王道じゃなくて悪かったな

BL小説大賞エントリー記念 小話置き場

お兄ちゃんがやってきた！

　これは現実なんだろうか。まさか実家に帰ってるなんて。それだけじゃない。両親や二人の兄がにこやかに俺を見つめている。

　家族全員で食卓を囲んでいる。そんな夢のような...夢...ああ、これは夢か。


「はあ...最悪...」

「ん...？きょ、や...？」

「千佳、ごめん起こした？」

「だ、じょ...ぶ。ど...た...？」

「嫌な夢見ただけだよ。まだ早いし、寝とくか？」

「...ぉ、きる...」


　今までこんな夢見たことないのに、どうして急に？何かの暗示？嵐の予兆？なんにせよ勘弁してほしい。俺のことを捨てた家なんて忘れて、自由気ままなスクールライフを送るって決めてんだし、あの人たちに迷惑なんて掛けてないんだから、放っておいてほしいなぁ。

　




　なんやかんやあったが、現在HR中。嫌な記憶も嫌な顔もぜ～んぶ取っ払って授業に入ろうというときに、紺野が爆弾を落としてきた。


「あー、今日から教育実習で来られた先生がいるから、くれぐれも失礼の無いように。間違ってもいじめたり襲ったりするんじゃないぞ。特に...」

「紺野ちゃんさぁ、さすがの俺でも血縁には手ぇ出さないって。自分からはね。」

「いや、わかってはいるんだが...」

「それより自己紹介でもしてもらったら？」

「あ、ああ。それじゃあ、お願いしようかな。」

「はい。おはようございます、皆さん初めまして。榊 慎也しんやといいます。そこの響也とは実の兄弟ですが、趣味趣向は全くの別物なので、あいつと同じように接するのはお勧めしません。どうぞよろしくね？」


　かぁぁぁぁぁ！！！！むっかつく！！！俺がお前に何したってんだよ！むしろエリート街道まっしぐらなお前と尚也なおや邪魔しないようにできの悪い弟演じてやってただろ！？てかなんで教師！？なんでこの学校に希望出したよ？？俺が通ってるのばれた？誰から？奏か？厳密には奏の親か？

　まあいい。まずはいかにこいつのいる授業をサボるかが重要だな。

　絶対関わりたくねぇぇぇぇぇぇええぇぇぇえぇ！！！！！