33 / 86
銀狐の章
第027話「三人でデート ③」
しおりを挟む
「おお、お主の言う通りじゃぞ!」
洋服を見ていたはずのシェンがいつの間にかすり寄ってきていた。
「なんでそうなる?」
あーちゃん先輩の目は真剣だ。
――何がどーしてこうなった?
どんな思考回路からそうなったのかは意味不明だが、真剣なのはよくわかる。
「じゃあ、私とセットで付き合うのは?」
これもまた真剣な表情だ。
「……はい?」
「ほら、二人セットでお買い得……みたいな」
買い物じゃないし。
「幸せの【ハッピーセット】みたいな」
幸せとハッピーでダブル・ミーニングなんだが。
この際言葉の意味なんてどうでもいい。どちらかがオマケみたいな言い方だが、どちらがどうとかはどうでもいい。
「先輩……どうしちゃったんですか?」
あーちゃん先輩はキラキラとした目で祈りのポーズ。
「私、気づいちゃったのよ」
先輩はすっと空を見つめる……正確にはデパート内なので天井なのだが。
イヤな予感がした。
「私――シェンちゃんの事も好きなんだなって!」
ここに一人、神狐を崇め奉る変な信者が増えました。
「………………何故?」
「だって可愛いし」
こいつ……まさかの女好き……いや、まさかの両刀使い、二刀流!
「シェンちゃんを脱がせた時に気づいちゃったの……」
あーちゃん先輩は目に異様な輝きを宿しながら振り向いた。
「私……女もイケるんだって!」
そんな悟りを開くなよ。
しかも、脱がしている時に気づくか?それって、別の意味にしか聞こえない。
「お主様……この小童……目が怖いのじゃ」
「シェンちゃん。お姉さんとイイコトしよ♡」
「ひぃっ!」
シェンが怯えたようにオレの後ろに隠れた。
「シェンちゃん怖くないよぉ」
チチチと手招きするあーちゃん先輩にシェンは「シャーッ!」と威嚇する。
「お主様……我様の盾になってくれ」
ぴっとりと身体を寄せてオレを前に押し出す。
「モー君とシェンちゃんのハッピーセット♡」
うをおい!やめろ!子供の夢ぶち壊しそうなネーミングにするな。
あーちゃん先輩が両腕を広げてオレたちに抱きついてきた。
「うわああああ!」
気がつけば、オレとシェンは仲良く手をつないでその場から逃げ出していた。
◆ ◆ ◆ ◆
デパート内のフードコート。オレたち三人はそれぞれにこのみのランチを注文していた。
「もう、ウエットに富んだジョークだったのに」
スパゲティをちゅるちゅる食べながらあーちゃん先輩。
「先輩、目が本気でしたよ」
オレがツッコミをいれるとあーちゃん先輩は目をそらした。
ちなみに、オレとシェンはバーガーのセットを注文している。
「アイム・ラビットなのじゃ」
うーん。微妙にニュアンスが違うな。
それじゃ狐じゃなくてウサギだろ。
シェンは物珍しそうに手元のハンバーガーを見つめている。
「シェン、こうやって食べるんだよ」
オレはシェンに食べて見せる。見様見真似でシェンも食べ始めた。
「ぬほぉお!」
一口かじるなりシェンの顔が輝く。
「旨いのじゃ!美味美味!」
美味しそうにハンバーガーをほおばるシェン。フライドポテトを口に放り込んではまたも嬉しそうに食べていた。
「本当に美味しそうに食べるわね」
感心したようにあーちゃん先輩が呟く。
「うむ。我様は初めてが多いからのう」
「そうなんだ。シェンちゃんさえよければお姉さんが色々なハジメテを教えてあげるわよ」
あーちゃん先輩さりげなくアピール。
「遠慮しておく!」
シェン選手容赦なく返り討ち。
「きゃうん!」
先輩は玉砕しその場に崩れ落ちた。
二人ともずいぶんと仲良くなったものだ。
□■□■□■□■用語解説□■□■□■□■
【アイム・ラビット】
i'm lovin' it(アイムラヴィニット)は、マクドナルドにて2003年9月から導入された全世界統一の宣伝文句。日本語に直訳すると「私はそれが好き」なのだが……まあ、ただのジョークなので、そんなに意識しなくてもいいのでは?
洋服を見ていたはずのシェンがいつの間にかすり寄ってきていた。
「なんでそうなる?」
あーちゃん先輩の目は真剣だ。
――何がどーしてこうなった?
どんな思考回路からそうなったのかは意味不明だが、真剣なのはよくわかる。
「じゃあ、私とセットで付き合うのは?」
これもまた真剣な表情だ。
「……はい?」
「ほら、二人セットでお買い得……みたいな」
買い物じゃないし。
「幸せの【ハッピーセット】みたいな」
幸せとハッピーでダブル・ミーニングなんだが。
この際言葉の意味なんてどうでもいい。どちらかがオマケみたいな言い方だが、どちらがどうとかはどうでもいい。
「先輩……どうしちゃったんですか?」
あーちゃん先輩はキラキラとした目で祈りのポーズ。
「私、気づいちゃったのよ」
先輩はすっと空を見つめる……正確にはデパート内なので天井なのだが。
イヤな予感がした。
「私――シェンちゃんの事も好きなんだなって!」
ここに一人、神狐を崇め奉る変な信者が増えました。
「………………何故?」
「だって可愛いし」
こいつ……まさかの女好き……いや、まさかの両刀使い、二刀流!
「シェンちゃんを脱がせた時に気づいちゃったの……」
あーちゃん先輩は目に異様な輝きを宿しながら振り向いた。
「私……女もイケるんだって!」
そんな悟りを開くなよ。
しかも、脱がしている時に気づくか?それって、別の意味にしか聞こえない。
「お主様……この小童……目が怖いのじゃ」
「シェンちゃん。お姉さんとイイコトしよ♡」
「ひぃっ!」
シェンが怯えたようにオレの後ろに隠れた。
「シェンちゃん怖くないよぉ」
チチチと手招きするあーちゃん先輩にシェンは「シャーッ!」と威嚇する。
「お主様……我様の盾になってくれ」
ぴっとりと身体を寄せてオレを前に押し出す。
「モー君とシェンちゃんのハッピーセット♡」
うをおい!やめろ!子供の夢ぶち壊しそうなネーミングにするな。
あーちゃん先輩が両腕を広げてオレたちに抱きついてきた。
「うわああああ!」
気がつけば、オレとシェンは仲良く手をつないでその場から逃げ出していた。
◆ ◆ ◆ ◆
デパート内のフードコート。オレたち三人はそれぞれにこのみのランチを注文していた。
「もう、ウエットに富んだジョークだったのに」
スパゲティをちゅるちゅる食べながらあーちゃん先輩。
「先輩、目が本気でしたよ」
オレがツッコミをいれるとあーちゃん先輩は目をそらした。
ちなみに、オレとシェンはバーガーのセットを注文している。
「アイム・ラビットなのじゃ」
うーん。微妙にニュアンスが違うな。
それじゃ狐じゃなくてウサギだろ。
シェンは物珍しそうに手元のハンバーガーを見つめている。
「シェン、こうやって食べるんだよ」
オレはシェンに食べて見せる。見様見真似でシェンも食べ始めた。
「ぬほぉお!」
一口かじるなりシェンの顔が輝く。
「旨いのじゃ!美味美味!」
美味しそうにハンバーガーをほおばるシェン。フライドポテトを口に放り込んではまたも嬉しそうに食べていた。
「本当に美味しそうに食べるわね」
感心したようにあーちゃん先輩が呟く。
「うむ。我様は初めてが多いからのう」
「そうなんだ。シェンちゃんさえよければお姉さんが色々なハジメテを教えてあげるわよ」
あーちゃん先輩さりげなくアピール。
「遠慮しておく!」
シェン選手容赦なく返り討ち。
「きゃうん!」
先輩は玉砕しその場に崩れ落ちた。
二人ともずいぶんと仲良くなったものだ。
□■□■□■□■用語解説□■□■□■□■
【アイム・ラビット】
i'm lovin' it(アイムラヴィニット)は、マクドナルドにて2003年9月から導入された全世界統一の宣伝文句。日本語に直訳すると「私はそれが好き」なのだが……まあ、ただのジョークなので、そんなに意識しなくてもいいのでは?
0
あなたにおすすめの小説
『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、10人の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』
まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。
朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。
「ご主人様の笑顔が見たいんです」
その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。
全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!?
甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
『使い捨てられた補助スキル持ち、迷宮の主になって制服妖怪と学園祭を始める』
葉月奈津・男
キャラ文芸
15歳以下の子供しか入れない異常空間『ダンジョン』が世界に現れて20年。 命を懸けて挑む“探索者”は、学校制度に組み込まれ、教育と戦闘が融合した世界が築かれた。貧困家庭に生まれ、補助スキルしか持たなかった少年・カルマは、学校から“使い捨ての道具”としてダンジョンに捨てられる。 誰にも名前を呼ばれず、誰にも見られなかった彼は、最下層で“自由”と“孤独”を手に入れ、静かに復讐を誓う。
あなたは、誰の声に耳を傾けますか?
社会的に抑圧されていた少年が、ダンジョンマスターとなったことで復讐していく。ダンジョンのシステムが記憶している元仲間のデータ他、『記憶の残骸』を利用して『妖怪モンスター』を作成。彼女たちとダンジョンを『学園祭会場』に変えていく。そんな話です。人間を妖怪に変えて仲間とし、抑圧してきていた者たちに反撃していきます。
※全年齢対応とするため、表現を儀式的、抽象的なものにしてあります。湾曲な表現となるため、まどろっこしく感じる方もいるかもしれませんが意図を汲んでご容赦ください。なお、一部の表現調整にAIを利用しています。
北白川先生(♀ 独身)に召喚されました
よん
青春
小田原の県立高校に勤務する国語教諭――北白川。彼女はある目的を果たすために、自分が受け持つ五人の生徒を毎晩二時に召喚するようになった。一日一度のことわざ、そこに込められた思いとは……。
『イルカノスミカ』『フラれる前提で私にコクる鈴木くん』のスピンオフ。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる