81 / 220
第四章 神山学園のレヴィアタン
第一幕 風紀委員長の襲来(1)
しおりを挟む
何事もなく穏やかな日々が過ぎる五月の下旬。
変わり映えしない授業、教室でも何か変わるうようなことは起きない。普段と同じように過ごす。
午前の授業が全て終わりを告げるチャイムが鳴る。お昼休みだ。
「さて、どこで食べようか……」
今日のお弁当をどこで摂るか悩む夏目。
弁当箱が入った小さなバッグを持って教室を出ると、廊下で部活メンバーの秋山燐と東雲桜の二人に会う。
二人は巫女だ。燐は炎を操り、桜は結界を張る能力を宿している。
「おっ、燐と桜。今から、部室で昼食なんだけ二人もどうだ?」
「夏目じゃないか。すまない、風紀委員長に呼び出されていてな」
「夏目くん。ごめん、あたしたちのことは気にせず先に食べてて」
「ん? そうだったのか。分かった、じゃあな」
二人と別れ、部室へ。
美哉も、生徒会長こと東雲春人に用事があると生徒会に赴いている。
部室のソファーに座ると、ヨルムンガンドのお待ちかねのお弁当タイムだと言わんばかりに姿をさっそく見せた。
「夏目、早く早く!」
「はいはい。広げるから待った」
テーブルの上に美哉が、夏目とフェンリルたちに作ってくれたお弁当を広げる。テーブルの上に乗り、早く食べたいヨルムンガンドの体が揺れまくる。
弁当箱の蓋にヨルムンガンドの分を取り分ける。おにぎり、卵焼き、肉団子、ほうれん草のおひたし。
それを目の前に持っていくと目を輝かせがっつく。
「いただきます! はぐはぐっ」
フェンリルにも専用のお弁当を用意してくれている。丸い弁当の中身は白米の上に生姜焼きが乗った丼風だ。
「おおっ! さすが、美哉だ。いただきます」
そう言ってこちらも、はぐはぐっと嬉しそうに食べる。夏目も、ヨルムンガンドと兼用の二段の弁当を食べ頬が緩む。
「んっ~! 美味い!」
おにぎりの具は鮭、梅、おかかと定番だ。卵焼きも甘めでふんわり、肉団子も甘辛のタレが良い味を出し箸が止まらない。少し口の中が辛くなれば、ほうれん草のおひたしで口直し。
そうして静かで落ち着く部室で食事を済ませお茶を啜る夏目。
「あ~、美味しかった」
まったりした時間が流れる空間に足音が近づく。
美哉が来たのだと思った夏目は扉に視線を向ける。すると、バンッと勢いよく部室の扉が押し開けられ中に入ってきたのは先輩女子だ。
「……っ!」
ビクッと肩を揺らし、見知らぬ先輩を凝視する夏目。
神山学園では、男女共に学年ごとでネクタイまたはリボンの色が異なる。目の前の夏目を見下ろし、笑う彼女のネクタイの色は二年を示す赤色。つまり、美哉と同学年だということ。
彼女は、明るめの青色の髪に全体的にふんわりとし毛先がウェーブ、吊り目の金色の瞳がある場所を見つめる。
その視線の先には、一般人にはただのテーブルしか映らない箇所。しかし、彼女は口の端を上げ言う。
「ふーん。綺麗に隠れるわね」
「――――っ!?」
その一言に夏目はむろん、即座に彼の影に隠れたフェンリルとたったの一秒足らずで姿を透明化させ気配すらも消したヨルムンガンド、ここにいる全員が驚き身を固くさせた。
そして、彼女は夏目へ視線を戻し笑みを浮かべながら言い放つ。
「連行させてもらうわ、逢真夏目。いや、二ヶ月前に覚醒した新たな神殺し」
「なっ!? なんで……!」
目を開き、状況が読み込めない夏目へフェンリルが念話で叫ぶ。
『主、逃げよ! この女は危険やもしれぬ!』
ヨルムンガンドも同意見のようで夏目の首に巻きつき伝える。
『逃げよう! この人、ボクが見えてるよ!』
相棒たちの言葉にようやく体が動いた夏目は窓へ走る。ここは三階だが、神殺しの身体能力なら問題はない。
窓から飛び降り、地面へ難なく着地し全力で逃げ出す。
逃げ出す背中を眺めた彼女は、「ふっ、ふふはははははっ!」と高笑いに舌舐めずりをし同じく窓から飛び降り華麗に着地。
「面白いじゃない、私と鬼ごっことは。楽しませてもらうわ、逢真夏目」
彼女の高笑いを聞き、背後を振り返り叫ぶ。
「何者なんだよ!」
『そんなことはあとだ! よいから前を向き走るがよい!』
「うわっ!? 追いかけてきたよ! 逃げて!」
と、背後を見て焦った声で伝える。
「あはははははっ!」
後ろから楽しげに笑う声が迫りくる。夏目からしてみれば、変人に襲われる恐怖が込み上げて何が何でも逃げ切りたい気持ちが強くなっていく。
「ちょっ!? ほんとになにっ!? 怖いって!」
全力で逃げる羽目になった。
変わり映えしない授業、教室でも何か変わるうようなことは起きない。普段と同じように過ごす。
午前の授業が全て終わりを告げるチャイムが鳴る。お昼休みだ。
「さて、どこで食べようか……」
今日のお弁当をどこで摂るか悩む夏目。
弁当箱が入った小さなバッグを持って教室を出ると、廊下で部活メンバーの秋山燐と東雲桜の二人に会う。
二人は巫女だ。燐は炎を操り、桜は結界を張る能力を宿している。
「おっ、燐と桜。今から、部室で昼食なんだけ二人もどうだ?」
「夏目じゃないか。すまない、風紀委員長に呼び出されていてな」
「夏目くん。ごめん、あたしたちのことは気にせず先に食べてて」
「ん? そうだったのか。分かった、じゃあな」
二人と別れ、部室へ。
美哉も、生徒会長こと東雲春人に用事があると生徒会に赴いている。
部室のソファーに座ると、ヨルムンガンドのお待ちかねのお弁当タイムだと言わんばかりに姿をさっそく見せた。
「夏目、早く早く!」
「はいはい。広げるから待った」
テーブルの上に美哉が、夏目とフェンリルたちに作ってくれたお弁当を広げる。テーブルの上に乗り、早く食べたいヨルムンガンドの体が揺れまくる。
弁当箱の蓋にヨルムンガンドの分を取り分ける。おにぎり、卵焼き、肉団子、ほうれん草のおひたし。
それを目の前に持っていくと目を輝かせがっつく。
「いただきます! はぐはぐっ」
フェンリルにも専用のお弁当を用意してくれている。丸い弁当の中身は白米の上に生姜焼きが乗った丼風だ。
「おおっ! さすが、美哉だ。いただきます」
そう言ってこちらも、はぐはぐっと嬉しそうに食べる。夏目も、ヨルムンガンドと兼用の二段の弁当を食べ頬が緩む。
「んっ~! 美味い!」
おにぎりの具は鮭、梅、おかかと定番だ。卵焼きも甘めでふんわり、肉団子も甘辛のタレが良い味を出し箸が止まらない。少し口の中が辛くなれば、ほうれん草のおひたしで口直し。
そうして静かで落ち着く部室で食事を済ませお茶を啜る夏目。
「あ~、美味しかった」
まったりした時間が流れる空間に足音が近づく。
美哉が来たのだと思った夏目は扉に視線を向ける。すると、バンッと勢いよく部室の扉が押し開けられ中に入ってきたのは先輩女子だ。
「……っ!」
ビクッと肩を揺らし、見知らぬ先輩を凝視する夏目。
神山学園では、男女共に学年ごとでネクタイまたはリボンの色が異なる。目の前の夏目を見下ろし、笑う彼女のネクタイの色は二年を示す赤色。つまり、美哉と同学年だということ。
彼女は、明るめの青色の髪に全体的にふんわりとし毛先がウェーブ、吊り目の金色の瞳がある場所を見つめる。
その視線の先には、一般人にはただのテーブルしか映らない箇所。しかし、彼女は口の端を上げ言う。
「ふーん。綺麗に隠れるわね」
「――――っ!?」
その一言に夏目はむろん、即座に彼の影に隠れたフェンリルとたったの一秒足らずで姿を透明化させ気配すらも消したヨルムンガンド、ここにいる全員が驚き身を固くさせた。
そして、彼女は夏目へ視線を戻し笑みを浮かべながら言い放つ。
「連行させてもらうわ、逢真夏目。いや、二ヶ月前に覚醒した新たな神殺し」
「なっ!? なんで……!」
目を開き、状況が読み込めない夏目へフェンリルが念話で叫ぶ。
『主、逃げよ! この女は危険やもしれぬ!』
ヨルムンガンドも同意見のようで夏目の首に巻きつき伝える。
『逃げよう! この人、ボクが見えてるよ!』
相棒たちの言葉にようやく体が動いた夏目は窓へ走る。ここは三階だが、神殺しの身体能力なら問題はない。
窓から飛び降り、地面へ難なく着地し全力で逃げ出す。
逃げ出す背中を眺めた彼女は、「ふっ、ふふはははははっ!」と高笑いに舌舐めずりをし同じく窓から飛び降り華麗に着地。
「面白いじゃない、私と鬼ごっことは。楽しませてもらうわ、逢真夏目」
彼女の高笑いを聞き、背後を振り返り叫ぶ。
「何者なんだよ!」
『そんなことはあとだ! よいから前を向き走るがよい!』
「うわっ!? 追いかけてきたよ! 逃げて!」
と、背後を見て焦った声で伝える。
「あはははははっ!」
後ろから楽しげに笑う声が迫りくる。夏目からしてみれば、変人に襲われる恐怖が込み上げて何が何でも逃げ切りたい気持ちが強くなっていく。
「ちょっ!? ほんとになにっ!? 怖いって!」
全力で逃げる羽目になった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜
美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊
ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め…
※カクヨム様にも投稿しています
※イラストはAIイラストを使用しています
魔眼の剣士、少女を育てる為冒険者を辞めるも暴れてバズり散らかした挙句少女の高校入学で号泣する~30代剣士は世界に1人のトリプルジョブに至る~
ぐうのすけ
ファンタジー
赤目達也(アカメタツヤ)は少女を育てる為に冒険者を辞めた。
そして時が流れ少女が高校の寮に住む事になり冒険者に復帰した。
30代になった達也は更なる力を手に入れておりバズり散らかす。
カクヨムで先行投稿中
タイトル名が少し違います。
魔眼の剣士、少女を育てる為冒険者を辞めるも暴れてバズり散らかした挙句少女の高校入学で号泣する~30代剣士は黒魔法と白魔法を覚え世界にただ1人のトリプルジョブに至る~
https://kakuyomu.jp/works/16818093076031328255
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる