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番外編
女性に縁がない笹森柊による女性関係に関しての回想 前編
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自分は女性には縁がない方だと思っている。
初めて彼女が出来たのは中学生の頃。付き合うといってもその頃のお付き合いは清い交際。でもその頃は部活や勉強で忙しい日々だったから、気が付けば彼女とは自然消滅したり、彼女の束縛が嫌で自分から別れを告げたりした。
そして高校でできた年上の彼女は……あまり思い出したくない。
「付き合わない?」
と言われた時に気付けばよかったんだ。彼女の瞳の奥に眠る自分を狙う情欲の炎に。
完全にトラウマになった。
それからというもの高校時代はもう女性と付き合う気すら起きなかった。
大学生になって出来た彼女はとても可愛らしい子だったけど、これまた束縛が酷くてうんざりして別れを切り出したらキレられて、彼女は半ばストーカーのようになってしまった。
付き合ってはいないが家庭教師をしていた女子高生に好かれて親にキレられた事もあったな。
そんなことばかりだと自分から女性に声を掛けにくくなる。
社会人になって出会ったのが同期入社の真知子だった。
「笹森君、背が高いねー!」
そう言って自分を見上げて笑う彼女を見た瞬間に可愛い、と思った。そこから好きになるまでさほど時間は掛からなかった。そして好きだと彼女に伝えたら、彼女は「私も」と言ってくれた。
が、しかしここでも自分の運の無さが露呈する。
彼女の元気がないなと思ってはいたが、他の社員にどうやら自分と付き合い始めた頃から女子社員に嫌がらせを受けているようだと聞き驚いて彼女に問えば、「私は大丈夫だから、笹森君は心配しないで!」しか言わない。
そんな状況で仕事に追われてなかなか真知子を気遣う事が出来ずにいたら、彼女が体調を崩して実家に帰ることになった。
彼女の実家は九州で、彼女は「遠距離は無理だから」と言って笑ってさよならと言った。
真知子と別れたのと同じ頃に同期の近藤から激しいアプローチを受けたが、もう肉食女子は勘弁。
それに自分と付き合う社員がまた嫌がらせを受けるようなら、自分はもう社内恋愛はしないと決めた。
そう心に決めてから、社内の女性社員からは距離を置くようになった。
なるべく好かれないように素っ気なく、冷たく接した。それでも付き合ってくれと言ってくれる子はいたけど、申し訳ないが断った。
そんな生活を何年送っていただろう。
すっかり一人での生活に慣れ、意外と一人も気楽でいいななんて思っていたら目の前にちょっと変わった女性が現れた。
総務から異動してきた横家未散。
最初見たとき、どっかで見たなーと思っていたら屋上でスマホいじりながら日経新聞読んでた子だった。
特別可愛いわけでもないけど、化粧っ気が無いのでちょっと地味な子だなという印象だった。
勤務態度は真面目だし、物覚えも早い。
そんな横家と一緒に取引先に行った時にちょっと突っ込んだ話をしたら、結構面白い子だった。少し低めの声で落ち着いた語り口に、飄々としてて俺を男として意識していない様子。
たまに変なことを言って笑わせるし、今まで遭遇したことの無いタイプだ。
出張先から帰れなくなり一泊することにした時、横家の部屋のドアを開け一瞬「部屋間違えた」と思ったら横家本人だった。
どうやら化粧映えする顔立ちらしく、地味だな、と思っていた彼女の印象が一瞬にして覆された。いや、こうみると化粧していない顔も可愛く思えてくるから不思議だ。
いつもと見た目がちょっと違う横家と過ごす夕食は楽しかった。
彼女は初めて食べる食べ物に対しての感動ぶりが凄くて、一口食べては悶絶を繰り返した。
しかも結構な量を平らげた。
そんな彼女の食いっぷりを見ているだけでも可笑しくて、腹を抱えて笑った。
女性との食事でこんなに笑ったのは初めてだ。
その晩、思いがけず横家と一線を越えそうになった。いや、線踏んだ…?
自分は縁が無さ過ぎて一生男を知らないのかもしれないと半べそかいてる彼女を見て、
だったら俺が相手するのに。
と思ってしまったので、彼女に付き合うことをサックリ提案した。
今考えると社内恋愛はもうしないと決めたはずなのに、俺何やってんだ。みたいな話だが、あれも若干酒の力が自分を後押ししたせいだと思いたい。
泣いている彼女を見たらムクムクと征服欲が湧いて出た。
久しくご縁の無かった感情に自分は興奮したのだろう。もう止められなかった。
一旦彼女を先に部屋に戻らせ、自分は買い物をしに外に出た。もし嫌ならここで止めればいいと彼女に少し考える時間を与える為だったが部屋に戻れば彼女が出迎えてくれた。
ちょっと可愛かった。
そこでまた少し興奮した。
俺がバスルームから出ると、ベットの上でストレッチをしている彼女。
意外と緊張感無いな。
近づけば、緊張の面持ちでちらりとこちらに目線を送る。
うん、近くで見ると結構可愛い。
いただきます。とばかりに彼女の唇を塞げば、驚いているのか微動だにしない彼女。
これは……多分息継ぎが出来ないんだなと、そっと息継ぎの仕方を教えれば、何故か驚かれ。
ベットに横たえた彼女のバスローブを少しずつ肌蹴させ、白い柔肌に口づける。胸の膨らみが露出するとドクンと自分の心臓が跳ねた。
意外と着痩せするタイプなんだな。
自分の手に丁度収まる位の乳房をやわやわと揉み、桜色の先端を口に含む。
ああ、もう。
久し振りに高まる自分の欲望に体が熱を帯び始めると、ふと彼女の表情が見たい、と彼女に視線を向けた。
が。
寝てた。
一瞬にして昂った感情が降下する。
マジかっ!!ここで寝るか??こんなことあるのか!
スースー寝息を立て始めた彼女を見て明らかに落胆する自分。
大きく一度息を吐いて、彼女のバスローブを直し布団を掛けてやる。
どうしてくれるんだ。お前は眠れたかもしれんがこれじゃ俺は眠れねーー…
眠る彼女の額に唇を押し付けてから酒を煽った。
結局、翌朝もお預けをくらい一線を越えることは出来なかったが。
それでも彼女とのお付き合いは静かに進行した。会社ではいつも通りに接してる分、会社の外ではそのタガが外れた。
彼女との付き合いはとにかく楽しい。
熱を出したと聞いて彼女のアパートに行き、アパートの狭さにも驚いたが、彼女の家での完全なるプライベートモードな姿の可笑しさは半端なかった。
ジャージがボロい。すっぴんは仕方無いとしても髪はボサボサだし、首に巻いたタオルはなんなんだよ。俺を笑い死にさせるつもりか。
俺に見られ完全に開き直ったようで、結局そのままの格好で普通に会話している。
彼女の部屋の中は、こざっぱりしていた。
多分料理はあまりしないのだろう、調理器具が全く露見していないキッチン。置いてあるのはコップとマグカップ位。コンロにはヤカンが乗っている。
本棚には所狭しと並ぶアニメや映画のDVDに、漫画の単行本に月間の経済誌が並んでいる。
そして狭い部屋の中央にドン、と鎮座するコタツ。天板にはノートPCとリモコンが並んでいる。
なんとなく、ここで何をしているかが想像つく。
僅かだが彼女の部屋で過ごした。意外と居心地が良くて彼女となら、と将来のビジョンが見えた気がした。
彼女に今度は自分の家に来れば良いと合鍵を渡した。
その数日後、彼女の歓迎会があった。
自分は遅れて行ったが、彼女が服装を変え、メイクをして座っていたのには驚いた。
そりゃ可愛いだろ。
しかも横にいる三上に完全にロックオンされていた。
だが彼女は自分の事に関しては無頓着というかアホというか危機感が無い。
一度彼女がトイレに行った隙に牽制しておいたが、その後自分が座敷に戻ると何故か俺の席の周りに女性が…。なんでだよっ!
苛々しながら酒を飲んで、ふと横家を探せば荷物を持って課長に挨拶をしている。そのまま座敷を出ると、すぐ三上がその後を追った。
あのやろう…
自分もすぐに立ち上がろうとするも女性たちの妨害?にあってなかなか立ち上がれない。なんとか振り切り金を置いて最寄りの駅まで走る。
すると視界に横家と三上の姿が。よく見れば三上が横家の腕を掴んでいる。
イラッとした。
三上に戻るよう指示すると、彼は残念そうに戻って行った。
彼女は自分を見て明らかに安堵した表情をし、三上が去ると結構な勢いで俺に飛びついてきた。
どうも肉食男子は怖いらしい。
しがみついてきた彼女が愛おしくて、抱きしめた。
もうそろそろ我慢も限界。
近いうちにいただきます。
初めて彼女が出来たのは中学生の頃。付き合うといってもその頃のお付き合いは清い交際。でもその頃は部活や勉強で忙しい日々だったから、気が付けば彼女とは自然消滅したり、彼女の束縛が嫌で自分から別れを告げたりした。
そして高校でできた年上の彼女は……あまり思い出したくない。
「付き合わない?」
と言われた時に気付けばよかったんだ。彼女の瞳の奥に眠る自分を狙う情欲の炎に。
完全にトラウマになった。
それからというもの高校時代はもう女性と付き合う気すら起きなかった。
大学生になって出来た彼女はとても可愛らしい子だったけど、これまた束縛が酷くてうんざりして別れを切り出したらキレられて、彼女は半ばストーカーのようになってしまった。
付き合ってはいないが家庭教師をしていた女子高生に好かれて親にキレられた事もあったな。
そんなことばかりだと自分から女性に声を掛けにくくなる。
社会人になって出会ったのが同期入社の真知子だった。
「笹森君、背が高いねー!」
そう言って自分を見上げて笑う彼女を見た瞬間に可愛い、と思った。そこから好きになるまでさほど時間は掛からなかった。そして好きだと彼女に伝えたら、彼女は「私も」と言ってくれた。
が、しかしここでも自分の運の無さが露呈する。
彼女の元気がないなと思ってはいたが、他の社員にどうやら自分と付き合い始めた頃から女子社員に嫌がらせを受けているようだと聞き驚いて彼女に問えば、「私は大丈夫だから、笹森君は心配しないで!」しか言わない。
そんな状況で仕事に追われてなかなか真知子を気遣う事が出来ずにいたら、彼女が体調を崩して実家に帰ることになった。
彼女の実家は九州で、彼女は「遠距離は無理だから」と言って笑ってさよならと言った。
真知子と別れたのと同じ頃に同期の近藤から激しいアプローチを受けたが、もう肉食女子は勘弁。
それに自分と付き合う社員がまた嫌がらせを受けるようなら、自分はもう社内恋愛はしないと決めた。
そう心に決めてから、社内の女性社員からは距離を置くようになった。
なるべく好かれないように素っ気なく、冷たく接した。それでも付き合ってくれと言ってくれる子はいたけど、申し訳ないが断った。
そんな生活を何年送っていただろう。
すっかり一人での生活に慣れ、意外と一人も気楽でいいななんて思っていたら目の前にちょっと変わった女性が現れた。
総務から異動してきた横家未散。
最初見たとき、どっかで見たなーと思っていたら屋上でスマホいじりながら日経新聞読んでた子だった。
特別可愛いわけでもないけど、化粧っ気が無いのでちょっと地味な子だなという印象だった。
勤務態度は真面目だし、物覚えも早い。
そんな横家と一緒に取引先に行った時にちょっと突っ込んだ話をしたら、結構面白い子だった。少し低めの声で落ち着いた語り口に、飄々としてて俺を男として意識していない様子。
たまに変なことを言って笑わせるし、今まで遭遇したことの無いタイプだ。
出張先から帰れなくなり一泊することにした時、横家の部屋のドアを開け一瞬「部屋間違えた」と思ったら横家本人だった。
どうやら化粧映えする顔立ちらしく、地味だな、と思っていた彼女の印象が一瞬にして覆された。いや、こうみると化粧していない顔も可愛く思えてくるから不思議だ。
いつもと見た目がちょっと違う横家と過ごす夕食は楽しかった。
彼女は初めて食べる食べ物に対しての感動ぶりが凄くて、一口食べては悶絶を繰り返した。
しかも結構な量を平らげた。
そんな彼女の食いっぷりを見ているだけでも可笑しくて、腹を抱えて笑った。
女性との食事でこんなに笑ったのは初めてだ。
その晩、思いがけず横家と一線を越えそうになった。いや、線踏んだ…?
自分は縁が無さ過ぎて一生男を知らないのかもしれないと半べそかいてる彼女を見て、
だったら俺が相手するのに。
と思ってしまったので、彼女に付き合うことをサックリ提案した。
今考えると社内恋愛はもうしないと決めたはずなのに、俺何やってんだ。みたいな話だが、あれも若干酒の力が自分を後押ししたせいだと思いたい。
泣いている彼女を見たらムクムクと征服欲が湧いて出た。
久しくご縁の無かった感情に自分は興奮したのだろう。もう止められなかった。
一旦彼女を先に部屋に戻らせ、自分は買い物をしに外に出た。もし嫌ならここで止めればいいと彼女に少し考える時間を与える為だったが部屋に戻れば彼女が出迎えてくれた。
ちょっと可愛かった。
そこでまた少し興奮した。
俺がバスルームから出ると、ベットの上でストレッチをしている彼女。
意外と緊張感無いな。
近づけば、緊張の面持ちでちらりとこちらに目線を送る。
うん、近くで見ると結構可愛い。
いただきます。とばかりに彼女の唇を塞げば、驚いているのか微動だにしない彼女。
これは……多分息継ぎが出来ないんだなと、そっと息継ぎの仕方を教えれば、何故か驚かれ。
ベットに横たえた彼女のバスローブを少しずつ肌蹴させ、白い柔肌に口づける。胸の膨らみが露出するとドクンと自分の心臓が跳ねた。
意外と着痩せするタイプなんだな。
自分の手に丁度収まる位の乳房をやわやわと揉み、桜色の先端を口に含む。
ああ、もう。
久し振りに高まる自分の欲望に体が熱を帯び始めると、ふと彼女の表情が見たい、と彼女に視線を向けた。
が。
寝てた。
一瞬にして昂った感情が降下する。
マジかっ!!ここで寝るか??こんなことあるのか!
スースー寝息を立て始めた彼女を見て明らかに落胆する自分。
大きく一度息を吐いて、彼女のバスローブを直し布団を掛けてやる。
どうしてくれるんだ。お前は眠れたかもしれんがこれじゃ俺は眠れねーー…
眠る彼女の額に唇を押し付けてから酒を煽った。
結局、翌朝もお預けをくらい一線を越えることは出来なかったが。
それでも彼女とのお付き合いは静かに進行した。会社ではいつも通りに接してる分、会社の外ではそのタガが外れた。
彼女との付き合いはとにかく楽しい。
熱を出したと聞いて彼女のアパートに行き、アパートの狭さにも驚いたが、彼女の家での完全なるプライベートモードな姿の可笑しさは半端なかった。
ジャージがボロい。すっぴんは仕方無いとしても髪はボサボサだし、首に巻いたタオルはなんなんだよ。俺を笑い死にさせるつもりか。
俺に見られ完全に開き直ったようで、結局そのままの格好で普通に会話している。
彼女の部屋の中は、こざっぱりしていた。
多分料理はあまりしないのだろう、調理器具が全く露見していないキッチン。置いてあるのはコップとマグカップ位。コンロにはヤカンが乗っている。
本棚には所狭しと並ぶアニメや映画のDVDに、漫画の単行本に月間の経済誌が並んでいる。
そして狭い部屋の中央にドン、と鎮座するコタツ。天板にはノートPCとリモコンが並んでいる。
なんとなく、ここで何をしているかが想像つく。
僅かだが彼女の部屋で過ごした。意外と居心地が良くて彼女となら、と将来のビジョンが見えた気がした。
彼女に今度は自分の家に来れば良いと合鍵を渡した。
その数日後、彼女の歓迎会があった。
自分は遅れて行ったが、彼女が服装を変え、メイクをして座っていたのには驚いた。
そりゃ可愛いだろ。
しかも横にいる三上に完全にロックオンされていた。
だが彼女は自分の事に関しては無頓着というかアホというか危機感が無い。
一度彼女がトイレに行った隙に牽制しておいたが、その後自分が座敷に戻ると何故か俺の席の周りに女性が…。なんでだよっ!
苛々しながら酒を飲んで、ふと横家を探せば荷物を持って課長に挨拶をしている。そのまま座敷を出ると、すぐ三上がその後を追った。
あのやろう…
自分もすぐに立ち上がろうとするも女性たちの妨害?にあってなかなか立ち上がれない。なんとか振り切り金を置いて最寄りの駅まで走る。
すると視界に横家と三上の姿が。よく見れば三上が横家の腕を掴んでいる。
イラッとした。
三上に戻るよう指示すると、彼は残念そうに戻って行った。
彼女は自分を見て明らかに安堵した表情をし、三上が去ると結構な勢いで俺に飛びついてきた。
どうも肉食男子は怖いらしい。
しがみついてきた彼女が愛おしくて、抱きしめた。
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