Wit:1/もしも願いが叶うなら〜No pain, no live〜

月影弧夜見(つきかげこよみ)

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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜

イチゴ( Ⅲ )/アレン・セイバー

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 何だ、今の声は。どこから響いた、俺はどこから、今の声を聞いた……?

 俺の名前を呼んだのは誰だ、誰が俺の名を……!

『立って、ツバサ君。……私たちが、土台になって……あげるから』

 この声———無機質で冷淡のように見えて、その奥に隠れた優しさが見え透いた、穏やかな声。

 俺はこの声を……どこかで聞いたことがある。どこだ、どこで俺はこの声を———!

『進んで、ツバサ君。……貴方を送り出すため……だけに、私はここで…………待っていたから』

「———イ……チゴ、隊長…………?!」

 そんな、おかしい。イチゴ隊長は———死んだって、そう言ってたはずだろ……?

 なら何でここにいるんだよ、それはおかしいだろ……ただの幻影かなんかなのか……それとも本当にいるのか、ここに……?!

『大丈夫。私は…………ここにいる』
「たい……ちょお……なんで、なんでここにいて———!」

『…………今は、ね、……時間がない。だから…………色々と、手短に話す。

 ここは……ゴルゴダ機関総帥———刹那の腹の中…………今までその魂の、保管場所』

 そうか、呪術———黒だって口にしてたっけな。

『……刹那の、不死性は———ここにある魂を、ストックとして……使っているから。それが……アイツが死なない理由』

「じゃあ……じゃあ俺は、食われたって言うんですか?!……っそれに、そんなんじゃ俺はいつまで経っても、刹那が倒せないままで———」

『食べられてはいない。……一時的にここにいるだけ。でも、私は……………もうじき、終わる』

「……どうにかなんないんですか?!……隊長が死ぬ……なんて、そんな…………もう耐えられないんですよ、3番隊の仲間たちが……死んでいくのはっ!」


『無理……なの。……私にできることは、貴方を送り届けることだけ。ごめん……ね、ツバサくん』

「ごめんね……って、なんで俺に謝るんですか?!……俺が隊長を救いたいって言ってるのに……謝るのは、隊長を救えなかった俺の方で———」



『だって……今の、ツバサ君……

 、してるもの』


 どこまでも———優しい瞳で。まるで母みたいな、そんな瞳で。
 

「なら…………俺は、行くしかないんですね。

 ……通れないかもしれません。あの道を。もう、罪に塗れたこの手が———通ることを許してくれないかもしれません。

 それでも、俺は———行くしかないと」

『……そう。全て、終わらせて……きて。

 何より、貴方は……鍵、だろうから』

 鍵———オールマイティのこと、知っていたのか?!
 なら何で俺のことを捕らえたりしないで……それも刹那の命令だって言うのか?!


「……知ってたん、ですね……俺が、鍵だって」

『そんな顔、しないで。………………、鍵を奪った貴方が……そんな顔、しないで。

 無理矢理にも、その責務を継いだの、なら……最後まで、やり遂げて———』


 ……どう言う、ことだ?
 殺した?……この俺が、誰を殺してこの鍵を得たと?




 ……いやいや、そんなことはない。確かにオールマイティは『保有者の心臓を食べれば継承される神技』と言う特徴はあるものの、俺は———俺には、最初っからコレが備わっていたはずだ。

 誰を殺したと、俺が。……そも、俺はヘファイストス神殿国の王族、セイバー家……その次男。だから俺が鍵を持っているのは、何も不自然なことじゃないはずで。


「……隊長。…………確かに、俺は人を殺してきました。

 何人も、何人も何人も何人も、斬り殺して———食べてきて。……そんな、罪に塗れた日々を送っていた時も、あったんです。


 でも、この神技は———鍵は、ずっと俺のものでした。誰かを殺したから、食べたから身についたものじゃない…………

 もうこの際なんで明かします……けど、俺が———である故に、備わっていたものなんです、だから———」

 その瞬間、イチゴ隊長は驚いたように目を見開き、震えながらも話を続け始めた。

『…………っえ、だっ…………て、その……神技、は……に継承される……もの、で………………』

「イデア———には、結局発現しませんでした。……代わりに、俺が。


 に、ソレは発現したんですから」




『———っ、ぁ……ぇ………………っ、生き、て……

 生きて、いたの…………アレン……っ!』

 ……何だ、その反応。まるで昔っから俺を知っているかのように……でも、俺はこの人を———イチゴ隊長を、昔から知っていることはなかったのに。

 一体この人は何なんだ、イチゴ隊長は———アレンに何の関わりがある?!


「ってぇ?!……どっどどどどうしたんですか、いきなりっ?!」

 ……そう、本当にいきなり抱き付かれた。この人に抱き付かれるなんて、そんなことほとんどないし———そもそも抱き付くような人じゃないし、そんな経験絶対にできないと思ってたけど。


『………………そこ、に……いた、のね…………アレン……!』
「っだから何なんですか、俺と隊長に何の関係が———、」



『会えて、よかった……!

 まだ、私———、何もできていなかったから……!』


「は———?」










 呆然———それどころではなかった。
 そんなことが、そんなことがあっていいのか、と。

 そこで発覚してしまうのか、確定してしまうのか……と。



「………………隊、長。

 教えてください、本当の名前を。本名、全て。概念登録されている、貴女の真名———全て、教えてください」


『…………イチゴ。イチゴ・セイバー…………ヘンな、名前……よね……』
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