メスガキ神狐に憑かれたい!? いきなり現れたケモ耳 美少女はちょっと♡な福の神?※イラストあり〼

須賀和弥

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銀狐の章

第021話「シチューと神狐 ①」

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「しちゅう!死中!必中!天誅!」

 嬉しそうにオレの後ろでシチューを連呼する背後霊……もとい、シェン。
 ぐつぐつと中で野菜が躍る姿を眺めながら彼女はワクワクとしている。その姿はとても可愛いのだが正直、邪魔だ。

「あの……台所から出ていってくれない?」

 オレの言葉にシェンはショックを受けたようにしゅんとなる。
 
「我様がいると邪魔のか?」

 そう言われてハイそうですとはなかなか言えない。

「そうじゃなくって、火とか扱うから火傷すると危ないだろ」

「心配無用じゃ、我様は【熱耐性】があるからのう」

 こいつ……無駄なスキルを身につけていやがる。
 だいたいなんでこんな時だけスキル設定なんだよ。
 もっと別の表現はなかったのか?

「熱耐性ってどれくらいなんだ?」

 まさか炎に巻かれても平気だとか……そうなるとかなり凄いことになる。
 さすが神狐!

「そうじゃな、ロウソクを垂らされても心地よく感じる程度じゃ」

「……………………」

 期待したオレが馬鹿だった。
 それって熱耐性っていうよりも……いや、邪推はやめよう。

「そうか……それは凄いな……とりあえず台所から出ていけ」

「ガーン!」

「テレビでも見ていろ」

「分かったのじゃ」

 すごすごと退散するシェンを見送りオレは料理に取り掛かった。
 今回作るのはホワイトシチューだ。
 まあ、一から作るわけではないし、野菜と肉さえ煮込んでしまえば、あとは市販のルウで作るだけ。
 お手軽簡単シチューだ。
 シチューのメリットは大きい。
 作りが簡単なので、お手軽に作れること。
 たくさん作れば次の日も活用できるし、ご飯を混ぜるとそれだけで次の日のおかずにもなるのだ。

「楽しそうじゃのう」

 背後から声を掛けられた。驚いて振り向くと台所の入り口付近でシェンが顔だけのぞかせてこちらを見ていた。
 こいつは座敷童か何かか!

「まあ……な」

 自分酒の食事を作るよりも、誰かのために料理を作るというのはそれだけでモチベーションが上がるものだ。
 作っているところをストーキングされていたというのか。
 ちょっとだけ恥ずかしいぞ。

「出来上がったから、ここの器を運んでくれ」

「分かったのじゃ」

 お盆に載せられた食器類をシェンが運ぶ。
 運ぶ後姿――小さな身体だ。抱きしめたら折れてしまいそうだ。フリフリと揺れる尻尾だって触ったらモフモフしているに違いない――そこまで考えてオレはハッとなった。

 ――何を考えているんだオレは!

 やばい。昼のあーちゃん先輩の事とか思い出してしまった。
 邪念よ去れ!
 今は食べることに――全集中だ。

 
 □■□■□■□■用語解説□■□■□■□■
 
【ロウソクを垂らされても心地よく感じる程度】
 【お遊び用】のロウソクは低温であるらしい……よお知らんけど!
 通販でも売っている。説明文に【低温タイプですので、はじめての方にもオススメです】と書いてあった。何が「初めての方」なのか大いに気になるところ……
 
【全集中】
 漫画「鬼滅の刃」で一躍有名になった言葉。一切の意識を一つの事に傾けること。 「集中する」ことを強調して表現する際に用いる。 
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