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禍根未だ途切れず
クラッシャー
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*◇*◇*◇*◇
一方その頃。人界軍王都王城———その地下にて。
王城の地下……そこに眠る『神核』———機神ヘスティアの神力を、ここ1000年間溜め込み続けているソレの安置場所に、一つの人影が忍び寄る。
「……そこで止まってもらおうか。……何者だ、お前」
「何者ぉ……? 何つったらいいかなぁ……
そうだな———暴虐の死人、ってところかねぇ」
その人影に声をかけたのは、現人界王———黒。彼は前人界王でもあるユダレイに、この神核の監視と管理を命じられた人物でもあった。
「何者だと聞いている。名を明かせ。ここに入り込めるほどの実力があるというなら———」
「分かるはずだ、と?……っはは、この俺も中々知られたもんだ……だったら、お前らの知っている名前で教えてやろう。
クラッシャー。……本名はギル。ギルフェンス・サーティクライト。
テメェらの———『元』、敵さ」
クラッシャー。人間界にこの頃住んでいた者ならほぼ誰でも知っているような、それほどまでに有名な名前だった。
……4年ほど前、王都は今の位置とは少しばかり離れたところに位置していた。———が、このクラッシャー率いる暴力団、『カーネイジ』の侵攻により、前王都は壊滅。移動を余儀なくされ、今の場所に移るといった経緯がある。
……要するに『勝手に暴れて勝手に帰っていったあまりにも傍迷惑なお客様』なわけなのだが。
「そんなに警戒すんなぜ……? 別に危害を加えに来たわけじゃねえ、俺はそんな無意味に見えるようなことするヤツじゃ……」
「あっただろ、お前の率いていたカーネイジとかな」
「ああ———忘れていた、そんなヤツらもいたよな、確かに」
「……もう率いていないのか?」
「アレ以来———組織を率いるのは単純にめんどくさくなってなぁ……今となってはただのフリーランスよ」
アレ……か。
魔王との最終決戦———その直前に、人界軍は真っ向からカーネイジと衝突、当時まだ勇者として活動していた救世主———『白』との悪戦苦闘の末に勝利をもぎ取り、クラッシャーはその際に死んだ……とされていたはずだと。
「フリーランス?……まさか、こんなところにまで来て、神核を奪えって依頼した誰かがいると言うのか?」
いるとしたらゴルゴダ機関のスパイに違いない、と、黒も戦闘の準備を密かに済ませた時だった。
「いいや……俺の依頼は……コレに神核を会わせること、ソレが依頼だ」
そう言って、クラッシャーが珍しく見せたその腕に抱かれていたのは、黒い穴が空いた……かのような何らかの端末だった。
「ソレは何だ?」
「魔術世界———魔術至上主義の差し金……と言うより、今コレを通じてヤツらは俺たちのことを見ている。
……ここに神核が本当にあると言う事実を確認したかったんだろうよ、奴さんらはな」
「……ソレ以外に、何もないのか?」
「依頼は何もない———が、俺はちょっくら挨拶してこようと思うのさ。
俺の……兄弟みたいなヤツに、な。
それと……もう一つ。
敵はそこまで来ているぞ」
一方その頃。人界軍王都王城———その地下にて。
王城の地下……そこに眠る『神核』———機神ヘスティアの神力を、ここ1000年間溜め込み続けているソレの安置場所に、一つの人影が忍び寄る。
「……そこで止まってもらおうか。……何者だ、お前」
「何者ぉ……? 何つったらいいかなぁ……
そうだな———暴虐の死人、ってところかねぇ」
その人影に声をかけたのは、現人界王———黒。彼は前人界王でもあるユダレイに、この神核の監視と管理を命じられた人物でもあった。
「何者だと聞いている。名を明かせ。ここに入り込めるほどの実力があるというなら———」
「分かるはずだ、と?……っはは、この俺も中々知られたもんだ……だったら、お前らの知っている名前で教えてやろう。
クラッシャー。……本名はギル。ギルフェンス・サーティクライト。
テメェらの———『元』、敵さ」
クラッシャー。人間界にこの頃住んでいた者ならほぼ誰でも知っているような、それほどまでに有名な名前だった。
……4年ほど前、王都は今の位置とは少しばかり離れたところに位置していた。———が、このクラッシャー率いる暴力団、『カーネイジ』の侵攻により、前王都は壊滅。移動を余儀なくされ、今の場所に移るといった経緯がある。
……要するに『勝手に暴れて勝手に帰っていったあまりにも傍迷惑なお客様』なわけなのだが。
「そんなに警戒すんなぜ……? 別に危害を加えに来たわけじゃねえ、俺はそんな無意味に見えるようなことするヤツじゃ……」
「あっただろ、お前の率いていたカーネイジとかな」
「ああ———忘れていた、そんなヤツらもいたよな、確かに」
「……もう率いていないのか?」
「アレ以来———組織を率いるのは単純にめんどくさくなってなぁ……今となってはただのフリーランスよ」
アレ……か。
魔王との最終決戦———その直前に、人界軍は真っ向からカーネイジと衝突、当時まだ勇者として活動していた救世主———『白』との悪戦苦闘の末に勝利をもぎ取り、クラッシャーはその際に死んだ……とされていたはずだと。
「フリーランス?……まさか、こんなところにまで来て、神核を奪えって依頼した誰かがいると言うのか?」
いるとしたらゴルゴダ機関のスパイに違いない、と、黒も戦闘の準備を密かに済ませた時だった。
「いいや……俺の依頼は……コレに神核を会わせること、ソレが依頼だ」
そう言って、クラッシャーが珍しく見せたその腕に抱かれていたのは、黒い穴が空いた……かのような何らかの端末だった。
「ソレは何だ?」
「魔術世界———魔術至上主義の差し金……と言うより、今コレを通じてヤツらは俺たちのことを見ている。
……ここに神核が本当にあると言う事実を確認したかったんだろうよ、奴さんらはな」
「……ソレ以外に、何もないのか?」
「依頼は何もない———が、俺はちょっくら挨拶してこようと思うのさ。
俺の……兄弟みたいなヤツに、な。
それと……もう一つ。
敵はそこまで来ているぞ」
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