GAMEなら何でもいいってわけじゃないよね  五十路のオッサンゲーマーは異世界で何かする

なかのしま

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137話:明るヒ防衛計画の壱

 ゴーレム。
 魔導工学によりつくられた自動人形。
 多くの作品に登場する超有名モンスター。
 エイルヴァーンに登場するゴーレムは、とてもシンプルだった。
 バランス型で木製ボディーのウッドゴーレム、攻撃力特化で鉄製ボディーのアイアンゴーレム、防御力特化型で石製ボディーのストーンゴーレムの3種類。
 モンスターとして登場するだけでなく、仲間にすることもできた。
 野良ゴーレムを倒すと稀にドロップするアイテム”ゴーレム核”。
 それと各種素材を使ってクラフトすると、バランス型、火力特化、防御力特化の3タイプの人型ゴーレムを作ることができた。
 サポーターとして付いて来させることもできたが、費用が掛かる代わりに優秀なNPCサポーター(傭兵など)のほうが使い勝手がよかったので、作られても結局は拠点防衛用に配置されるか、強敵相手の盾代わりにされてしまうことの多かった存在。
 当然ここに手を入れるMOD製作者たちも少なからずいた。
 むしろ、この中途半端な仕様はMOD製作者達への挑戦だなどと、勝手に解釈して盛り上がっていたものだった。
 そして、後に”神MOD”と評されたゴーレムMODは、日本から誕生した。
 一種類しか無かった”ゴーレム核”は、錬金術によって様々な素材と組み合わせることで”エンジンコア”へと進化、MODゴーレムの心臓部パーツとして設定されていた。
 ”エンジンコア”には、処理、出力、効率というステータスが存在し、進化させる際の素材や熟練度などによってステータス値も変化する仕様で、それまでポーションづくりのためと認識されていた錬金術スキルのイメージを大きく変えるに至った。
 ボディー構成も、頭部、胸部、右腕、左腕、脚部、魔力槽の6つの主要パーツに加えて、追加装甲、補助パーツ、遠距離兵装、中距離兵装、短距離兵装、近接兵装、特殊兵装などなど、100を超えるパーツを自由に組み合わせられるようになっており、しかも、そのゴーレムには自動プログラムを設定することで、NPCをはるかに超える活躍をする超兵器に生まれ変わった。
 ロボットアニメ大国日本ならではのこだわりも多く、世界中のプレイヤーを魅了すると同時に、NPC以下の存在だったゴーレムに手を加えるだけにしては、あまりにも大がかりなMODに呆れる者も少なくなかった。
 当然俺も熱中した。
 野良ゴーレムを狩りまくってはエンジンコア錬成の組み合わせを模索して、各パーツも最高の素材をかき集めてはクラフトを繰り返し、試作機で組み合わせや攻撃パターンを模索した。
 エンジンコアの処理は、どれだけ複雑で精緻な行動がとれるかと、その実行速度に関わる数値だ。
 出力は、パーツの搭載可能総量を表す数値で、パーツに兵装などの合計重量を出力範囲内に収めなければならない。
 良いものほど重量がかさむので、かなり重要な数値だ。
 効率は、要は燃費のことだ。
 ゴーレムは魔力で動くのだが、各パーツごとに消費エネルギーが設定されており、起動中は常に魔力を消費してゆく。
 武装関係は使った時だけ消費するが、消費はかなり大きい。
 効率が高いと、それらの消費を削減することができるので長期稼働させたいなら少しでも高い方がよい数値だ。
 当然、全てを最高にできる組み合わせを見つけ出して量産したよ。
 そこら辺は得意だったしね。
 でも、結局理想のゴーレムは完成せず、大量のパーツだけがむなしく貯蔵庫に押し込まれた。
 俺・・・徹底的に自動プログラム設定が下手だったんだよ。
 このMODの自動プログラムは、実際のパソコンプログラミングでも使われるフローチャートを使って設定されるようになっており、ゴーレムはそのチャートに従って自動行動するようになっていた。
 例えば、敵を見つけたら攻撃するという行動を設定するには、
 
  ①索敵 ー 発見は②へ 未発見は①へ
  ②攻撃して①へ
 
 これだけで済む。
 しかし、これだとゴーレムは、一か所に突っ立って検索範囲に敵が入ってきたら攻撃して検索、まだ敵がいれば攻撃して検索と、ただの自動砲台にしかならない。
 そこで、左右に100m程を移動し続けながら敵を索敵、発見したなら、遠距離兵装と中距離兵装を使い分けながら攻撃する設定をしてみる。
 
 ①右に100移動しながら検索 ー 発見は②へ 未発見は⑩へ
 ②敵までの距離を計測 ー 遠距離なら③へ 中距離なら⑥へ それ以外なら⑨へ
 ③遠距離兵装で攻撃 ー ④へ
 ④索敵 ー 発見は⑤へ
 ⑤敵までの距離を計測 ー 遠距離なら③へ 中距離なら⑥へ それ以外なら⑨へ
 ⑥中距離兵装で攻撃 ー ⑦へ
 ⑦索敵 ー 発見は⑧へ
 ⑧敵までの距離を計測 ー 遠距離なら③へ 中距離なら⑥へ それ以外なら⑨へ
 ⑨敵とは逆方向に50移動 ー ②へ
 ⑩左に200移動しながら検索 ー 発見は②へ 未発見は⑪へ
 ⑪右に100移動しながら検索 ー 発見は②へ 未発見は①へ
 
 一気に面倒になった。
 しかもこれ、致命的な欠陥がいくつもある。
 この設定では、敵を発見して攻撃、撃破すると、そこを起点に移動を開始してしまうので、どんどん位置がズレていってしまうのだ。
 それだけじゃない、敵に近寄られて短距離以内に入られると距離を取るように設定してあるため、それでも大きく位置がズレていってしまうし、攻撃したり受けたりしてゴーレムの向きが変わると、移動の角度までもが変わってしまう。
 お粗末である。
 回避策としては、移動距離での指定ではなく地点で指定することが最もお手軽ではあるのだが、そうすると1台ごとに設定を変えてやらなければならず、コピペによる量産化ができなくなってしまうのだ。
 だから、ゴーレム自身の移動距離、方向を常に計測させ、ズレた場合には本来到達すべき位置の距離と方角を計算させるなど、とても面倒な処理が必要になる。
 さらには、敵の攻撃に対する防御も組み込まなければならない。
 距離や攻撃の種類によって、防御するのか回避するのかなどなど・・・緻密な行動をさせようとすればするほどチャートは膨大で複雑になってゆく。
 エンジンコアの処理値によってチャートの規模や速度が変わってゆくため、複雑な行動を設定するには処理値の高いコアが必要になる。
 最高のエンジンコアはあっても、設定がポンコツでは優れたゴーレムにはならないのだ。
 そんなわけで、俺は今、ゴーレムの設定マニュアルを作成中だ。
 設定が苦手なら、クロウの配下の中から得意そうなのに任せちゃえばいいのさ。

 『いいか、お前はもっと仲間をうまく使え、お前は、お前が思っている以上に無能だ。
 数百年を無駄にした俺が言うんだから間違いない。
 レベルが上がって知力が上がっても、記憶力と処理速度が上がるだけだ。』
 『ハードが優秀でも、ソフトがバグだらけじゃまともにプレイできないだろ?
 お前はバグだらけのクソゲーだ。』

 ”俺”もそう言っていたしね。
 
    **
 
 (なんか寂しいな。)
 いつもなら、俺が拠点にいるとなんだかんだと従魔たちがやって来るのだが、今日はそれが無い。
 ゴーレム開発用の設定マニュアルを作り終えた俺は、クロウからゴーレム担当にと紹介された配下のアークデーモン、テムレイにそれを託して、つかの間の休息を取っていた。
 拠点内がなんとなく寂しく感じるのは、従魔たちの多くが配下として使えそうな魔者だったり魔獣だったりを探しに出ているからだ。
 今日は一日のんびり過ごして、明日からは警備兵たち強化のための魔道具構想を練るとしよう。
 そのつもりだったんだけどね・・・そういう日に限って邪魔が入るんだよな。 

 完全にダラけてる時の不意打ちノックって、心臓に悪いよね。
 「ど、どうぞ!」
 大丈夫、ちょっと裏返っちゃったけど許容範囲だ、きっと。
 「アオイ様とユーコ様がお見えです。」
 そう言って入室してきたのは、クロウ配下の悪魔だ。
 たしか、オリヴィエラだったっけ?
 やや神経質そうな女性に変化して、拠点ではメイドさんとして務めてくれている。
 「あの二人?約束して無いけどなぁ。」
 一体何を強奪しに来たのやら・・・。
 「いてっ!」
 尻に激痛って、なんでもう入ってるんだよ、許可してないのに。
 「絶対何か失礼なこと考えてたでしょ。」
 「レーダーにピピっと反応したのですぅ。」
 くそ、やっぱりこの二人は天敵だ。
 まだ許可してないのに二人も入ってきちゃってるなんて、ここのセキュリティはどうなってるんだ、まったく。
 「申し訳ありません、関係者はお通ししてよいと伺っておりましたので。」
 俺の表情を察したオリヴィエラさんが悪びれる様子もなく・・・って、関係者?
 「同じワタリビトなんだから関係者じゃん。」
 なんて屁理屈!
 さすがアオイさんですこと。
 くそ、集中してる時にいちいち許可取りに来られるのも面倒だなんて関係者は素通りしていいように伝えてあったんだった。
 関係者の定義もちゃんとして無かったもんな、早急に対処せねば。 
 「で、何をむしりに来たんで?」
 歌劇場のために楽器類をゴソッとむしられたことは忘れてないぞ。
 「日本刀のこと教えて。」
 ほへ?
 なんでいまさら?
 「いや、君何本も造ってるじゃん。」
 たしか、ユーシンも何本か押し付けられてなかったっけ?
 「アオイちゃんは納得して無いみたいなのぉ、ユーシンちゃんも十分スゴイって言ってるのにねぇ。」
 一応ついてきただけらしいユーコは、すでに俺のソファーでくつろぎモード。
 コロコロを開発しなきゃな・・・そのうち拠点中が毛だらけにされてしまう。
 
 現状、アオイの日本刀づくりは鋼のインゴットを型に流し込んで、アスクラのチートなモノづくりを強引に使って日本刀の形にしている物なので、確かに日本刀とは言えない。
 ただ、チートによる強化で強度も切れ味も増し増しなので、ある意味日本刀を超えているともいえる。
 教えることないがな。
 俺も嫌いじゃないからいろいろと調べたことはあるけど、当然作ったことなんかないしな。
 日本刀は凄い凄い言われているけど、実際には3人も切れば切れなくなる、なんて話をよく聞いたもんだ。
 まぁ、それはかなり質の悪いデマだってことは知っている。
 血油で切れ味が落ちるとか、3人切ったら使い物にならなくなるとかって噂、なんかすごく違和感があったので調べたことがあったんだよね。
 血油で切れ味が落ちるって話は全くのデマで、有名な作家の作中でそんな表現があって、それが真実のように広まってしまっただけ、実際にはまったくそんなことは無いそうだ。
 ただ、血が付いたまま放置すると翌日には塩分で錆が出るそうだから、人を切った後は手入れが必須だとか。
 そうそう、研いだままの日本刀は意外と切れないって話も聞いたな。
 人を切るにはツルツルすぎるんだとか。
 「寝刃合わせ」とかいう、砥石で鍔側から剣先へ、荒く引くことで刃全体を細かい鋸状にするんだとか。
 だから、優れた剣士は時代劇のように刀を抜いてすぐ切りつけるのではなくて、懐に荒い砥石を忍ばせておいて、抜いた後ジャッと引いてから戦ったんだって。
 話は戻って、3人切ったら切れなくって話は、たしか日本刀ではなく、陸軍の兵隊さんに支給されていた大量生産の軍刀、日本刀モドキを、ズブの素人が死体を使って腕や足を試し切りした経験談の記事が日本刀の話として広まってしまったんだったっけ。
 山本なんとか氏の大東亜戦争の時の話が出元らしいって書いてあったな。
 さらに、試し切りをした軍刀はまともに手入れをしていない粗悪品だったらしくて、鍔や柄がガタついたといった記述もあったんだそうだ。
 刀剣のみならず、あらゆる道具は優れた物を、正しい手入れと、正しい扱いによって始めて真価を発揮するのであって、日本刀とも呼べない大量生産の粗悪品を、柄がガタつくほど手入れもされず、まともに訓練すらしていない素人が振るえば当然の結果だ。
 むしろ二人も切れた方が驚きだよ。
 と、いうことで日本刀が3人で切れなくなるのは、手入れのされていない、形状だけ似せた粗悪品を素人が扱った場合に限定されるってことだ。
 へたくそが出鱈目に使えば、いかな日本刀でも簡単に折れたり曲がったりするってのは事実っぽいけど。
 で、作り方だけど、砂鉄をたたら製鉄によって精錬した玉鋼たまはがねをつかう。
 しかしこの玉鋼の材料になる砂鉄も、本当に良いとされているものは「鉄穴かんな流し」という水の流れの破砕力で土砂と分離、選別するというとてつもない時間と労力を必要とする物らしい。
 磁石などで集める方がはるかに速いけど、「鉄穴かんな流し」によって得られる砂鉄よりも不純物が多いってことのようだ。
 どちらにせよとんでもなく大変だし、簡単に再現できるようなものでは無い。
 なのでここはエイルヴァーンアイテムの砂鉄を使うとしよう。
 鋼インゴットもあるけど、玉鋼で作った方が納得するだろうし。
 二人を伴って外に出ると、工房区の邪魔にならない場所に直径2mほど、深さ2mほどの穴をあけた。
 アオイに頼めばすぐなんだろうけど、残念ながら四角い穴が欲しいわけじゃないので俺がうんせと労働した。
 アオイがやるとみんな四角だからね。
 本来は大規模な地下施設が必要らしいけど、ここはズルをしてしまおう。
 穴の内側に、魔道具作成用に作り置きしておいた粉状魔石を水で練った物をまんべんなく塗りたくって高温の熱で焼き固めて魔石の桶を作り、耐熱と除湿の刻印を入れる。
 中には木材を焼いた灰を詰めて押し固める。
 その上に粘土を使って窯を作る。
 高さは1mほどの円筒状の窯。
 内側は底に近い50㎝ほどは漏斗状に成型して、中央には30㎝ほどの穴。
 木炭を詰め込んで完成である。
 本来の構造とはかなり異なるけど、「鉧押けらおし法」という製法を単純に、チートなスキル頼みで再現してみるつもりだ。
 木炭に火を入れて過熱、火は試作中の術式杖によるものなので、熱加減は自由自在だ。
 木炭が崩れて減ってきたら、砂鉄投入。
 その上に木炭を入れて過熱、砂鉄、木炭、砂鉄と繰り返してゆく。
 最後に熱量を上げて、木炭の炭素と化合した鉄、鋼が沈殿するのを待つ。
 通常は五~六十時間かかる工程を、スキル頼みで10時間ほどで完了した。
 かなり強引で適当だけど、なんちゃって玉鋼くらいの物はできた気がする。
 驚くべきことに、アオイは最後まで付き合った。
 ユーコは1時間ほどしたら日向で寝ていた。
 ちょっとイラっとした。
 とりあえず、材料の玉鋼が出来上がったのでこの日はここまで。
 
 翌朝早く、俺はみどり村のアオイが使っている工房へと足を運んだ。
 しかし、別人?って思うほど真剣なアオイに違和感を感じる。
 (ひょっとして、敵の擬態?)
 「ったいなぁ!」
 相変わらず俺の思考を呼んでは尻を指すハラグロニャンコ様。
 「ピピっと来たぁ。」
 「来ても言葉になって無ければスルーするのが淑女の嗜みだと思うがね。」
 「だって猫だしぃ。」
 おのれ・・・都合のいい時だけ・・・。
 「遊んでないで作業!」
 ・・・理不尽だ。
 オッサンがふてくされてもかわいくはならないので、昨夜のうちに書き込んでおいたメモを見て日本刀の作り方をおさらいする。

 ①まず、玉鋼を赤くなる程度の温度に熱して、馴染ませながら叩いて薄く延ばす。
 ②5mmくらいの薄さにできたら、しっかり過熱して、水にドボンと入れて急激に冷ます。
 この時、炭素量の多い硬い部分が自然に砕ける、これを「水減みずへし」と言う。
 ③砕けなかった部分を小槌で叩くと、「水減みずへし」で割れなかった部分でも割れる部分が出てくる、これを「小割り」と言う。
 ④割れた部分は硬い鋼、割れなかった部分は柔らかい鋼ということなので、分けておく。
 ⑤持ち手の先に、「水減みずへし」と「小割り」で割れた硬い鋼を2~3Kg程度まで積み重ねてゆき、崩れないように濡らした紙で包み込む。
 ⑥藁の灰をまんべんなくまぶし、さらに泥の汁をかける。
 ⑦過熱して、崩れないよう大槌で慎重に叩いてゆく。
 ⑧積み重ねた鋼が一体化するまで加熱しては叩く、を繰り返す。
 ⑨古い藁灰を払って新しい藁灰をまぶして過熱して叩く。
 ⑩大槌で鋼を叩き固める。
 ⑪鋼を折り返して鍛える「鍛錬」によって不純物を取り除くとともに炭素量を均一化させる。
 ⑫長方形に薄く延ばした後、真ん中に切れ目を入れて折り返して鍛える。
 ⑬15回程度鍛錬を繰り返す。これでできたものは「皮鉄かわがね」という。
 ⑭④で割れなかった柔らかい鋼を5回ほど鍛錬する。できたものを「心鉄」という。
 ⑮心鉄を包み込むように皮鉄を巻き付けて熱し付ける。
 これにより外側が硬く内側が柔らかいという構造になり、よく切れるが折れにくい性質を持たせることができる。
 ⑯熱しながら、刀身の形になるように打ち延ばしていく。
 ⑰先端を切っ先となる方向と逆になるように、斜めに切り落とす。
 ⑱切り落とした方の反対側から切り落とした方へ打ち出し、切っ先を仕上げる。
 ⑲刀の形に成形する。この段階ではまだソリは無い。
 ⑳刀身に粘土や木炭、砥石の粉などを混ぜた「焼刃土やきばつち」を塗る。
 この時、刃部は薄く、地になるところは厚くする。
 ㉑焼刃土が十分に乾いたら、土がはがれないよう注意しながら刀身全体を加熱する。
 ㉒全体が800℃程度まで熱されたら水の中に入れて一気に冷やす。この時、土の薄い、厚いの差
  が冷却時間の差になり、鉄の組成が変わることで日本刀独特の”ソリ”が生まれる。
 ㉓刀身を研いで鍔や柄を取り付けて完成。

 まぁ、これをまじめにやっていたら本物の刀匠になってしまうわけだけど、これらの行程をチートを使って簡略化していかなきゃならんわけだね、なかなかの難問だぞこれ。 
 昨日造ったまんま、ごつごつの粒がより固まったような玉鋼を使って作業開始だ。
 アオイが使っていたのはアスクラ製の炉で、ゲーム中では材料を放り込むと自動でいろいろ造ってくれるというもの。
 まぁ、ゲームに出てくるクラフト用の炉って、大体そんな感じだけどね。
 現実化された炉は、温度自動調整機能&タイマー付きの炉になっていた。
 それで作られる金属系のインゴットは、どれも素晴らしいほど均一な仕上がりになってしまう。
 とてもいいことなんだけど、日本刀を作るという作業では使えない。
 苦労して玉鋼を作ったのは、仕上がった鋼に炭素量の差、バラツキが必要だったからなんだよね。
 チートを駆使して、一晩考えぬいた手抜き・・・もとい効率化で作業を進めてゆく。
 と言っても、実際にやるのはアオイなんだけどね。

 こうして、丸一日かけた出来は・・・微妙?
 ま、そんな簡単にはいかんよな。
 とはいえアオイは満足してくれたらしい。
 出来栄えにではなくて、一応日本刀作成の工程を経て完成させたって意味でね。
 「ありがとうシンさん!明日からまたこの方法でチャレンジしてみる。」
 良い笑顔で言われてしまったよ。
 ってか、とうとう俺、おじーちゃん呼び卒業?
 これはメデタイ。
 「ってことで、玉鋼?納品よろしくね。」
 ・・・ですよねぇ~。

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