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「俺を試すだって、試しているのはどっちだ? 試されて急かされているのはどっちだ?」
【悪魔的19%:ピースマインウイング】──悪魔サンフンの広げた黒い両翼、見せつけるその片翼の集合体から、ピースが分離しピネスへと襲いかかる。
走り回るピネスは向かって来るピースをどうにか避ける。しかし攻撃は正面から飛んでくるピースマインだけではない。まさに戦い立つこのフィールド自体がピースマインの地雷原だ。地に足を着ける度に地雷のタイマーが3、2、1と作動し、そこに悠長に留まることを許さずピネスを試しつづける。
「試した感想を一つ教えてやろうか。やはりお前一人に大したチカラはありはしない。未だにその剣から俺の魔力にどうにか寄生しようと考えているんだろうが、この異界【ダークピースフィールド】の中じゃお前の練り上げる技は俺の数ピースにも満たねぇ。今こうしているのが、衣を剥がされた丸裸の実力だ。だが安心しろ、俺は強いお前は俺より弱い。ただそれだけの理屈で支配される至極単純な悪魔的世界が、貴様の棲む歪んだ世界を駆逐し待っていることを!」
ピースは直撃する前に爆発させることでその奇剣に利用させない徹底ぶり。地に仕掛ける【ピースマイン】にはタイマールールを付与することにより、トリッキーで発動簡易な時限式となり、かつカウントダウンの間は他の魔力に干渉されない高硬度を維持する。
さらにこのサンフンの異界【ダークピースフィールド】内では、ピネスの内在魔力量は常にサンフンの圧倒的クオリティで築き上げた魔力フィールドにジャミングされつづけ、抑えつけられる。つまり、この島を覆う黒い籠の中にいる限り、相手の魔力を利用したピネスの本領を発揮することは難しい。
そして空と地のピースの爆撃を避け続けるピネスにも限界が来る。気づけば周りは数値1だらけの時限式の地雷原、飛び交う翼のピースを避けている間に足元の注意は遅れ、ついに追い詰められた。
やがて、容赦なく連鎖爆発する黒い爆炎の中に──────一瞬燃え盛る、緋色の炎。
己の魔力を随分と込めた【バーンファイア】。無理やり練り上げたその独りよがりの自爆行為で、なんとかダメージの減衰を図った。しかし焦燥の中導き出した必死のアンサーも、貰った黒いピースの威力を全て払いのけるには至らない。
黒い爆弾に焦がされ、肩で深く息をする冒険者の様を見て、悪魔はまたニヤリと嗤う。
「どうだ、これがお前が再確認したがっていた俺とお前の差だ。必死に全力を出しても今の甘い人間のやり方じゃ変わらねぇ、ましてや青臭いお遊戯会の延長で何ができる何を成すなんもねェだろ? お前らのやっていることは、まるで厚い氷の表面でのうのうと生きて何も本質を育んじゃいねぇ、今まで何を習った? 弱っちく生かされて何も知らないまま利用され、そのくせ常にくだらねぇ制限だけが病原菌のように付き纏うだろ? ハハハ────全てが片付くまでおとなしく席に着け。くだらねぇ遊びも役に立たないフザケた半分女の学校も、もうお終いだ。必要なのは弱ェ奴等の手助けじゃねェ、世の中には斬るべきもっと腐った根っこがある。せっかく手に入れた異能チカラだ、自由につかってシンプルにクズを間引いて──いかねェとな?」
小さなピースで組み立てたのは、ひとつの黒い椅子、ひとつの席。悪魔は見るからに消耗し尽くしたピネスに聞こえるように囁く、お前はただそこに座ればいいのだと。
今目の前にあるのは黒い席。そして熱帯び痛む体で考える、ピネスの脳裏に浮かぶのは────
「席ナラはぁはぁ……2-Dの窓際のうしろ。今は南館3階の物置部屋。これでも結構……毎日朝から付きまとってみんなに構ってもらえて、あぁー……はは──たのしいんだぜ?」
導き出した答えを握りしめ────目の前に置かれた黒い席を、ピネスはその剣で迷わず下から払いのけるようにぶった斬った。
「はははははそれが最後の返答か? そんなにまだ試してほしいか? ナラ──死ね!!!」
生意気な返答を聞いた悪魔が、両翼を羽ばたかせようとしたその時──。
椅子を払いのけ振り上げたままの右の剣、前に余らせたくたばり損ないの左手が今、黒いヤツのことを真っ直ぐに指差し笑っている。
指を差された瞬間、嗤う悪魔は不思議な風を浴びた……。一体何をされたのか分からない。
ハッタリ野朗の指先から向かい流れる、今散らばり返された小さな黒いピース。
そんなもの、羽虫がただ飛んでいるに過ぎない。
だが、表、裏と、ひらひらと回転し舞い続けるその羽虫の如き小さなピースに、悪魔サンフンは鋭いその眼を見開き、目撃する────
回転を続ける小さな黒はやがて、異なる表情を一瞬、一瞬──見せる。そして回転速度を増しながら、得体の知れない発光を始めた。
すると表も裏も全て不思議と、塗り潰されて染まる。白いピースの粉雪が、羽を広げる黒い悪魔の目の前を舞い、追い越した──。
「【クリティカルラッキーフィールド】──────」
指を差し痛快に笑う、その光景はハッタリではない。
「ってことで一つ、土壇場で分かったらははは、あれよあれよとなんとなくっ、次のピースも想像……いや創造ついちまった?? あぁーはははは、だから──俺も混ぜろよ! そのジグソーパズル! こっから先は俺の陣地、ははは!!」
「ナっ!?? ナニィーーッ!!?」
死に損ないの剣士が今一つのピースの地に突き刺した翠の刃、そこから流れ続ける電撃のマジック。
その青く速い流れは、黒いピースの繋ぎ目を高速で伝達伝播し、次々と、大きな黒いジクソーパズルの全貌を解き明していく。
カタチ、魔力、肌触り、隣り合う1ピース1ピースの輪郭を拙くなぞる魔法の電流と共に、自分色に塗り替える。
白く強引に染まりゆくその不完全なエリアの名は【クリティカルラッキーフィールド】。
土壇場で倣い生み出した繋ぎ目だらけの新技が、剣を手放さず諦めない冒険者に、悪魔の異界に対抗する超幸運な〝鍵〟を授けた。
【悪魔的19%:ピースマインウイング】──悪魔サンフンの広げた黒い両翼、見せつけるその片翼の集合体から、ピースが分離しピネスへと襲いかかる。
走り回るピネスは向かって来るピースをどうにか避ける。しかし攻撃は正面から飛んでくるピースマインだけではない。まさに戦い立つこのフィールド自体がピースマインの地雷原だ。地に足を着ける度に地雷のタイマーが3、2、1と作動し、そこに悠長に留まることを許さずピネスを試しつづける。
「試した感想を一つ教えてやろうか。やはりお前一人に大したチカラはありはしない。未だにその剣から俺の魔力にどうにか寄生しようと考えているんだろうが、この異界【ダークピースフィールド】の中じゃお前の練り上げる技は俺の数ピースにも満たねぇ。今こうしているのが、衣を剥がされた丸裸の実力だ。だが安心しろ、俺は強いお前は俺より弱い。ただそれだけの理屈で支配される至極単純な悪魔的世界が、貴様の棲む歪んだ世界を駆逐し待っていることを!」
ピースは直撃する前に爆発させることでその奇剣に利用させない徹底ぶり。地に仕掛ける【ピースマイン】にはタイマールールを付与することにより、トリッキーで発動簡易な時限式となり、かつカウントダウンの間は他の魔力に干渉されない高硬度を維持する。
さらにこのサンフンの異界【ダークピースフィールド】内では、ピネスの内在魔力量は常にサンフンの圧倒的クオリティで築き上げた魔力フィールドにジャミングされつづけ、抑えつけられる。つまり、この島を覆う黒い籠の中にいる限り、相手の魔力を利用したピネスの本領を発揮することは難しい。
そして空と地のピースの爆撃を避け続けるピネスにも限界が来る。気づけば周りは数値1だらけの時限式の地雷原、飛び交う翼のピースを避けている間に足元の注意は遅れ、ついに追い詰められた。
やがて、容赦なく連鎖爆発する黒い爆炎の中に──────一瞬燃え盛る、緋色の炎。
己の魔力を随分と込めた【バーンファイア】。無理やり練り上げたその独りよがりの自爆行為で、なんとかダメージの減衰を図った。しかし焦燥の中導き出した必死のアンサーも、貰った黒いピースの威力を全て払いのけるには至らない。
黒い爆弾に焦がされ、肩で深く息をする冒険者の様を見て、悪魔はまたニヤリと嗤う。
「どうだ、これがお前が再確認したがっていた俺とお前の差だ。必死に全力を出しても今の甘い人間のやり方じゃ変わらねぇ、ましてや青臭いお遊戯会の延長で何ができる何を成すなんもねェだろ? お前らのやっていることは、まるで厚い氷の表面でのうのうと生きて何も本質を育んじゃいねぇ、今まで何を習った? 弱っちく生かされて何も知らないまま利用され、そのくせ常にくだらねぇ制限だけが病原菌のように付き纏うだろ? ハハハ────全てが片付くまでおとなしく席に着け。くだらねぇ遊びも役に立たないフザケた半分女の学校も、もうお終いだ。必要なのは弱ェ奴等の手助けじゃねェ、世の中には斬るべきもっと腐った根っこがある。せっかく手に入れた異能チカラだ、自由につかってシンプルにクズを間引いて──いかねェとな?」
小さなピースで組み立てたのは、ひとつの黒い椅子、ひとつの席。悪魔は見るからに消耗し尽くしたピネスに聞こえるように囁く、お前はただそこに座ればいいのだと。
今目の前にあるのは黒い席。そして熱帯び痛む体で考える、ピネスの脳裏に浮かぶのは────
「席ナラはぁはぁ……2-Dの窓際のうしろ。今は南館3階の物置部屋。これでも結構……毎日朝から付きまとってみんなに構ってもらえて、あぁー……はは──たのしいんだぜ?」
導き出した答えを握りしめ────目の前に置かれた黒い席を、ピネスはその剣で迷わず下から払いのけるようにぶった斬った。
「はははははそれが最後の返答か? そんなにまだ試してほしいか? ナラ──死ね!!!」
生意気な返答を聞いた悪魔が、両翼を羽ばたかせようとしたその時──。
椅子を払いのけ振り上げたままの右の剣、前に余らせたくたばり損ないの左手が今、黒いヤツのことを真っ直ぐに指差し笑っている。
指を差された瞬間、嗤う悪魔は不思議な風を浴びた……。一体何をされたのか分からない。
ハッタリ野朗の指先から向かい流れる、今散らばり返された小さな黒いピース。
そんなもの、羽虫がただ飛んでいるに過ぎない。
だが、表、裏と、ひらひらと回転し舞い続けるその羽虫の如き小さなピースに、悪魔サンフンは鋭いその眼を見開き、目撃する────
回転を続ける小さな黒はやがて、異なる表情を一瞬、一瞬──見せる。そして回転速度を増しながら、得体の知れない発光を始めた。
すると表も裏も全て不思議と、塗り潰されて染まる。白いピースの粉雪が、羽を広げる黒い悪魔の目の前を舞い、追い越した──。
「【クリティカルラッキーフィールド】──────」
指を差し痛快に笑う、その光景はハッタリではない。
「ってことで一つ、土壇場で分かったらははは、あれよあれよとなんとなくっ、次のピースも想像……いや創造ついちまった?? あぁーはははは、だから──俺も混ぜろよ! そのジグソーパズル! こっから先は俺の陣地、ははは!!」
「ナっ!?? ナニィーーッ!!?」
死に損ないの剣士が今一つのピースの地に突き刺した翠の刃、そこから流れ続ける電撃のマジック。
その青く速い流れは、黒いピースの繋ぎ目を高速で伝達伝播し、次々と、大きな黒いジクソーパズルの全貌を解き明していく。
カタチ、魔力、肌触り、隣り合う1ピース1ピースの輪郭を拙くなぞる魔法の電流と共に、自分色に塗り替える。
白く強引に染まりゆくその不完全なエリアの名は【クリティカルラッキーフィールド】。
土壇場で倣い生み出した繋ぎ目だらけの新技が、剣を手放さず諦めない冒険者に、悪魔の異界に対抗する超幸運な〝鍵〟を授けた。
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