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第三章
三人目 肉好き悪魔は育てた野菜も好む その五
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バアルに抱えながら、背中に生やしたコウモリの羽に似た漆黒の翼を広げ降りていく。
そこには、痙攣を起こし浅い呼吸を繰り返し腕も足もあらぬ方向に曲がった身体をした山内が転がっていた。
「普通なら死んでいるところだが、俺の魔力を先に込めておいたからこの程度じゃ死にはしねえよ」
そう言って近づき、黒い魔法陣が浮かび上がり山内を治療する。折れた骨、傷ついた肉体が瞬時に治ったがバアルはその足を引き摺り今度こそ部屋へと連れて行く。
「ほらよっと」
部屋の中央に山内を放り投げるバアル。
「夏目、お前はここに座ってろ」
「ここに?」
「ああ。あとのことは俺に任せておけ」
「分かった」
バアルが用意してくれたソファーに座りこれから行われる行為を眺めつつ、いつもの動画の準備に取りかかる。
「さて、起きろ。小娘」
意識を失い転がる山内のお腹に足蹴りを入れて起こすバアル。
「おえっ。げほっ……。な、なに……?」
「よう、起きたな」
「ひっ……! こ、来ないで!」
「はははっ! 人間の怯えた顔はいつ見ても面白いな! 特に女のその怯え震える姿はよ」
「な、なんなのよあんたは!」
「あ? なんなのって、俺は悪魔だよ。小娘」
「は? 悪魔って何? 訳分かんないわよ!」
「理解しろとは言わねえよ。夏目、準備はできたか?」
ソファーに座り動画の準備を済ませた僕に訊くバアル。
「ああ。できた。じゃあ、始めようか」
バアルは、山内から離れる。僕はスマホを向け問いかける。同じことを繰り返すが、これは必要なことだ。本人たちの口から告げさせないと意味がない。
「貴様にも訊く。姉さん……大磨秋乃にしたことを白状しろ」
「そ、それは……」
「忘れたとは言わせない。答えろ」
「……えっと」
「言わないならもう一度、バアルに頼んで石段から突き落としてやろうか」
脅しだ。語らないのなら、何度でも苦痛と恐怖に沈めてやる。
僕の言葉に、山内は顔を上げ首を何度も横に振り泣き出しながら言葉を紡ぐ。
「いやっ! あんな思いはしたくないわ! 言うから、全部言うからやめて! お願い!」
「なら、さっさと言え」
「……ひ、人気のない校舎裏で彼女の私物を壊したり、トイレの個室に閉じ込め水を被せたり。あたしの昼食代を出させ、移動教室や下校時の際にはあたしたちの荷物を持たせて、クラスのみんなに無視するよう言いつけたことも、机に暴言を書き込むよう指示もしたわ……」
それを動画に収める。
スマホを仕舞う僕に山内は、
「ご、ごめんなさい……! 貴方たち姉弟に酷いことして! 本当にごめんなさい! あ、あたしより男女問わず人気で周りからチヤホヤされてる大磨さんに、勝手に嫉妬して自分より上だと思い込んでそれで、虐めを始めて気に入らないからって他の男子にも協力してって……」
本当に身勝手な理由だな。男女問わず人気があったことは知らなかった。けど、それで自分より上だから嫉妬したから、そんなくだらない貴様の身勝手さで姉さんを奪ったのか!
どうして、被害者より加害者のことを何も明かさず守るんだろうな。
「姉さんのことは報道ニュースで明かされるのに、貴様らのことは何も触れないんだろうな。これっておかしいと思わないか?」
「え……?」
尋ねる僕の言葉に、山内は戸惑うを見せる。それでも僕は続けた。
「そうだろ? 姉さんのことは触れられ、僕ら家族の下にマスコミが押し寄せ図々しく訊いてくる。でも、貴様らのことは一切触れず、それどころか虐めはなかったと学校側は否定だ。そして、時が経ちこの件は忘れられ消えていく」
ずっと、思っていたんだ。どうして、被害者を守らず加害者を守るんだって。僕ら家族が何をした? 姉さんが傷つき、苦しむ理由がどこにあるんだ? 父さんと母さんが毎日のうよに喧嘩して泣かないといけないんだ?
「少年法で貴様らを守る法も警察も全てクズで無能だ! 誰も姉さんの無念を晴らしてくれないのなら、僕が姉さんを傷つけ絶望と死へと追い込んだ貴様ら全員へ復讐し、僕から姉さんを奪ったように貴様らの命も奪ってやる! 姉さんが受けた苦痛、恐怖、憎しみ、憎悪、恨み、絶望のそれ以上を与えて殺してやる! 絶対に許さない! 誰一人として!」
怒り、殺意や負の感情が抑えきれず吐露してしまう。
そこには、痙攣を起こし浅い呼吸を繰り返し腕も足もあらぬ方向に曲がった身体をした山内が転がっていた。
「普通なら死んでいるところだが、俺の魔力を先に込めておいたからこの程度じゃ死にはしねえよ」
そう言って近づき、黒い魔法陣が浮かび上がり山内を治療する。折れた骨、傷ついた肉体が瞬時に治ったがバアルはその足を引き摺り今度こそ部屋へと連れて行く。
「ほらよっと」
部屋の中央に山内を放り投げるバアル。
「夏目、お前はここに座ってろ」
「ここに?」
「ああ。あとのことは俺に任せておけ」
「分かった」
バアルが用意してくれたソファーに座りこれから行われる行為を眺めつつ、いつもの動画の準備に取りかかる。
「さて、起きろ。小娘」
意識を失い転がる山内のお腹に足蹴りを入れて起こすバアル。
「おえっ。げほっ……。な、なに……?」
「よう、起きたな」
「ひっ……! こ、来ないで!」
「はははっ! 人間の怯えた顔はいつ見ても面白いな! 特に女のその怯え震える姿はよ」
「な、なんなのよあんたは!」
「あ? なんなのって、俺は悪魔だよ。小娘」
「は? 悪魔って何? 訳分かんないわよ!」
「理解しろとは言わねえよ。夏目、準備はできたか?」
ソファーに座り動画の準備を済ませた僕に訊くバアル。
「ああ。できた。じゃあ、始めようか」
バアルは、山内から離れる。僕はスマホを向け問いかける。同じことを繰り返すが、これは必要なことだ。本人たちの口から告げさせないと意味がない。
「貴様にも訊く。姉さん……大磨秋乃にしたことを白状しろ」
「そ、それは……」
「忘れたとは言わせない。答えろ」
「……えっと」
「言わないならもう一度、バアルに頼んで石段から突き落としてやろうか」
脅しだ。語らないのなら、何度でも苦痛と恐怖に沈めてやる。
僕の言葉に、山内は顔を上げ首を何度も横に振り泣き出しながら言葉を紡ぐ。
「いやっ! あんな思いはしたくないわ! 言うから、全部言うからやめて! お願い!」
「なら、さっさと言え」
「……ひ、人気のない校舎裏で彼女の私物を壊したり、トイレの個室に閉じ込め水を被せたり。あたしの昼食代を出させ、移動教室や下校時の際にはあたしたちの荷物を持たせて、クラスのみんなに無視するよう言いつけたことも、机に暴言を書き込むよう指示もしたわ……」
それを動画に収める。
スマホを仕舞う僕に山内は、
「ご、ごめんなさい……! 貴方たち姉弟に酷いことして! 本当にごめんなさい! あ、あたしより男女問わず人気で周りからチヤホヤされてる大磨さんに、勝手に嫉妬して自分より上だと思い込んでそれで、虐めを始めて気に入らないからって他の男子にも協力してって……」
本当に身勝手な理由だな。男女問わず人気があったことは知らなかった。けど、それで自分より上だから嫉妬したから、そんなくだらない貴様の身勝手さで姉さんを奪ったのか!
どうして、被害者より加害者のことを何も明かさず守るんだろうな。
「姉さんのことは報道ニュースで明かされるのに、貴様らのことは何も触れないんだろうな。これっておかしいと思わないか?」
「え……?」
尋ねる僕の言葉に、山内は戸惑うを見せる。それでも僕は続けた。
「そうだろ? 姉さんのことは触れられ、僕ら家族の下にマスコミが押し寄せ図々しく訊いてくる。でも、貴様らのことは一切触れず、それどころか虐めはなかったと学校側は否定だ。そして、時が経ちこの件は忘れられ消えていく」
ずっと、思っていたんだ。どうして、被害者を守らず加害者を守るんだって。僕ら家族が何をした? 姉さんが傷つき、苦しむ理由がどこにあるんだ? 父さんと母さんが毎日のうよに喧嘩して泣かないといけないんだ?
「少年法で貴様らを守る法も警察も全てクズで無能だ! 誰も姉さんの無念を晴らしてくれないのなら、僕が姉さんを傷つけ絶望と死へと追い込んだ貴様ら全員へ復讐し、僕から姉さんを奪ったように貴様らの命も奪ってやる! 姉さんが受けた苦痛、恐怖、憎しみ、憎悪、恨み、絶望のそれ以上を与えて殺してやる! 絶対に許さない! 誰一人として!」
怒り、殺意や負の感情が抑えきれず吐露してしまう。
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