乙女ゲームに転生したらチートだったけど平凡に生きたいのでとりあえず悪役令息付きの世話役になってみました。

波乱の予感？？

113.

「う、うぅ～～。」

泣きグセが治らないご主人様を慰めるのはいつも私だ。

「ほらほら、泣いていると綺麗なお目目が赤く腫れてしまいますよ。」
  

「僕、僕じゃ、僕がダメだから～。だ、だからっひくっっっ。」

マルルは優しくフレドリックの背中をさする。

「アニキはいつも勝手なんだから！フレディ様も毎回泣くくらいなら見切りをつけてもいいんですよ！」

「...あのさ、」

「だいたいなんですか？！アニキ性格ひねくれてるから友だちなんて居ないんだと思ってましたよ。」

「.........あのさぁ、」

「フレディ様のことはなんでも知ってるのに、自分のことは話さないって、ミステリアス気取りが!!!!!!」



「話を聞け!!!!!!!!!!!!」



目の前でいちゃいちゃイチャイチャと―――。


「ヤナの話では1週間でしたよね！？
別に私は永遠に帰ってこない訳でもないのになんでこんな怒られてんですか？！？！」

理不尽極まりない。

「1週間も会えないんだよぉぉおお。」

おーいおいと、更に泣き出すフレドリックに本当は嘘泣きなのではないだろうかと疑いはじめる。





「フレドリック様、愛が重すぎると捨てられるよ？」

ヤナの隠そうともしない言い方にフレドリックはびくっと反応した。

「で、でも、、、」

「あのね、好きなうちはいいの。でも、一緒に過ごしていくうちにめんどくさいなぁ。ここやだなぁって人の粗探ししていくのが人間だから。」


...この子本当に14歳？


「じゃあどうしたらいいの？！」

半ばヒステリック気味に叫ぶフレドリックの頭にヤナは手を乗せた。


「ほんとにお兄ちゃんが帰ってこないと思ってるの？」

「...それは、」

「じゃあ、待っててあげよう？」

「......うん...。」


それに―――とヤナは続けた。

「俺に久しぶりに会った時にすごく嬉しかったでしょ？
数日間の大好き溜め込んでお兄ちゃんが帰ってきた時、きっと今までで1番お兄ちゃんのことが大好きになってるよ。」


フレドリックは頬を染め、こくんと頷くのだった。