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3.情熱的なお誘い
しおりを挟むこいつとは、先週初めて出会った。
俺が皇帝を殺すために調理場の料理人になりすましていたとき、同じように調理場に潜り込んでいたんだ。……そして唯一、俺がこの現場で殺せていない相手でもある。
最初に出会った時、あっさりとこいつは俺の正体を見破った。そして、調理場が落ち着いたころ、人気のないところに呼び出された。
殺られる前に、殺ってやる……!!
服の中に隠し持っていた短剣に手を伸ばしたとき、あろうことか、こいつは俺に告白してきたんだ。
『一目惚れしたんだ。好きです、付き合ってください!』と。
勿論、俺の返答は否、だ。
きっぱりお断りしたにも関わらず、それ以来、俺はこいつに付きまとわれている。
ターゲットが同じ以上、頻繁に顔を合わせてしまうのは仕方のないことなのかもしれないが……って、いやいや! なに、こいつがいることが当たり前みたいな感じになっているんだ!! 殺してしまえばもう二度と会うことはないんだ。しっかりしろ、俺!!
「……今日8人目の犠牲者になりたくなかったら、もう俺の……いや、皇帝の周りをウロウロするな」
「おお!? ってことは、小猫ちゃんは今日はもう7人も殺ったんだ!! すっごい働き者だねー!! 偉い偉い!!」
子供を褒めるみたいに、パチパチパチと手を叩かれた。
馬鹿にされているみたいでなんか腹立つ。
「でも、残念。庭にも3人隠れてたから殺しちゃった! だから、次に死ぬのは8人目じゃなくて、えーっと……何人だろ」
いやぁ、計算は苦手なんだよね。と頬を掻いているけれど、そんなこと知るか。一瞬、視線が俺から逸れた隙に窓から逃げようとしたが、あっさりと腕を掴まれた。
しまった!! 殺られるっ!?
今までこいつが俺に手を出してきたことがないから油断していた。
しかし、予想に反して、俺は背中からポーンとベッドに投げ捨てられただけだった。流石、皇帝のベッドは材質が違う。ふわふわと優しく身体を包み込んでくれるこの素材は……って、そんなことはどうでもいい。とっさにその場を離れようとしたけれど、沈み込む寝具の所為で動きづらい。
おかげで、上から伸し掛かってきた相手にあっさりと押さえつけられてしまった。
「そうそう! 今日は、愛のこもったプレゼントをくれただけじゃなくて、俺のことを寝室で待っていてくれたんだよね!! 情熱的なお誘いありがとう。超感激だよ!」
「誘ってなんかない!!」
こいつの頭の中は、いったいどうなっているんだ!!
自分の都合のイイように事実を捻じ曲げすぎだろう!!
「ねぇ、結婚式はいつにする? あ、その前に……もう一回プロポーズするから、お返事ちょーだい」
なんとかして腕を振り払って、身体の下から逃げ出そうとするけれど、さしてガタイが良いわけでもない相手を振りほどくことができない。
「好きです、結婚してください」
「嫌だ」
急所を膝で蹴り上げようとしたけれど、逆に俺の股間を膝で踏みつけられてしまった。
「ひぐっ……!!」
あり得ない場所に激痛が走って、情けない声が出てしまう。
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