞘に納める。こいつに剣は必要ない。
「な、舐めるな!」
剣を収めたのを好機みたか男が斬りかかってくる。
バキッ!
その剣を手刀で叩き折り男を壁ドン。
壁はバキバキと変な音を立てて崩れていく。
「「あ…………っ」」
ガラガラガラガラ!!
ベキベキベキベキ!!
崩壊は壁だけでなく建物全体に及び、その余波は隣の建物へ――どんどんと広がっていく。
まるでドミノ倒しだ。
「ぎゃーっ! ワシの家がぁ!」
「誰だぁ! オレの家を壊した奴は!」
「ぎゃあ! ダンナが下敷きに!」
阿鼻叫喚――いったい誰がこんな酷いことを!
気まずい空気が流れた。
「おい」
「は、はい!」
「誰の差し金だ?」
気まずい空気を払拭するようにオレは男の襟首をつかみ持ち上げる。男は剣を折られたことで抵抗気力を失ってしまっていた。
「お、女に頼まれたんだ!」
――女?
ふとアマンダ団長の顔が脳裏をよぎったがその考えはすぐに取り払う。そんなはずはない。
「どんな女だ?」
「分からない。フードを被っていた。大柄な女だ!」
ならばオレの知るどの女の子とも違う。
みんな結構小柄で可愛いからだ。
いや、今はそんなことはいい。
「おい、そいつを放してくれないか?」
背後から声を掛けられた。
振り返る。
ガラガラと建物のがれきを吹き飛ばして一人の男が立ち上がる――いや、これは大柄な女だ。
女は埃にまみれ見るも無残な格好になっていた。
「なんかごめん」
オレは思わずそう呟いていた。
そこは歓楽街の闇の部分。騎士団ですらなかなか足を踏み入れないダークサイド。
花束に仕込まれた手紙に指定された地点へと向かう。
わざわざお金を払って手紙を受け取るとか――他に方法はなかったのだろうか。
悔しい。何となく悔しい。
オレは薄暗くなり始めた通りを油断なく歩く。
スラム街の空気はどこか淀んだ感じがする。
物乞い、何をするでもなく地面に座り虚ろに空を見上げる者。
明らかにガラの悪そうな男たち。
(警告。複数の武器を所持した人物を確認しました)
マザーさんも通常運転に戻ったようだ。
オレはいつでも対応できるように緊張しながら進む。攻撃で心配しているのではない。乱闘になると勢い余って殺さないように手加減するのが難しいからだ。
「よお兄ちゃん。いい服着ているじゃねえか」
オレの目の前に厳つい男が現れる。
気づけば何人かの男たちに囲まれていた。全員が剣を手にしている。抜刀はしていないがいつでも抜けるようにその手は柄にかけられていた。
――どうしよう……
悩んでしまう。ここで騒ぎを起こすのはまずい。
だからといってこんな変な男たちに触られるのも嫌だ。
ここは、軽く相手をしてお引き取り願うとしよう。
「おい、兄ちゃん聞こえてるんだろ!」
目の前の男が肩を掴もうと腕を伸ばす。オレはその腕を掴んで背負い投げ――と思ったら予想以上の放物線を描いて男は建物の向こうへと飛んでいった。
「うおおお――――――っ!」
男は声を上げながら消えていった。
「ア、アニキ――!?」
周囲の男たちがざわめく。
「てめぇ! よくもアニキをヤりやがったな!」
「アニキの仇はオレが!」
「アニキの弔い合戦だ!」
男たちが一斉に剣を抜いた。
「いや、まだあの男が死んだわけじゃないんだけど……」
「死ねえっ!」
聞いちゃいないし。
オレは仕方なく剣を抜く。
とりあえず男たちの剣を一本一本丁寧に叩き切りながらその後、確実に風魔法で吹き飛ばしていった。男たちの身体が面白いように吹き飛んでいく。
「こ、こいつ……めちゃくちゃ強いぞ!」
お前らめちゃくちゃ弱いぞ。
「森にいた盗賊団の方がまだ強かったぞ」
「何、お前まさか……ツガンを捕まえた奴か!」
おや、どうやら森の盗賊団はこいつらのお知り合いだったらしい。
「馬鹿な……こんなやる気のない男にツガン達がやられたってのか!」
失礼な奴には神の名の下に地獄へと導いてやろう。
「ま、待ってくれ……話せばわかる!」
「問答無用!」
「あ――れ――っ!」
男たちが吹き飛ぶ。
ついに最後の一人になった。
男はガタガタと震えながら剣を構えている。
オレは剣を鞘に納める。こいつに剣は必要ない。
「な、舐めるな!」
剣を収めたのを好機みたか男が斬りかかってくる。
バキッ!
その剣を手刀で叩き折り男を壁ドン。
壁はバキバキと変な音を立てて崩れていく。
「「あ…………っ」」
ガラガラガラガラ!!
ベキベキベキベキ!!
崩壊は壁だけでなく建物全体に及び、その余波は隣の建物へ――どんどんと広がっていく。
まるでドミノ倒しだ。
「ぎゃーっ! ワシの家がぁ!」
「誰だぁ! オレの家を壊した奴は!」
「ぎゃあ! ダンナが下敷きに!」
阿鼻叫喚――いったい誰がこんな酷いことを!
気まずい空気が流れた。
「おい」
「は、はい!」
「誰の差し金だ?」
気まずい空気を払拭するようにオレは男の襟首をつかみ持ち上げる。男は剣を折られたことで抵抗気力を失ってしまっていた。
「お、女に頼まれたんだ!」
――女?
ふとアマンダ団長の顔が脳裏をよぎったがその考えはすぐに取り払う。そんなはずはない。
「どんな女だ?」
「分からない。フードを被っていた。大柄な女だ!」
ならばオレの知るどの女の子とも違う。
みんな結構小柄で可愛いからだ。
いや、今はそんなことはいい。
「おい、そいつを放してくれないか?」
背後から声を掛けられた。
振り返る。
ガラガラと建物のがれきを吹き飛ばして一人の男が立ち上がる――いや、これは大柄な女だ。
女は埃にまみれ見るも無残な格好になっていた。
「なんかごめん」
オレは思わずそう呟いていた。
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