異世界言ってみよう

サラニネル

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魚を食べる日の悲(喜)劇

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それから街につながる小川で休日以外は毎朝食後に籠罠を確認と再度違う場所に設置することが日課となった。しかしまだ始めたばかりでうまくいかず少量なので人数分揃うまではドゥエンデの時間の止まる収納に保存しておくことにした。

そんな事をしながら休日もあけ、西の森の探索を続け3日経った頃だった。

「今日も魚以外は順調だな。ほんと餌なのか場所なのか、何が悪いんだ...お!」
ツッコは倒木の食用のキノコを見つけながら言った。
「まあ、売れる分は無理そうだけど、今日はやっと、みんなで食べれる分になったし楽しみだな...ぅ」
ボッケも捜しながら言うとオオヤスデを見つけ、ため息をついていた。
「初めて食べる魚、楽しみだなあ..」「サカナ タノシミ」
アマリとドゥエンデも草を書き分け捜しながら言った。

さらに奥に進んでボッケが木を確認すると傷があり2人に確認した。
「ねえ、この木、誰か傷付けたの?傷があるよ」
ツッコもアマリも木の近くに集まり確認すると下の方に太めの傷がついていた。さらに3人は気付いてなかったが自分達で獣のわずかに残る足跡を踏ん付けていた。
「俺はこんな傷付けてねえぞ?」「私もつけてないよ」
「まあ他の奴も採取してるだろうし、そいつらのかもな」
ツッコがそう言うと特に気にせず採取を続けるのだった。

その周辺を探すと木々が途切れた場所に出て、しばらく続いた薄暗さが一転し眩しさに眼が眩む。眼が慣れると小さな草原がある所に出たようだった。
「この辺結構、生えてるよ!ほら!」「これは薬草と....こっちは毒消し草か」「見つけた!薬草..こっちもあったよ」
ボッケの掛け声でツッコ、アマリは全員夢中で採取を始めた。
「でもなんで、ここ、こんなに生えてんだろね?」ボッケがそんなことを言って、顔を上げると10M先に青っぽい色が光を反射し一種の神々しさを見せる立派なアオイノシシと目があった。
「うぎゃぁあああ、逃げ、逃げ」ボッケは言うや否や全力で逃げ出した。アオイノシシもボッケの叫びに驚いていたが、少し経つと追いかけてきた。

そしてツッコ、アマリもボッケに阿吽の呼吸で全力で逃げ出した。まさに職人技と言えるほどの動きだった。
「な、な何が出たんだよ!」
ツッコは、一心不乱に逃げるボッケを全力で追いかけながら質問する。
「いやぁああああああ!」アマリは両手両足をダイナミックに使った走りで泣きながら2人を追い越していった。

「ア、ア、アオイノシシ!!木に登ってえ!!」
ボッケは、そう叫ぶと近くの木に飛びついて登った。
「さ、先に言えこのボケぇ!」
ツッコも、すぐに違う木に飛びついて登る。

アマリはしばらく走り後ろを振り向くと2人はいなかったが、替わりにアオイノシシが後ろから10M先に迫っていた。
「もうぅうう、いやああああぁあ」「イヤイヤイヤ」
アマリと涙目で言うや否や近くの木に登り、力の限り、しがみつき、ドゥエンデはアマリの服に必死に、しがみついていた。

そしてボッケとツッコをアオイノシシが通り過ぎた時だった。
「ちょっとアマリが気になるから、行ってくるよ」ボッケは普段見せない真剣な顔で言うと木から降りアマリの逃げた方向に向かった。
「待てよ、ボッケ、コンビだろ!どっちかが引き連れて、また木に登るしかねえな」ツッコも真剣な表情でそう言うと2人で走って追いかけた。

暫く走るとアマリのが登った木の下でアオイノシシがウロウロしていた。
「こ、こ、こっちだよ!イノシシちゃん!どっか行ってくれると嬉しいんだけどお!」ボッケは慎重な表情で側にあった木を拾った枝で何回か叩き挑発した。
「オ、オ、オイこっちだ!アホイノシシ!」
ツッコも嫌そうな顔で同じように挑発するとツッコ達に狙いをつけた。いや確実にツッコに狙いをつけたようで走ってきた。

「なんで!俺の方にくんだよ!この青豚は!!」
ツッコはそう言いながら近くの木にのぼり、10分ぐらい耐えたが体感時間はもっと長かった。色々考え最後の方は、もう悪口は余り言わないように、とかイノシシさんすいませんとか考えた時に偶然なのかアオイノシシは開けた場所の方に去っていった。

その後、開けた場所から、だいぶ離れた場所まで来ると、やっと少し落ち着いた。
「はぁああ...生きた心地がしなかったぜ。開けた場所はナワバリだったのか?」
ツッコは青い顔でつぶやいた。
「さっきの木の傷って、アイツの牙の傷だったんだね。そういやマーサさん言ってたね...確か木に牙の跡があったら近づかないとか足跡も地面に、あったのかもね」ボッケは周りを警戒しながら言った。
「本当に死ぬかと思ったよお。誰もいないのにイノシシだもん」アマリは青い顔で肩を落とし、ドゥエンデはフードの中で疲れて呆けていた。

「まあ今度から、もっと気をつけねえとな木の牙の傷と足跡だな」ツッコはそう言うと背伸びをした。
「でも木に登れば、いつか去ってくってのはわかったし。ツッコの方に行くのも、わかったし大発見だね!」ボッケは振り向かず逃げた。それを追うツッコ。アマリは追いかけるのも疲れ果て座り込んでいると、周りを走り回るので、アマリの眼が据わっていった。ツッコとボッケはアマリの静かな怒りに気付くと平謝りする羽目になったのだった。

その後は採取を早めに切り上げた。その結果、薬草、毒消し草、ツノウサギオ、オトカゲ、異常回復のキノコ、食用キノコで合計銅貨341枚の1日の成果として少し少なめだった。

そして、待ちに待った魚の料理が始まった。
小さい魚はハラワタを取り、お粥に入れキノコも入り、さらに豪華になった。
大きい魚もハラワタを取り1人1本ずつ、塩を付け焼き魚にした。
「それじゃあ、みんな行くぞ!」料理が机に置かれツッコが音頭をとった。
「「「いただきます!」」」「イタダキ マス」

焼き魚の香ばしい匂いを嗅ぎ、たまらない表情で眺めるとツッコは背ビレや、いらない部分を取り身にかぶりついた。薄い皮を突き破ると柔らかな川魚特有の上品な白身の味が口に広がった。
「うめぇ....」もう言葉は要らなかった。もう止まらなかった。
お粥、キノコだけでも、あれだけ美味かったのに、今は魚まで入ってしまった。今まで嗅いだ事が無い極上な匂いにボッケは慎重に、まず、お粥のみを食べてみた。魚の上品な味とキノコの出汁が染み出した、この懐かしい美味しさに視界が歪んだ。口の中で味わい消えてしまう前に幾度となく繰り返すのみになった。
アマリはというと、焼き魚、お粥を半分づつ食べると、お粥の中に、さらに焼き魚の身を投入するという更に凶悪な味の暴力とも言えるものを口の中に入れてしまった。今日出た最後の涙は無意識の感動から流れていた。
そしてドゥエンデに与えられた一人分が多すぎて残すのを期待した3人を尻目に見事に食べ切り宴は終了した。

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