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其は天命の刻、誰が為の決意
騎士としての決着
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時は少し遡り、ケイが飛び出した直後。ヴェンデッタ1号機に乗るレイの視点に。
◆◇◆◇◆◇◆◇
『人界王を……俺に?』
「……ああ、私は———もう1人の近衛騎士団長と決着を付けなければならない。……その役割を任されたのは、おそらくこの私だ。だから、人界王のことは……お前に任せるぞ、ヤンス」
『なんか、悲しそうな臭いがするでヤンスね。……後悔がないように、頑張ってくるでヤンス』
———既に、私のヴェンデッタの後部座席には、人界王の姿は影も形もなかった。
と言うのも、クーデターの首謀者が、直々に出てきてくれたからである。……名をライ。ライ・チャールストン。近衛騎士団長にして、私より前から王の直属の騎士だった者だ。……つまり、先輩。
「スタートアップ、ヴェンデッタ。……マジニックジェネレーター、魔力器官と接続完了」
ライ本人は、あまり戦闘を得意としていなかった。近衛騎士と言えども、かの世界を救った救世主、『白』の前には呆気なく破れ去ったと言う。だがそれは生身での話だ。
事実、サイドツーという兵器を手にした彼女は、その戦闘能力を格段に向上させたと言って差し支えないだろう。……つまり、めちゃくちゃ強い。
だから私が、私がこの手で———彼女を止めてあげなければいけない。彼女にも彼女なりの理由があって、このような反乱を企てたのかもしれない。
だが、その理由がどのようなものにしろ———王に刃を向けるのならば、たとえ貴女であろうとも……殺すしか、ない。
何せ、この身は王に絶対の忠誠を誓った身。どのような思い入れがあろうと、そこは絶対に変わりはしないのだ。
……さて、行こうかな、私。もしかしたら帰って来れないかもしれないし、勝ったとしても殺してしまうことになると思うけど。
でも、覚悟は決まった。とうの昔に決まってた。……だから、やり遂げてみせる。
「スゥー……」
大きく息を吸って、気持ちを完全に切り替える。『レイ・ゲッタルグルト』という1人の少女から、『近衛騎士団長レイ』という1つの象徴に。
「こちら、近衛騎士団長、レイ・ゲッタルグルト! この場に残っているコーラス5、コーラス3、そしてウルプスは、崖下の第0機動小隊およびトランスフィールド連合軍第14機動中隊連合軍の支援に向かえ!
クーデター首謀者とは、私が直々に決着をつける! 貴様らの出る幕はないと思え! 以上だ!」
走る。走るイメージを脳内にほと走らせ、ヴェンデッタそのものを動かす。そうだ、イメージだ。魔術も、ヴェンデッタを動かすのも、結局はイメージだった。
「……っ」
ヴェンデッタを通してフィードバックされる、長刀の持ち手の感触が妙に気持ち悪い。
人斬りに———『白』に復讐するためだけに生きて、そのためだけに刀を握ったあの日々を思い出したからであろうか。
「また、殺すのだな……」
1人寂しそうに呟くが、その声を聞き届ける者は誰1人としていなかった。
誰にも聞き届けられることもなく、また誰にも受け止められない1つの声が、私の喉の奥で残響する。
「でも、道がそれしかないのならば……私は進む」
◆◇◆◇◆◇◆◇
『人界王を……俺に?』
「……ああ、私は———もう1人の近衛騎士団長と決着を付けなければならない。……その役割を任されたのは、おそらくこの私だ。だから、人界王のことは……お前に任せるぞ、ヤンス」
『なんか、悲しそうな臭いがするでヤンスね。……後悔がないように、頑張ってくるでヤンス』
———既に、私のヴェンデッタの後部座席には、人界王の姿は影も形もなかった。
と言うのも、クーデターの首謀者が、直々に出てきてくれたからである。……名をライ。ライ・チャールストン。近衛騎士団長にして、私より前から王の直属の騎士だった者だ。……つまり、先輩。
「スタートアップ、ヴェンデッタ。……マジニックジェネレーター、魔力器官と接続完了」
ライ本人は、あまり戦闘を得意としていなかった。近衛騎士と言えども、かの世界を救った救世主、『白』の前には呆気なく破れ去ったと言う。だがそれは生身での話だ。
事実、サイドツーという兵器を手にした彼女は、その戦闘能力を格段に向上させたと言って差し支えないだろう。……つまり、めちゃくちゃ強い。
だから私が、私がこの手で———彼女を止めてあげなければいけない。彼女にも彼女なりの理由があって、このような反乱を企てたのかもしれない。
だが、その理由がどのようなものにしろ———王に刃を向けるのならば、たとえ貴女であろうとも……殺すしか、ない。
何せ、この身は王に絶対の忠誠を誓った身。どのような思い入れがあろうと、そこは絶対に変わりはしないのだ。
……さて、行こうかな、私。もしかしたら帰って来れないかもしれないし、勝ったとしても殺してしまうことになると思うけど。
でも、覚悟は決まった。とうの昔に決まってた。……だから、やり遂げてみせる。
「スゥー……」
大きく息を吸って、気持ちを完全に切り替える。『レイ・ゲッタルグルト』という1人の少女から、『近衛騎士団長レイ』という1つの象徴に。
「こちら、近衛騎士団長、レイ・ゲッタルグルト! この場に残っているコーラス5、コーラス3、そしてウルプスは、崖下の第0機動小隊およびトランスフィールド連合軍第14機動中隊連合軍の支援に向かえ!
クーデター首謀者とは、私が直々に決着をつける! 貴様らの出る幕はないと思え! 以上だ!」
走る。走るイメージを脳内にほと走らせ、ヴェンデッタそのものを動かす。そうだ、イメージだ。魔術も、ヴェンデッタを動かすのも、結局はイメージだった。
「……っ」
ヴェンデッタを通してフィードバックされる、長刀の持ち手の感触が妙に気持ち悪い。
人斬りに———『白』に復讐するためだけに生きて、そのためだけに刀を握ったあの日々を思い出したからであろうか。
「また、殺すのだな……」
1人寂しそうに呟くが、その声を聞き届ける者は誰1人としていなかった。
誰にも聞き届けられることもなく、また誰にも受け止められない1つの声が、私の喉の奥で残響する。
「でも、道がそれしかないのならば……私は進む」
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