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第四章「カルネアデス編」
第94.5話 033メザイヤ編「女戦士 ヨルダ ②」
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「え……えっ……と」
状況が飲みこめず立ち尽くすヨルダ。
「君の雄姿は決して忘れない……ありがとう……そして、さようなら!」
決めゼリフを残して、オレはその場を立ち去る。
「いたぞ! あの女だ!」
「てめえ! 身ぐるみ剥いで売っぱらってやる!」
ヨルダに群がる男たち。普段であれば紳士であるオレはこんなことはしない。
今回は、急いでいるということもあったが、もう一つ気になることがあったのだ。
ヨルダ 女剣士(黒竜族) LV55
黒竜族――かつてオレが倒したヤムダと同じ竜人族だ。あの時のオレはマヤの助けを借りて何とか勝利することができた。
今のレベルであれば彼女に勝つことは簡単だが、そうも引っかかることがあった。とりあえず今の事の集中するために彼女には尊い犠牲になってもらったというわけだ。
大丈夫。彼女なら死なない。
それよりも、彼女に襲い掛かった男たちの方が心配だ。
スガガガ――――ン!!
背後で爆炎が上がった。振り返れば吹き飛ぶ男たちの影が炎に照らされて見える。
――さようなら。名もなき英雄たちよ!
(報告。全ては有機調査体名「望月望」の責任だと思われます)
あーあー、聞こえない!
オレは気持ちを切り替える。
オレの道は破道の道。いくつもの屍を越えて進まなければならないのだ。
行けオレ!
進めオレ!
正義は我にあり!
オレはこの場を過ぎ去る影を追って闇の中を進み続けた。
◆ ◆ ◆ ◆
十分な距離を置いて影を追う。まさか逃げている奴も衛星軌道上から監視されているとは思うまい。
フハハハ!科学文明の前にひれ伏すがいい!
影は町はずれの屋敷に到着する。
ガルハン卿の屋敷だろうか。
(報告。ガルハン卿の屋敷ではありません)
マザーさんの報告では下級貴族の屋敷だという。
屋敷の中まで侵入しようと考えたが、オレは再び方向を変えその場を後にした。
しばらく走り、森の中の広い場所で足を止める。
「ふん。ついに観念したようだね!」
ドゴーン!
土煙を上げて着地する影があった。
ヨルダだ。
「おいおい、兄ちゃんなかなか面白いことしてくれたじゃねえか!」
ヨルダは怒っていた。ものすごく怒っていた。
まったく。面倒くさい女だ。
「しつこい女は嫌われるぞ?」
「えっ? そうなの?」
ああ、そうだとも。世間でいうところのストーカーみたいなものだ。だから、来るもの拒まず出るもの追わずの姿勢が望ましい。
「ああ、だからオレのことは忘れてくれ!」
「ちょっと待ったぁ!」
軽やかに立ち去ろうとしたが、がっしりとヨルダに肩をを掴まれた。
「――おい」
「ななな、なんでしょう?」
下手すりゃ戦いになるか。オレは身構える。負ける気はしないができればここで騒ぎなんて起こしたくない。騒ぎを起こせばそれこそ今までの苦労が水の泡だ。
「――その……なんだ。さっきの話、もうちょっと詳しく教えてくれないか?」
「…………はい?」
ヨルダの口から出た言葉はオレの予想の斜め上を行くものだった。
状況が飲みこめず立ち尽くすヨルダ。
「君の雄姿は決して忘れない……ありがとう……そして、さようなら!」
決めゼリフを残して、オレはその場を立ち去る。
「いたぞ! あの女だ!」
「てめえ! 身ぐるみ剥いで売っぱらってやる!」
ヨルダに群がる男たち。普段であれば紳士であるオレはこんなことはしない。
今回は、急いでいるということもあったが、もう一つ気になることがあったのだ。
ヨルダ 女剣士(黒竜族) LV55
黒竜族――かつてオレが倒したヤムダと同じ竜人族だ。あの時のオレはマヤの助けを借りて何とか勝利することができた。
今のレベルであれば彼女に勝つことは簡単だが、そうも引っかかることがあった。とりあえず今の事の集中するために彼女には尊い犠牲になってもらったというわけだ。
大丈夫。彼女なら死なない。
それよりも、彼女に襲い掛かった男たちの方が心配だ。
スガガガ――――ン!!
背後で爆炎が上がった。振り返れば吹き飛ぶ男たちの影が炎に照らされて見える。
――さようなら。名もなき英雄たちよ!
(報告。全ては有機調査体名「望月望」の責任だと思われます)
あーあー、聞こえない!
オレは気持ちを切り替える。
オレの道は破道の道。いくつもの屍を越えて進まなければならないのだ。
行けオレ!
進めオレ!
正義は我にあり!
オレはこの場を過ぎ去る影を追って闇の中を進み続けた。
◆ ◆ ◆ ◆
十分な距離を置いて影を追う。まさか逃げている奴も衛星軌道上から監視されているとは思うまい。
フハハハ!科学文明の前にひれ伏すがいい!
影は町はずれの屋敷に到着する。
ガルハン卿の屋敷だろうか。
(報告。ガルハン卿の屋敷ではありません)
マザーさんの報告では下級貴族の屋敷だという。
屋敷の中まで侵入しようと考えたが、オレは再び方向を変えその場を後にした。
しばらく走り、森の中の広い場所で足を止める。
「ふん。ついに観念したようだね!」
ドゴーン!
土煙を上げて着地する影があった。
ヨルダだ。
「おいおい、兄ちゃんなかなか面白いことしてくれたじゃねえか!」
ヨルダは怒っていた。ものすごく怒っていた。
まったく。面倒くさい女だ。
「しつこい女は嫌われるぞ?」
「えっ? そうなの?」
ああ、そうだとも。世間でいうところのストーカーみたいなものだ。だから、来るもの拒まず出るもの追わずの姿勢が望ましい。
「ああ、だからオレのことは忘れてくれ!」
「ちょっと待ったぁ!」
軽やかに立ち去ろうとしたが、がっしりとヨルダに肩をを掴まれた。
「――おい」
「ななな、なんでしょう?」
下手すりゃ戦いになるか。オレは身構える。負ける気はしないができればここで騒ぎなんて起こしたくない。騒ぎを起こせばそれこそ今までの苦労が水の泡だ。
「――その……なんだ。さっきの話、もうちょっと詳しく教えてくれないか?」
「…………はい?」
ヨルダの口から出た言葉はオレの予想の斜め上を行くものだった。
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