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第3章:戦乙女の覚醒と、異世界の美容室
冒険者ギルド
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3-1
翌朝、俺たちは冒険者ギルドに向かった。
重厚な木の扉を押し開けると、むっとするような熱気と、男たちの汗、そして安酒の残り香が混じった独特の臭いが鼻をついた。
朝のギルドは、これから依頼(クエスト)に向かう男たちの活気に満ちている。……いや、正確には「男たちだけ」の活気だ。
部屋の隅やカウンターの端では、ボロボロの服を着た女性たちが、男たちの荷物を点検したり、靴を磨いたりと忙しなく動いている。彼女たちの瞳には光がなく、ただ機械的に作業をこなしているだけに見えた。
俺が受付カウンターに進むと、受付嬢が顔を上げた。彼女もまた、地味な灰色の服を着て、目の下に隈を作った疲れ切った顔をしている。
「新規のパーティ登録ですね。ええと、代表者は龍ケ崎真司様。職業は……え?」
受付嬢の手が止まった。彼女は魔道具である登録水晶を二度見、三度見し、それから震える声で俺を見た。
「ゆ、勇者……様、ですか!?」
その甲高い声に、周囲の喧騒が一瞬止まり、視線が一斉に俺たちに集まった。
「おい聞いたか? 勇者だってよ」
「勇者? グランヴェルに来た異世界人か。へぇ、優男に見えるが……」
好奇と値踏みするような視線。俺はそれを無視して、隣に控えるエリアを促した。
「そして、パーティメンバーはエリア。彼女も登録してくれ」
「は、はい。では水晶に手を……」
エリアがおずおずと手をかざす。水晶が淡い光を放ち、カウンター内の羊皮紙に文字が浮かび上がる。
受付嬢はそれを見て、眉をひそめ、水晶をバンバンと手で叩き始めた。
「あ、あれ? すみません、魔道具の故障みたいで……」
「故障?」
「はい。エリアさんの職業適正に……ありえない表示が出ていまして。『見習い魔法剣士』と。女性が前衛職、それも魔法剣士だなんて、ここ数年見たことないです……」
受付嬢の困惑した声が響くと、周囲からドッと笑い声が上がった。
「おいおい、女が見習い魔法剣士だと? 冗談キツイぜ!」
「荷物持ちの間違いだろ? それとも『夜の上級職』ってか? ギャハハ!」
「まわりの反抗的な女達ももっと躾けて、従順な夜の上級職にしてやらねえとな」
近くにいた男がそう言って周りを見回すと、女たちがさっと離れていく。
それを見た男たちから下品な野次がいくつも飛ぶ。エリアが悔しそうに唇を噛み、身を縮める。
俺はそんな状況にイラッとしてカウンターをドン、と叩いた。
「故障じゃない。エリアは見習い魔法剣士になれるんだ、そのまま登録してくれ」
俺の低い声に、受付嬢がビクリと肩を震わせた。
「で、ですが……規定により、女性の戦闘職登録には試験が……」
「そんな事やってたら、女性で冒険者になれる人が限られるじゃないか、勇者特権で免除できるはずだ。女神様……いや、王様からそう聞いている」
「は、はい! 勇者様のパーティメンバー特例ですね、見習いまでならすぐに登録できましたね。承知いたしました!」
俺たちは嘲笑交じりの視線を背に、ギルド証を受け取った。
翌朝、俺たちは冒険者ギルドに向かった。
重厚な木の扉を押し開けると、むっとするような熱気と、男たちの汗、そして安酒の残り香が混じった独特の臭いが鼻をついた。
朝のギルドは、これから依頼(クエスト)に向かう男たちの活気に満ちている。……いや、正確には「男たちだけ」の活気だ。
部屋の隅やカウンターの端では、ボロボロの服を着た女性たちが、男たちの荷物を点検したり、靴を磨いたりと忙しなく動いている。彼女たちの瞳には光がなく、ただ機械的に作業をこなしているだけに見えた。
俺が受付カウンターに進むと、受付嬢が顔を上げた。彼女もまた、地味な灰色の服を着て、目の下に隈を作った疲れ切った顔をしている。
「新規のパーティ登録ですね。ええと、代表者は龍ケ崎真司様。職業は……え?」
受付嬢の手が止まった。彼女は魔道具である登録水晶を二度見、三度見し、それから震える声で俺を見た。
「ゆ、勇者……様、ですか!?」
その甲高い声に、周囲の喧騒が一瞬止まり、視線が一斉に俺たちに集まった。
「おい聞いたか? 勇者だってよ」
「勇者? グランヴェルに来た異世界人か。へぇ、優男に見えるが……」
好奇と値踏みするような視線。俺はそれを無視して、隣に控えるエリアを促した。
「そして、パーティメンバーはエリア。彼女も登録してくれ」
「は、はい。では水晶に手を……」
エリアがおずおずと手をかざす。水晶が淡い光を放ち、カウンター内の羊皮紙に文字が浮かび上がる。
受付嬢はそれを見て、眉をひそめ、水晶をバンバンと手で叩き始めた。
「あ、あれ? すみません、魔道具の故障みたいで……」
「故障?」
「はい。エリアさんの職業適正に……ありえない表示が出ていまして。『見習い魔法剣士』と。女性が前衛職、それも魔法剣士だなんて、ここ数年見たことないです……」
受付嬢の困惑した声が響くと、周囲からドッと笑い声が上がった。
「おいおい、女が見習い魔法剣士だと? 冗談キツイぜ!」
「荷物持ちの間違いだろ? それとも『夜の上級職』ってか? ギャハハ!」
「まわりの反抗的な女達ももっと躾けて、従順な夜の上級職にしてやらねえとな」
近くにいた男がそう言って周りを見回すと、女たちがさっと離れていく。
それを見た男たちから下品な野次がいくつも飛ぶ。エリアが悔しそうに唇を噛み、身を縮める。
俺はそんな状況にイラッとしてカウンターをドン、と叩いた。
「故障じゃない。エリアは見習い魔法剣士になれるんだ、そのまま登録してくれ」
俺の低い声に、受付嬢がビクリと肩を震わせた。
「で、ですが……規定により、女性の戦闘職登録には試験が……」
「そんな事やってたら、女性で冒険者になれる人が限られるじゃないか、勇者特権で免除できるはずだ。女神様……いや、王様からそう聞いている」
「は、はい! 勇者様のパーティメンバー特例ですね、見習いまでならすぐに登録できましたね。承知いたしました!」
俺たちは嘲笑交じりの視線を背に、ギルド証を受け取った。
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