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第108話 おかゆ○
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暗がりが明ける。
暖かい感覚と痺れた脚の感覚。
寝覚めの頭がガンガンと痛い。
白い布団に覆われていたルーツは上体を起こした。
「んッ……ンー……ここは……」
見渡す薄暗い部屋に窓から陽の光が射し込んでいる。
ベッドの上……。俺はたしか、あの女を……。
右奥のドアが空いた。
髪を結びベージュ色のカジュアルな服を着た彼女が中に入ってきた。
「えっと……」
「起きてたんだ」
「あのさ……」
「あの後ダンジョンを上って出て借りたリヤカーゴに乗せて運んだけど。ここ私の家、これお粥。起きてないなら私が食べないといけないからよかった」
イルーシィは花柄の土鍋に入ったお粥をおぼんに乗せ運んできていた。それをルーツの太もも、布団の上に置いた。
「ナニ? ひとりで食べて、そんなに熱くないし」
一瞬その土鍋を見て固まり。ちらっと隣のイルーシィの顔をうかがい見たルーツ。
「あ、あぁ……えっと! すまない! 俺ダンジョンで……倒れ……ちまったんだよナァ?」
「そうだよ」
「本当にすまないイルーシィ!! 俺はなんてことを」
「そっ。はやくたべたら。作ったんだけど」
「え!? あ、あぁ……」
ルーツは白いレンゲを手に取り、土鍋の中のお粥を震えた手で口に持ち運ぼうとする。
カラン
「ハァハァハ……おっとごめん」
木のおぼんの上にレンゲと粥を落としてしまったルーツ。
「私が食べさせてあげた方がいい? 調子悪そうだし」
「イヤ、いい、いい! ちょっとまだ痺れが……きのう剣振りすぎたか? ハハ」
ルーツは取り繕うようにレンゲの持ち手を掴みおどけた顔で軽く素振りして見せた。
「ねぇ、何か隠してる」
ふいに発したイルーシィの平坦な声がルーツの耳に突き刺さった。
「えっ……な」
「バレバレだから」
「え!?」
「あなたが食べてるところ一回も見たことないんだけど。人間だよね」
「あ……」
暖かい感覚と痺れた脚の感覚。
寝覚めの頭がガンガンと痛い。
白い布団に覆われていたルーツは上体を起こした。
「んッ……ンー……ここは……」
見渡す薄暗い部屋に窓から陽の光が射し込んでいる。
ベッドの上……。俺はたしか、あの女を……。
右奥のドアが空いた。
髪を結びベージュ色のカジュアルな服を着た彼女が中に入ってきた。
「えっと……」
「起きてたんだ」
「あのさ……」
「あの後ダンジョンを上って出て借りたリヤカーゴに乗せて運んだけど。ここ私の家、これお粥。起きてないなら私が食べないといけないからよかった」
イルーシィは花柄の土鍋に入ったお粥をおぼんに乗せ運んできていた。それをルーツの太もも、布団の上に置いた。
「ナニ? ひとりで食べて、そんなに熱くないし」
一瞬その土鍋を見て固まり。ちらっと隣のイルーシィの顔をうかがい見たルーツ。
「あ、あぁ……えっと! すまない! 俺ダンジョンで……倒れ……ちまったんだよナァ?」
「そうだよ」
「本当にすまないイルーシィ!! 俺はなんてことを」
「そっ。はやくたべたら。作ったんだけど」
「え!? あ、あぁ……」
ルーツは白いレンゲを手に取り、土鍋の中のお粥を震えた手で口に持ち運ぼうとする。
カラン
「ハァハァハ……おっとごめん」
木のおぼんの上にレンゲと粥を落としてしまったルーツ。
「私が食べさせてあげた方がいい? 調子悪そうだし」
「イヤ、いい、いい! ちょっとまだ痺れが……きのう剣振りすぎたか? ハハ」
ルーツは取り繕うようにレンゲの持ち手を掴みおどけた顔で軽く素振りして見せた。
「ねぇ、何か隠してる」
ふいに発したイルーシィの平坦な声がルーツの耳に突き刺さった。
「えっ……な」
「バレバレだから」
「え!?」
「あなたが食べてるところ一回も見たことないんだけど。人間だよね」
「あ……」
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