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第一章 神殺しと巫女
神話オカルト研究会(4)
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美哉の言葉に目を開き凝視し固まる。
――どこまで覚えていますか?
(どこまで……)
夢に見るあの事故。飴玉を誤って飲み込み息が詰まる、そんな感覚が襲う。言葉を発したくても思う通りに声が出ない。
脳裏に過る光景、赤く染め上げ、そこにいた灰色の狼、そして悲鳴と血と肉塊。
胸が苦しい。背中に汗が流れ落ちていく。
どうして今、そんなことを言い出す? どういう意味だ? と訊きたいのに口の中が乾いて見つめることしかできない夏目。
美哉は夏目を真っ直ぐ見つめ言う。
「あの時、おじさまとおばさまは私も一緒に旅行へ連れて行ってくれました。でも、その帰りに事故に遭った。――のではく、襲撃されたのです。巫女である私を殺すため、悪神に仕える使徒によって……」
「――――っ⁉」
静かに語る美哉の話に生唾を飲み込み押し黙る。
(な、何を言っている……? 美哉を殺すため……? そ、そんなこと……)
しかし、夢に見る光景はどう見ても事故には見えない。襲撃された、と言う美哉の言葉を証明するかのように。
心臓の鼓動が早くなる。否定しようにも何も言葉が浮かばない。
思考回路はパニックに陥り理解が追いつかない。
「……一旦、話はここまでにしましょう」
夏目の状態を察し切り上げる。
「とにかく、夏目は今日から神研の正式な部員ですから逃げようなど考えないでくださいね。あ、神研とは、神話オカルト研究会の略です。気をつけて帰ってください。また明日、夏目」
「あ、ああ……」
ツッコミを入れる余裕もなく、思考も精神も一杯一杯な夏目は素直に帰ることに。
帰るなり自室のベッドに倒れ込む。
美哉の語った話が頭から離れない。
――襲撃されたのです。
事故ではなく襲撃で両親が死に、夏目自身も怪我を負ったと。
理由が美哉にあるのだと、自ら告白した彼女の表情も忘れられない。罰して欲しくて、恨まれても憎まれてもいい、そんな風に夏目の目には映ってしまう。
あの事故は夏目にとっても絶望と地獄だった。一度に全てを失い、当たり前だったはずの日常がもう戻らない。取り戻すこともできない、孤独と悲しみ、今でも生き残った意味さえも分からないままだ。
美哉を恨めばいいのか、憎めばいいのか、夏目の中はぐちゃぐちゃになっていく。
「あんな話を聞いて、俺にどうしろって言うんだよ……」
美哉が何を求め、どうしてほしいのか、夏目には何も分からず雁字搦めに。
夢に見るほど強烈に脳裏へと焼きついている割には、何かを忘れているような思い出そうとすると、霞が掛かったかのようにその先が見えず無理に思い出そうとすれば頭痛と吐き気が襲い呼吸が荒くなる。
「……っ、くっ、はっ……。い、痛いっ……!」
以前にも思い出そうとして失敗した。これを何度も繰り返し試してみたが、結果は同じ成功したことはない。何を忘れ、あの時何を思い、何をしたのか知りたいと思っているはずなのに、いつも心の隅では辛い記憶など思い出す必要はないと囁く自分がいた。
「くそっ……」
痛みで涙目の夏目は、ベッドの上で弱々しく呟き膝を抱えうずくまる。何もする気になれずこのまま眠ってしまおうと目を閉じる。
――どこまで覚えていますか?
(どこまで……)
夢に見るあの事故。飴玉を誤って飲み込み息が詰まる、そんな感覚が襲う。言葉を発したくても思う通りに声が出ない。
脳裏に過る光景、赤く染め上げ、そこにいた灰色の狼、そして悲鳴と血と肉塊。
胸が苦しい。背中に汗が流れ落ちていく。
どうして今、そんなことを言い出す? どういう意味だ? と訊きたいのに口の中が乾いて見つめることしかできない夏目。
美哉は夏目を真っ直ぐ見つめ言う。
「あの時、おじさまとおばさまは私も一緒に旅行へ連れて行ってくれました。でも、その帰りに事故に遭った。――のではく、襲撃されたのです。巫女である私を殺すため、悪神に仕える使徒によって……」
「――――っ⁉」
静かに語る美哉の話に生唾を飲み込み押し黙る。
(な、何を言っている……? 美哉を殺すため……? そ、そんなこと……)
しかし、夢に見る光景はどう見ても事故には見えない。襲撃された、と言う美哉の言葉を証明するかのように。
心臓の鼓動が早くなる。否定しようにも何も言葉が浮かばない。
思考回路はパニックに陥り理解が追いつかない。
「……一旦、話はここまでにしましょう」
夏目の状態を察し切り上げる。
「とにかく、夏目は今日から神研の正式な部員ですから逃げようなど考えないでくださいね。あ、神研とは、神話オカルト研究会の略です。気をつけて帰ってください。また明日、夏目」
「あ、ああ……」
ツッコミを入れる余裕もなく、思考も精神も一杯一杯な夏目は素直に帰ることに。
帰るなり自室のベッドに倒れ込む。
美哉の語った話が頭から離れない。
――襲撃されたのです。
事故ではなく襲撃で両親が死に、夏目自身も怪我を負ったと。
理由が美哉にあるのだと、自ら告白した彼女の表情も忘れられない。罰して欲しくて、恨まれても憎まれてもいい、そんな風に夏目の目には映ってしまう。
あの事故は夏目にとっても絶望と地獄だった。一度に全てを失い、当たり前だったはずの日常がもう戻らない。取り戻すこともできない、孤独と悲しみ、今でも生き残った意味さえも分からないままだ。
美哉を恨めばいいのか、憎めばいいのか、夏目の中はぐちゃぐちゃになっていく。
「あんな話を聞いて、俺にどうしろって言うんだよ……」
美哉が何を求め、どうしてほしいのか、夏目には何も分からず雁字搦めに。
夢に見るほど強烈に脳裏へと焼きついている割には、何かを忘れているような思い出そうとすると、霞が掛かったかのようにその先が見えず無理に思い出そうとすれば頭痛と吐き気が襲い呼吸が荒くなる。
「……っ、くっ、はっ……。い、痛いっ……!」
以前にも思い出そうとして失敗した。これを何度も繰り返し試してみたが、結果は同じ成功したことはない。何を忘れ、あの時何を思い、何をしたのか知りたいと思っているはずなのに、いつも心の隅では辛い記憶など思い出す必要はないと囁く自分がいた。
「くそっ……」
痛みで涙目の夏目は、ベッドの上で弱々しく呟き膝を抱えうずくまる。何もする気になれずこのまま眠ってしまおうと目を閉じる。
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