無月夜噺

猫又 十夜

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参夜

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入院中の子が語ったことは
ナホと彼氏を更に困惑させる事になる。

彼氏が浮気をした女は
「カオリン」と呼ばれていた。

カオリンは、あるカウンターbarの常連で、入院中の子が、たまたま隣に座ったのがきっかけだったという。
知り合って 意気投合した彼女を合コンに誘ったというのが今回のイキサツらしい。

「とにかく明るい子だったし
よく気がきくしあの娘はそんな子じゃないよ」と入院中の子は言った。

しかしカオリンの苗字まではその子も知らないのだと言う。

じゃ電話番号だけでも教えてくれないか?と、なんとか頼むと
教えてくれた携帯電話の番号は
既に解約されていた。

入院中の子も その時は「おや?」っと思ったらしい。

「barのマスターなら彼女のこと よく知っているかも」
barの名前と場所をナホ達に教えると
最後に呟くようにその子が言った。

「そういえば…。マスターに一度だけ言われたことがあるんだよね。
あのこは ああ見えて少し怖い所があるから 気をつけろって」

ナホと彼氏を見ながら
「男が絡むと、特にって言ってた」

ナホと彼氏は 冷や水を浴びたような気分で病院を後にする。

その足で barに向かった。










しかしbarのドアには
「休業中」の貼り紙がはためいていたのだった。










「万事休すって 思った」
アタシがナホから相談されたのはその夜のことだった。
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