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第一章 神殺しと巫女
雪平の巫女と使徒(2)
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突貫してくる男の動きが早すぎて捉えられない夏目。男の姿を目に追えず、気がつけば美哉の目の前にいた。
手に持つ剣が、美哉へ一切の躊躇いなく振り下ろされる。美哉が斬られると思い名を叫ぶ。
「美哉!」
名を呼ばれた美哉は、夏目へ視線だけを向けて微笑む。
右手を突き出し、振り下ろされた剣を受け止めてみせた。手の平から冷気が発生し刀身を一瞬で凍らす。
「み、美哉さん……?」
超常現象が目の前で起こる。
男は、凍った剣を投げ捨て距離を取りまた新たに歪みを発生させた空間から剣を取り出す。
「ははっ! 氷系を宿す雪平の巫女を簡単に殺せるとは思っちゃいねぇけどよ、実際に見ると人間離れしてんのなお前」
そう楽しげに笑いながら言い、顔色一つ変えず体勢を整える男に美哉が問う。
「誰の差し金ですか?」
その問いに男は、
「知りたければ、口を割らせてみせろよ。雪平の巫女さん!」
突っ込む男。剣はやはり美哉を斬り刻もうと振られる。ただ斬りつけ殺すために振るわれる剣、その動きを美哉は完全に読み避け切る。
時に、刀身を受け流し躱し続け男の腹部に冷気を纏った拳を抉り込ます。
「ゴフッ」
男の口から無理やり吐き出される息、数メートル吹き飛ばされ地面に転がるがすぐ立ち上がって咳き込む。
「ゲホッ、ゲホッ。や、やってくれるじゃねぇか」
夏目の目の前で繰り広げられる、漫画やアニメの戦闘シーンの光景に突っ立たまま何もできないでいた。
美哉を見る男の視線が、頭から爪先まで巡らせ舌舐めずりで言う。
「なんなら、体で支払ってくれるって言うなら教えてやるぜ?」
場違いな言葉に夏目は、
(こいつ、バカなのか? この場で欲情とか)
などと思ってしまう。しかし、美哉の表情が一変。
憎悪と怒りのオーラが滲み出る。
「ひっ……⁉」
美哉が滲み出すオーラに、悪寒を感じた上に小さな悲鳴が口からもれる夏目。背中しか見えないが、あれは相当に怒っているに違いないと。
「卑しい男ですね。氷漬けにして情報を吐かせたあと、凍死でもしてもらいます」
パキパキ、と氷が空中に槍へと形成されその数は三十から四十を超えていく。それらを一斉に放つ美哉。
「あはははっ! 怒った顔も中々、そそるな!」
高笑いし、もう一本の剣を取り出し氷の槍を叩き落とす。
「――っ!」
が、振るう動きにむらがあり肩や足に槍の切っ先が掠める。氷の槍の次は、地面を凍結へと変えその攻撃に気づきその場から飛び退き後退する男。だが、凍結した地面から男に向かって成人男性ほどの太さがある棘が作られ伸び襲い掛かる。
「なっ⁉」
剣で棘を斬り落とそうにも太すぎて折れない。美哉の容赦のない攻撃の嵐に、男は逃げの一手へと切り替え伸びる棘から逃げる。追撃と今度は、氷を弾丸へと形成させ撃ち出す。
立つその場から一歩も動かず相手を殺しに掛かる美哉の姿に、
(強すぎない……? そ、それに……)
と思う反面、護られて何もできない自分とは大違いだなと足手まといと痛感してしまう夏目。
撃ち出された氷の弾丸が、今度こそ肩と太ももを撃ち抜き地面に転がる男。
「がぁああっ!」
撃ち抜かれた箇所から鮮血が飛び散る。その血を見た夏目の脳裏にあの夢がフラッシュバックする。赤い燃え上がる炎、夥しい赤い液体と何かを咀嚼する存在。
「……っ」
立ちくらみを引き起こし杖を握る手に力を込め、よろけ倒れ込みそうな体をなんとか杖で支える。
「はっ、はぁっ、はっ……」
呼吸が荒くなる。右手は頭を抱え踏み止まるがいつまで立っていられるか。
「夏目⁉」
今にも倒れそうな夏目に気づき慌てて駆け寄る美哉。額から汗を吹き出し顔色が悪い夏目の体を支える。
「夏目、しっかりしてください!」
「はあっ、はあっ……。だ、大丈夫……」
美哉に支えられ意識を保ち続け言葉を紡ぐ。
「もう帰りましょう」
「あ、ああ……」
「あれはもう動けないでしょうし、あとのことは生徒会に任せていればいいでしょうから」
夏目を支えながらスマホを取り出し生徒会長へ連絡を入れる美哉。
「使徒の襲撃を受けましたが、問題ありません。使徒の回収をお願いします」
と状況と場所を簡潔に説明し数分後には車が到着。そこから生徒会長の命令で黒服の男たちが数人、現れ使徒を回収し夏目と美哉を乗せ家まで運んでくれる。
夏目の家に帰りソファーに座らせる。
「夏目、大丈夫ですか? どこか痛いとか、苦しいとかありますか?」
そばで心配そうな顔であれやこれやと訊かれるが、何も耳に入らず答えられない。ずっと脳裏に夢で見続けている映像が、フラッシュバックし共に声が聞こえてくる始末。
『思い出せ。いつまで忘れたつもりでいる? 受け入れろ。それ以外の選択肢などない』
そんな言葉が何度も繰り返し紡がれる。視界は歪み、意識が遠のいていく。
自身の体を支えられずソファーに倒れ込む夏目。
「夏目⁉」
その姿に酷く焦る美哉の声。
「夏目! 夏目!」
何度も名を呼ぶ美哉に反応できず夏目は意識を手放してしまう。
体は深く、冷たい水の中に沈み込むかのような感覚に襲われながら。
手に持つ剣が、美哉へ一切の躊躇いなく振り下ろされる。美哉が斬られると思い名を叫ぶ。
「美哉!」
名を呼ばれた美哉は、夏目へ視線だけを向けて微笑む。
右手を突き出し、振り下ろされた剣を受け止めてみせた。手の平から冷気が発生し刀身を一瞬で凍らす。
「み、美哉さん……?」
超常現象が目の前で起こる。
男は、凍った剣を投げ捨て距離を取りまた新たに歪みを発生させた空間から剣を取り出す。
「ははっ! 氷系を宿す雪平の巫女を簡単に殺せるとは思っちゃいねぇけどよ、実際に見ると人間離れしてんのなお前」
そう楽しげに笑いながら言い、顔色一つ変えず体勢を整える男に美哉が問う。
「誰の差し金ですか?」
その問いに男は、
「知りたければ、口を割らせてみせろよ。雪平の巫女さん!」
突っ込む男。剣はやはり美哉を斬り刻もうと振られる。ただ斬りつけ殺すために振るわれる剣、その動きを美哉は完全に読み避け切る。
時に、刀身を受け流し躱し続け男の腹部に冷気を纏った拳を抉り込ます。
「ゴフッ」
男の口から無理やり吐き出される息、数メートル吹き飛ばされ地面に転がるがすぐ立ち上がって咳き込む。
「ゲホッ、ゲホッ。や、やってくれるじゃねぇか」
夏目の目の前で繰り広げられる、漫画やアニメの戦闘シーンの光景に突っ立たまま何もできないでいた。
美哉を見る男の視線が、頭から爪先まで巡らせ舌舐めずりで言う。
「なんなら、体で支払ってくれるって言うなら教えてやるぜ?」
場違いな言葉に夏目は、
(こいつ、バカなのか? この場で欲情とか)
などと思ってしまう。しかし、美哉の表情が一変。
憎悪と怒りのオーラが滲み出る。
「ひっ……⁉」
美哉が滲み出すオーラに、悪寒を感じた上に小さな悲鳴が口からもれる夏目。背中しか見えないが、あれは相当に怒っているに違いないと。
「卑しい男ですね。氷漬けにして情報を吐かせたあと、凍死でもしてもらいます」
パキパキ、と氷が空中に槍へと形成されその数は三十から四十を超えていく。それらを一斉に放つ美哉。
「あはははっ! 怒った顔も中々、そそるな!」
高笑いし、もう一本の剣を取り出し氷の槍を叩き落とす。
「――っ!」
が、振るう動きにむらがあり肩や足に槍の切っ先が掠める。氷の槍の次は、地面を凍結へと変えその攻撃に気づきその場から飛び退き後退する男。だが、凍結した地面から男に向かって成人男性ほどの太さがある棘が作られ伸び襲い掛かる。
「なっ⁉」
剣で棘を斬り落とそうにも太すぎて折れない。美哉の容赦のない攻撃の嵐に、男は逃げの一手へと切り替え伸びる棘から逃げる。追撃と今度は、氷を弾丸へと形成させ撃ち出す。
立つその場から一歩も動かず相手を殺しに掛かる美哉の姿に、
(強すぎない……? そ、それに……)
と思う反面、護られて何もできない自分とは大違いだなと足手まといと痛感してしまう夏目。
撃ち出された氷の弾丸が、今度こそ肩と太ももを撃ち抜き地面に転がる男。
「がぁああっ!」
撃ち抜かれた箇所から鮮血が飛び散る。その血を見た夏目の脳裏にあの夢がフラッシュバックする。赤い燃え上がる炎、夥しい赤い液体と何かを咀嚼する存在。
「……っ」
立ちくらみを引き起こし杖を握る手に力を込め、よろけ倒れ込みそうな体をなんとか杖で支える。
「はっ、はぁっ、はっ……」
呼吸が荒くなる。右手は頭を抱え踏み止まるがいつまで立っていられるか。
「夏目⁉」
今にも倒れそうな夏目に気づき慌てて駆け寄る美哉。額から汗を吹き出し顔色が悪い夏目の体を支える。
「夏目、しっかりしてください!」
「はあっ、はあっ……。だ、大丈夫……」
美哉に支えられ意識を保ち続け言葉を紡ぐ。
「もう帰りましょう」
「あ、ああ……」
「あれはもう動けないでしょうし、あとのことは生徒会に任せていればいいでしょうから」
夏目を支えながらスマホを取り出し生徒会長へ連絡を入れる美哉。
「使徒の襲撃を受けましたが、問題ありません。使徒の回収をお願いします」
と状況と場所を簡潔に説明し数分後には車が到着。そこから生徒会長の命令で黒服の男たちが数人、現れ使徒を回収し夏目と美哉を乗せ家まで運んでくれる。
夏目の家に帰りソファーに座らせる。
「夏目、大丈夫ですか? どこか痛いとか、苦しいとかありますか?」
そばで心配そうな顔であれやこれやと訊かれるが、何も耳に入らず答えられない。ずっと脳裏に夢で見続けている映像が、フラッシュバックし共に声が聞こえてくる始末。
『思い出せ。いつまで忘れたつもりでいる? 受け入れろ。それ以外の選択肢などない』
そんな言葉が何度も繰り返し紡がれる。視界は歪み、意識が遠のいていく。
自身の体を支えられずソファーに倒れ込む夏目。
「夏目⁉」
その姿に酷く焦る美哉の声。
「夏目! 夏目!」
何度も名を呼ぶ美哉に反応できず夏目は意識を手放してしまう。
体は深く、冷たい水の中に沈み込むかのような感覚に襲われながら。
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