てるちゃんの明日天気になぁれ!

Ari

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タクシー

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 帰りのタクシー。

ばぁちゃんは、いつになくおとなしかった。

 いつも優しい先生にあそこまで言われたのも始めてだった。

「なぁ、運転手さん、タクシーは回数券みたいなのはないのか?高齢者の迎車割引はないのか?」

「お客さま、すみません。うちの区は行政サービスがないんですよ。うちの会社でできるのは、買い物支援と送迎のワンコインサービスになりまして。迎車は呼び出し料金200円。指名の場合はプラス300円でお迎えに上がって1時間以内の送迎、買い物、またはお使いサービスの場合、皆さまからワンコインをいただいております。こちらの町内でしたら、一回1000円ぐらいのご予算でご利用いただけます。良ければパンフレットをお持ちください。」

ばあちゃんは、ドライバーから、ニコニコ笑顔のキャラクターがかいてある、やたらにでかい文字のパンフレットを受け取った。

「1時間で買い物は、便利なのか不便なのか微妙じゃのぉ。」

「うちをご指名していただけらば、うちはクーラーボックス有り、ご自宅の玄関までお運びさせていただきます。」

「なるほどなぁ。商売上手やな、あんさんとこの社長さんは。」

「はい。いつでもお呼び下さい!」

 ドライバーは終止。やたらとデカい声で話続けた。

この地域のタクシーは地域支援のサービスで業績をあげていた。

車を所有するより、単発なら安い!と高齢者に説明しし、顧客を獲得していた。

乗って買い物に行くもよし、お使いを頼むもよし。

夫婦2人や単身の高齢者で、車を手放した人にはこのサービスは人気があった。

みな1週間分の買い物をする。

高齢者タクシーは指名制が導入されていて、詐欺やトラブル防止のため、話しやすい相手を選ぶことができるようになっていて、しかも。車内で金銭トラブルがないように、録画され、事業所内のモニターで全て監視。自宅に行く時も、中継カメラをまわす徹底ぶりだった。

 人気のあるドライバーさんは予約でいっぱいと、ローカルテレビで聞いたことがある。

ばぁちゃんは何を考えているのだろうか?
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