偽りの神人 ~神造七代の反逆と創世~

ゆー

文字の大きさ
15 / 220
第一章 神殺しと巫女

第四幕 特訓(1)

しおりを挟む
 夏目の申し出の翌日。学生生活も大事だが、使徒の襲撃がいつ起きるか分からない現状、できるだけのことを成すため学校を休み特訓が始まった。



 雪平家にある道場に通された夏目は学校指定のジャージに着替え、美哉は何故か巫女服に。



「……何故、巫女服?」

「これ、一応は戦闘服なんです」

「そう、なんだな……」

「さて、最初に行う特訓ですが何を言ってもまず基礎体力です」

「基礎体力?」



 美哉から言われた言葉に首を傾げ疑問符を浮かべる夏目。そんな彼に、人差し指を立て説明していく。



「はい。夏目は体力がありませんし、基礎もできていません。それなのに技術だけを鍛えたところで使えなければ意味がありませんからね」

「うぐっ……」



 グサッ、と言葉が刺さる。美哉の言う通り、体力も知識もなければ基礎があるわけもなく。分かっているとはいえ、面と向かって言われると刺さるものが夏目にはあった。



「まずはそこからです」

「は、はい……」



 新しい義足を貰いさっそく特訓開始。



 腹筋、腕立て伏せ、スクワット、家の周りを走り込みと思っていた以上のスパルタ指導から始まり神殺しとなった夏目の肉体は、一般人と比べて身体能力や五感が向上する。平均の特訓期間を大幅に縮小できるのだと軽く説明される。



 そういうことで一週間は美哉の実家に泊まり特訓漬け。最初の三日間は基礎体力づくり、四日目は美哉との手合わせという内容。



「対人戦にも慣れてもらいます」

「……俺、死なない?」



 と絶望する夏目。朝から日が沈むまで道場で、基礎体力づくりに初日から息切れ動機が激しく筋肉痛と疲労で倒れそうに。

 一日目が終わり、夕食は美哉の手作り料理を頂く。



「どうぞ、召し上がれ」

「頂きます!」



 ビーフカレーだ。一口サイズの牛肉の塊がたっぷり入っており、スパイスも効き口に運ぶスプーンが進む。他にも濃厚コンポタージュやサラダもあり満足の食事だった。



 食後は休憩を挟みお風呂へ。

 義足は防水ではないため取り外し、美哉自慢の檜風呂ひのきぶろに夏目のテンションが上がる。



「おおっ……! 檜の香りに広々した浴槽!」



 美哉からお風呂に入る際は使うといいと借りた杖をつきながら浴室へ。気持ちが急かす、早く湯船に浸かりたいと。



 だが、まずは頭と体を洗ってからと座り桶に溜めた湯を被り頭から順々に洗っていく。そんな彼の背後には忍び寄る影が一つ。

 それに全く気づかない夏目。泡を流し終え、顔を上げたと同時に背中へ抱きつく美哉。



「えいっ」

「ほわあっ⁉」



 背中に抱きつき、その豊満な胸を押しつけられ素っ頓狂な声がもれる夏目。



「気配も感じ取れなければダメですよ。夏目」



 などと美哉に言われるが、夏目の中ではそれどころではない。



(な、生暖かい上に……や、柔らかい感触がっ⁉)



 布の感触が伝わらずその代わりに触接、肌から感じられる生暖かさと柔らかさに脳内は大パニックを起こす。



 水の重みで倒れていたはずのアホ毛は、どういう仕組で動いているのかピンと立つと盛大に回転し、それを見て取れた美哉はさらなる誘惑を仕掛ける。

 抱きついたまま、いや更に胸を押しつけ夏目の胸板から腹部を撫で回す。



「ふふっ」

「ひゃっ! ちょっ、まっ……ひっ⁉」



 その行動に耳まで真っ赤にし喘ぐ羽目になる夏目。しかし、そんな姿を見ても手を止めることはせず撫でる手は次第に下へと滑っていく。へそを超え、腰に巻いたタオルに手が届きそうになる光景に耐えられなくなり、美哉の手を強引に払い除け壁際まで逃げ怒る。



「な、何をするんだよ! ていうか、なに考えて――っ⁉」



 壁に背を預け抗議しようとするが、美哉の姿を見て言葉を失う。一糸まとわぬ生まれたままの裸体に直視ができない。



「あら、自分から逃げ場のない壁際に行くだなんて」

「く、来るなっ! なんでタオルを巻いていないんだよ⁉」



 恥ずかしげもなく迫り来る美哉に、左手で目元を覆い隠し右手は来るなと意思表示に腕を伸ばし怒る夏目。



「タオルなんて邪魔な物、いらないでしょう? うふふ」

「じゃ、邪魔なわけないだろっ⁉」



 楽しげな声で近寄る美哉は、夏目の右手を取りそのまま自分の胸に持っていく。



「はへっ⁉」



 右手全体に伝わる柔らかさと、手の平の中央に当たる突起物の感触。それが何なのか想像する余地もなく理解してしまい、つい指に力が入りむにゅっと指が沈む。



「んんっ」



(あわわわっ⁉)



 すると、美哉の口から甘い声がもれ夏目の内心も乱れまくる。目元を隠す、という行動よりも美哉を引き剥がす方がいい、と判断し左手を伸ばし肩を押し返そうとしたはずが、直視できないヘタレさが新たな問題を引き起こした。



 ――むにゅん。



「あんっ」

「~~~~~~っ⁉」



 左手も胸を鷲掴み、両胸を揉まれた美哉は我慢できず甘い喘ぎ声が浴室に反響する。

 その声に反応してしまい、美哉の裸体を直視し声にならない悲鳴を夏目が上げた。



「ふふっ。もっと、触ってもいいですよ。乱暴に揉むのも、吸うのも……」



 反射で手を放そうとするがそれを美哉が掴んで防ぎ、顔を近づけ妖艶に微笑み甘く囁く。隠す素振りもない裸体、美哉の大胆な誘惑に攻められ心身ともに限界な夏目。



「あっ……えっ……」



 口をパクパクさせ限界を超えた体は、鼻血でこれ以上は無理と美哉に訴える。



「あらあら。今日はここまでにしましょうか」



 苦笑交じりでそう言って、夏目の鼻を摘みしばらく止血する。



「ううっ……」

「はい、止まりましたよ。夏目」

「なんだろう、この疲労感といい酷い目に遭ったような気分は……」

「あら、失礼ですね。むしろ、あれは喜び興奮する場面でしょうに」

「ひ、否定はしないが……」

「ふふっ」



 止血も終わり、美哉もタオルを巻き湯船へ一緒に浸かる二人。ただ、美哉は夏目にあることを宣言する。



「夏目。今後もこのような誘惑を仕掛けますから覚悟してくださいね」

「は? はああああっ⁉」



 満面の笑みで言われ叫ぶ。

 美哉の宣言に内心、これを耐えて生き抜けるだろうかと自身を心配することに。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊  ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め… ※カクヨム様にも投稿しています ※イラストはAIイラストを使用しています

魔眼の剣士、少女を育てる為冒険者を辞めるも暴れてバズり散らかした挙句少女の高校入学で号泣する~30代剣士は世界に1人のトリプルジョブに至る~

ぐうのすけ
ファンタジー
赤目達也(アカメタツヤ)は少女を育てる為に冒険者を辞めた。 そして時が流れ少女が高校の寮に住む事になり冒険者に復帰した。 30代になった達也は更なる力を手に入れておりバズり散らかす。 カクヨムで先行投稿中 タイトル名が少し違います。 魔眼の剣士、少女を育てる為冒険者を辞めるも暴れてバズり散らかした挙句少女の高校入学で号泣する~30代剣士は黒魔法と白魔法を覚え世界にただ1人のトリプルジョブに至る~ https://kakuyomu.jp/works/16818093076031328255

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...