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龍乱の牙

13話:火の使い手

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「レイ!起きて!今日は一回戦だよ!」ドリムがいつもより早く起きて俺を起こしに部屋に来る。
結婚が嫌なんだろうな。いつもは起きないくせに。
「わかったよ。朝ごはんは昨日作ったポトフを温めよう」俺はポトフを火にかけスキル欄を出し確認する。やっぱりない。「なあドリム、俺って属性魔法は使えないのかな?雷撃は指輪のおかげで使えるが他は使えないんだよな」
俺はなぜか属性魔法を付与したものが使えない。何かが妨害している感じがするが気のせいか、
「まあいつか使えるようになると思うわよ。今は戦いのためにスキルをどこでどう使うかどんな使い方ができるかを考えましょ!」ドリムが笑う。この笑顔を守るためにも俺は勝つ。
「わかった。じゃあ朝ごはん食べて会場に行くか!」
俺たちはポトフを食べ、装備を整え、以前アリーにもらったスキルシートを持って会場に向かった。
会場は大きなコロシアムだった。
「どうも、出場するレイです」若い受付のお姉さんに話しかける。
「はい、話は聞いてるわ。中に入ってこれを読んで。後は会場にあるモニター見て」この国は無愛想な人しかいないのか?
そんなことを考えながら俺は会場に入る。ドリムは特別席があると言われ連れて行かれた。
ドリムは何かあっても強いから大丈夫だろう。とりあえず俺は控室らしきとこに行き始まるのを待った。
「さあ!第3回デスコロシアム開催だ!!!優勝商品は月の欠片!膨大な魔力を得ることのできる代物だ!さあ戦いの幕開けだー!」どこからか声が聞こえる。俺は部屋にあるモニター?を見るするとトーナメント表が映る。
「さあ!早速一回戦を始めよう!対戦カードはこれだぁ!」くるくると周りレイVSバランと表示される。
「一回戦は隣国アルカターレから来た冒険者、レイ。そしてこの国で有名な魔法使い火炎のバランだ!」
わーーーという歓声が聞こえる。
「火を使うのか、明らかに俺を潰そうとしてるよな。あの王、覚えとけよ」
一人愚痴を言っていると兵士が部屋にやってきた。
「試合を始める。ついてこい」やっぱ無愛想。会場に着くと大きなリングがある。
「さあまずはルール説明だ。時間は30分!相手を落とすか続行不能にした方が勝ちだ!殺しはだめだぞ。持ち込める武器は一つのみだ。アクセサリーは自由にしていいぞ!スキルも自由だ!もう待ちきれないな、じゃあ両者リングに入れ!」
俺はリングの中に入る。案外大きい、高校の体育館くらいか。

「おい、お前!レイだな。縄を使うらしいな。運が悪いな、俺は火を扱う魔法使いだ。大人しく降参すれば痛い目には合わないぜ」
こいつ嫌いだ。
「俺には守らなきゃならないものがあるんでね。絶対に勝たせてもらう」俺はバランを睨みつける。するとバランも俺を睨みつける。

「お互い準備はいいな!じゃあ試合開始だー!」
ゴーンとゴングがなる。

まずは様子見だな「ロープマウス」手から縄で作られたネズミを大量に出す。
「レイ選手!早速仕掛けてきたー!これは数で勝つつもりなのか?バラン選手はどう出る?」実況がうるさい。
「おいおい、びびって動けないのか?こっちから仕掛けるぞ!」俺が手を振り上げるとロープマウスがロープを放つ。

「火柱」

バランの周りで火柱が立ちロープを焼き尽くす。
「甘いな、こんな攻撃食らうわけがないだろう」
こいつ強いわ。
ドリムの方を見るとまだ目がキラキラしている。
俺の手の内を知ってるから安心しているのだろう。それは俺も同じだ!

「次はお前からこいよ、いや怖くて無理か笑」煽るとすぐに反応する。
「びびるわけがないだろう。行くぞ火だるま!火砲撃ひほうげき!」火で作られただるまが口から火の玉放つ。
「ラビットロープ、ラビットジャンプ」足にロープを纏い素早くかわす。
「出たぞー!バラン選手の十八番!火だるま!これをなんとかしないとレイ選手に勝利はないぞ!」
さっきから実況がうるさい。
「おい実況!少し黙ってくれ。すぐ終わらすから」実況は少しシュンとしマイクを置く。
観客も何が起こるのかわからずワクワクしている。
「何をするつもりかは知らないが縄を燃やされ、攻撃ができないお前に勝機はないぞ」
そりゃそうだ、だが俺にはワンランク上の縄がある。

「鉄縄、アイアンコング!」

俺はバランに向け鉄の拳を放つ。
「すぐに燃やしてやる。火砲撃ひほうげき」だるまから放たれる火の玉を貫きバランの腹に直撃する。

「グハァ」

バランが吹き飛ばされるがギリギリのところで耐える。
「何が起きた、だが俺は負けないぞ、火銃ひがん」バランが指から火の玉を放つ。
「アイアンシールド」
鉄の盾で防ぐ。
(もはやロープとか関係ないよね笑)
「ならば火の雨ファイアーレイン
「あちち、火の雨か。ならアイアンストーム」
レイは縄を竜巻のようにぐるぐる回す。
「俺の火が消されただと、これも効かないのか、お前は一体なんなんだ、」バランがかなり焦っている。
「もう終わりか?じゃあそろそろとどめかな?」俺がそういうとバランが明らかにおかしくなる。
「こんなとこで負けないぞ!俺はこの国で一番強い魔法使いなんだ!」
「へぇーそうなんだ、じゃあこの国の魔法使いは弱いのか」
「うるさーい!本気を見せてやる。炎龍の加護、フレイムブレス!」バランが構えると背後に龍の姿が一瞬見える。
その瞬間火のブレスが放たれレイを焼き尽くす。
「はぁはぁ、やったか?」バランが勝利を確信したその瞬間。
「なんでだ、、、なんで攻撃を喰らっていない!」勝ちを確信していたのだろう、かなり取り乱している。
「ごめんな、俺最初の攻撃はほとんど無効にできるんだ」
フレイムブレスが当たる瞬間スキルが発動し新スキル、ロープエッグが発動した。
俺は鉄の卵に守られた。
「じゃあバランバイバイ、アイアンチェーン、チェーンブレイク!」
レイはチェーンをぐるぐる回し頬をぶん殴る。
「もう喋っていいかな?レイ選手のバラン選手場外!よってレイ選手の勝利!」
まずは初戦突破か、次も頑張るか。客席からは歓声が飛び交うその中で「撹乱殺」どこかで聞いた声がする。
「嫌な予感がするな。鉄縄、ロープスティック、ドリム!聞こえるか!警戒しろ!」俺は鉄の棒を両手に持ち構える。
「ここだ!」俺は攻撃をガードする。ガキンと鉄と鉄がぶつかる音がする。
攻撃を仕掛けたものは俺から距離をとり被っていたフードをとる。
「おい、ムキさんじゃないか。ここでなにをしてるんだ?」
城で別れたムキさんが黒く禍々しい服を着てナイフを持ち、俺に殺意を向けて立っていた。
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