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ミレーと古の魔法使い
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「ここに着く前にアメデオが会いに来たの。」
リアムが私の顔を窺って手足を確認した。いやいやちょっと、脇の下見ても仕方ないだろう?
「大丈夫、危害は一切加えられていないよ。話がしたいって来ただけ。って、ライリーもイーサンもいたし私は不死身だから。それで……」
それから私の話をリアムとエイデンが黙って聞いた。特にエイデンは信じられないものを見たような顔をしていた。
「なるほど。ミレーは金の目の古の魔法使いの力を奪って作った国だったのだな。――そして王は創設した5人の魔法使いたちの様に心臓を喰らうことにしたのだろう。」
ぽつり、とラウカーバンが言った。ノーラちゃんは静かに泣いているようでラウカーバンの胸に顔を埋めていた。
「アメデオという魔法使いの話と私の知っている知識を合わせると色々と符合する。魔力の根源が生命力で有れば48人は魔力を一時的に奪われて死んだのだろう。もっとも効率がいいのは心臓をその身に取り込むことなのだ。それならば湧き上がってくる魔力を自分の身に秘めることができる。譲渡の意志がなくとも……赤子で十分だな。」
「ミレー王がその方法を知ってると?」
イーサンがラウカーバンに語りかけた。ラウカーバンは思案してからゆっくりと頷いた。
「ミレー王の今の容姿を知っているか?頬はこけ、手足も枝のようだ。取り込んでいた魔力が渇いているのだろう。器だけ大きくしてしまった為に生命力の使用量が多いのだ。奴は非道な術を使い、早急に金色の目の者の心臓を手に入れたいのだ。」
エイデンがブルりと体を震わせた。
「エイデンのことは気づかれていないの?魔力が強いのに。」
「エルフに近い姿がエイデンを守っていたんだ。魔法を放出しても髪の色が変わっておらんしな。古の魔法使いもエルフ族も他種族を受け入れることは今までにない。結婚を許されていたのは力のない人間だけだろう……それも追放と言う形で外に出ることになっていた筈だ。エイデンの父親も古の魔法使いだと知られていたら受けいれられることはなかっただろう。」
「パパは……魔法が使えなかったから。僕も皆もただの人間だと思ってた。僕の半分は古の魔法使いなの?アメデオは……。」
「エイデン、アメデオはエイデンのパパを知ってた。見つけた時には記憶を失っていたって。エイデンのママと結婚していたしエイデンがいたからそっとしておいたのだと思う。アメデオだってアイカさんと恋人だったから、きっと復讐を選ばなかった未来も一度は想像していた筈だよ。エイデンを抱き上げて幸せそうなパパを見たって、言ってた。」
「……。」
「リアムはどうする?アメデオを信じる?」
「目の前でライリーとエイデンを失くしかけてノーラまで石にされたんだあの時の恐怖は忘れやしない。信じるも何も許しがたい。」
「お兄様、アメデオ様は、私には優しかったの、石にされた時も、後で戻してやるって……。それに私とアメデオ様は結婚するふりをしていたんです。アメデオ様は最初から正直に自分にはアイカ様がいるって話をしてくださいました。」
「しかし、ミレー王に復讐する話は黙っていたんだろ!?結果はどうだ!?ノーラは石から戻れなかったかもしれないんだぞ!?」
「リアム、それこそ、結果、皆元に戻ったよ。冷静になって。」
声をかけるとリアムの腕がぎゅっと締まった。それほどリアムにとって恐怖だったのだろう。ブルブルと腕が震えている。大切な仲間が死にかけて、ノーラちゃんが石にされて。……でも、待って、グゲゲ。口から内臓が出る!出るから!
「……パオラがご褒美くれるなら。」
「え?そんな、何度も言わなくても……。」
リアムが私の頭に顔をぐりぐり押し付けてそんなことを囁く。そんなに欲しいご褒美あるの?そ、それ以上もうぎゅうぎゅうしないでくれ。
「約束してくれる?」
「う、うん。」
返事するとやっと腕が緩んだ。この野郎、わざとじゃないだろうな。
「――今ミレーが攻め込まれないのはミレー王の強大な魔力の波動が有るからだ。無くなれば、そのタイミングで両側の国から攻められるだろう。」
「ホルスとキドム?」
「黒幕はセドナだけどね。まあ、両隣から間違いなく攻め込んでくる。ミレーの民を死なせたくはない。少し国土を広げ過ぎたな。……けれど父だけの力でもっている国なんて存続できるわけがない。父には退位してもらおうと思う。――俺もアメデオの復讐を妨げようとは思わない。」
「でもさ、次の王はヤーデルロームには無理だよ。それこそ、リアムでないと。」
エイデンが、ノーラが、皆がリアムを見つめている。私もリアムは指導者として向いていると思う。
「俺は治癒の魔法しか使えないから……うさちゃん、力を貸してくれる?君ならフォレもアサジー二も簡単に協力してくれると思うんだ。」
「リアムは凄いんだから魔法の種類は関係ないよ!まあ、フラ王もアスラン王子も話は聞いてくれそうだよね!あ、マイヤー大佐に相談したらどうかな?必要とあらばジェカも脅せるよ!」
そう言ったらリアムが私の頭を撫ぜてくれた。リアムもそう思ってたってことかな?
「愛してるよ、パオラ。」
何故かリアムがそう耳元で囁いた。
私はその言葉に意味があるなんてこれっぽちも思っていなかった。
リアムが私の顔を窺って手足を確認した。いやいやちょっと、脇の下見ても仕方ないだろう?
「大丈夫、危害は一切加えられていないよ。話がしたいって来ただけ。って、ライリーもイーサンもいたし私は不死身だから。それで……」
それから私の話をリアムとエイデンが黙って聞いた。特にエイデンは信じられないものを見たような顔をしていた。
「なるほど。ミレーは金の目の古の魔法使いの力を奪って作った国だったのだな。――そして王は創設した5人の魔法使いたちの様に心臓を喰らうことにしたのだろう。」
ぽつり、とラウカーバンが言った。ノーラちゃんは静かに泣いているようでラウカーバンの胸に顔を埋めていた。
「アメデオという魔法使いの話と私の知っている知識を合わせると色々と符合する。魔力の根源が生命力で有れば48人は魔力を一時的に奪われて死んだのだろう。もっとも効率がいいのは心臓をその身に取り込むことなのだ。それならば湧き上がってくる魔力を自分の身に秘めることができる。譲渡の意志がなくとも……赤子で十分だな。」
「ミレー王がその方法を知ってると?」
イーサンがラウカーバンに語りかけた。ラウカーバンは思案してからゆっくりと頷いた。
「ミレー王の今の容姿を知っているか?頬はこけ、手足も枝のようだ。取り込んでいた魔力が渇いているのだろう。器だけ大きくしてしまった為に生命力の使用量が多いのだ。奴は非道な術を使い、早急に金色の目の者の心臓を手に入れたいのだ。」
エイデンがブルりと体を震わせた。
「エイデンのことは気づかれていないの?魔力が強いのに。」
「エルフに近い姿がエイデンを守っていたんだ。魔法を放出しても髪の色が変わっておらんしな。古の魔法使いもエルフ族も他種族を受け入れることは今までにない。結婚を許されていたのは力のない人間だけだろう……それも追放と言う形で外に出ることになっていた筈だ。エイデンの父親も古の魔法使いだと知られていたら受けいれられることはなかっただろう。」
「パパは……魔法が使えなかったから。僕も皆もただの人間だと思ってた。僕の半分は古の魔法使いなの?アメデオは……。」
「エイデン、アメデオはエイデンのパパを知ってた。見つけた時には記憶を失っていたって。エイデンのママと結婚していたしエイデンがいたからそっとしておいたのだと思う。アメデオだってアイカさんと恋人だったから、きっと復讐を選ばなかった未来も一度は想像していた筈だよ。エイデンを抱き上げて幸せそうなパパを見たって、言ってた。」
「……。」
「リアムはどうする?アメデオを信じる?」
「目の前でライリーとエイデンを失くしかけてノーラまで石にされたんだあの時の恐怖は忘れやしない。信じるも何も許しがたい。」
「お兄様、アメデオ様は、私には優しかったの、石にされた時も、後で戻してやるって……。それに私とアメデオ様は結婚するふりをしていたんです。アメデオ様は最初から正直に自分にはアイカ様がいるって話をしてくださいました。」
「しかし、ミレー王に復讐する話は黙っていたんだろ!?結果はどうだ!?ノーラは石から戻れなかったかもしれないんだぞ!?」
「リアム、それこそ、結果、皆元に戻ったよ。冷静になって。」
声をかけるとリアムの腕がぎゅっと締まった。それほどリアムにとって恐怖だったのだろう。ブルブルと腕が震えている。大切な仲間が死にかけて、ノーラちゃんが石にされて。……でも、待って、グゲゲ。口から内臓が出る!出るから!
「……パオラがご褒美くれるなら。」
「え?そんな、何度も言わなくても……。」
リアムが私の頭に顔をぐりぐり押し付けてそんなことを囁く。そんなに欲しいご褒美あるの?そ、それ以上もうぎゅうぎゅうしないでくれ。
「約束してくれる?」
「う、うん。」
返事するとやっと腕が緩んだ。この野郎、わざとじゃないだろうな。
「――今ミレーが攻め込まれないのはミレー王の強大な魔力の波動が有るからだ。無くなれば、そのタイミングで両側の国から攻められるだろう。」
「ホルスとキドム?」
「黒幕はセドナだけどね。まあ、両隣から間違いなく攻め込んでくる。ミレーの民を死なせたくはない。少し国土を広げ過ぎたな。……けれど父だけの力でもっている国なんて存続できるわけがない。父には退位してもらおうと思う。――俺もアメデオの復讐を妨げようとは思わない。」
「でもさ、次の王はヤーデルロームには無理だよ。それこそ、リアムでないと。」
エイデンが、ノーラが、皆がリアムを見つめている。私もリアムは指導者として向いていると思う。
「俺は治癒の魔法しか使えないから……うさちゃん、力を貸してくれる?君ならフォレもアサジー二も簡単に協力してくれると思うんだ。」
「リアムは凄いんだから魔法の種類は関係ないよ!まあ、フラ王もアスラン王子も話は聞いてくれそうだよね!あ、マイヤー大佐に相談したらどうかな?必要とあらばジェカも脅せるよ!」
そう言ったらリアムが私の頭を撫ぜてくれた。リアムもそう思ってたってことかな?
「愛してるよ、パオラ。」
何故かリアムがそう耳元で囁いた。
私はその言葉に意味があるなんてこれっぽちも思っていなかった。
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