GAMEなら何でもいいってわけじゃないよね  五十路のオッサンゲーマーは異世界で何かする

なかのしま

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007話:初めての・・・

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 先の動向が決まったら、さっそく旅支度をしないと。
   保存食とかって売ってもらえるかな。
 って、一文無しだった!手持ちで売れるものを探さないと。
 誰も来ませんように!
 祈りながら簡易貯蔵庫を使う。
 ドスン!と、扉が目の前に現れた。
 今の音、誰にも聞かれて無いよな?
 もっとこうさ、すぅーっと出てくれないもんかね?
 なんとなくそぉっとドアを開けて中に入ると、売れそうな物を探す。
 昨夜の状態で持っていても不自然じゃなくて、旅支度ができる程度の価値があるもの。
 難しいなぁ。
 ポーション、は、ここに入ってるランクの物は新人の出稼ぎ傭兵が持てるようなものじゃない。
 ゲームじゃ初心者に毛が生えた程度の時に使うランクの物だけど、これ以下の時間経過で使えなくなる簡易ポーションですらこの世界じゃ貴重品、大都市でもなければ手に入らない。
 一般的には薬草をすりつぶして湿布のように貼るだけだ。
  薬師がいると、複数の薬草を混ぜて効果を高めたり、簡単なまじないでさらに効果を高めたりできるようだけど、詐欺師も多いのが悲しい現実。
 服用する薬も同じような感じで、通常は効果があると信じられている薬草や特定の木の根、実などを煮詰めた汁を飲む。
 薬師がいれば調合した薬を出されるけど、本職の薬師でも効果はいまいち。
 ポーションを作れるのは高位の聖職者か薬師くらいで、国家に数人いるかどうかってレベルだ。
 それでも作れるのは劣化するポーション、劣化しないポーションは国が管理するほどの存在、使えるのはもちろん王族くらいだ。
  なので却下。
  ナイフ、は2本あったけど、初級ダンジョンのドロップ品で、見た目が良いだけの効果の無いただのナイフだ。
 なんとなくデザインが気に入って売らなかったもの・・・スマン嘘だ。
 貧乏性な俺は、なかなかアイテムを捨てられないのだ。
 で、貯蔵庫に放置されていくんだな。
 後は銀細工の古びたアクセサリーが3個、ゲームでは売る以外に使い道のなかったもの。
 手に入れたときは資金に余裕があったので放置したまま忘れていたものだな。
 ま、このくらいなら持ってても不自然じゃないか、何なら親の形見とでも言おう。
  後は・・・。
  汚れた金貨が1枚。
 なんでこんなものが?
  あ、思い出した、これクエストアイテムだ。
 ランダムで何度も発生する簡単なクエストで、だんだん面倒になって手に入れても無視して放置してたんだった。
  森で見つけたことにして売ろう。
  他には特にめぼしいものも無かった。
  とりあえず昼食後にでも頼んでみよう。
  それまでの間に改めてステータスの検証を。
  
氏 名:シン(15)/ 元 飯田 真一(48)
性 別:男
種 族:ヒューマン
職業 :超越者
レベル:3
経験値:402  次のレベルアップまで98
生命力:15/15  肉体的ダメージを受けると減る。0になると死ぬ
魔 力:15/15  魔法を使うと減る。0になると意識を失う
気 力:15/15  スキルを使うと減る。0になると意識を失う
筋 力:15  力の強さ。攻撃力などに関係
体 力:16/16  スタミナ。持久力などに関係
敏捷性:15  動きの素早さ
器用さ:15  手先の器用さやバランス感覚など
知 識:15  記憶力と知識量。魔法の発動や威力に関係
知 恵:15  頭の良さ。計算速度などに関係
魅 力:15  高いと人を引き付けたり、友好に思われやすくなる
魔法 :ライト(MAX) マジックミサイル(MAX) マジックシールド(MAX)
スキル:強撃(MAX) 応急処置(MAX) 見立て(MAX) 警戒(MAX) 簡易貯蔵庫(MAX)
所持品:木の枝(10)
装 備:シャツ(服)・ズボン(服)・パンツ(服)・靴(服)
  
  ぬ?
  名前と年齢が。
  シン(15)/ 元 飯田 真一(48)って・・・。
  う~ん、ま、いっか。
  いいのか?
  いいや、深く考えるのはやめよう。
  もっと大きな問題が。
  なぜか体力が16になっている。
  ゲームではレベルアップ以外で能力値が上がることは無かった。
  でもレベルアップのないこの世界の基準で考えたら、運動や学習、練習によって少しづつ向上していくことになるはずだよね。
  つまり、体力が1上がったのは走りまくったから、ということなのかな。
  現実とゲームのいいとこ取り?
  あれだけ走りまくって体力1点ならレベルアップの方がはるかに効率良いけど。
  色々と検証していかないといかんのかな。
  やること多すぎない?
  そう言うのにやりがいを感じる系ゲーマーじゃないんだけどなぁ。
  そんな感じで、なんだかんだと時間をつぶしてから昼食をもらいに食堂へ。
  タイミングばっちり、ちょうど食事を終えた衛兵さんたちがぞろぞろと出ていくところだった。
  人がまばらになった食堂に入るとまっすぐ厨房前のカウンターへ。
  「今朝はどうも。」
  ごつい背中に声をかける。
  「おう、しっかり食えよ。」
 朝食と同じような器に、同じような煮物。
 汁が多め?それとうどんのような太い麺の入った器。
 とにかくどんな食材でもまず大量の水で煮るのが基本なこの世界では、一般人の主食は麺類が多い。
 粉にせずに茹でた麦っぽい穀物を捏ねて伸ばしたシンプルな作りで、うどんとは食感がかなり違う。
 味付けは単純に塩のみ、エグみ隠しのためかなりしょっぱい。
 だから煮物が汁多めなのかな。
 美味い、とは言えないけど満足。
 食べ終わる直前に入ってきたデンケンを捕まえると、カルケール伯爵領へ向かうことを伝えた。
 故郷ということになっているので予想はついていたようだ、旅支度するのに砦内の店を紹介してくれた。
 この砦は魔物が多く生息し、氾濫の危険もある森を監視するためのもので、村とは距離があり駐留期間も長期になることが多い。
 そのため、商店や酒場などが揃っているんだそうだ。
 紹介されたのは民間の商会が出張所として運営している店で、買取もしているということ。
 さっそくその店へと向かった。
 初めてのお買い物だ。
 ちょっとワクワクするよね。
 整然と並んだ木の棚に、様々な日用品やら小物、アクセサリーまでが展示されている店内。
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 時間的に店内に客はいない。
 ここを利用する衛兵は仕事中だ。
 カウンターにいる店員に買取を頼むと、ナイフと銀細工を並べた。
  「変わった形のナイフですねぇ。
 ここではデザインが凝ったものはあまり需要がなくて・・・一本1,500セイルくらいにしかなりませんが。
 銀細工の方はいいですねぇ、このくらいのものは人気なんですよ。」
  「衛兵にですか?」
 アクセサリーつけるおっさん…あまりイメージしづらいな。
  「ああ、ここにはその、なんだ、酒場だけじゃなくてね、夜の店もあるわけだよ。
 ま、まだおめぇさんには少しばかり早い話かな。」
 あぁ、なるほどね。
 理解しましたよ、見た目は少年だけど、具はアラフィフのおっさんなんで。
  「指輪は15,000と20,000、ネックレスは50,000でどうだ?」
  おぉ、思ってた以上の値が付いたな。
 確かこれ、ゲームだと1個1,000Gくらいだったよな。
 価値基準が違うけど、1個10,000セイルくらいじゃないかと思ってた。
  「お願いします。」
 即決で決めた。
 「それと、森をさまよってる時に見つけたんですけど。」
  と言って、金貨を出す。
  「金貨かい?見たことない形だねぇ。」
  というと、カウンターの下から金貨と天秤を取り出して、大きさや重さを計測する。
  「金貨とほぼ同じだね。でも見たことないデザインだし、ひょっとしたら遺跡か何かから出たものかもしれないな。」
  モノクル(片眼鏡)でコインをくまなく調べると、コインをカウンターに置く。
  「申し訳ないが、私では金貨1枚相当、10,000セイルの値しか付けられないな。
 買取ではなく交換って形だね。
 精巧な作りだから美術品として扱ってもいいのかもしれないけど、遺跡から出たものだとしたら資料的な価値を考えないといけなくなっちゃうからね、難しいんだよ。」
  眉を寄せてうなるようにつぶやいた。
  クエストアイテムではあるけど、このぶんだと倉庫に保管してある金貨も簡単に使うわけにはいかなそうだな。
  「これの正体がはっきりすれば、何倍、何十倍の価値が付くかもしれないけどねぇ。
 それができるのは恐らく王都にでも行かないと無理じゃないかなぁ。
 オークションって手もあるけど、それでも大きな町に行かないとやってないからね。」
  申し訳なさそうに告げる店員。
  「わかりました。
 偶然拾ったものだし、今一文無しなんで、旅支度の足しにできればと思った程度なんで。」
 まぁ、ゲームでも忘れてたようなアイテムだしね。何かと交換してもらおう。
  「なるほどね。じゃあどうだろう、15,000セイル分の保存食と交換ってのは。」
  「いいんですか?」
  金としての価値にしかならなかったら5,000セイルの損になるのに。
  「あぁ、ま、自分の感を信じて、かな。
 オークションにでもかければ好事家(コウズカ)が引っかかるだろう。
 損はしないはずさ。」
  といってニッと笑う店員。
  「ありがとう、全部売るよ。
 それでゼノまでの旅支度を頼みたいんだけど。」
  丸投げする。
  一応“常識”さんのおかげで必要なものはわかるけど、プロに任せた方が確実だよね。
 自分でそろえると、買い忘れとか、何かしでかしそうだし。
  快く引き受けてくれた店員さんが装備を揃えている間に、店内の商品を見て回る。
  見たこともない道具類が並ぶが、“常識”さんが都度思い出させてくれる。
  いいな、と思うものはやっぱり高い。
  「揃ったよ。」
  店員の声でカウンターに戻る。
  ショートソードに大きなリュック、一人用のテント、水袋が大小2つ(小さい方は酒を入れるもの)薄手の毛布、火おこしの道具、ランタン、外套、小さな鍋、紐や針といった補修道具などなど。
  大きなリュックは、正直なところ牛皮の背負い袋があるから不要なんだけど、入る容量が現実離れして違うから人前では使いづらい、ということで、自分のは破れているからと店員に頼んだものだ。
 頻繁に出し入れしないものは牛皮の方に入れて、そのままこのリュックに押し込んでおいて、頻繁に出し入れするものは隙間に突っ込んでおけばごまかせるだろう。
  そして食料。
  一般的な保存食は、茹ですぎた麦っぽい穀物を四角い型に入れて乾燥、その後焼き上げたもの。そのまま食べるか、鍋で煮て粥のようにして食べる。
 堅いし味を求めてもいけない、飢えなければいいのだ。
  そして干し肉、これも一度茹で切ったものを塩漬けにして乾燥したもの。
 堅い。
 しょっぱい。
 初手で煮切ってしまっているから旨味も無い。
 そのままかじるか軽く焙ってかじる。
  忘れてはいけないのは、どちらも味はエグい。
 なのに、手間がかかってる分値段も高い。
  10食分がまとめられていた。
 旅の途中は通常、朝夕の2食なので5日分か。
  「ゼノまでは普通に歩いて4日だから、多少トラブっても問題ないだろう。
 水はすぐそこの井戸から汲んでくれ、酒は食堂で買える。
 で、釣りが2,500セイルな。」
  “常識”さんがかなりお得だと教えてくれた。
  「ありがとう。こんなに大丈夫?」
  「あぁ、少しだけど餞別代りだ、ここが壊滅していてもおかしくなかったんだしな。」
  氾濫のことか。
  利用しているような気がして悪いけど、ここは御厚意に甘えよう。
  宿泊所に戻って荷物を下ろすと、井戸で水を汲みに出る。
  そういえば、揚水ポンプ無双ってのもあったな、いつかそれでウハウハできるかも。
  なんて野望はあっけなく散った。
  井戸にはしっかり汲み上げ機が取り付けられていたからだ。
 桶をつるしたロープが、井戸の上の屋根につけられた滑車を通って、脇に設置された巻上げ機につながっている。
 ハンドルを回せば軽く汲み上げられるので、ポンプほどじゃないにしても水汲みはかなり楽そうだ。
 よほどのド田舎でもない限り、こういったくみ上げ機は普通にあると“常識”さんが思い出させてくれた。
  ま、そうだよね。
  夕食後食堂でミード(蜂蜜酒)を買って酒袋につめてもらう。
 甘い酒だよな。
 あまり得意じゃないけど、”常識”さんはミード以外の酒を知らない。
  夜、初めてちゃんとしたベッドでちゃんと寝た。
  幸せを感じた瞬間、は、あっという間に睡魔に襲われ終わってしまった。
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