上 下
1 / 1

スウィート・レールウェイ

しおりを挟む
 くるるんは魔法使いです。

 彼の家は不思議な魔法で満ち溢れています。

 ある冬のクリスマスの日、窓辺で雪を眺めるくるるんは思いつきました。

 「そうだ、今年はあれを作ろう!!」

 彼は目をキラキラと輝かせ、何か閃いたようです。

 くるるんは魔法のステッキを手に持ち、楽しそうに振りはじめました。

 すると、部屋には、なんだがあま~い香りが広がり、不思議な出来事が始まりました。

 くるるんのステッキが光り輝くたびに、杖の先から美味しそうなお菓子の材料が次々に舞い降ります。

 さらさらと降り積もる小麦粉に、カラフルなチョコレート。キラキラと輝くキャンディに、雪のようなお砂糖。

 おやおや、ニワトリのお母さんも出てきましたよ。

 今日の彼の魔法は何もないところに美味しいお菓子の素材を呼び寄せるようです。

 くるるんがステッキを振るうと、彼の手は不思議なリズムで材料を混ぜ合わせます。

 部屋中に優雅な音楽が流れ、彼の手さばきはまるでダンスのよう。

 部屋に現れたビスケット山からは、まるで山頂が噴火したかのように、ポップコーンがはじけ、あたり一面に舞い散り、ビスケット山の斜面には、キャラメルの流れ込んで、ポップコーンがキャラメルと一緒に楽しく滑り降りてきます。

 そんな山の麓にはキラキラとしたキャンディの花が咲き、わたがしの羊にマシュマロの子豚もいました。

 くるるんは魔法のステッキで次々とお菓子たちに命を吹き込みます。

 次に、くるるんが魔法のステッキを振り、大きな扉が現れました。 

 彼はワクワクしながら扉を開け、その部屋の中に足を踏み入れます。

 その中は、なんと、お驚きの世界。クッキーの壁に、ワッフルコーンの床、ふわふわのスポンジソファーに、マカロンのテーブル。この部屋に足を踏み入れるとふわぁっとお菓子の香りが広がります。「今夜はここにみんなを招待しよう!!」

 くるるんがそう言いうと、かわいい顔の白いハトが出てきました。

 「町のみんなに、お手紙を届けてね。」その手紙には、「一緒に過ごす人がいない人は、僕の家においで」と書かれていました。

 くるるんは、サンタの衣装に着替えて、来る人を待ちました。

 すると、1人、2人と町の子供達がつぎつぎにやって来ました。

 「さぁ、さぁ、今日は特別な日だよ」「みんな、好きな席に座って!!もうすぐ出発するよ!!」くるるんが言い、部屋のドアを閉めると、がたがたっと、床が揺れ、ふわっと浮き上がりました。

 くるるんは、ニヤッと笑って「さぁ。行くよー」と言うと、みんなが入ったその部屋は機関車に変身し雪の降る街の上を走りだしました。

 くるるんは子供達に「お菓子以外もあるから、沢山食べてね。」と伝え、魔法の杖で、サンドイッチやピザ、フライドチキンにポテトを出しました。

 そして、小さな天使が、子供たちにグラスを渡し、くるるんがナイフで瓶のコルクを開けると「ぽーん」といい音がしました。

 くるるんは子供達と一緒にジュースで乾杯し、列車の中では手品が披露されたり、楽器の演奏やコーラスが披露され、彼らはお菓子の香りと星空の下でのひとときを楽しみました。列車の中で眠っていく子供達を家まで送り届け家に着いたくるるん。

 すると、「やぁ、くるるんこんばんは!!今年はお菓子の列車なんだね」とサンタさんが現れました。「みんないい笑顔だったよ。いつもありがとう。」といい、プレゼントを一つ、くるるんに手渡しました。

 「サンタさん、ありがとう。でも、僕はもう、子供ではないからプレゼントはいらないよ。」「ほぉっほぉっほぉ!気にしない、気にしない!」「来年もよろしく頼むよ。」そう言うとサンタさんは、トナカイと一緒に鈴をならして、星空の空へと消えていきました。

 くるるんは部屋に入り、もらったプレゼントを開けました。

 くるるんは、「ははは」と笑いました。

 さて、その中身は?

 君は何が入っていたと思う?


 ~おわり~
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...