偽りの神人 ~神造七代の反逆と創世~

ゆー

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第二部 第七章 終わりの始まり

第四幕 悪神の子たる三男(1)

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 後日、アザゼルたち三人が戻ってきた。これで仲間全員が、本当の意味で揃う。



「美哉ちゃん!」

「目覚めたのか!」

「良かったわ!」



 紅、アザゼル、四音が美哉の姿を見て安心し笑顔になる。

 で、何度目か分からない奏と遥の自己紹介(内容は省略)を。話を聞いたアザゼルと四音が驚く。



「まさか、転生体の二人が自ら俺たちに接触してくるとはな」

「でも、仲間になってくれたことに感謝するわ」

「わたしと遥の話をそんな簡単に信じるの?」

「ぼくたちが、二人にとって敵の可能性だってあると思うけど?」

「ははっ! もし、そうなら夏目が真っ先に反応を見せてるだろうよ。あいつは、仲間だと信じた者には優しいが、敵だと判断した奴には容赦ないからな」

「ええ。そんな逢真くんがこうして紹介してくれて、その上で二人の話を聞く限りわたしたちの敵とは思えないもの」

「これが、堕天使総督と魔王の器……」

「広いというか大きい……」



 アザゼルの言う通り、敵と判断した奴に情けも容赦もかけない。確実に殺す、それが俺のやり方だからな。

 さて、紹介も終わり先日の間にメンバーで話し合った内容を三人に教える。



「その方がいいね。どうやら、悪神もオレたちに気づいたようだし。あの戦いで戦う力を失ったと思い込んだ悪神、けれど偵察や弱った今、仕留めるさせるため機械人形を神山町に送り込んだけど戻ってくることはない。それで気づかないはずがないからね。おそらく近いうちに、何か行動を起こすはず。その前に、こちらも本格的に動き出した方がいい」



 やはりか……。ここ二ヶ月ほどで、攻め込む数やその日数が増加していたからもしやと思っていたが。

 紅の話に険しくなり、それにつけ加えるよう四音が伝える。



「塔の建設は、着実に進んでいるわ。奴隷となった人たちは、心身共に限界でいつ死人が出るか分からない危険な状態。機械人形を産むための母体となった人たちも、精神が壊れてしまい生きた屍のようになっていたわ……」

「「………………」」



 奏と遥は、二人揃って俯き互いの手を握り合う。

 おそらく、二人は何度も拉致られていく人々を見てきたのだろう。ウロボロスの転生体であり、助けられる力は確かにあるが、誰でも彼でも助けるのに力を使い続ければ、悪神に転生が露見してしまい今となっては邪魔な存在だと確実に殺しにくるだろうな。

 それを避けるため、できる限り力を使わなかった。がしかし、負い目だろうか、それとも救える能力がありながら目を背けた責任か、罪か、そんな重みが伸し掛かったか。

 暗い顔になる二人の頭を唐突に撫でる。



「な、夏目お兄さん……?」

「お兄さん……?」

「お前たちが負い目や責任、罪を感じる必要はない。悪神に気づかれ、殺される方が俺にとっては痛手だ。正体を隠すのは必然だろ。人間は違う存在を目にした時、化け物だの悪神の仲間だの勝手に思い込み、批難し蔑み物を投げつけ遠ざけるだろうな。だから、深く考えることはない。今は、俺たちと共に悪神を殺すことだけを考えろ」

「「…………っ!」」



 二人共に、顔を上げ同じ表情になる。俺の言い分に、少しは気持ちが軽くなったようだ。

 段取りが決まれば、さっそく準備に取り掛かることに。

 収納魔法陣を四音が展開し、残っている食料や飲料、日用品から必要な物を全て投げ込む。便利な力でだ、腐ることもなく無限に入れられる。

 俺とアザゼルは、別の場所に移動し二人で話をする。

 悪神の復活する絡繰りについてだ。この半年、アザゼルはありとあらゆる方法で調べていた。そして、判明したことがある。



「殺す方法は、次元の狭間に隠した鼓動する球体の破壊。それ以外では、何度でも機体を完全復活させられる。問題は、その次元の狭間に隠したという心臓の在り処についてだ」



 アザゼル曰く、〝次元の狭間〟は特定の場所ではなく様々な次元が入り交じる宇宙空間のようなところ。無重力で上下左右の感覚もなく、見渡す限り同じ景色が続き時間の概念もない。

 そんな場所に、長時間いれば人間の思考回路も精神も壊れ廃人となりかねないらしい。



「こんな場所のどこに隠したのか、それが分からないと破壊できないのが厄介なところだ」



 アザゼルの話を聞く俺も腕を組み難しい顔に。

 心臓を探す間、あの機械仕掛けの神と殺し合い続けなければならない。それで一度は、敗北し殺すのに失敗しているからな。

 次元の狭間に行くのなら、隠した心臓の在り処を見つけてからの方が賢明。

 チッ。殺す方法が分かったとしても、また一つ厄介なことが増える。クソだな、悪神という存在は。



「それともう一つ、悪神が手にしていた本についても調べている最中だ。心臓の在り処と、あの二冊の本について何か分かればまた教える」



 アザゼルはそう言い残しその場を離れる。その背中を見送り、しばらくその場に留まり考え込む。



 ……誰が悪神の相手をするのか、誰が心臓を破壊するべく次元の狭間に赴くのか。心臓を護る悪神の半身がいる可能性もあり得ると考慮し、神殺し一人と神獣で赴くか数人の仲間を連れて行くべきか。

 だが、そうすれば現実で戦う人数が減り戦力的に厳しく、最悪の場合は全員が死んでしまうことも。



 それに、あの二冊の本も気になるとこだ。アザゼルが調べている最中ではあるが、あれはいったい何なんだ? 

 天変地異を起こす、神であればそれくらい簡単だろうが。

 悪神は所詮、機械仕掛けの存在だ。己の力では、引き起こせないから別の力を使って起こしている。

 俺とアザゼルは、そう推測しているがやはり何も分からないのでは不安要素でしかない。



「はあー……」



 考えることが多くため息が出る。
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