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第一章 神殺しと巫女
雪平の巫女と使徒(4)
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目が覚めゆくっりと目蓋を開け、渡りを見渡し状況を確かめる。どうやら、あのままソファーの上で眠ってしまったようだ。体に毛布が掛けられており、そばには美哉がソファーの端に腕を乗せ眠っていた。
「美哉……」
「う、んっ……」
頭を撫でる。その感触に目が覚めた美哉は、夏目を視界に映すと涙目になって抱きつく。
「夏目……! 心配したんですよ! 急に倒れて意識を失うから……!」
「ごめん……」
テーブルの上には水が張った桶、タオルが置かれている。美哉がずっとそばにいたことに感謝する夏目。時計に目をやれば深夜の三時。帰宅したのは夕方だ。
抱きつかれたままの格好で髪を撫でまた謝る。
「ごめん、美哉」
「な、夏目?」
その反応に驚く美哉。普段なら引き離そうとするはず、それが抱きつかれたままな上に頭を撫で続ける夏目を不思議に思い一度、彼から体を離し問う。
「夏目。あなたの中で何があったのですか?」
「……俺、ずっと夢を見ていたんだ」
「夢、ですか?」
「ああ。事故に遭った時の夢を……」
「……っ。そう、ですか……」
一部とはいえ、過去の記憶を夢として見続けていた。忘れていた過去を追憶したことで全て思い出した。
「それで、全部、思い出した。あの時、俺が何をしたのか……。俺自らが、力が欲しいと願い望み得たこと。その結果、使徒の集団を皆殺しにしたことも……」
「夏目……」
「あの時、俺はただ美哉が殺されるのが嫌で助けたいと、でも何もなく何もできない。強く望み俺が喚び出したんだと思う、あの灰色の狼を。まあ、あまりの光景に直接手を下したわけではなくても、精神が耐え切れなくて記憶障害を引き起こしたけどな……」
あはは、と乾いた笑みを浮かべ語る夏目。
夏目の言葉に複雑な気持ちの美哉。思い出してほしくない、そんな思いが心の底にある。神殺しという異人にしてしまったのは、紛れもなく美哉自身なのだから。
負い目を感じていることを夏目には悟られないよう、作り笑顔で隠し立ち上がり隣に座る美哉。
「思い出したのなら、話が進みますね」
「進む?」
「はい。以前に話したことを覚えていますか?」
「以前に話したこと……」
神と悪神、巫女と使徒。
追憶の中でも聞いた言葉。美哉も語った話。
「ああ。悪神とそれに仕える使徒を倒すことが目的っていう話だろ?」
「ええ。もう少し詳しく話しますね。夏目、神から能力を授けられる時に悪神はこの世界、星を我が物にしようと邪な考えをしている。と聞きませんでしたか?」
「ああ、言っていたな」
記憶を思い返し口にする。
――我ら、神から離反しこの世界を、星を我が物にしようと邪な思考をした神だ。と。
「悪神は我が物とすべく行動を起こしました。神々かの理から逸脱し、手駒となる人間を捜し見つけては権能を与えたのです。夏目のように素質があれば同様に、神殺しの力さえも与え。権能を与えられた人間は忠実な下僕、使徒となり悪神の命令に服従するようです。私を襲ってきた使徒もその類」
美哉の話を、今度こそは真面目に聞く夏目。もう中二病などとは思わない。非現実なことなら、その身に起きたのだから。
美哉は話を続けた。
「私たち巫女は、悪神から人々を護るため神から恩恵を授かり何代にも渡って継承させ護ることが重要な役目。しかし、巫女だけでは悪神が生み出す使徒や神殺しには勝てないと知った神は、悪神と同じ手法を取ったのです。神殺しの力を与えるに値いする人間を見つけて、神殺しにすること」
(なっ⁉ う、嘘だろ……。神殺しの始まりは、悪神の手駒を増やすことからだったなんて……)
美哉の話に驚く夏目は、てっきり悪神とやらを倒すために神が始めたことだと思い込んでいた。だが、実際には悪神が世界を手に入れるために始めたことが切っ掛けだったとは。
結局、神も悪神も人間を使う方法を手に取ったということなのだろう。
「それが夏目たち神側につく神殺し、ということです」
「そうなのか……。ん? たち?」
「はい、夏目以外にも生徒会長も同じく神殺しですよ」
「えっ……マジで?」
夏目の問いかけに美哉は笑顔で肯定する。
「はい。他にも風紀委員長も神殺しの一人ですね」
「………………」
自身が通う学園に、神殺しが己を含み三人もいるなんて世界は狭いな、などと真顔になってそんなことを思ってしまう。
「神殺しは、悪神と使徒を倒すための存在。巫女は、人々を護り悪神に対抗する神殺しの助力となる存在。今はそう考えればいいと思いますよ」
美哉がそう言うなら、そう思うことにしようと頷く夏目。
「さて、説明も終わりましたし私はこのまま泊まっていきますね。時間も時間ですし」
「そうだな。こんな夜更けに出て行くのもな」
「ええ。もう寝ましょうか」
「ああ」
まだ知りたいことはあったがこれ以上、話されても理解が追いつかないと判断し今は教えてもらったことを整理する必要がある。
また分からないことがあれば、美哉にその都度に聞いてみようと考える夏目だった。
「美哉……」
「う、んっ……」
頭を撫でる。その感触に目が覚めた美哉は、夏目を視界に映すと涙目になって抱きつく。
「夏目……! 心配したんですよ! 急に倒れて意識を失うから……!」
「ごめん……」
テーブルの上には水が張った桶、タオルが置かれている。美哉がずっとそばにいたことに感謝する夏目。時計に目をやれば深夜の三時。帰宅したのは夕方だ。
抱きつかれたままの格好で髪を撫でまた謝る。
「ごめん、美哉」
「な、夏目?」
その反応に驚く美哉。普段なら引き離そうとするはず、それが抱きつかれたままな上に頭を撫で続ける夏目を不思議に思い一度、彼から体を離し問う。
「夏目。あなたの中で何があったのですか?」
「……俺、ずっと夢を見ていたんだ」
「夢、ですか?」
「ああ。事故に遭った時の夢を……」
「……っ。そう、ですか……」
一部とはいえ、過去の記憶を夢として見続けていた。忘れていた過去を追憶したことで全て思い出した。
「それで、全部、思い出した。あの時、俺が何をしたのか……。俺自らが、力が欲しいと願い望み得たこと。その結果、使徒の集団を皆殺しにしたことも……」
「夏目……」
「あの時、俺はただ美哉が殺されるのが嫌で助けたいと、でも何もなく何もできない。強く望み俺が喚び出したんだと思う、あの灰色の狼を。まあ、あまりの光景に直接手を下したわけではなくても、精神が耐え切れなくて記憶障害を引き起こしたけどな……」
あはは、と乾いた笑みを浮かべ語る夏目。
夏目の言葉に複雑な気持ちの美哉。思い出してほしくない、そんな思いが心の底にある。神殺しという異人にしてしまったのは、紛れもなく美哉自身なのだから。
負い目を感じていることを夏目には悟られないよう、作り笑顔で隠し立ち上がり隣に座る美哉。
「思い出したのなら、話が進みますね」
「進む?」
「はい。以前に話したことを覚えていますか?」
「以前に話したこと……」
神と悪神、巫女と使徒。
追憶の中でも聞いた言葉。美哉も語った話。
「ああ。悪神とそれに仕える使徒を倒すことが目的っていう話だろ?」
「ええ。もう少し詳しく話しますね。夏目、神から能力を授けられる時に悪神はこの世界、星を我が物にしようと邪な考えをしている。と聞きませんでしたか?」
「ああ、言っていたな」
記憶を思い返し口にする。
――我ら、神から離反しこの世界を、星を我が物にしようと邪な思考をした神だ。と。
「悪神は我が物とすべく行動を起こしました。神々かの理から逸脱し、手駒となる人間を捜し見つけては権能を与えたのです。夏目のように素質があれば同様に、神殺しの力さえも与え。権能を与えられた人間は忠実な下僕、使徒となり悪神の命令に服従するようです。私を襲ってきた使徒もその類」
美哉の話を、今度こそは真面目に聞く夏目。もう中二病などとは思わない。非現実なことなら、その身に起きたのだから。
美哉は話を続けた。
「私たち巫女は、悪神から人々を護るため神から恩恵を授かり何代にも渡って継承させ護ることが重要な役目。しかし、巫女だけでは悪神が生み出す使徒や神殺しには勝てないと知った神は、悪神と同じ手法を取ったのです。神殺しの力を与えるに値いする人間を見つけて、神殺しにすること」
(なっ⁉ う、嘘だろ……。神殺しの始まりは、悪神の手駒を増やすことからだったなんて……)
美哉の話に驚く夏目は、てっきり悪神とやらを倒すために神が始めたことだと思い込んでいた。だが、実際には悪神が世界を手に入れるために始めたことが切っ掛けだったとは。
結局、神も悪神も人間を使う方法を手に取ったということなのだろう。
「それが夏目たち神側につく神殺し、ということです」
「そうなのか……。ん? たち?」
「はい、夏目以外にも生徒会長も同じく神殺しですよ」
「えっ……マジで?」
夏目の問いかけに美哉は笑顔で肯定する。
「はい。他にも風紀委員長も神殺しの一人ですね」
「………………」
自身が通う学園に、神殺しが己を含み三人もいるなんて世界は狭いな、などと真顔になってそんなことを思ってしまう。
「神殺しは、悪神と使徒を倒すための存在。巫女は、人々を護り悪神に対抗する神殺しの助力となる存在。今はそう考えればいいと思いますよ」
美哉がそう言うなら、そう思うことにしようと頷く夏目。
「さて、説明も終わりましたし私はこのまま泊まっていきますね。時間も時間ですし」
「そうだな。こんな夜更けに出て行くのもな」
「ええ。もう寝ましょうか」
「ああ」
まだ知りたいことはあったがこれ以上、話されても理解が追いつかないと判断し今は教えてもらったことを整理する必要がある。
また分からないことがあれば、美哉にその都度に聞いてみようと考える夏目だった。
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