メスガキ神狐に憑かれたい!? いきなり現れたケモ耳 美少女はちょっと♡な福の神?※イラストあり〼

須賀和弥

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銀狐の章

第049話「朝、目覚めると……」

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 目が覚めた。
 今日は金縛りは――ない。
 恐る恐るシーツをめくる。
 誰も――いない。
 身を起こし周囲を警戒。
 着衣の乱れも――ない。
 さっと天井を見る――天井に貼りついている不審者も――いない。
 背後に誰かいないか警戒しつつ身支度を済ませる。
 部屋を出ようとして少しだけふらついた。
 わずかな頭痛……そうだった。昨晩たまたま光の作ってくれた【愛の栄養ドリンコ】にアルコールが含まれていたらしくオレは酔っぱらって眠ってしまったんだ。
 オレが極端にアルコールに弱いことを光はもちろん知っている。きっとうっかりしていたのだろう。きっとそうに違いない。
 部屋を出た。
 リビングに向かう。

「おはようお兄ちゃん」

 光がいた。
 エプロンをつけて朝食を作っている。
 ちょっと目元にクマができていた。
 寝ていて気付かなかったが、きっと昨晩は女の子同士で夜遅くまでお話していたのだろう。
 
「おはようございますじゃ」

 シェンがいた。いつものデカTにトランクス姿。下着を買ったんだからそれを着ればいいのに……まあ、下着姿でうろつかれてもこちらは困るのだが。

「モー君おはよう!」

 あーちゃん先輩が携帯でニュースをチェックしながら挨拶してくれた。なんだか嬉しそうな雰囲気。
 ちょっと三人の距離感が機になったが、別にぎすぎすとしている風でもなかった。

「なあ、昨日の晩の事なんだけ――」

「昨日はお兄ちゃんに間違ってお酒の入っている飲み物飲ませちゃったみたいで、お兄ちゃんすぐに寝ちゃったんだよ!」

 間髪入れずに光が駆け寄ってくる。慌てたのか包丁を持ったままだ。包丁の先がシェンとあーちゃん先輩の方を向いているが気のせいだろう。

「昨晩は何もなかった……そうだよね?」

 光の言葉にシェンと先輩はぶんぶんと首を振る。

「「……なにもながっだ」」

「ふーん。そうなんだ」

 何もないのであればいいだろう。実質の被害がなければ問題ない。

「さて、朝食は何かな?」
 
 光が作ってくれる朝食なんて久しぶりだ。
 何気ない朝の一場面。
 何故だろう。当たり前の風景なのに涙が出るほどに嬉しかった。

 ――安心安全――

 当たり前のことが当たり前のようにここに有る。

 ――これだよ。これをオレは求めていたんだ!

 幸せの青い鳥はこんなところにいたんだ!
 青い鳥症候群とは理想ばかり追い求めるばかりに現実から目をそらすことをいう――幸せは身近な自分の心の中にあるというのに――。
 ここで重要なのは「目の前の日常を大切にし」「現実を受け入れ向き合うこと」が大切だということだ。

「お兄ちゃん、今朝の朝食は光が作ったんだよ。私だと思っていっぱいだべてね♡」

 光が抱きついてきた。

「モー君、私も手伝ったんだからね。あーんしてあげるよ♡」

 反対側にあーちゃん先輩。

「お主様、そんな二人よりも我様の尻尾をモフりながらの朝食も乙なものじゃぞ」

 正面からシェンが抱きついてくる。
 三人が樹液に群がるカブトムシのようにオレにへばりついていた。

 ――嗚呼、幸せの青い鳥が逃げていく――

 目の前の日常を大切にして……
 現実を受け入れ向き合うこと……
 オレには当分の間できそうになかった……
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