15 / 48
15.全てお父様の所為だった
しおりを挟む
村に帰ったら、家族は全員いなかった。メイジーさんはいたが、みんな旅行に出かけた、と言われただけだった。4歳の息子が1月も留守にしてたのに、誰にも気にされていなかった。
お父様の家で、泣きながら自習をしていたら、3日後に帰ってきた。
「おかえりなさい」
「貴様は、何を考えている!!」
挨拶をしただけで、怒鳴られた。お父様の怒りは、まったくとけていなかった。むしろ、家を空ける前より悪化していた。眼光が鋭すぎる。怖い。気にされていないのではなく、捨てられた後だったのか。
「どうした?」
私は、怖くて泣くことしかできなかったが、お父様の声を聞きつけたのだろう、父さんも家にあがってきた。そして、私を見るなりナイフを抜いた。
お父様相手に、ナイフなど役に立たない。間違いなく、私相手に抜いている。父さんにまで、そんな扱いをされるなんて、ショックだ。
「琥珀、目をつぶれ。すぐに済む」
父さんが、こちらに近付く気配をみせた。
「地! 壁!」
父さんがどこを狙っているかは知らないが、私は、魔法で壁を作り出し、それを防いだ。
「何をしてるんだ。危ないだろう。それは、駆除指定モンスターだぞ。わかってるのか?」
「わかっていないから、壁を作ったのだろう」
壁の向こうで、父二人が何かを言っている。駆除指定モンスター? 私は、モンスターではないと思う。であるならば。
私は、土壁を消した。
「エスメラルダは、私の大切な方です。倒すなら、せめて私を先にやって下さい」
「、、、、、エスメラルダ? 名前を付けたのか?」
父さんは、ナイフを収めてくれた。殺気も感じない。話せば分かってくれそうだ。
「はい。とても可愛いらしいでしょう? 私の理想を具現化したような存在なのです。紹介したいと思い、連れてきました」
何か誤解があったようだが、エスメラルダの素晴らしいところを話して聞かせないといけない。
「シュバルツ、俺は、この現象を知っている。猫と同じだ。認めてやらないと、琥珀はこの後、毒キノコを食べるぞ」
「なんでも俺の所為にするな」
「翡翠にすら、お前の所為だと言われていたろう。次の子の養育には、口を出すなよ」
「教育は必須だ」
「勉強だけ担当してろ。だがその前に、これをなんとかしろよ」
「わかった」
お父様は、部屋から出て行った。
「琥珀、エスメラルダは、どう見ても緑小鬼にしか見えない。村人が怖がるから、しばらくはこの家から出すなよ。悪いようにはしないから」
「はい」
なんだかよくわからないが、解決したようだ。
毒キノコなんて食べる予定はなかったけれど、何の話だったんだろうか。
次の朝、エスメラルダに髪の毛が生えていた。生え替わりの時期だったのだろうか。言うのも失礼かと思って、気付かないフリをした。
次の日は、顔からシワがなくなっていた。水や食べ物が変わったからだろうか? 具合が悪いのでなければいいのだが。エスメラルダのために、森で暮らした方がいいだろうか。
次の日は、エスメラルダが人語をしゃべった。
「こ、はく、さま」
しゃべっても、何を言ってるのか全くわからないところが良かったのに、なんでだ!
「お父様、エスメラルダに何をしたんですか? 毎日毎日やめてください!」
ここ数日、私の勉強を放ったらかしで、実験室にこもりっきりのお父様に、苦情を申し立てに行った。
「俺は、何もしていない。その緑小鬼は、通常個体より賢いだけだろう」
無表情で、堂々とした態度だが、言ってるそばから、謎の液体をエスメラルダに渡していた。
「だったら、その黒い液体は、何なのですか!」
「本来なら、これはお前がやらなければならない作業だ」
黒い液体を飲んだエスメラルダは、少し手足がふっくらした。
「エスメラルダは、琥珀の大切な存在だと言ったな?」
「はい」
子ども部屋に戻って、説教が始まってしまった。これは、とても長そうだ。
「エスメラルダは、本当に琥珀の理想なのか? 理想を押し付けているだけじゃないのか?」
「エスメラルダは、とても可愛い顔立ちで、料理が得意で、優しいのです。弱くて、細くて、壊れてしまわないか、とても心配なのですが、側にいてくれるだけで幸せな気分になれるのです」
「、、、、、」
無表情だったお父様の顔色が、真っ青になっている。どうしたのだろうか。拾い食いが大好きなお父様だが、変な物でも食べたのだろうか。
「そ、そこまで想っているのであれば、エスメラルダの幸せも考えろ。このままでは、駆除指定モンスターだ。お前と共にあるだけで、死と隣り合わせだ。共にあるために、人に近付こうと努力をしている相手を、琥珀は否定するのか? 見目が変われば、冷める程度の思いなのか?」
「そんな軽い気持ちではないつもりですが、見た目も大好きなのですよ。できたら、変わって欲しくはありません」
「、、、、、大丈夫だ。その気持ちが本物なら、見た目がどう変わろうと愛せる。最初は戸惑うが、しばらくすれば、慣れる。それよりも、エスメラルダの幸せを考えてやれ」
なんだかよくわからないが、お父様がお母様のためにした過去の経験談の話を沢山された。
お母様が欲しいと言ったから、蛇口からお湯が出るようにしたという話は聞いたことがあったが、序の口だった。お母様が分裂して2人に増えたから、両方愛することにしたとか、お母様の幸せを思って自殺をしたら、生き返れとお願いされて生き返ったとか、お母様の理想郷を作るために念のために世界征服計画を用意しているなどと言われても、何の参考にしたらいいのだろう。エスメラルダは分裂しないし、私が死ぬ必要もなさそうだし、世界征服はただのお父様の趣味だろう。
一通りよくわからない話をして満足したのか、俺の所為だった、と言い残して、お父様は実験室に帰って行った。
お父様の家で、泣きながら自習をしていたら、3日後に帰ってきた。
「おかえりなさい」
「貴様は、何を考えている!!」
挨拶をしただけで、怒鳴られた。お父様の怒りは、まったくとけていなかった。むしろ、家を空ける前より悪化していた。眼光が鋭すぎる。怖い。気にされていないのではなく、捨てられた後だったのか。
「どうした?」
私は、怖くて泣くことしかできなかったが、お父様の声を聞きつけたのだろう、父さんも家にあがってきた。そして、私を見るなりナイフを抜いた。
お父様相手に、ナイフなど役に立たない。間違いなく、私相手に抜いている。父さんにまで、そんな扱いをされるなんて、ショックだ。
「琥珀、目をつぶれ。すぐに済む」
父さんが、こちらに近付く気配をみせた。
「地! 壁!」
父さんがどこを狙っているかは知らないが、私は、魔法で壁を作り出し、それを防いだ。
「何をしてるんだ。危ないだろう。それは、駆除指定モンスターだぞ。わかってるのか?」
「わかっていないから、壁を作ったのだろう」
壁の向こうで、父二人が何かを言っている。駆除指定モンスター? 私は、モンスターではないと思う。であるならば。
私は、土壁を消した。
「エスメラルダは、私の大切な方です。倒すなら、せめて私を先にやって下さい」
「、、、、、エスメラルダ? 名前を付けたのか?」
父さんは、ナイフを収めてくれた。殺気も感じない。話せば分かってくれそうだ。
「はい。とても可愛いらしいでしょう? 私の理想を具現化したような存在なのです。紹介したいと思い、連れてきました」
何か誤解があったようだが、エスメラルダの素晴らしいところを話して聞かせないといけない。
「シュバルツ、俺は、この現象を知っている。猫と同じだ。認めてやらないと、琥珀はこの後、毒キノコを食べるぞ」
「なんでも俺の所為にするな」
「翡翠にすら、お前の所為だと言われていたろう。次の子の養育には、口を出すなよ」
「教育は必須だ」
「勉強だけ担当してろ。だがその前に、これをなんとかしろよ」
「わかった」
お父様は、部屋から出て行った。
「琥珀、エスメラルダは、どう見ても緑小鬼にしか見えない。村人が怖がるから、しばらくはこの家から出すなよ。悪いようにはしないから」
「はい」
なんだかよくわからないが、解決したようだ。
毒キノコなんて食べる予定はなかったけれど、何の話だったんだろうか。
次の朝、エスメラルダに髪の毛が生えていた。生え替わりの時期だったのだろうか。言うのも失礼かと思って、気付かないフリをした。
次の日は、顔からシワがなくなっていた。水や食べ物が変わったからだろうか? 具合が悪いのでなければいいのだが。エスメラルダのために、森で暮らした方がいいだろうか。
次の日は、エスメラルダが人語をしゃべった。
「こ、はく、さま」
しゃべっても、何を言ってるのか全くわからないところが良かったのに、なんでだ!
「お父様、エスメラルダに何をしたんですか? 毎日毎日やめてください!」
ここ数日、私の勉強を放ったらかしで、実験室にこもりっきりのお父様に、苦情を申し立てに行った。
「俺は、何もしていない。その緑小鬼は、通常個体より賢いだけだろう」
無表情で、堂々とした態度だが、言ってるそばから、謎の液体をエスメラルダに渡していた。
「だったら、その黒い液体は、何なのですか!」
「本来なら、これはお前がやらなければならない作業だ」
黒い液体を飲んだエスメラルダは、少し手足がふっくらした。
「エスメラルダは、琥珀の大切な存在だと言ったな?」
「はい」
子ども部屋に戻って、説教が始まってしまった。これは、とても長そうだ。
「エスメラルダは、本当に琥珀の理想なのか? 理想を押し付けているだけじゃないのか?」
「エスメラルダは、とても可愛い顔立ちで、料理が得意で、優しいのです。弱くて、細くて、壊れてしまわないか、とても心配なのですが、側にいてくれるだけで幸せな気分になれるのです」
「、、、、、」
無表情だったお父様の顔色が、真っ青になっている。どうしたのだろうか。拾い食いが大好きなお父様だが、変な物でも食べたのだろうか。
「そ、そこまで想っているのであれば、エスメラルダの幸せも考えろ。このままでは、駆除指定モンスターだ。お前と共にあるだけで、死と隣り合わせだ。共にあるために、人に近付こうと努力をしている相手を、琥珀は否定するのか? 見目が変われば、冷める程度の思いなのか?」
「そんな軽い気持ちではないつもりですが、見た目も大好きなのですよ。できたら、変わって欲しくはありません」
「、、、、、大丈夫だ。その気持ちが本物なら、見た目がどう変わろうと愛せる。最初は戸惑うが、しばらくすれば、慣れる。それよりも、エスメラルダの幸せを考えてやれ」
なんだかよくわからないが、お父様がお母様のためにした過去の経験談の話を沢山された。
お母様が欲しいと言ったから、蛇口からお湯が出るようにしたという話は聞いたことがあったが、序の口だった。お母様が分裂して2人に増えたから、両方愛することにしたとか、お母様の幸せを思って自殺をしたら、生き返れとお願いされて生き返ったとか、お母様の理想郷を作るために念のために世界征服計画を用意しているなどと言われても、何の参考にしたらいいのだろう。エスメラルダは分裂しないし、私が死ぬ必要もなさそうだし、世界征服はただのお父様の趣味だろう。
一通りよくわからない話をして満足したのか、俺の所為だった、と言い残して、お父様は実験室に帰って行った。
0
あなたにおすすめの小説
お言葉ですが今さらです
MIRICO
ファンタジー
アンリエットは祖父であるスファルツ国王に呼び出されると、いきなり用無しになったから出て行けと言われた。
次の王となるはずだった伯父が行方不明となり後継者がいなくなってしまったため、隣国に嫁いだ母親の反対を押し切りアンリエットに後継者となるべく多くを押し付けてきたのに、今更用無しだとは。
しかも、幼い頃に婚約者となったエダンとの婚約破棄も決まっていた。呆然としたアンリエットの後ろで、エダンが女性をエスコートしてやってきた。
アンリエットに継承権がなくなり用無しになれば、エダンに利などない。あれだけ早く結婚したいと言っていたのに、本物の王女が見つかれば、アンリエットとの婚約など簡単に解消してしまうのだ。
失意の中、アンリエットは一人両親のいる国に戻り、アンリエットは新しい生活を過ごすことになる。
そんな中、悪漢に襲われそうになったアンリエットを助ける男がいた。その男がこの国の王子だとは。その上、王子のもとで働くことになり。
お気に入り、ご感想等ありがとうございます。ネタバレ等ありますので、返信控えさせていただく場合があります。
内容が恋愛よりファンタジー多めになったので、ファンタジーに変更しました。
他社サイト様投稿済み。
【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした
きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。
全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。
その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。
失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。
【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。
138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」
お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。
賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。
誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。
そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。
諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる