誰かが望んだ楽園の迷い人

AI異世界小説家

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第3章:戦乙女の覚醒と、異世界の美容室

シャンプーとリンス

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3-5
食事の後、俺とエリアは街の雑貨屋を回り、1軒のアクセサリーショップに寄った。
店主はミスリル装備を身につけるエリアを見て、「コスプレか?」と訝っていたが、俺がアクセサリーを購入しようとすると鼻で笑った。
「兄ちゃん、女に魔力増強の指輪なんて買っても無駄だぞ。光り物がいいならガラス玉にしておきな」
ここでも、武器屋と同じ反応だ。
「いやいいんだ。エリアは特別だからね」
俺が金貨を出すと、店主は肩をすくめて、マジックポイント増幅、魔法攻撃増幅のサファイヤのペンダントを売ってくれた。
家に帰ると、俺は早速「錬金術」の真似事を始めた。
リビングで、勇者特典のアイテムボックスから『簡易錬成作業台』を取り出す。
「シンジ、何をしてるの?」
「シャンプーとリンスを作ってるんだ」
「シャンプー? リンス?」
昼間採取したレッドベリー(洗浄成分)と香草(香り付け)、それに保湿効果のあるオイルを混ぜ合わせ、俺の魔力を触媒にして調合する。
青い光と共に出来上がったのは、フローラルな香りがする半透明の液体だ。
「よし、完成。エリア、ちょっと風呂場に来てくれ」
俺が風呂場に向かうと、後ろからついてきたエリアの足音が止まった。
振り返ると、エリアが顔を真っ赤にして、おずおずと服のボタンに手をかけていた。
「……えっ、……御主人様、……よ、夜の躾ですか? ……はい、今服を脱ぎますね……」
彼女の手が震えている。目は潤み、覚悟を決めたように唇を結んでいる。
「はっ? なんだって? いやいや違うよ! そういうことじゃない!」
俺は慌てて手を振った。
「髪だよ! 髪を洗うんだ! さっき作ったシャンプーを試したいだけだ!」
「……髪、ですか?」
エリアはキョトンとして、拍子抜けしたように手を止めた。
「てっきり、お風呂場で……そういうプレイなのかと……」
「ないない。俺は娼館に行ったことないから、俺の世界だと風俗っていうんだけどさ」
俺は苦笑いしながら、桶にお湯をためた。
結局、エリアは下着姿になり、風呂場の床に仰向けになった。俺はお湯をためた木の桶をエリアの頭の下に置き丁寧にエリアの髪をシャンプーしてやる。

「力を抜いて。お湯かけるぞ」
俺は美容師の真似事をしながら、エリアの髪にお湯を通す。
エリアの髪は、強い日差しと安物の石鹸のせいでキューティクルが剥がれ、脱色剤をかけすぎたようなゴワゴワの状態だった。
「……んっ」
俺が指の腹で頭皮をマッサージするように洗うと、エリアから小さな声が漏れた。
「どうだ? 痛くないか?」
「いえ……気持ちいいです。誰かに髪を洗ってもらうなんて、初めて……」
エリアが俺を見上げる。その瞳は、最初は警戒していたが、今はとろんとリラックスし、そして不思議そうな色を浮かべていた。
(この人は、なんで私に夜伽をさせようとしないんだ。王様も、他の男の人も、みんな私を体目当てで見ていたのに……異世界から来たと言ってたけどそんな世界があるのかしら)
そんな声が聞こえてきそうなほど、彼女の視線は俺の行動に興味津々だった。
「いい匂い……」
「これはフローラルの香りっていうんだぜ」
「フローラル?」
洗い流した後、特製リンスで仕上げる。
乾かした後のエリアの髪は、朝とは別物だった。
黄金の糸のように輝き、指通りは絹のように滑らかで、頭上には「天使の輪」ができている。
さらに、赤い木の実で作ったルージュと、薄くファンデーション代わりの粉をはたく。
「俺の周りの女の子たちは毎日こうやって身だしなみを整えるんだ。化粧もこの世界のものとは違う、肌に優しい天然素材だ」
「……」
鏡の前に立ったエリアは、言葉を失っていた。
そこに映っていたのは、薄汚れた使用人でも、使い捨ての冒険者でもない。
王城にいたどの貴族の女性よりも美しく、気品のある一人の女性だった。
「これは……誰? 私……なの?」
エリアが震える手で自分の頬に触れる。
「ああ、これが本来のエリアだ」
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