あくまで復讐の代行者

ゆー

文字の大きさ
19 / 46
第三章

三人目 肉好き悪魔は育てた野菜も好む その五

しおりを挟む
 バアルに抱えながら、背中に生やしたコウモリの羽に似た漆黒の翼を広げ降りていく。
 そこには、痙攣を起こし浅い呼吸を繰り返し腕も足もあらぬ方向に曲がった身体をした山内が転がっていた。

「普通なら死んでいるところだが、俺の魔力を先に込めておいたからこの程度じゃ死にはしねえよ」

 そう言って近づき、黒い魔法陣が浮かび上がり山内を治療する。折れた骨、傷ついた肉体が瞬時に治ったがバアルはその足を引き摺り今度こそ部屋へと連れて行く。

「ほらよっと」

 部屋の中央に山内を放り投げるバアル。

「夏目、お前はここに座ってろ」
「ここに?」
「ああ。あとのことは俺に任せておけ」
「分かった」

 バアルが用意してくれたソファーに座りこれから行われる行為を眺めつつ、いつもの動画の準備に取りかかる。

「さて、起きろ。小娘」

 意識を失い転がる山内のお腹に足蹴りを入れて起こすバアル。

「おえっ。げほっ……。な、なに……?」
「よう、起きたな」
「ひっ……! こ、来ないで!」
「はははっ! 人間の怯えた顔はいつ見ても面白いな! 特に女のその怯え震える姿はよ」

「な、なんなのよあんたは!」
「あ? なんなのって、俺は悪魔だよ。小娘」
「は? 悪魔って何? 訳分かんないわよ!」
「理解しろとは言わねえよ。夏目、準備はできたか?」

 ソファーに座り動画の準備を済ませた僕に訊くバアル。

「ああ。できた。じゃあ、始めようか」

 バアルは、山内から離れる。僕はスマホを向け問いかける。同じことを繰り返すが、これは必要なことだ。本人たちの口から告げさせないと意味がない。

「貴様にも訊く。姉さん……大磨秋乃にしたことを白状しろ」
「そ、それは……」
「忘れたとは言わせない。答えろ」
「……えっと」
「言わないならもう一度、バアルに頼んで石段から突き落としてやろうか」

 脅しだ。語らないのなら、何度でも苦痛と恐怖に沈めてやる。
 僕の言葉に、山内は顔を上げ首を何度も横に振り泣き出しながら言葉を紡ぐ。

「いやっ! あんな思いはしたくないわ! 言うから、全部言うからやめて! お願い!」
「なら、さっさと言え」
「……ひ、人気のない校舎裏で彼女の私物を壊したり、トイレの個室に閉じ込め水を被せたり。あたしの昼食代を出させ、移動教室や下校時の際にはあたしたちの荷物を持たせて、クラスのみんなに無視するよう言いつけたことも、机に暴言を書き込むよう指示もしたわ……」

 それを動画に収める。
 スマホを仕舞う僕に山内は、

「ご、ごめんなさい……! 貴方たち姉弟に酷いことして! 本当にごめんなさい! あ、あたしより男女問わず人気で周りからチヤホヤされてる大磨さんに、勝手に嫉妬して自分より上だと思い込んでそれで、虐めを始めて気に入らないからって他の男子にも協力してって……」

 本当に身勝手な理由だな。男女問わず人気があったことは知らなかった。けど、それで自分より上だから嫉妬したから、そんなくだらない貴様の身勝手さで姉さんを奪ったのか!

 どうして、被害者より加害者のことを何も明かさず守るんだろうな。

「姉さんのことは報道ニュースで明かされるのに、貴様らのことは何も触れないんだろうな。これっておかしいと思わないか?」
「え……?」

 尋ねる僕の言葉に、山内は戸惑うを見せる。それでも僕は続けた。

「そうだろ? 姉さんのことは触れられ、僕ら家族の下にマスコミが押し寄せ図々しく訊いてくる。でも、貴様らのことは一切触れず、それどころか虐めはなかったと学校側は否定だ。そして、時が経ちこの件は忘れられ消えていく」

 ずっと、思っていたんだ。どうして、被害者を守らず加害者を守るんだって。僕ら家族が何をした? 姉さんが傷つき、苦しむ理由がどこにあるんだ? 父さんと母さんが毎日のうよに喧嘩して泣かないといけないんだ?

「少年法で貴様らを守る法も警察も全てクズで無能だ! 誰も姉さんの無念を晴らしてくれないのなら、僕が姉さんを傷つけ絶望と死へと追い込んだ貴様ら全員へ復讐し、僕から姉さんを奪ったように貴様らの命も奪ってやる! 姉さんが受けた苦痛、恐怖、憎しみ、憎悪、恨み、絶望のそれ以上を与えて殺してやる! 絶対に許さない! 誰一人として!」

 怒り、殺意や負の感情が抑えきれず吐露してしまう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
現代文学
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...