偽りの神人 ~神造七代の反逆と創世~

ゆー

文字の大きさ
112 / 220
第五章 真実に近づく者たち

第一幕 新担任の正体は(1)

しおりを挟む
 六月の中旬、制服も夏服へ。

 教室は、普段以上に騒がしい。理由は担任が急遽、家の都合で辞めてしまい新しい担任が赴任することに。



 生徒たちはその新しい担任の話題で持ちきり。

 一方、夏目は全く興味がなく窓の外を眺め頭の中では先日の一件でいっぱいだった。



 紅が口にした人物。アザゼルとルシファー。

 美哉の説明を聞いたあと、夏目自身でも調べて分かったことがある。

 どちらも、元は神に仕える上級天使だったが命に背きかつ離反し自ら地獄へ堕ちた。



 アザゼルは、禁忌とされる人間の娘を娶り交わり、巨人を産み知識を与えた一団グリゴリの頭。

 ルシファーは、悪魔と呼ばれる存在であり王でもある。あの七つの大罪の傲慢を司り、悪魔の中で魔王と言われている。

 この二人共、存在も能力も規格外。



(おまけに、神から離反しているということは悪神側だろうし。俺たちの敵の可能性が高いんだよな……)



 そんな二人と戦わなければならない、と考えるだけで頭痛がする夏目だった。

 ホームルームが始まり、新担任が教室に入ってくる。その人物に、特に男子共が騒ぐ。



「ちょっ、めっちゃ美人じゃん!」

「オレ、このクラスで良かった!」

「担任が変わってくれてラッキー!」



 などと口々にする。

 藍色の髪と高身長、スーツの前のボタンが弾け飛ぶのではと思うほどの胸の大きさ、それに比べて細いくびれにタイツに包まれた美脚。

 教卓に立つ彼女が、黒板に名前を書き挨拶をした。



「初めまして、みなさん。瑠々川四音るるかわしおんと言います」



 笑顔で、見た目から優しい系のお姉さんの雰囲気を醸し出す。声にも優しさが滲み出る。



「新米教師ですが、生徒のみなさんに頼られるよう頑張りますのでよろしくお願いします」



 と、終始笑顔で四音の挨拶が終わる。

 女子からも優しげな教師で良かったと第一印象は好評。

 男子共は、体が動く度に揺れ動く胸やら美脚に鼻の下を伸ばし下心丸出し。



「はあー……」



 騒がしい教室の空気感にため息一つ。



「ん?」



 外を眺めていると、視線に気づき教卓へ顔を向けると四音と目が合う。というより、ずっと夏目を見つめているその姿を疑問に思う。



(なんか、ずっと俺の方を見てる気がするんだが……。なんで?)



 そうして、ホームルームも終わり授業が始まった。何事もなく、昼休みへ途中。

 夏目はいつも通り、部室へ向かおうと廊下へ出たところで呼び止められる。



「あ、逢真くん。ちょっといいかしら?」

「え、あ、はい」

「資料室への荷物運びを手伝ってほしいのだけどいいかしら?」

「えっ……」



 笑顔で頼まれ、断りたい気持ちがあったが教師の頼みを断るとあとが面倒になるかもしれない。そう思うと、引き受けるしかない。



「はあ、いいですけど」

「ありがとう。じゃあ、よろしくね」



 四音と共に、資料室へダンボールを抱え向かう。資料室の鍵を開け中へ、真ん中にテーブルが一つとパイプ椅子が二つ、四方が資料棚に囲まれカーテンが締め切り薄暗い。



「ちょっと待ってね。今、電気を点けるから」



 パチッ、と明かりが点く。



「逢真くん、そこのデーブルに置いてくれていいわよ」

「分かりました。じゃあ、俺はこれで失礼します」



 荷物運びも終わったので、早々に帰ろうとすると夏目を引き止める。



「待って!」

「えぇ……。まだあるんですか?」



 これ以上は手伝いたくないのが本心だ。このままでは昼休みが終わってしまう。そう思うと、嫌そうな顔になってしまうのも無理はないだろう。



「お願い、一緒に運んできた資料を片づけてほしいの!」



 一人では昼休みの時間中に終わらないと、涙目で訴えられる。

 上目遣い、困り果てた表情、これだけで他の男子なら落ちることだろう。だが、夏目には美哉がいるため落ちることはない。ただ面倒事を押しつけられた気分だ。



「……はあー、分かりました……」

「ほんと!? ありがとう、助かるわ!」



 渋々、手伝いを受ける羽目に。

 運んできたダンボールに中身の資料を棚に片づけていく最中、四音は夏目へいくつか質問を投げかける。



「逢真くんは部活に入っているの?」

「ええ、まあ、入ってます」

「あら、そうなのね。どの部なのかしら?」

「文系? だと思います」



 神話オカルト研究会をどう説明すればいいのか迷い、疑問形に答える夏目。四音は、特に気にした様子はなく手を動かしながら続ける。



「得意な科目や苦手な科目はある?」

「えっと、これといって特にないですかね……」

「そうなの? 普通はありそうなものだけど」

「そうですかね?」



 などと当たり障りない会話をする。抱えていた最後の資料を棚に片づけ終えた夏目。その背後に、音も気配も感じさせず近寄った四音。

 明かりが照らす人影に気づき振り返る夏目。



「ちょっ、近っ!? え、なな何ですか!?」



 驚き固まる夏目へ、四音は顔を近づけ至近距離で言う。



「”フェンリルとヨルムンガンド”とは、随分と仲が良いのね」

「なっ!?」



 四音の言葉に目を開き言葉を失う。



(な、なんで知ってるんだ!? ……っていうか、本当に近い! あと香水の香りがあまり好きじゃないし、何ていうか好みのタイプじゃないし、俺には美哉がいるから近寄られても困るっ!)



 気にするところはそこではないはずなのだが、色々とズレている夏目の内心。



 手を顔の前に出し、それ以上は近寄るなと態度で示すが四音はそのまま続けて言う。



「これなら、ともきっと仲良くなれそうで安心したわ」

「ふへぇっ……?」



 そう妖艶に微笑む四音の言いたいことが全く理解できず、瞬きを数回し固まった夏目。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊  ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め… ※カクヨム様にも投稿しています ※イラストはAIイラストを使用しています

魔眼の剣士、少女を育てる為冒険者を辞めるも暴れてバズり散らかした挙句少女の高校入学で号泣する~30代剣士は世界に1人のトリプルジョブに至る~

ぐうのすけ
ファンタジー
赤目達也(アカメタツヤ)は少女を育てる為に冒険者を辞めた。 そして時が流れ少女が高校の寮に住む事になり冒険者に復帰した。 30代になった達也は更なる力を手に入れておりバズり散らかす。 カクヨムで先行投稿中 タイトル名が少し違います。 魔眼の剣士、少女を育てる為冒険者を辞めるも暴れてバズり散らかした挙句少女の高校入学で号泣する~30代剣士は黒魔法と白魔法を覚え世界にただ1人のトリプルジョブに至る~ https://kakuyomu.jp/works/16818093076031328255

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...