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騎士が花嫁こぼれ話 かけら(5)
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結婚式の主役の二人は向こうで参列者の祝福を受けている。
特に騎士たちの集団は圧巻で、ほっそりとしたインティアがたくましい体躯の騎士に囲まれるとますます華奢に見えてくる。
それをクリスは遠くから見ていた。
昨年、幼馴染のロバートと自分の姉が結婚をしたときの騒ぎを思い出し、少し間をおいてから挨拶に行くつもりだった。
すっと誰かが視界に入ってきた。
青白い長衣の裾が見えた。
「テヤ様」
神官のテヤがクリスのそばにやってきたのだった。
「先程の歌は素晴らしかったです。
あんなふうにお歌いになるのですね」
神官なので、礼儀正しく接するクリス。
テヤはくすりと笑った。
「お恥ずかしいものです」
「初めてテヤ様の歌を聞きました。
あれを聞くとインティアの歌がまだまだだとわかってしまう」
インティアに歌の稽古をつけるとき、短く歌うことはあるが、まるまる一曲をあの声量で歌っているのを聞いたのは、これが初めてだった。
「いいえ。
騎士様は三回も眉間にしわを寄せられました。
まだまだですね」
「えっ」
クリスは慌てて自分の眉間に指をやった。
20161225
特に騎士たちの集団は圧巻で、ほっそりとしたインティアがたくましい体躯の騎士に囲まれるとますます華奢に見えてくる。
それをクリスは遠くから見ていた。
昨年、幼馴染のロバートと自分の姉が結婚をしたときの騒ぎを思い出し、少し間をおいてから挨拶に行くつもりだった。
すっと誰かが視界に入ってきた。
青白い長衣の裾が見えた。
「テヤ様」
神官のテヤがクリスのそばにやってきたのだった。
「先程の歌は素晴らしかったです。
あんなふうにお歌いになるのですね」
神官なので、礼儀正しく接するクリス。
テヤはくすりと笑った。
「お恥ずかしいものです」
「初めてテヤ様の歌を聞きました。
あれを聞くとインティアの歌がまだまだだとわかってしまう」
インティアに歌の稽古をつけるとき、短く歌うことはあるが、まるまる一曲をあの声量で歌っているのを聞いたのは、これが初めてだった。
「いいえ。
騎士様は三回も眉間にしわを寄せられました。
まだまだですね」
「えっ」
クリスは慌てて自分の眉間に指をやった。
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