35 / 48
34.家族への思いを暴露する
しおりを挟む
ダンジョンを出て、帰ろうとしたところで、父さんに出会った。鳥でも獲ってきたのだろうか。獲物らしきものは、袋に入れられていて、何だかわからなかった。
「おかえりなさい。狩りの帰りですか?」
「ああ、ただい、ま? 琥珀、今度は、何を始めた?!」
何を答える前に、抱き上げられ、運ばれた。
父さんは、持ってた荷物を放り投げ、私をさらうかの如く抱えたら、走り始めたのだが、何があったのだろうか。
「どうなさったのですか? 私は、緑小鬼キングごっこをして遊んでいただけですよ」
「それは説明になってない。シュバルツ、薬を持ってこい! 100個はいるぞ!!」
父さんは、お父様の家にズカズカ上がり込み、私を子ども部屋の1つに押し込めると、服をむき始めた。この家には、会いたくない人が何人もいるので、来たくないのに!
「痛いじゃないですか。やめてください。何をするんですか!」
暴れて抵抗してみたが、あまり意味はなかった。すぐに、お父様が増えたので、魔法を使って逃げることもできなくなった。
頭から足先まで、特級傷薬を塗られて、折角作った傷を全部なきものにされてしまった。ワイルド緑小鬼キング計画が、台無しである。鼻の上の傷とか、いい角度で入って気に入ってたのに。
「で、これは何なんだ」
「知らん。ダンジョンから出てきたようだったが」
「緑小鬼にやられたのか。潰そう」
「そうだな」
急に呼ばれたお父様も父さんも、ご機嫌ナナメの様だった。この2人は、機嫌を損ねると人でも殺しに行きそうな風情になるので、一緒にいるだけで本当に怖かった。
ただの誤解で、緑小鬼王国が滅ぼされる危機に瀕してしまった。これは、マズイ。キングとして、なんとかしなくては!
「パパー、助けて!! お母様、助けて!! ママ、助けて!!」
他力本願上等である。私の力で勝てないなら、勝てそうな人を呼ぶしかない。可愛い部下たちを守るためなら、人外大戦争が起きても、目をつぶろう。
お母様とママは、家にいたのだろう。私に遠慮して近付かないようにしていただけで、こちらを気にしていたに違いない。すぐにやってきた。パパはどこにいたやら知らないが、恐ろしい地獄耳と速足で、お母様と大して変わらないタイミングでやってきた。
あとは、私の得意芸を披露するだけだ。顔を白くして、力無く静かに泣くのである。説明などいらない。なんて言ったらいいか、わからないし、考えるのも面倒だ。父2人に挟まれて、全裸一歩手前の息子が全身べたべたで泣いている状態をどう捉えるか、勝手に想像してもらう。
「何をやってるの、2人とも!」
「!!」
「琥珀、大丈夫か?!」
今の私は、腫れ物息子なのだ。なんとか印象をあげようとする人材に媚びを売るのは、簡単だと踏んだ。
「パパの言うことを聞かず、申し訳ありませんでした。父さんと2人きりになったら、こんなことに」
嘘ではない。
「違う! 傷薬を塗っただけだ! 誤解を招く言い方をするな」
父さんは、まだ怒っている。
「傷など、どこにもないじゃないか」
「薬で治ったからだろう」
お父様も、まだ怒っている。だが、知らない。乱暴な扱いで、痛い思いをしたのも事実だ。私の機嫌だって、底辺だ。
ママが、大判のタオルでくるんでくれたので、パパがお風呂に連れて行ってくれた。
「それで、本当は、何があったのかな?」
今日は、自分でできるのに、またパパに頭を洗われている。前に洗ってもらった時より、力が強めな気がする。頭をカチ割られたら、痛いだろうか。
「それが、私もよくわからないのです。父さんに挨拶したら、有無を言わさず抱きかかえられて、連れて来られたのです。お母様には会いたくないのに」
楽しく緑小鬼キングごっこをやっていた。見た目も、キングに相応しくなろうと努力した。お父様に、自分を緑にする薬の作り方を聞いた方が良かっただろうか。
「本当に?」
「私が、好き好んでここに来ると思われますか?」
お母様にも、ママにも、お父様にも、メイジーさんにも、カワウソにも会いたくない。会いたくない人しかいない家だ。疑う余地もないと思う。
それなのに、パパは追及をやめてくれない。
「でも、さっきは、シャルルも呼んでたよね」
「誰でもいいから、助けて欲しかったので」
「助けてくれる人には、入ってるんだ」
「お母様のふざけているところは、それ以外ですから」
息子の窮地を知れば、助けようとはしてくれる。問題なのは、窮地に陥っても気付かないことだ。人任せで、何ヶ月でも放置する。顔を見にも来ない。こちらから連絡をすることもできない。都合の良い時だけ、甘えて欲しいと言われても、誰がそんな母になつくのか。
「わかった。そういうことなら、今回は、忘れよう。でもね、ああいうのは感心しない。人の心を失うよ」
「そうでしょうね。でも、ご心配には及びません。どうでもいい人にしかやりませんから、大丈夫ですよ」
説教をたれていた、パパの身体が固まった。
「え゛」
「むしろ嫌われたら、丁度いい。エスメラルダさえいてくれたら、後はいりません。パパのことは好きですが、信頼を失ったので、いなくてもいいです」
「琥珀?」
キレイな顔で震えているが、見慣れた顔だし、どうでもいい。なんだかんだ言ったところで、スフェーンの時、みんなの中では私は半殺しにあっていたハズなのに、家族会議が終了するまで、誰も助けに来なかった。あれは、私への信頼ではなかった。口では人並みな台詞をほざいているが、私を真剣に心配している家族は、誰もいない。それを愛されていると捉えるのは、無理しかない。
「エスメラルダが、ここにいたがるからいるだけです。追い出された後、エスメラルダが付いて来てくれなかったら、飛竜のエサになろうと決めています。死んでも無限に肉が湧いてくるなんて、優秀なエサだと思いませんか?」
私の能力を発揮する場は、まだ残されている。家族に縁がなくなっても、飛竜は私を大切に食べてくれるかもしれない。
「何が気に入らなかった?」
「ここのところ、少し死にすぎて、死ぬほどの痛みが気にならなくなりました」
今日の天気は雨ですね、と、また死んでしまいましたか、が同じ程度に感じられる。衝撃が強すぎると、痛覚は仕事をしないものだと知ってしまった。そのため、恐れもあまり感じられなくなった。
「それは危ないよ。早急に対策を考えよう」
「おかえりなさい。狩りの帰りですか?」
「ああ、ただい、ま? 琥珀、今度は、何を始めた?!」
何を答える前に、抱き上げられ、運ばれた。
父さんは、持ってた荷物を放り投げ、私をさらうかの如く抱えたら、走り始めたのだが、何があったのだろうか。
「どうなさったのですか? 私は、緑小鬼キングごっこをして遊んでいただけですよ」
「それは説明になってない。シュバルツ、薬を持ってこい! 100個はいるぞ!!」
父さんは、お父様の家にズカズカ上がり込み、私を子ども部屋の1つに押し込めると、服をむき始めた。この家には、会いたくない人が何人もいるので、来たくないのに!
「痛いじゃないですか。やめてください。何をするんですか!」
暴れて抵抗してみたが、あまり意味はなかった。すぐに、お父様が増えたので、魔法を使って逃げることもできなくなった。
頭から足先まで、特級傷薬を塗られて、折角作った傷を全部なきものにされてしまった。ワイルド緑小鬼キング計画が、台無しである。鼻の上の傷とか、いい角度で入って気に入ってたのに。
「で、これは何なんだ」
「知らん。ダンジョンから出てきたようだったが」
「緑小鬼にやられたのか。潰そう」
「そうだな」
急に呼ばれたお父様も父さんも、ご機嫌ナナメの様だった。この2人は、機嫌を損ねると人でも殺しに行きそうな風情になるので、一緒にいるだけで本当に怖かった。
ただの誤解で、緑小鬼王国が滅ぼされる危機に瀕してしまった。これは、マズイ。キングとして、なんとかしなくては!
「パパー、助けて!! お母様、助けて!! ママ、助けて!!」
他力本願上等である。私の力で勝てないなら、勝てそうな人を呼ぶしかない。可愛い部下たちを守るためなら、人外大戦争が起きても、目をつぶろう。
お母様とママは、家にいたのだろう。私に遠慮して近付かないようにしていただけで、こちらを気にしていたに違いない。すぐにやってきた。パパはどこにいたやら知らないが、恐ろしい地獄耳と速足で、お母様と大して変わらないタイミングでやってきた。
あとは、私の得意芸を披露するだけだ。顔を白くして、力無く静かに泣くのである。説明などいらない。なんて言ったらいいか、わからないし、考えるのも面倒だ。父2人に挟まれて、全裸一歩手前の息子が全身べたべたで泣いている状態をどう捉えるか、勝手に想像してもらう。
「何をやってるの、2人とも!」
「!!」
「琥珀、大丈夫か?!」
今の私は、腫れ物息子なのだ。なんとか印象をあげようとする人材に媚びを売るのは、簡単だと踏んだ。
「パパの言うことを聞かず、申し訳ありませんでした。父さんと2人きりになったら、こんなことに」
嘘ではない。
「違う! 傷薬を塗っただけだ! 誤解を招く言い方をするな」
父さんは、まだ怒っている。
「傷など、どこにもないじゃないか」
「薬で治ったからだろう」
お父様も、まだ怒っている。だが、知らない。乱暴な扱いで、痛い思いをしたのも事実だ。私の機嫌だって、底辺だ。
ママが、大判のタオルでくるんでくれたので、パパがお風呂に連れて行ってくれた。
「それで、本当は、何があったのかな?」
今日は、自分でできるのに、またパパに頭を洗われている。前に洗ってもらった時より、力が強めな気がする。頭をカチ割られたら、痛いだろうか。
「それが、私もよくわからないのです。父さんに挨拶したら、有無を言わさず抱きかかえられて、連れて来られたのです。お母様には会いたくないのに」
楽しく緑小鬼キングごっこをやっていた。見た目も、キングに相応しくなろうと努力した。お父様に、自分を緑にする薬の作り方を聞いた方が良かっただろうか。
「本当に?」
「私が、好き好んでここに来ると思われますか?」
お母様にも、ママにも、お父様にも、メイジーさんにも、カワウソにも会いたくない。会いたくない人しかいない家だ。疑う余地もないと思う。
それなのに、パパは追及をやめてくれない。
「でも、さっきは、シャルルも呼んでたよね」
「誰でもいいから、助けて欲しかったので」
「助けてくれる人には、入ってるんだ」
「お母様のふざけているところは、それ以外ですから」
息子の窮地を知れば、助けようとはしてくれる。問題なのは、窮地に陥っても気付かないことだ。人任せで、何ヶ月でも放置する。顔を見にも来ない。こちらから連絡をすることもできない。都合の良い時だけ、甘えて欲しいと言われても、誰がそんな母になつくのか。
「わかった。そういうことなら、今回は、忘れよう。でもね、ああいうのは感心しない。人の心を失うよ」
「そうでしょうね。でも、ご心配には及びません。どうでもいい人にしかやりませんから、大丈夫ですよ」
説教をたれていた、パパの身体が固まった。
「え゛」
「むしろ嫌われたら、丁度いい。エスメラルダさえいてくれたら、後はいりません。パパのことは好きですが、信頼を失ったので、いなくてもいいです」
「琥珀?」
キレイな顔で震えているが、見慣れた顔だし、どうでもいい。なんだかんだ言ったところで、スフェーンの時、みんなの中では私は半殺しにあっていたハズなのに、家族会議が終了するまで、誰も助けに来なかった。あれは、私への信頼ではなかった。口では人並みな台詞をほざいているが、私を真剣に心配している家族は、誰もいない。それを愛されていると捉えるのは、無理しかない。
「エスメラルダが、ここにいたがるからいるだけです。追い出された後、エスメラルダが付いて来てくれなかったら、飛竜のエサになろうと決めています。死んでも無限に肉が湧いてくるなんて、優秀なエサだと思いませんか?」
私の能力を発揮する場は、まだ残されている。家族に縁がなくなっても、飛竜は私を大切に食べてくれるかもしれない。
「何が気に入らなかった?」
「ここのところ、少し死にすぎて、死ぬほどの痛みが気にならなくなりました」
今日の天気は雨ですね、と、また死んでしまいましたか、が同じ程度に感じられる。衝撃が強すぎると、痛覚は仕事をしないものだと知ってしまった。そのため、恐れもあまり感じられなくなった。
「それは危ないよ。早急に対策を考えよう」
0
あなたにおすすめの小説
お言葉ですが今さらです
MIRICO
ファンタジー
アンリエットは祖父であるスファルツ国王に呼び出されると、いきなり用無しになったから出て行けと言われた。
次の王となるはずだった伯父が行方不明となり後継者がいなくなってしまったため、隣国に嫁いだ母親の反対を押し切りアンリエットに後継者となるべく多くを押し付けてきたのに、今更用無しだとは。
しかも、幼い頃に婚約者となったエダンとの婚約破棄も決まっていた。呆然としたアンリエットの後ろで、エダンが女性をエスコートしてやってきた。
アンリエットに継承権がなくなり用無しになれば、エダンに利などない。あれだけ早く結婚したいと言っていたのに、本物の王女が見つかれば、アンリエットとの婚約など簡単に解消してしまうのだ。
失意の中、アンリエットは一人両親のいる国に戻り、アンリエットは新しい生活を過ごすことになる。
そんな中、悪漢に襲われそうになったアンリエットを助ける男がいた。その男がこの国の王子だとは。その上、王子のもとで働くことになり。
お気に入り、ご感想等ありがとうございます。ネタバレ等ありますので、返信控えさせていただく場合があります。
内容が恋愛よりファンタジー多めになったので、ファンタジーに変更しました。
他社サイト様投稿済み。
【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした
きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。
全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。
その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。
失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。
【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。
138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」
お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。
賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。
誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。
そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。
諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる