【R-18】異能幸運レアドロップでイキ抜く♡ピネスと校長の不気味なダンジョン冒険記Re:

山下敬雄

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 Fika &Lagomその異国の茶人の精神を受け継ぐ茶室は、学校のグラウンドへと特別出張──

 一本木の木陰の下で茶会は開かれた。

 いい風景のなか外でも茶を飲めるようにと、これまで稼いだDPを支払いくろまねき商店の開発部に頼み込み。サーガが手に入れたのは、二面だけ壁をした外の風景にとけあう簡易茶室であった。

 そのお披露目は今日が最も相応しい日であるのは、言わずもがな。

 畳の上、木陰に憩い、茶人の淹れる特別な茶をいただく。

 あのパッツン生徒もお気に召したようだ。おいしいお茶と和の雰囲気を嗜み、開放感のある茶の部屋から賑やかな声の聞こえる外をその美しき黒い瞳で、パッツン生徒は眺めてみる────

 みんなで握った巨大焼きおにぎりを巨大鉄板で焼く。大きな2つの特別なコテを持ち、鉄板の上下にまわった緒方と木浪、店主ちひろと池原の計4人でそのおにぎりを息を合わせ返していく。

 裏返って露わになった香ばしい焼き目はやはりエンタメ。その瞬間に2800もの同時視聴するビュアーたちのコメントは焼き弾ける。もはやなりふり構わない。過去流行った緒方の動画を再現するだけはなく、さらに巨大化、さらなる資金力をもってしてパワーアップさせて焼き上げていく。

 ブク高ちゃんねるの生配信『現役女子高生たちにちょっくら武術を教えてみたー!』は、タイトルをそのままに第二部へと突入。武術で汗を垂れ流し、巨大な焼きおにぎりを焼き汗を垂れ流す。『もはや武術どこ』と冷静になった視聴者ツッコまれても、勢いと火力で押し切るだけのパワーがこの……ジャックした今の〝ブク高ちゃんねる〟には確かにあった。



▼▼
▽▽



 昼間の井戸端会議からはじまった3時間を超える長尺のコラボ生配信は、それでもなお新規でお越しになったviewerは最後まで増え続けた。無名のブク高ちゃんねるはその配信がガツーンとガツった度合いを表す、〝本日のTOP100ガッツ配信〟入りを果たすなど、無名らしからぬ成果を存分にあげた。

 またあまりにも長尺になったため配信内で起こったハプニングや、珍場面、名場面、名言、見どころは全て、ぎゅっと凝縮しつつ、生配信の終わりとほぼ同時に何本かの動画にわけて編集された。

 その機を逃さず手際良く編集し分割した動画集の中でも、群を抜いてview数をあげた──3分にも満たない長さの一本のショート動画があった。

「木浪せんぱい、これって結局ぅー……」

「は? 結局誰が出ていてだれがやるか、当たり前じゃん。viewtube」

「あははは……たしかに! それがviewtubeっですね!! すっごーーい、こんなにみんなでガツってるのわたしはじめてぇー!!」

 1日も経たず総view数、37万viewを記録。動画タイトル『現役女子高生がっ、ちょっくら竹馬してみたー!』が、ブク高ちゃんねるが投稿したものの中でイチバンの伸びを示していた。

 その内容は……ミントグリーンの髪をした生徒がグラウンドの中央にぽつりと突っ立ち、やけに細いそよ風のような声で竹馬の乗り方のコツを教えるという、ブク高ちゃんねるに元よりあった過去作のオマージュで始まり。

 次々とそのミントグリーンの生徒が竹馬で学校敷地内を移動しながら竹馬仲間をスカウトし集め、最後にコツを知りレベルの上がったみんなで、もう一度グラウンドに戻り竹馬競争をするというものであった。

 その競争で優勝したのは、なんとパッツン生徒。やっと視聴者待望のパッツン生徒が本格参加し、ついにその未知の実力のベールを脱いだと思えば、ぶっち切りの1位────まるで竹馬が空を飛んでいたと見紛うほどの速さで、彼女は満面の笑顔で目の前の白いゴールテープを切った。


「でもそれだけじゃ、つまんないっしょ」


 竹馬がガラスの靴に化ける、いや竹馬にシンデレラたちが乗っている。みんなで撮った一本の動画が〝ガツる〟。そんな光景を目の当たりにした木浪智火瑠は、『フッ』とひとり、映像を繰り返すスマホ画面に微笑んだ。


















 ここは白く彩られたトレーニングルーム。何の縁か誘われた静寂のこの空間で、はじめましての2人ぽっち。

 作業着の女はいつものルーティンでいつもより入念に準備運動を済ませ、銀色の相棒をその手に取り──お相手に振り返った。

「じゃ、ここからは番外編。かるぅくバトルしようよ。竹馬のシンデレラ、パッツン様」

「どうしてこの私に、ソレを向けるのですか?」

 一振りの剣を持たされたパッツンは、ただ構えずに手を下げ突っ立つ。銀色の武器を自分へと向けたその者の理由を、余裕のある平然な様子で尋ねた。

「さっきから魔力疼かせてんの知ってる、よっ。おかげで配信中もずっと冷や汗、──こんなにトマラナイことある?? はは」

 銀色の刺股の先端に汗染みた作業帽子をひっかけくるくると回しながら、既に汗ばんだ肌、汗染みた作業着を着た池原は不敵に微笑っている。

「本日はとても楽しいものでした。できればこのまま楽しいまま終わり、一日を終える。そうはいかないものでしょうか。この先はきっと────楽しくはないようです」

 パッツン生徒は笑わない。池原とは対照的に汗粒一つ肌に纏わず非常に重々しい貫禄を見せつけている。この先を渡るべからず。危うい橋だと相手にわざわざ示すように、水色作業着に身を包み武器を手にした彼女に静かな警告をする。

 戦闘のプロである池原は今空気を重く圧されて感じた肌触りに、勝算を試算し立てていく。池原が離れたこの身を持って感じた彼女の魔力量は…………。

「カメラを回しとく。楽しめる範囲でたのむよ」

 刺股にかけ、回していた作業帽子を再び被った。ツバをじっくりとおさえながら、帽子に仕込まれた小さなカメラを指差しアピールする。

 池原は試すように提示する。今の自分の実力と目の前の美しき相手の実力の両方を冷静に天秤にかけて──池原の頭が空っぽではないことをお相手に暗に示した。

「なるほど……今の私には理解できます。あなたたちの言うなまはいしん、そして、びゅーちゅーぶ! いいでしょう────。今度は私が、もてなしてくれた子らをこの手で楽しませてあげましょうっっ!!」

 借りた剣を虚空にびゅびゅんと振り踊らせて、パッツン生徒はどこか物足りない感触をその剣柄に掴んだ。再度、先程のものがただの無謀な提案ではなかったことを悟る。

 切先を向けた美しき存在は、微笑み──かかってくるように水色の子に挑発した。

「ははは、そのゼンゼン楽しめない前提…………ぶち壊すぅー……よッ!!!!」

 出し惜しみはしない。水色の作業着がそのカラーを頭頂の帽子から塗り替えるように染め上げ、変えてみせた。

 まだ魅せぬ【異能発動】。

 赤い赤い特別な魔力に染まった衣を纏う池原叉鬼は、その身に宿した全身全霊と練り上げた技をもって、美しき強者の向ける誘う刃へと────イマ、銀色の顎で噛みついた。
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