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銀狐の章
第024話「神狐とデート ②」
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「デートなんて久しぶりだね」
彼女は屈託のない笑顔でオレに微笑みかける。
彼女は今日の日のためにわざわざ新しい服を買ってきているようだった。
「今日は二人っきりだと思って張り切ってきたんだけど……ど・う・し・て君がここにいるのかなぁ?シェンちゃん?」
あーちゃん先輩は笑顔をひきつらせながらオレとシェンを見比べる。
オレは昨日の晩に彼女に説明したはずだ。
【シェンの日用品を買いに行きたいから付き合ってくれ】と。
それがどうして二人っきりでデートになってしまったのだろうか。
「モー君ひどい。私だけだと言いながら他の女の人と一緒なんて……」
それは完全にあーちゃん先輩の勘違いだ。
正確には【アドバイスをくれる女の人】が必要だったのだが……
「我様も二人っきりで【らぶらぶ】できると思っておったのに……」
シェンも恨みがましくオレを睨みつける。
「モー君……私とは遊びだったのね!」
そもそも付き合ってないのだが……
「私のカラダが目的だったのね!」
いや、手を出したことなんてないです。
どちらかというとオレの貞操を奪おうとしていましたよね?
「なんと……お主様は【カラダだけのお付き合い】も【可】なのじゃな」
シェンは何やら心のメモ帳に書き込んでいるようだった。
色々と言い始めた二人。
周囲ではオレたちを訝しそうに見ている人たちが増えてきた。
ちなみに、シェンはパーカーに短パンをはかせている。尻尾を隠せるようにちょっと長めのコートを着せていた。秋口とはいえこの季節には少しばかり暑そうな格好だが仕方ない。頭には少し大きめのキャスケットを被せている。
巫女服の恰好で耳と尻尾を出したままというわけにもいかないだろう。銀の髪だけでも十分に目立つというのに――
「とにかく、あーちゃん先輩にはこの子の服とかを選んで欲しいんだ」
「……あと……下着とか……」
オレの言葉にあーちゃん先輩の目が点になる。
「下着って……マジ?」
「激マジ」
「下着なしの幼女を自宅で監禁……コスプレさせて自分好みの……通報しないと」
「先輩、携帯から手を放してください。しれっと一一〇番しないで下さい」
なんでオレが犯罪者みたいになっているんだよ。別に監禁してないし。ちゃんと餌……ではなくてごはんもあげているし。
「ちゃんとお風呂とかご飯とかあげてますよ」
「ホントかなぁ」
あーちゃん先輩は疑わしそうにオレを見る。
「こやつはちゃんと我様をもてなしておるぞ。昨日も白くてドロッとしたのを食べさせてくれたのじゃ」
「白くてドロッとしたもの……」
おおっと、そこはちゃんとシチューって言おうな。
どうしてそういった誤解を生むような言い方をしちゃうのかなシェンちゃん。
「勢い余って熱くて白くてドロッとしたものが顔にかかってしまったのじゃが、指ですくって食べてみてがとっても美味しかったのじゃ」
あーちゃん先輩が携帯を手にしている。いつでも一一〇番をダイヤルできるようにスタンバっていた。
「ま、まさかの顔……射……」
あーちゃん先輩が卒倒しかける。
言い方!言い方注意!
あーちゃん先輩のオレを見る目が地べたの虫を見るそれになった。
「服にかからなくてよかったのじゃ」
シェン……ワザと……だよね?
ワザとそんな言い方しているんだよね。
「服にかかるとカピカピになりそうじゃしのう」
「モー君!」
あーちゃん先輩の声が通りに響き渡った。
彼女は屈託のない笑顔でオレに微笑みかける。
彼女は今日の日のためにわざわざ新しい服を買ってきているようだった。
「今日は二人っきりだと思って張り切ってきたんだけど……ど・う・し・て君がここにいるのかなぁ?シェンちゃん?」
あーちゃん先輩は笑顔をひきつらせながらオレとシェンを見比べる。
オレは昨日の晩に彼女に説明したはずだ。
【シェンの日用品を買いに行きたいから付き合ってくれ】と。
それがどうして二人っきりでデートになってしまったのだろうか。
「モー君ひどい。私だけだと言いながら他の女の人と一緒なんて……」
それは完全にあーちゃん先輩の勘違いだ。
正確には【アドバイスをくれる女の人】が必要だったのだが……
「我様も二人っきりで【らぶらぶ】できると思っておったのに……」
シェンも恨みがましくオレを睨みつける。
「モー君……私とは遊びだったのね!」
そもそも付き合ってないのだが……
「私のカラダが目的だったのね!」
いや、手を出したことなんてないです。
どちらかというとオレの貞操を奪おうとしていましたよね?
「なんと……お主様は【カラダだけのお付き合い】も【可】なのじゃな」
シェンは何やら心のメモ帳に書き込んでいるようだった。
色々と言い始めた二人。
周囲ではオレたちを訝しそうに見ている人たちが増えてきた。
ちなみに、シェンはパーカーに短パンをはかせている。尻尾を隠せるようにちょっと長めのコートを着せていた。秋口とはいえこの季節には少しばかり暑そうな格好だが仕方ない。頭には少し大きめのキャスケットを被せている。
巫女服の恰好で耳と尻尾を出したままというわけにもいかないだろう。銀の髪だけでも十分に目立つというのに――
「とにかく、あーちゃん先輩にはこの子の服とかを選んで欲しいんだ」
「……あと……下着とか……」
オレの言葉にあーちゃん先輩の目が点になる。
「下着って……マジ?」
「激マジ」
「下着なしの幼女を自宅で監禁……コスプレさせて自分好みの……通報しないと」
「先輩、携帯から手を放してください。しれっと一一〇番しないで下さい」
なんでオレが犯罪者みたいになっているんだよ。別に監禁してないし。ちゃんと餌……ではなくてごはんもあげているし。
「ちゃんとお風呂とかご飯とかあげてますよ」
「ホントかなぁ」
あーちゃん先輩は疑わしそうにオレを見る。
「こやつはちゃんと我様をもてなしておるぞ。昨日も白くてドロッとしたのを食べさせてくれたのじゃ」
「白くてドロッとしたもの……」
おおっと、そこはちゃんとシチューって言おうな。
どうしてそういった誤解を生むような言い方をしちゃうのかなシェンちゃん。
「勢い余って熱くて白くてドロッとしたものが顔にかかってしまったのじゃが、指ですくって食べてみてがとっても美味しかったのじゃ」
あーちゃん先輩が携帯を手にしている。いつでも一一〇番をダイヤルできるようにスタンバっていた。
「ま、まさかの顔……射……」
あーちゃん先輩が卒倒しかける。
言い方!言い方注意!
あーちゃん先輩のオレを見る目が地べたの虫を見るそれになった。
「服にかからなくてよかったのじゃ」
シェン……ワザと……だよね?
ワザとそんな言い方しているんだよね。
「服にかかるとカピカピになりそうじゃしのう」
「モー君!」
あーちゃん先輩の声が通りに響き渡った。
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