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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
人間の強さ
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『そうか———ならば分からないままで結構! 死ぬがいいさ、雪斬白郎!』
———見えていなくても分かる。
振り下ろされる大槍。武器はなく、防ぐ事すらできない。
この体も、塵に成り変わる中。
できることを探すんだ。
……それが、人間だ。
たとえ弱くたって、不死身なんかじゃなくたって……立派に強く戦えるのが、人間なんだ。
だから———俺だって。
みんながそうしたように……最後まで、諦めちゃダメなんだよッ!
「神威、来いっ!」
もう既にその先はないが、伸ばした右腕の先には———きっと、神威がある。
……そしてそこには———刹那もいるんだ。
『………………は……っ、ふぐほ……ぁ……っ!』
振り下ろされる寸前にて、聖槍ロンギヌスはその動きを止める。
俺が右腕で呼び寄せた神威は、ヤツの心臓を貫き———俺の左腕に収まった。
『そうか…………それ、が……人の…………強さ、か……!』
刹那は震えた声で口にする。……だけどもう、その声を最後まで聞き届けることはないかもしれない。
『だが……まだ私の中には、八百万の魂が囚われている!
無意味なのだよ、この数では! やはりそうだ……何もかも———無意味に終わった!』
俺もヤツも立ち尽くしたまま。———だったが、先に限界を迎えるのは———。
『…………しかし……よくぞここまで……魔王を、我が弟を打破しただけのことはある……ヤツが認めたわけだ……!
———だが、だが……最後に願いを叶えるのはこの私だ! 刹那だ———真名、カイン・セイバーだ!
今度こそ、終わったな———雪斬白郎!…………っはあ、は……っ、終わり、だ……!』
「……負けてられっかよおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!」
『…………まだ———まだ動けるというのか……そこまで消えかかっておいて! 吹けば飛ぶ、淡い命のくせに!』
「儚い命で悪かったな…………だがよ、だからこそ———俺たちは輝いてんだよぉぉぉぉぉおっ!!!!」
感じろ、感じろ!
目は使えない。魔力でも神力でもいい、空気の流れでも、気配でもなんでもいい! とにかくヤツの気を感じろ、そして穿て!
「動けっ、動けぇっ!」
既に感覚の無くなってきている足。……動く。まだ、まだ走れる。まだ駆けられる、この大地をっ!
『な……なぜだ、なぜそこまで……っ!』
跳び上がる。ヤツの位置は把握済みだ。既に狙いは定まった!
どうだ、動けよ。俺の動きについてきて見せろよ、撃墜王ッ!!!!
『———来るかっ!』
落下の衝撃と共に、神威は地上へと振り落とされる。———が、ヤツの気配はそこにはなく、既に……
『ふ……!』
だがしかし、そんな簡単な攻防のみで終わらせるわけにはいかない!
これは俺の最後の戦いなんだ、死力を尽くした、最終決戦なんだ! 諦めるわけにも、挫けるわけにもいかねえ!
「決めるっ!」
ヤツも白兵戦、武器は近接。どうせ間合いに持ち込まれるのなら、こちらにだって勝機はある! 相手のターンをチャンスに変えてやれ!
『ふっ!』
「はああっ!」
地面から振り上げた神威と、突き出されたロンギヌスが激突する。右腕が折れた。確実に今の衝撃で、俺の右腕はズタズタに砕けた。
おそらくソレはヤツも同じだ。ヤツの体も、再生するとは言え人間のもの。……だが、このままならば再生される、それだけはあっちゃならねえ!
「んうっ!」
最後の力を振り絞り、右腕により———神威がふわっと上に投げられる。
……ヤツだって持ち替えるのが手間なはずだ、ならば……
この一瞬の中で、この手で投げて、この手で掴み取る!
『っな、早い……っ!』
「人間を———、俺たちを———!」
投げられた神威。その持ち手を、左腕で逆さに持ち。
そのまま逆手持ちのまま———俺の狙いは、先程の激突の衝撃で、再度上に舞い上がった刹那の胸部。
『っぐ、が…………っふあああっ!』
「無礼んじゃねえええええええええええっ!!!!!!!!」
———本当に、最後の力だった。
今一度、その心臓は———穿たれた。
「……っ」
そのまま、力無く落下する。
もう、何もできない。
本当に、何一つ動かない。無力なまま、散っていく。
これが、人間の限界か。これが、俺の限界か。
ここまでやって敵わなかったんだ、どうやったって———無理なんだろうか。
結局、誰の仇も取れなかった。
ヤツの言った通り、俺は何の目標も達成できなかった。
……でも、これ以上頑張れそうな気は、しない。
なんたって俺は、さっきの一撃でやりきったんだから。
「ごめん…………よ、師匠……アレで、俺、は……全力、だったんだよ……?」
足が崩れ落ちた。感覚そのものが消え失せていって、気付いた頃には身体の一部としての機能が消え失せていた。
「だから……コレで、無理、なら……俺は……無理だ。
出しきったんだ、全て。……でも、ダメなら———」
腕が消え失せた。必死で腕のみで立っていたのに、その頭も、胴体も、全て地に伏せた。
「———だけ、ど……無理か…………」
全てが鈍り、全てが消え失せる。幸いなことに、恐怖も怒りも感じなかった。妙に落ち着いていて、これが自分の終わりだと受け入れるようで。
約束を、また一つ破った。
アレだけ多くの人に託され、アレだけ多くの人に願われ、祈りの対象となったと言うのに。
もう、分からない。俺がアイした人の声も、俺をアイしてくれた人の声も、全て。
死にゆく中、ただ1人で———、孤独を感じ。
「…………ホントに…………ごめ、ん、師匠…………っ」
何もかも、消え失せた。
終わった———んだ。
これ、で、俺も…………アイツの、ところに———。
———見えていなくても分かる。
振り下ろされる大槍。武器はなく、防ぐ事すらできない。
この体も、塵に成り変わる中。
できることを探すんだ。
……それが、人間だ。
たとえ弱くたって、不死身なんかじゃなくたって……立派に強く戦えるのが、人間なんだ。
だから———俺だって。
みんながそうしたように……最後まで、諦めちゃダメなんだよッ!
「神威、来いっ!」
もう既にその先はないが、伸ばした右腕の先には———きっと、神威がある。
……そしてそこには———刹那もいるんだ。
『………………は……っ、ふぐほ……ぁ……っ!』
振り下ろされる寸前にて、聖槍ロンギヌスはその動きを止める。
俺が右腕で呼び寄せた神威は、ヤツの心臓を貫き———俺の左腕に収まった。
『そうか…………それ、が……人の…………強さ、か……!』
刹那は震えた声で口にする。……だけどもう、その声を最後まで聞き届けることはないかもしれない。
『だが……まだ私の中には、八百万の魂が囚われている!
無意味なのだよ、この数では! やはりそうだ……何もかも———無意味に終わった!』
俺もヤツも立ち尽くしたまま。———だったが、先に限界を迎えるのは———。
『…………しかし……よくぞここまで……魔王を、我が弟を打破しただけのことはある……ヤツが認めたわけだ……!
———だが、だが……最後に願いを叶えるのはこの私だ! 刹那だ———真名、カイン・セイバーだ!
今度こそ、終わったな———雪斬白郎!…………っはあ、は……っ、終わり、だ……!』
「……負けてられっかよおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!」
『…………まだ———まだ動けるというのか……そこまで消えかかっておいて! 吹けば飛ぶ、淡い命のくせに!』
「儚い命で悪かったな…………だがよ、だからこそ———俺たちは輝いてんだよぉぉぉぉぉおっ!!!!」
感じろ、感じろ!
目は使えない。魔力でも神力でもいい、空気の流れでも、気配でもなんでもいい! とにかくヤツの気を感じろ、そして穿て!
「動けっ、動けぇっ!」
既に感覚の無くなってきている足。……動く。まだ、まだ走れる。まだ駆けられる、この大地をっ!
『な……なぜだ、なぜそこまで……っ!』
跳び上がる。ヤツの位置は把握済みだ。既に狙いは定まった!
どうだ、動けよ。俺の動きについてきて見せろよ、撃墜王ッ!!!!
『———来るかっ!』
落下の衝撃と共に、神威は地上へと振り落とされる。———が、ヤツの気配はそこにはなく、既に……
『ふ……!』
だがしかし、そんな簡単な攻防のみで終わらせるわけにはいかない!
これは俺の最後の戦いなんだ、死力を尽くした、最終決戦なんだ! 諦めるわけにも、挫けるわけにもいかねえ!
「決めるっ!」
ヤツも白兵戦、武器は近接。どうせ間合いに持ち込まれるのなら、こちらにだって勝機はある! 相手のターンをチャンスに変えてやれ!
『ふっ!』
「はああっ!」
地面から振り上げた神威と、突き出されたロンギヌスが激突する。右腕が折れた。確実に今の衝撃で、俺の右腕はズタズタに砕けた。
おそらくソレはヤツも同じだ。ヤツの体も、再生するとは言え人間のもの。……だが、このままならば再生される、それだけはあっちゃならねえ!
「んうっ!」
最後の力を振り絞り、右腕により———神威がふわっと上に投げられる。
……ヤツだって持ち替えるのが手間なはずだ、ならば……
この一瞬の中で、この手で投げて、この手で掴み取る!
『っな、早い……っ!』
「人間を———、俺たちを———!」
投げられた神威。その持ち手を、左腕で逆さに持ち。
そのまま逆手持ちのまま———俺の狙いは、先程の激突の衝撃で、再度上に舞い上がった刹那の胸部。
『っぐ、が…………っふあああっ!』
「無礼んじゃねえええええええええええっ!!!!!!!!」
———本当に、最後の力だった。
今一度、その心臓は———穿たれた。
「……っ」
そのまま、力無く落下する。
もう、何もできない。
本当に、何一つ動かない。無力なまま、散っていく。
これが、人間の限界か。これが、俺の限界か。
ここまでやって敵わなかったんだ、どうやったって———無理なんだろうか。
結局、誰の仇も取れなかった。
ヤツの言った通り、俺は何の目標も達成できなかった。
……でも、これ以上頑張れそうな気は、しない。
なんたって俺は、さっきの一撃でやりきったんだから。
「ごめん…………よ、師匠……アレで、俺、は……全力、だったんだよ……?」
足が崩れ落ちた。感覚そのものが消え失せていって、気付いた頃には身体の一部としての機能が消え失せていた。
「だから……コレで、無理、なら……俺は……無理だ。
出しきったんだ、全て。……でも、ダメなら———」
腕が消え失せた。必死で腕のみで立っていたのに、その頭も、胴体も、全て地に伏せた。
「———だけ、ど……無理か…………」
全てが鈍り、全てが消え失せる。幸いなことに、恐怖も怒りも感じなかった。妙に落ち着いていて、これが自分の終わりだと受け入れるようで。
約束を、また一つ破った。
アレだけ多くの人に託され、アレだけ多くの人に願われ、祈りの対象となったと言うのに。
もう、分からない。俺がアイした人の声も、俺をアイしてくれた人の声も、全て。
死にゆく中、ただ1人で———、孤独を感じ。
「…………ホントに…………ごめ、ん、師匠…………っ」
何もかも、消え失せた。
終わった———んだ。
これ、で、俺も…………アイツの、ところに———。
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