偽りの神人 ~神造七代の反逆と創世~

ゆー

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第六章 機械仕掛けの神

神山学園壊滅03(5)

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(く、そ……。こいつをどうやれば、倒せるんだ……?)



 夏目は、必死に思考を巡らせ打破できる手段を考える。殺しても死なない悪神の倒し方、機体を消滅させても難なく復活し武器も本も健在。絡繰りを解くにも、見当がつかない現状に焦りだけが募っていく。

 それは夏目だけではなく、ここにいる全員が同じ。



(倒せないのなら……)



 夏目は考える。消滅も、殺しも意味がないのならここではない全くの別の場所、空間へ永遠に閉じ込めれることができればいいのではないかと。

 倒すのではなく、神を封印ならば可能ではと思いつく。

 そう思い至ると行動に起こしていた。紅の元へ駆け寄り、思いついたことをそのまま話す。



「紅! 悪神を倒すんじゃなくて、封印とか別の空間に閉じ込めるんだ!」

「そうか! でも、その方法はどうするのかな?」



 話を聞いた上で夏目へ訊く。



「え? ああ……えっと、あはは……」



 そこまでは考えていなかったと乾いた笑みで返す。これには紅も苦笑い、しかしいい考えだと思考を巡らせた。



「もう一度あのブラックホールを悪神に使わせよう。それであの空間に悪神を放り込む」



 悪神を睨みつけながら紅は言葉を続けた。



「言うのは簡単だけど、腕を斬って再生される前にブラックホールへ入れないといけないから、危険と隣り合わせで一歩間違えればオレたちは死ぬ。それでも夏目くんは、この案に乗るかい?」

「もちろん! 危険なのは今も変わりない。可能性があるのなら試す!」



 危険は承知の上で、紅の提案に夏目は即答で答えた。



「よし! じゃあやろう! 夏目くんは、悪神にブラックホールを使わせるために接近戦で相手を頼む。オレも援護する。ブラックホールを使ったらすぐ退避するんだ。そのあとは、オレが腕を噛み千切って機体を放り込む!」

「分かった! 行くぞ相棒たち!」



 紅の指示に頷き、フェンリルたちを連れて動く。悪神に接近し、ヨルムンガンドの尻尾で横殴る。



「むっ!?」



 よろめく機体だが反撃がくる。手に握る剣が振り下ろされた、それをヘルが瞬時に氷結させ砕く。その間に夏目は、フェンリルとの必殺技を練り上げ蒼炎を放つ。



「燃えろ!」



 至近距離からの蒼炎をまともに食らい、悪神の下半身が溶ける。



「小癪な!」



 怒りの声で溶けた下半身を復活させようとする悪神の頭上から、大量の水が注がれ左右から燐と真冬が斬り込む。



「ここだ!」

「私たちを忘れられては困るわ!」



 魔剣ダーインスレイヴ、聖剣デュランダルの斬撃。

 重力によって傷ついた体は、陽菜が全員の治療を施し戦闘に参加したのだ。脇腹を深々と斬り込まれ、胸元には美哉が投擲したグングニルが貫く。



「悪神、あなたはここで仕留めます!」

「フェニックス!」



 穴が空いた胸に、春人の命令でフェニックスが業火を流し込み内側から焼き尽くされる悪神。



「ぬぅぉおおおおおおおおおっ!」



 苦悶の声を上げ、遂に地上へ引き摺り降ろされた。

 下半身を失い、胸は穴を空け、全身から焦げ臭さを漂わせ火花を散らし武器を振るう力がない。



「……っ! 振るえずともよい! 消し去るのみ!」



 叫ぶ悪神に、紅が指示を飛ばす。



「全員退避! 備えろ!」



 その言葉に悪神から離れそれぞれ地面に神器を刺し、夏目はフェンリルにしがみつき踏ん張る。

 悪神は、狙い通りにもう一度ブラックホールを生み出し吸い込み始めた。そこへ紅が自ら接近、八岐大蛇が紅の体内から頭と首を伸ばし腕に噛みつく。

 その行動に驚く悪神だが紅に対して嘲笑う。



「何を思うたか、このまま飲まれ消滅するがよい!」

「はっ! それは貴様の方だ悪神! 大蛇、やってしまえ!」



 主の声に呼応した八岐大蛇が腕を噛み砕くと同時に紅は、地面に手をつき足蹴りで悪神の機体を突き飛ばす。

 その先はブラックホールだ。



「なにっ!?」



 これには悪神も焦り、紅の脚を残った手が掴み吸い込まれないよう悪あがきを見せる。

 紅は大蛇の尻尾を使って地面に這いつくばるが、徐々に剥がされ窮地に陥る。そこへ夏目が加勢に来た。



「お前だけが消滅しろ!」



 悪神に突進をかまし、紅の脚から手を引き剥がす。



「おのれぇぇえええええええええええええええええっ!!!!!」



 悪神は叫ぶ。夏目も吸い込まれそうになるが、紅が手首を掴み取りお互いに握りしめ耐える。

 悪神はそのまま為す術もなく、己が生み出したブラックホールに飲まれ消え失せた。

 ブラックホールも、生み出した本人がいなくなり消えていく。世界崩壊の陣も光の粒となり消え、勝利を確信した夏目が「勝った!」と叫び喜ぶ。



「ふー……」



 紅も息を吐き出し安堵。春人と真冬は、疲れ切りその場に座り込み陽菜が駆け寄る。燐と桜は抱き合い喜びを分かち合う。

 アザゼルとルシファーも、やっと終わったかと今度こそ力を解き胸を撫で下ろす。



「夏目!」

「美哉!」



 美哉は夏目に抱きつき、抱擁を交わし笑い合う。



 そう、勝利したと誰もが終わったのだと思い、だがそれが絶望への第一歩とは知らず――。

 ――夏目の影が揺らめき、フェンリルがそれに気づき叫ぶ。



「――っ!? 主! まだだ! その場から美哉と共に一刻も早く離れよ!」



 相棒の焦った声を聞き二人共に視線が下へ向いた瞬間、夏目は背中を、美哉は胸を二人して剣で貫かれた。



「――なっ……」

「――がはっ……」



 肉体に伝わる刺される感覚と衝撃。夏目の足元の影から伸びる機械の腕と剣。

 二人の口から血が吐き出され、剣は引き抜かれる。真っ赤な血飛沫が周囲に飛び散り、二人分の血溜まりを作った。

 夏目と美哉が倒れ込むのを見ていた仲間が叫ぶ――。
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