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第二部 第七章 終わりの始まり
神殺しに会う(2)
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昨日と同様に軽く朝食、というかお菓子で済ませて朝から神山町を目指し歩く。
瓦礫の山を越え、ひたすらに徒歩で進む。
「遥。わたし、お風呂に入りたい……」
「だね。ぼくも入りたい。あの地下施設を出てからシャワーすら浴びてないから」
「体は拭いてるけど、こう何日も入れないのは気持ち的にどうかと思うわ」
「……そこは、衛生的にじゃないかな?」
「え? わたしたちに衛生は考えなくてもよくない?」
「…………」
何故か、遥は黙り込みわたしを見る目がどこか残念そうに。
なによ? わたし、何か変なこと言った? わたしたちの体は、普通じゃないし外見も内面も常に綺麗に循環されるじゃない。何もしなくても、不純物を浄化して体に入り込む菌も一切なくなるし。風邪も引かない、病気にも罹らない、いつだって健康体。
そういう体だから、衛生なんて考えても意味がないのは事実でしょ。
「もう、何か言いたいことがあるなら言ってよ」
むぅ~、と膨れっ面になるわたしを見る遥は笑う。
「女の子的に、ちょっと残念な発言だと思った」
「ええ~! そんなにおかしなこと言った?」
「おかしくはないよ。でもそれ、ぼく以外の人には言っちゃダメ」
「言わないわよ。遥だからいいの」
笑みをこぼすわたしたち。こうして、遥と話すのは楽しい。こんな世界になっても、遥がそばにいてくれるだけで生きてやるって思えるから。
遥と楽しい会話をしていると、今では珍しいオープンカーを乗りこなす女性が一人停車させ降りてくる。
ゴーグルをかけた女性は、わたしたちに声を掛ける。
「徒歩で移動なんて危ないわ」
と。わたしたちからしてみれば、車で地上を走る彼女も危険では? などと思うが口にはしなかった。
女性はゴーグルを取りとりあえず自己紹介。
「私は、佐々木って言うの。地上に残っている人を、地下へ案内をしているの」
彼女、佐々木さんから聞く話では何でも仲間がデパートの地下を管理し、困っている人が入れば受け入れるとのこと。で、彼女はそこへ案内と物資の調達を担っている。
そんな佐々木さんの前に、わたしたちが二人で地上を歩いているのを見つけ地下へ行く当てがない、と思い声をかけたらしい。
「なるほどね。ごめんなさい、その案内は遠慮するわ」
「ぼくたち、目的があって徒歩で移動しているので」
「わたしたちは、神山町へ行きたいから」
「えっ!?」
その話を聞いた佐々木さんは驚愕の表情に。
……その反応はなによ?
「二人共、あそこへ行くのはやめた方がいいわ……。どこの街よりも危険で、化け物もいるから。向かえば確実に死ぬわ」
「「………………」」
佐々木さんの話に、遥と顔を見合わせ疑問符を浮かべる。
どういうこと? 確かに、神山町がどこの街よりも危険なのは百も承知よ。この崩壊世界の始まりだし。でも、化け物っていうのは初耳なんだけど……。
「立ち話もなんだから移動しましょう。私の車に乗ってちょうだい。ここよりも少しはマシな場所に連れて行ってあげるわ」
催促され、後部座席に乗り込み凸凹の道路を走るオープンカー。高台の方へ向かい車を停車させた。
見晴らしもよく、機械人形が襲いに来ればすぐに分かるわね。
「で、神山町にいると言う化け物について」
遥は、気になっていたことを佐々木さんに訊く。彼女は、知り合いが神山町に住んでいたらしく、その人が見たことを話してくれる。
「腕が八本あり、黒い体をした得体の知れない何かが老若男女の声を発しているのを見たそうなの」
「「…………」」
間違いないわ、それは悪神。
「他にも、黒いカラスのような羽を生やした男とコウモリのような翼を生やす女も見たって」
この二人は、きっと堕天使総督のアザゼルと魔王ルシファーでしょうね。
「狼や火の鳥、白い龍も見たと言っていたわ。そんな何かも分からない存在がいて、その上であの街の被害は尋常じゃないの。私は見たわけじゃないけど、ほとんどが倒壊し避難場所なんてないらしいわ。地下施設も崩落し、逃げる場所も何もないって。だから、生き延びた人たちは違う街に逃げ込んだそうなのよ。それで誰も神山町には近づかない」
佐々木さんの話で確信した。
わたしたちが捜す、神殺しは今も神山町にいる!
この話から推測すると、神殺しと神獣が住民に姿を見られた以上、他の場所で姿を晒すはずがないわ。
化け物と呼ばれ、機械人形の仲間などと思われる可能性があるのだから。
何より、あのアザゼルやルシファーも一緒だと考えれば、神山町に残り人間の目を気にせず悪神と戦うための準備をしていてもおかしくはないはず。
わたしと遥は知っている。総督と魔王が悪神と敵対していることを。そして、神殺しも真実を知り悪神と一度は戦いおそらく敗北した……。
「遥。さっきの話だけど、狼や火の鳥、白い龍は間違いなく神獣よね?」
「うん。おそらく、フェンリルとフェニックス、レヴィアタンじゃないかな」
「神山町に行かないと」
「ん。行こう、奏」
コソコソと話す。わたしたちは、何が何でも神山町に行かないといけない。
悪神が世界を我が物にした時、表舞台に立つと密かに決めていたこと。何度、転生しようとこれだけは変えられない決意。
悪神と敵対するのは、何も神殺したちだけじゃないのよ。
わたしと遥、〝転生体〟である自分たちも地球という惑星を手に入れた悪神を滅ぼす存在なんだから。
「話は分かったわ。それでも、わたしたちは神山町に行く」
「き、危険だわ!」
わたしの言葉に、佐々木さんは止めようとするけど遥が首を横に振り拒否を示す。
これは、わたしたち二人の意思。誰の意見も聞かないわ。
これ以上、何を言っても聞かないだろうと判断した佐々木さんは一言「そう……」と返すだけ。
しばらく思案し、一つ提案を述べる。
「なら、近くまで私の車で送るわ」
「え、いいわよ。そこまでする必要なんてないし……」
佐々木さんの申し出に遠慮するわたしに、
「このまま、見送るのはちょっと気が引けるの。それにこれは、私の自己満足のためにやるだけだから気にしないで」
「……そう。ありがとう。じゃあ、お願いするわ」
そう言われては、断れないし足があるのは正直ありがたい。わたしたちは、佐々木さんの申し出を受け入れることに。
瓦礫の山を越え、ひたすらに徒歩で進む。
「遥。わたし、お風呂に入りたい……」
「だね。ぼくも入りたい。あの地下施設を出てからシャワーすら浴びてないから」
「体は拭いてるけど、こう何日も入れないのは気持ち的にどうかと思うわ」
「……そこは、衛生的にじゃないかな?」
「え? わたしたちに衛生は考えなくてもよくない?」
「…………」
何故か、遥は黙り込みわたしを見る目がどこか残念そうに。
なによ? わたし、何か変なこと言った? わたしたちの体は、普通じゃないし外見も内面も常に綺麗に循環されるじゃない。何もしなくても、不純物を浄化して体に入り込む菌も一切なくなるし。風邪も引かない、病気にも罹らない、いつだって健康体。
そういう体だから、衛生なんて考えても意味がないのは事実でしょ。
「もう、何か言いたいことがあるなら言ってよ」
むぅ~、と膨れっ面になるわたしを見る遥は笑う。
「女の子的に、ちょっと残念な発言だと思った」
「ええ~! そんなにおかしなこと言った?」
「おかしくはないよ。でもそれ、ぼく以外の人には言っちゃダメ」
「言わないわよ。遥だからいいの」
笑みをこぼすわたしたち。こうして、遥と話すのは楽しい。こんな世界になっても、遥がそばにいてくれるだけで生きてやるって思えるから。
遥と楽しい会話をしていると、今では珍しいオープンカーを乗りこなす女性が一人停車させ降りてくる。
ゴーグルをかけた女性は、わたしたちに声を掛ける。
「徒歩で移動なんて危ないわ」
と。わたしたちからしてみれば、車で地上を走る彼女も危険では? などと思うが口にはしなかった。
女性はゴーグルを取りとりあえず自己紹介。
「私は、佐々木って言うの。地上に残っている人を、地下へ案内をしているの」
彼女、佐々木さんから聞く話では何でも仲間がデパートの地下を管理し、困っている人が入れば受け入れるとのこと。で、彼女はそこへ案内と物資の調達を担っている。
そんな佐々木さんの前に、わたしたちが二人で地上を歩いているのを見つけ地下へ行く当てがない、と思い声をかけたらしい。
「なるほどね。ごめんなさい、その案内は遠慮するわ」
「ぼくたち、目的があって徒歩で移動しているので」
「わたしたちは、神山町へ行きたいから」
「えっ!?」
その話を聞いた佐々木さんは驚愕の表情に。
……その反応はなによ?
「二人共、あそこへ行くのはやめた方がいいわ……。どこの街よりも危険で、化け物もいるから。向かえば確実に死ぬわ」
「「………………」」
佐々木さんの話に、遥と顔を見合わせ疑問符を浮かべる。
どういうこと? 確かに、神山町がどこの街よりも危険なのは百も承知よ。この崩壊世界の始まりだし。でも、化け物っていうのは初耳なんだけど……。
「立ち話もなんだから移動しましょう。私の車に乗ってちょうだい。ここよりも少しはマシな場所に連れて行ってあげるわ」
催促され、後部座席に乗り込み凸凹の道路を走るオープンカー。高台の方へ向かい車を停車させた。
見晴らしもよく、機械人形が襲いに来ればすぐに分かるわね。
「で、神山町にいると言う化け物について」
遥は、気になっていたことを佐々木さんに訊く。彼女は、知り合いが神山町に住んでいたらしく、その人が見たことを話してくれる。
「腕が八本あり、黒い体をした得体の知れない何かが老若男女の声を発しているのを見たそうなの」
「「…………」」
間違いないわ、それは悪神。
「他にも、黒いカラスのような羽を生やした男とコウモリのような翼を生やす女も見たって」
この二人は、きっと堕天使総督のアザゼルと魔王ルシファーでしょうね。
「狼や火の鳥、白い龍も見たと言っていたわ。そんな何かも分からない存在がいて、その上であの街の被害は尋常じゃないの。私は見たわけじゃないけど、ほとんどが倒壊し避難場所なんてないらしいわ。地下施設も崩落し、逃げる場所も何もないって。だから、生き延びた人たちは違う街に逃げ込んだそうなのよ。それで誰も神山町には近づかない」
佐々木さんの話で確信した。
わたしたちが捜す、神殺しは今も神山町にいる!
この話から推測すると、神殺しと神獣が住民に姿を見られた以上、他の場所で姿を晒すはずがないわ。
化け物と呼ばれ、機械人形の仲間などと思われる可能性があるのだから。
何より、あのアザゼルやルシファーも一緒だと考えれば、神山町に残り人間の目を気にせず悪神と戦うための準備をしていてもおかしくはないはず。
わたしと遥は知っている。総督と魔王が悪神と敵対していることを。そして、神殺しも真実を知り悪神と一度は戦いおそらく敗北した……。
「遥。さっきの話だけど、狼や火の鳥、白い龍は間違いなく神獣よね?」
「うん。おそらく、フェンリルとフェニックス、レヴィアタンじゃないかな」
「神山町に行かないと」
「ん。行こう、奏」
コソコソと話す。わたしたちは、何が何でも神山町に行かないといけない。
悪神が世界を我が物にした時、表舞台に立つと密かに決めていたこと。何度、転生しようとこれだけは変えられない決意。
悪神と敵対するのは、何も神殺したちだけじゃないのよ。
わたしと遥、〝転生体〟である自分たちも地球という惑星を手に入れた悪神を滅ぼす存在なんだから。
「話は分かったわ。それでも、わたしたちは神山町に行く」
「き、危険だわ!」
わたしの言葉に、佐々木さんは止めようとするけど遥が首を横に振り拒否を示す。
これは、わたしたち二人の意思。誰の意見も聞かないわ。
これ以上、何を言っても聞かないだろうと判断した佐々木さんは一言「そう……」と返すだけ。
しばらく思案し、一つ提案を述べる。
「なら、近くまで私の車で送るわ」
「え、いいわよ。そこまでする必要なんてないし……」
佐々木さんの申し出に遠慮するわたしに、
「このまま、見送るのはちょっと気が引けるの。それにこれは、私の自己満足のためにやるだけだから気にしないで」
「……そう。ありがとう。じゃあ、お願いするわ」
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