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「タオ、お前最近あっちこっちに顔出してるらしいじゃんか。暇なんだったら俺たちの飲み会も来いよ」
「おー。ライセン! 元気? ちょっとお願いしたいんだけど、独身でいい子紹介してくれない?」
「なんだ、それ。お前に紹介するくらいなら、俺が恋人にしてるっつーの」
「俺じゃないよ。シオンに紹介したいんだ。ライセンのとこの第三部隊は街をウロウロするだろ? 評判の娘さんとか教えてよ」
「え。シオンって、お前のバディか?」
「うん」
「お前、それ本気で言ってる?」
「うん」
「……。あいつなら寄ってくるのから選りすぐったらいいだけだろ?」
「そーなんだけどさあ、なんかそれじゃダメみたいでさ」
「それこそこっちがモテ男の恩恵を受けたいとこだよ。自信のある娘さんはみんなシオンがかっさらっていってるんだからさ」
「そうなの?」
「告白されまくってんの知らないの?」
「う、うん。知らなかった」
「お前も人の世話ばっかしてないで、外に目をむけろよ」
「俺はいいんだよ。まだ稼ぎだって十分じゃないんだから」
「ま、今度みんなで遊ぶ時には呼ぶわ」
「ありがと」
ライセンと笑顔で別れる。
『子どもが欲しい』宣言の後、俺はシオンのために最高の嫁探しをしていた。
シオンの婚活。
俺が協力しないで誰がする!
そう意気込んで色々な部隊の知り合いに声をかけ、集まりに顔を出して情報を集める。
腕っぷしには自信はないが、こういうことは俺が得意とする分野である。
「タオ、最近外で誰かと会ってばかりなんだな」
俺が情報集めにあちこち走り回っているとシオンがそんなことを言い出した。
それまで休日は二人でいることが多かったので、生活の変化に戸惑っているのかもしれない。
「待っててよ。俺、シオンに最高の嫁を探しているんだ」
「え」
「え?」
任せろと言わんばかりに胸を叩くとシオンがぽかんとした顔で俺を見ていた。そんなに驚くことか?
「嫁?」
「だって、子どもが欲しいんだろ。家庭を作るなら嫁が必須じゃないか。婚活しないと」
「いや……それは」
「ん? そういえばシオンが女の子に告白されてるって聞いたけどそうなの? その中にいい子いないの?」
俺が聞く
良く考えてみたら、シオンが今まで女の子と付き合ったりしたところを見たことがない。
しょっちゅうされる告白も断っているらしいし?
もしかして女性不信とかか?
俺が従騎士になる前は女の子と遊んでいたようなことも聞いていたけどな……あれ? なんか全般的に人付き合いしないからそれが普通だと思ってたけれど……。
「今日も出かけるのか?」
「いや、そう思っていたんだけど……」
シオンが女性不信であれば方向性を考え直さなければならない。
「できれば俺は休日はタオとゆっくり過ごしたいんだ」
心の傷をケアするのが先なんだろうか。
なんだか俺を見るシオンが心もとない子供のように見えた。
なにをするにせよ、本人の意向を聞かずに突っ走ったことを俺は後悔した。
「ごめん。シオンが家庭をもって幸せになればいいと思って先走っちゃった」
「俺がこないだ言ったことを叶えようとしてくれたのか?」
「うん」
「そうか」
「シオンにちゃんと聞いてからにすればよかったよ。どんな人と家庭を作りたいの?」
聞けばシオンは優しく目を細めて俺の頭を撫でてくれた。
「俺のことを大切に想って行動してくれて、どんなことにも一生懸命な人」
「抽象的なことじゃわからないよ。そんなの大好きな相手になら誰だってすることでしょ?」
「……大好きな相手なら、当たり前?」
「うん。ほら、金髪がいいとか胸は大きい方がいいとか、ないの?」
今までは誰もがいい子だっていう子とシオンをマッチングさせようと思っていたけれど、そうじゃないなら具体的な好みを教えてもらいたい。
俺がそう尋ねるとシオンはうーんと悩みながらこう答えた。
「髪の毛は栗色のストレートで、目がぱっちりしている。唇が少し薄くて全体的に小顔。身長は俺より二十センチくらい低くて小柄。料理がうまくて、気が利いてそれでいて人の気持ちを大事にしてくれて、控えめなんだけど芯は強くて、ちょっと凝り性なところも頑固なところもあるけど、可愛い子がいい」
「えええ。そんなに条件あるの……」
「一つだって譲りたくない」
意外にシオンにはこだわりがあったようだ。
そんな娘いるのか? なんか不安になってきた。
「む、胸は?」
「……なくていい。が、乳首は薄ピンクがいい」
「ちょっ……それは、さすがに」
具体的過ぎて今度は俺があっけにとられた。
ピンクの乳首は自分でご確認いただきたい。
なんとなくシオンが今まで付き合ってこれなかったことに納得する俺がいた。
「おー。ライセン! 元気? ちょっとお願いしたいんだけど、独身でいい子紹介してくれない?」
「なんだ、それ。お前に紹介するくらいなら、俺が恋人にしてるっつーの」
「俺じゃないよ。シオンに紹介したいんだ。ライセンのとこの第三部隊は街をウロウロするだろ? 評判の娘さんとか教えてよ」
「え。シオンって、お前のバディか?」
「うん」
「お前、それ本気で言ってる?」
「うん」
「……。あいつなら寄ってくるのから選りすぐったらいいだけだろ?」
「そーなんだけどさあ、なんかそれじゃダメみたいでさ」
「それこそこっちがモテ男の恩恵を受けたいとこだよ。自信のある娘さんはみんなシオンがかっさらっていってるんだからさ」
「そうなの?」
「告白されまくってんの知らないの?」
「う、うん。知らなかった」
「お前も人の世話ばっかしてないで、外に目をむけろよ」
「俺はいいんだよ。まだ稼ぎだって十分じゃないんだから」
「ま、今度みんなで遊ぶ時には呼ぶわ」
「ありがと」
ライセンと笑顔で別れる。
『子どもが欲しい』宣言の後、俺はシオンのために最高の嫁探しをしていた。
シオンの婚活。
俺が協力しないで誰がする!
そう意気込んで色々な部隊の知り合いに声をかけ、集まりに顔を出して情報を集める。
腕っぷしには自信はないが、こういうことは俺が得意とする分野である。
「タオ、最近外で誰かと会ってばかりなんだな」
俺が情報集めにあちこち走り回っているとシオンがそんなことを言い出した。
それまで休日は二人でいることが多かったので、生活の変化に戸惑っているのかもしれない。
「待っててよ。俺、シオンに最高の嫁を探しているんだ」
「え」
「え?」
任せろと言わんばかりに胸を叩くとシオンがぽかんとした顔で俺を見ていた。そんなに驚くことか?
「嫁?」
「だって、子どもが欲しいんだろ。家庭を作るなら嫁が必須じゃないか。婚活しないと」
「いや……それは」
「ん? そういえばシオンが女の子に告白されてるって聞いたけどそうなの? その中にいい子いないの?」
俺が聞く
良く考えてみたら、シオンが今まで女の子と付き合ったりしたところを見たことがない。
しょっちゅうされる告白も断っているらしいし?
もしかして女性不信とかか?
俺が従騎士になる前は女の子と遊んでいたようなことも聞いていたけどな……あれ? なんか全般的に人付き合いしないからそれが普通だと思ってたけれど……。
「今日も出かけるのか?」
「いや、そう思っていたんだけど……」
シオンが女性不信であれば方向性を考え直さなければならない。
「できれば俺は休日はタオとゆっくり過ごしたいんだ」
心の傷をケアするのが先なんだろうか。
なんだか俺を見るシオンが心もとない子供のように見えた。
なにをするにせよ、本人の意向を聞かずに突っ走ったことを俺は後悔した。
「ごめん。シオンが家庭をもって幸せになればいいと思って先走っちゃった」
「俺がこないだ言ったことを叶えようとしてくれたのか?」
「うん」
「そうか」
「シオンにちゃんと聞いてからにすればよかったよ。どんな人と家庭を作りたいの?」
聞けばシオンは優しく目を細めて俺の頭を撫でてくれた。
「俺のことを大切に想って行動してくれて、どんなことにも一生懸命な人」
「抽象的なことじゃわからないよ。そんなの大好きな相手になら誰だってすることでしょ?」
「……大好きな相手なら、当たり前?」
「うん。ほら、金髪がいいとか胸は大きい方がいいとか、ないの?」
今までは誰もがいい子だっていう子とシオンをマッチングさせようと思っていたけれど、そうじゃないなら具体的な好みを教えてもらいたい。
俺がそう尋ねるとシオンはうーんと悩みながらこう答えた。
「髪の毛は栗色のストレートで、目がぱっちりしている。唇が少し薄くて全体的に小顔。身長は俺より二十センチくらい低くて小柄。料理がうまくて、気が利いてそれでいて人の気持ちを大事にしてくれて、控えめなんだけど芯は強くて、ちょっと凝り性なところも頑固なところもあるけど、可愛い子がいい」
「えええ。そんなに条件あるの……」
「一つだって譲りたくない」
意外にシオンにはこだわりがあったようだ。
そんな娘いるのか? なんか不安になってきた。
「む、胸は?」
「……なくていい。が、乳首は薄ピンクがいい」
「ちょっ……それは、さすがに」
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なんとなくシオンが今まで付き合ってこれなかったことに納得する俺がいた。
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