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オペレーション・ヴェンデッタ・ゼロ

万端たる準備

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*◇*◇*◇*◇

 一方その頃。
 王城内において、トランスフィールドとの合同会議が終わり、1人玉座に着いていた黒の元に、とある人物が訪れる。




『よぉ……人界王、テメェのは済んだぜ?……———などと、物騒な言葉をよくも使ったもんだ』


「……ありがとう、クラッシャー」

『なあに、レメルを積んでくれると言うのなら、どこまででも働いてやるさ……

 ところで、殺したヤツらは何だったんだ?……どうしてヤツらは、味方を攻撃なんてしていたんだ?』


「———全てが、俺のってだけさ。

 わざわざこの為だけに、の隊長に命令だってしたさ。……ケイ・チェインズは、あのトゥルースってヤツを気にかけていたみたいだからな。

 何せケイは、オリュンポス側の人間とは言え、その意思は完全にこちらに向いている。……ヤツを表向きにはスパイとして裏切らせるためには、ここまでしてみせるってことさ。

 トゥルースを始末し、その機体のデータやらを盗むのにもいい機会だった。

 根っからのスパイも始末でき、あちら側の戦力も鹵獲できる。一石二鳥のこの機会、この俺が逃すわけがないだろう。


 そして、今回俺が殺せと命じたヤツらは……オリュンポスの

 ゴルゴダ機関7番隊元隊長、トゥルース……その本物。

 もとい、ケイ・チェインズの目覚めにより、トゥルース2代目の離反に次いで離反した、悪意の塊。

 ……アレを、第0や近衛騎士に処理させるのは心が痛むからな。、お前に処理させてもらった」


『っはあ、俺は上手く使われたってワケか……まぁ別に、使われようが使い方が上手いなら何も言いやしねえさ』


「ところで、1つ質問いいか?」

『何でもよこして大丈夫だぜぇ、人界王様よぉ』





「貴様、なぜ俺達に協力する?

 サナのヤツは、貴様から協力する理由を聞かされたと聞いている。……が、俺はその詳細を知らない。……教えてくれると嬉しい。信用の問題だ」


『っはあ! 聞く、聞くかあ、それを! 確かに金を積めば協力するが、本質をついてねえもんな、それじゃあ!

 ……ならば教えてやろう……ヤツらの計画、エターナルの全容は———』

「それは知っている。でなければ、俺は人界王でもなければ、ソウルレスでもないわけだからな」


『なら話は早え。

 俺は———人を殺したい……いいや、もっと言うなら人をのさ』


「———っ」


『おかしいか?……っははぁ、おかしくて結構、俺はお前らみたいにお利口さんじゃないんでねぇ。

 オリュンポスの計画、エターナル。ソレは人類を永遠に導くらしいがな……



 そんなことしたらよぉ、だろ?

 飛び散る肉塊、血と肉の味! 泣き叫ぶ女子供の悲鳴、無様にも散っていく戦士共の嗚咽っ!

 守れなかったと後悔しゆく慟哭、最後の最後に本性を表し、哀れにも友人を盾に取る屑の権化! その、深淵の底まで響き渡る痛みの咆哮!

 この地獄を、この最悪を! もう経験できないと言うなら、生きてる価値なんてありはしないんだよ……!

 そう、この地獄を味わった後に飲む———奪取品の酒が……この世界で最っ高に美味いってのに、誰もそれに気付けやしないんだ……

 だからヤツらは、永遠なんてくだらない計画を求める、そうだろ?』


「———やはり、お前は異常だ」

『何とでも言っておけ……いずれ貴様も、殺すことになるだろうからな……』


「———いいや、お前との決着は、オリュンポスより戻ってきたがつけるはずさ。

 その日まで、アイツが生きていたならの話だがな」


『白———ああ、あのかぁ……

 ヤツも俺と同じだ。、人としての異常者……今更あんな化け物が、人風情の顔をするもんじゃねえってのによぉ……



 ———で、どうすんだ? 最終作戦……とやらは』

「どうするも何も、作戦実行の演説はこの後すぐに放送だ。……もちろん、人界軍は総力を尽くす。

 やむを得ないとなれば、や、まで使ってみせるつもりさ。もしカタストロフィを出すとなれば、俺が乗ることになるが」

『ほお……もうすぐ殺り合えるってか、オリュンポスのヤツらと……!』

「楽しみに待っておくんだな。……その後は、貴様が死ぬ番だが」
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