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市場での攻防の悲(喜)劇
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あれからエーリカはプルの分を先に支払うと家に帰っていった。
その後時間が経ち、もう残っていたのはハジャルとプルのみになっていた。
しばらくして、最後のコップが空になる瞬間アルドは嬉しそうな顔で言った。
「はい!終~了!」「まだ飲めるんじゃああああ酒ええええ」
プルは焦点の合わない目で空のコップを見ながらデカい声が響いた。
「もう帰れ!仲間できたんだろ!」アルドはそっけない顔で言った。
「いやじゃああああ!」プルはシードルの瓶にへばり付いた。
呆れた顔をしたアルドは慣れた手つきでプルを剥がすと外に追い出した。
その後プルは意味不明な言葉を呟きながらフラフラ飛びつつ、謎の帰巣本能(時々以前怪我を治して助けた動物が運んでくれたりして)で帰っていった。そして案の定、翌日カンフォラに怒られながら二日酔いに苦しんでいた。
ツッコ達の方はプルの加入により採集が多くなり銅貨約5700枚を稼いでいた。そのお陰で前日の帰りに公衆浴場に寄ると全員が気分が良く休日を迎えたのだった。
昨日の夜に決めた予定では食料の購入と余裕がある分でボッケとアマリ装備を買う事になっていた。そこで、街に行く支度をすると午前中は市場で、いつもの3週間分の食料を先に買いに出かけた。
市場に着くと、相変わらず、あちこちで売り買いの声がする中で立ち並ぶ色々な品に目を奪われた。そんな中ボッケとアマリが食べ物の屋台に行くのを捕まえながら歩き、やっと馴染みの食料販売店のハンナを見つけた。
「あら、ツッコじゃない!たくさん買ってってね」
ハンナは嬉しそうな顔というよりは、しめしめといった表情が表に出ていた。
「今日もこの前と同じ量買うから前と同じ価格でいいよな!以前は押し麦と乾燥豆10キロずつと人参、玉ねぎ、じゃがいもに似た根菜類を5キロずつで合計銅貨240枚でお願いします」
ツッコはもう、回りくどいやり取りを避ける為に以前の値切った価格を一気に捲し立てる頭を下げた。
ハンナは呆気に取られた顔をすると笑い出した
「...わかった、わかったよ、もうそれでいいよ!」
ツッコは頭をあげると、嬉しそうな顔で片手をギュッと握った。
「見たかボッケって?」ツッコは側にいると思っていた二人を探すと、以前に食べたソーセージを挟んだパンを売る屋台が近くに来ていた。しかも二人はすでにソーセージを目の前でちらつかせる親父のソーセージの動きに合わせ首を振っているのを見て、「ンナヴァ!」と叫ぶと頭を手で押さえた。ハンナもそれに気づいて失笑していた。
疲れた顔でハンナに「後で支払うから」と少し待ってもらいボッケ達の方へ歩き出した。
「ほうら、ほら!美味しいソーセージだぞお」
実はソーセージを挟んだパンを売っているのは、肉屋のバーサの弟のティル(ティルマンの略)だった。
ボッケとアマリはもう我慢できないようで、ツッコが文句を言おうとする前に言った。
「僕達、結構稼いだよね!」「私達もう屋台で買ってもいいと思う!」
ボッケもアマリも目が真剣だった。特にソーセージの方に。その尋常じゃない目力にティルは無意識に少し後ずさった。
「お前ら、俺がどんだけ真面目に値切り交渉してたと思ってんだよ」
ツッコは呆れた顔で頭を押さえながら言った。
「僕は大真面目だよ!」「私も大真面目だよ!」
ツッコはため息を付き抵抗をやめて「わかったよ」と折れた途端だった。
「じゃあ僕2個!」「お兄ちゃん!それじゃあ私も2個!」
ボッケとアマリの言葉に、コケそうになった。
「はい毎度あり~!」ティルは即座に2人に2個ずつ渡すと
「くそ!てめえら、俺も2個だああ」と叫んでいた。
「毎度あり~はい全部銅貨48枚になるよ」
ティルは嬉しそうな顔でツッコからお金を受け取ると2個ツッコに渡した。
ツッコも最初は約5日分の夕食のお金が無くなって落胆していたが、手元にある芳しい匂いを放つ誘惑には逆らえなかった。さらにいうなら、食事はすでに始まりボッケとアマリとドゥエンデも食べ始めていた。
「ちっ、く、う、うまそうだな」ツッコもそれを見ると躊躇なく一つ目にかぶり付いた。その瞬間、外側からパリッと弾け出す肉汁、弾力のある肉の噛みごたえ、そして肉汁が染み込んだパン。口の中で混ざり合う旨みで一瞬意識が飛んだ。もう一口もう一口あっという間に一つ無くなってしまい空虚な気分になりそうだったが、まだ片方の手あることに気づいた。
嬉しそうな顔でもう一個食べようとした時だった。
「待ってツッコ!私2個食べてないよ!」アマリの声で止められる。
「ずるいよ、お兄ちゃんだけ2個食べて、私は1個ドゥエンデにあげたもん!」
ボッケはまだ食べたそうな顔をしながらも罰の悪そうな顔をして、アマリは悔しそうな顔で怒っていた。
「しょうがねえな!親父、もう1個くれ!」
ツッコは追加でもう1個買うとアマリに渡した。
そしてツッコは欲しがるボッケに見せつけながら完食し、アマリは満足げな顔をしてゆっくり食べた。
そんな姿を見た他のお客も増えティルは破顔した。
結局、ハンナとティルの支払いで合計銅貨296枚の出費となった。
「お前ら本当に、...まあ美味かったけどよ」ツッコは思い出しながら言った。
「いいじゃん、ストレスばっか溜めちゃ体に良くないよ」
ボッケは笑いながら言った。
「まあ、まだ金もあるけどな...でも、また何かあるといけねえからよ」
ツッコは心配していた。
「ツッコそんなに心配してると疲れちゃうよ、まだお金あるから少しは気楽に行こうよ」「キラク キラク」
アマリとドゥエンデにも心配された。
「まぁ、お前ら次第なんだがな」と聞こえない声で呟き苦笑いするツッコだった。
その後時間が経ち、もう残っていたのはハジャルとプルのみになっていた。
しばらくして、最後のコップが空になる瞬間アルドは嬉しそうな顔で言った。
「はい!終~了!」「まだ飲めるんじゃああああ酒ええええ」
プルは焦点の合わない目で空のコップを見ながらデカい声が響いた。
「もう帰れ!仲間できたんだろ!」アルドはそっけない顔で言った。
「いやじゃああああ!」プルはシードルの瓶にへばり付いた。
呆れた顔をしたアルドは慣れた手つきでプルを剥がすと外に追い出した。
その後プルは意味不明な言葉を呟きながらフラフラ飛びつつ、謎の帰巣本能(時々以前怪我を治して助けた動物が運んでくれたりして)で帰っていった。そして案の定、翌日カンフォラに怒られながら二日酔いに苦しんでいた。
ツッコ達の方はプルの加入により採集が多くなり銅貨約5700枚を稼いでいた。そのお陰で前日の帰りに公衆浴場に寄ると全員が気分が良く休日を迎えたのだった。
昨日の夜に決めた予定では食料の購入と余裕がある分でボッケとアマリ装備を買う事になっていた。そこで、街に行く支度をすると午前中は市場で、いつもの3週間分の食料を先に買いに出かけた。
市場に着くと、相変わらず、あちこちで売り買いの声がする中で立ち並ぶ色々な品に目を奪われた。そんな中ボッケとアマリが食べ物の屋台に行くのを捕まえながら歩き、やっと馴染みの食料販売店のハンナを見つけた。
「あら、ツッコじゃない!たくさん買ってってね」
ハンナは嬉しそうな顔というよりは、しめしめといった表情が表に出ていた。
「今日もこの前と同じ量買うから前と同じ価格でいいよな!以前は押し麦と乾燥豆10キロずつと人参、玉ねぎ、じゃがいもに似た根菜類を5キロずつで合計銅貨240枚でお願いします」
ツッコはもう、回りくどいやり取りを避ける為に以前の値切った価格を一気に捲し立てる頭を下げた。
ハンナは呆気に取られた顔をすると笑い出した
「...わかった、わかったよ、もうそれでいいよ!」
ツッコは頭をあげると、嬉しそうな顔で片手をギュッと握った。
「見たかボッケって?」ツッコは側にいると思っていた二人を探すと、以前に食べたソーセージを挟んだパンを売る屋台が近くに来ていた。しかも二人はすでにソーセージを目の前でちらつかせる親父のソーセージの動きに合わせ首を振っているのを見て、「ンナヴァ!」と叫ぶと頭を手で押さえた。ハンナもそれに気づいて失笑していた。
疲れた顔でハンナに「後で支払うから」と少し待ってもらいボッケ達の方へ歩き出した。
「ほうら、ほら!美味しいソーセージだぞお」
実はソーセージを挟んだパンを売っているのは、肉屋のバーサの弟のティル(ティルマンの略)だった。
ボッケとアマリはもう我慢できないようで、ツッコが文句を言おうとする前に言った。
「僕達、結構稼いだよね!」「私達もう屋台で買ってもいいと思う!」
ボッケもアマリも目が真剣だった。特にソーセージの方に。その尋常じゃない目力にティルは無意識に少し後ずさった。
「お前ら、俺がどんだけ真面目に値切り交渉してたと思ってんだよ」
ツッコは呆れた顔で頭を押さえながら言った。
「僕は大真面目だよ!」「私も大真面目だよ!」
ツッコはため息を付き抵抗をやめて「わかったよ」と折れた途端だった。
「じゃあ僕2個!」「お兄ちゃん!それじゃあ私も2個!」
ボッケとアマリの言葉に、コケそうになった。
「はい毎度あり~!」ティルは即座に2人に2個ずつ渡すと
「くそ!てめえら、俺も2個だああ」と叫んでいた。
「毎度あり~はい全部銅貨48枚になるよ」
ティルは嬉しそうな顔でツッコからお金を受け取ると2個ツッコに渡した。
ツッコも最初は約5日分の夕食のお金が無くなって落胆していたが、手元にある芳しい匂いを放つ誘惑には逆らえなかった。さらにいうなら、食事はすでに始まりボッケとアマリとドゥエンデも食べ始めていた。
「ちっ、く、う、うまそうだな」ツッコもそれを見ると躊躇なく一つ目にかぶり付いた。その瞬間、外側からパリッと弾け出す肉汁、弾力のある肉の噛みごたえ、そして肉汁が染み込んだパン。口の中で混ざり合う旨みで一瞬意識が飛んだ。もう一口もう一口あっという間に一つ無くなってしまい空虚な気分になりそうだったが、まだ片方の手あることに気づいた。
嬉しそうな顔でもう一個食べようとした時だった。
「待ってツッコ!私2個食べてないよ!」アマリの声で止められる。
「ずるいよ、お兄ちゃんだけ2個食べて、私は1個ドゥエンデにあげたもん!」
ボッケはまだ食べたそうな顔をしながらも罰の悪そうな顔をして、アマリは悔しそうな顔で怒っていた。
「しょうがねえな!親父、もう1個くれ!」
ツッコは追加でもう1個買うとアマリに渡した。
そしてツッコは欲しがるボッケに見せつけながら完食し、アマリは満足げな顔をしてゆっくり食べた。
そんな姿を見た他のお客も増えティルは破顔した。
結局、ハンナとティルの支払いで合計銅貨296枚の出費となった。
「お前ら本当に、...まあ美味かったけどよ」ツッコは思い出しながら言った。
「いいじゃん、ストレスばっか溜めちゃ体に良くないよ」
ボッケは笑いながら言った。
「まあ、まだ金もあるけどな...でも、また何かあるといけねえからよ」
ツッコは心配していた。
「ツッコそんなに心配してると疲れちゃうよ、まだお金あるから少しは気楽に行こうよ」「キラク キラク」
アマリとドゥエンデにも心配された。
「まぁ、お前ら次第なんだがな」と聞こえない声で呟き苦笑いするツッコだった。
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