偽りの神人 ~神造七代の反逆と創世~

ゆー

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第二部 第七章 終わりの始まり

神殺しに会う(4)

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 道らしい道はなく、そこら中に機械人形のバラバラになった機体が転がり、赤色だったり別の色だったりの血溜まりを作っていた。

 どこを見渡しても無事な建物なんかないし、たぶん戦いの爪痕で壊れた場所もいっぱいあるし、人の気配も感じられない異様な場所。

 歩くわたしたちの足元に当たったのは、やっぱり機械人形の残骸と道路に深く刻まれた三本の引っ掻いた爪痕。



「この破壊の痕……」

「間違いないと思う」



 残骸を拾い、断面を見てみれば獣の爪で抉られ破壊された痕や太い何かに貫かれた穴、頭や腕とか足を強引に引き千切った痕も確認できた。

 機械人形をこんな風に破壊できるのは神殺しと、契約している神獣に他ならない。



「やっぱり、神殺しと神獣はここにいるわ」

「捜そう」



 確信したわたしたちは、さっそく人捜しと情報収集に取り掛かる。

 街だった場所を歩き回ること一時間、誰一人として会うことはなくその上、野良猫や鳩すら見当たらない。



「って、なんで何もないのよ! おかしいでしょ!? 誰にも会わない、動物すらいないって!」

「街だけじゃなく、ここ全体が異様なのかも」

「もう! 神山町はどうなってるの!」



 二人揃って途方に暮れる。どこか無事の地下への入り口を探すことにして、これまた一時間ほど歩きようやく見つけた。

 地下鉄への入り口ね。懐中電灯で階段を照らしゆっくり降りていく。改札へ続く道を歩き更に奥のホームへ。



「え……? ま、待って……。これはなに? なんなの……?」

「……住むためじゃないね、どう見ても。意図的にしたのか、他の理由があるのか……」



 わたしたちがそこで見たのは、隠れて暮らす人々ではなく血塗れに積み上げられた機械人形と、様々な姿を一つにしたキメラの人形たちの残骸。



「く、臭い……」

「あまり嗅がない方がいいよ」



 血生臭さが充満し、思わず鼻を摘むほどの異臭を放つ空間。

 どうして、地下には決して降りてこないはずの機械人形の死骸が、天井に届くほど無造作に積み上げられ、異臭を放つほど放置されているのか理解できないわ……。

 立ち竦むわたしと遥の背後から気配もなく声が掛けられた。



「ここで何をしている?」



 と、女性にしては少し低めの声。



「「…………っ!」」



 同時に振り返ると、そこには手から炎を燃やしそれを明かり代わりにしている赤髪の女性だ。碧眼がわたしたちを見つめ、その目から強気な印象を与える。

 もう一度、彼女は問う。



「ここで何をしている? 見ない顔だ。よそ者だな? 何をしにこの町へ来た?」



 男勝りな話し方。見るからに、ただの人間ではないことは明白だわ。神殺しかと考えるけど、神獣が見当たらない。ということは、御三家の巫女。

 そう考えが至り、わたしが答える。



「わたしたちは、ある人を捜してるの」

「ある人?」

「ええ。――神殺しに会うために、この神山町に来たの。あなたは、巫女よね?」



 わたしの質問に、炎を操る巫女は何も答えない。

 警戒されたかも……。そう思っていると、奥から更に別の人物が姿を見せた。

 黒いフードを深めに被った人。その傍らには、灰色の狼とその背に蒼く澄んだ鱗を持つ蛇。



「「――――っ!」」



 それだけで、わたしたちはこの人が神殺しだと理解する。

 フードの人物は、わたしたち二人に向かって言う。



「貴様ら、ここへ来る途中で飛行タイプの機械人形を殺していたな。あの力はなんだ? 答えろ」



 冷たくて低い、命令形の口調に男の声だ。わたしは、彼に向かって返す。



「あなたと、わたしたち三人で話がしたいわ。隣のお姉さんには退席をお願いしたいの」



 隣の赤髪の彼女は、明らかに警戒と不機嫌さを表情から出る。しかし、男の方は口元しか見えず分からなかったけどあっさりと了承する。



「いいだろう。ついて来い」



 それに対して彼女は男を引き止める。



「ま、待て! そんなあっさり受けてどうする!? 罠だったらどうする気だ!? この二人が危険ではないと言い切れないだろ!?」

「そうだな。機械人形を殺したあの黒炎の弾丸、それにこの空間を見ても気が動転しない当たり、ただの人間ではないだろうな。俺を罠に嵌め、殺すというのなら容赦はしない。腸を引きずり出して四肢を引き千切って、頭をかち割って脳みそをぶち撒けて殺すまでだ」



 ちょっ!? そこまでする普通!?

 物騒な上に、エグいことをさらりと言う彼に対して二人揃って背筋が凍え身震いする。

 な、なんなのこの神殺しは!? 思考回路がぶっ飛んでるんだけど!?

 巫女の方は、ため息を吐き出すだけで困ったように言う。



「分かった……。そこまで言うなら、わたしは何も言わない。ただし無事に帰ってくること、あまり先輩を一人にするな」

「ああ。すぐ帰る」



 話が終わり彼女は一人帰っていく。その背中を見送った彼は、わたしたちに向かって顎で示す。来い、ってことね。彼の後ろをついて行く。

 地下鉄を出て地上に戻ってくるとそこから、またしばらく歩き住宅街だった場所へ。瓦礫の山を三度ほど越え辿り着いたのは、半壊した屋敷で表札が残っており『雪平』と読める。



「こっちだ」



 彼は、そう言いながら歩き出し案内されたのは離れの方。そこには何もなく、ただ開けた場所。

 えっと、ここで何をするつもりなの?

 わたしの疑問をよそに、彼が手ををかざすと氷の椅子とテーブルが唐突に現れる。

 ……っ! この力、神獣が持つ元来の神通力! この人、人の身でありながら元来の神通力が使えるの!? 神殺しは、与えられた力の一部というか紛い物の神通力しか扱えないはず。

 でも、目の前で見たあれは間違いなく神の子の力だわ。

 椅子に座り、フードを取る彼がわたしたちを交互に見つめ問う。



「さて、貴様らが何者なのか話してもうぞ? そして何故、神殺しに会いたいのかその理由もな」



 白髪に黒目だが、その目つきは鋭く冷徹さを感じさせる。低い声からして、冷たい印象を抱いていたけどハイライトのない目は虚ろに見えるし、表情も明るいとか優しそうなどは感じない。



「遥……」

「ん」



 わたしは遥に声を掛け用意された椅子に座り、彼と真正面から向き合う。
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