腐男子な俺が全寮制男子校で女神様と呼ばれている件について

茅ヶ崎杏

文字の大きさ
13 / 94
April

《女王様》は風紀副委員長①

しおりを挟む
 その後、俺たちは何かを話すでもなく、ただそれぞれぼーっと屋上で時間を潰した。
 まぁ、蓮がほぼ寝てたから、話すこともできなかったんだけど。

 さて、そろそろ4限目も終わる時間だ。
 この後は昼休み。つまり、王道学園モノ恒例の【食堂イベント】が開幕する。
 生徒会役員が、よく分からんそれぞれの価値観で王道マリモをお気に召す、BL王道学園モノには必要不可欠なイベント。
 遂に王道転入生と生徒会メンバーが全員集合するんだ。楽しみ!

 ニヤつく顔を必死に抑えながら、隣で爆睡している男を叩き起す。


「れーん。蓮~。起きろ~」
「…………あ"?」
「そんな睨むなって。昼飯行こうぜ」
「……行かねー」
「え? 何でだよ?」


 蓮は大きな欠伸をしながら、俺を見やる。
 寝るか食うか喧嘩するかしかしない蓮が、飯に行かないとは珍しい。

 この学園の食堂は、お隣の中等部との境に建っている。
 そのため中はかなり広く、そしてとても豪華だ。
 高級レストランの如くおしゃれに並べられたテーブルや椅子は全て特注品らしいし、それを淡く優しい光で照らしているのは、特大シャンデリア。それを囲うように、小さなシャンデリアが天井を飾っている。
 そして、料理は和食に洋食、中華にイタリアンなど何でもござれ。しかも全て一流シェフが作っているというから驚きだ。

 と、そんなことはどうでもいい。


「蓮、本当に行かないのか?」
「あぁ」
「なんで?」
「……今日、うるせぇんだろ?」
「あ、なるほど。そうだな」


 蓮は、俺が腐男子だと知っている数少ない友人だ。まぁクラスメートであり、去年度はルームメイトだったから、隠し通すことが出来なかっただけなのだが。
 そう言えば寮の部屋で、王道転入生が来た時の展開について熱く語った覚えがある。
 こいつ、相槌もしなかったから聞いてないと思っていたのに、覚えていたのか。

 そもそも、極度の人見知りで人混みとうるさいところが嫌いな蓮。
 俺が語っていた内容をどのくらい聞いていたのか分からないが、これから食堂でどんなことが起こるかはわかっている様子。
 だから絶対行かないって言ってるんだな。なるほど。


「しかも、2階席行くんだろ」
「当たり前。王道展開の火の粉が飛んでこない席から、文字通り高みの見物ってな」


 一般常識とはかけ離れたこの学園。
 もちろん食堂にも、学園独特のヒエラルキーが存在している。
 それは、席の種類だ。

 ドーム状になっている広い広い食堂。
 その席種は、1階席・2階席・VIPルームの3種類があり、例のランキングによって、ある程度使える席が分けられている。
 1階席は、全生徒が使用可能。
 2階席は、ランキング上位や名の通った人気者。
 とはいえ、ここに明確な仕切りはなく、使おうと思えば一般生徒も2階に上がることは出来る。まぁ、この学園の暗黙のルールによって、そんなことをする人はほとんどいないけれど。

 そんな中、生徒によって使える人が限られているのが、たった3部屋しかないVIPルームだ。全ての部屋が、防音や遮音が完璧で周りの目からも遮られる個室となっている。
 利用可能なのは、生徒会役員と風紀委員。そして各委員会の委員長と、なぜか俺。
 寮などと同じように、TSP端末を翳して、認証されないと開かない仕組みが取り入れられている。

 俺が使えるようになったのは、例のミスコン以降。学園の状況を見て、友人の風紀副委員長が職権濫用したらしい。
 本当にいいのかと聞いたら、むしろ保身のために使ってと言われたので、お言葉に甘えて主に蓮と共に使わせてもらっている。

 VIPルームと言うだけあって、平々凡々の一般ピープルである俺から言わせてもらうと、ご飯を食べる部屋だけに留めるにはもったいなさすぎるほどにお金がかけられている。
 3部屋とも無駄に広いし、天井も高いし。ってか、あれだ。その辺のワンルームよりも広いし豪華。必要なのか、ここまでの設備。

 今日は、そんな贅沢極まりない部屋ではなく、音が筒抜けで視線も刺さりまくる2階席に行くつもりだ。食堂イベントをこの目で見なければならないからな。
 まぁそれがわかっているのだから、蓮が嫌がるのも無理はない。


「1人で行ってこい。どうせ腐男子集まるんだろ」
「冷たいなぁ。わあったよ」


 ここの鍵を投げ渡され、行く気がさらさらないのを確認する。
 こうなったら何を言っても無駄だ。1年以上一緒にいるからそれくらいはわかる。
 でもま、よくよく考えてみたら、蓮を連れて行ったらリスクが高いか。マリモに目ぇつけられてるしな。

 ドアの前で振り返り、蓮に向かって声をかける。


「じゃーな、蓮。帰りになんか買ってこようか?」
「……いつもの」
「りょーかい」
しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

どうしてそうなるんだよ!!!

藤沢茉莉
BL
俺様な会長、腹黒な副会長、無口な書記、双子の庶務……不本意ながら生徒会役員に選ばれてしまった見た目不良なお人好し主人公が、個性的なメンバーに囲まれながら頑張る話。 多忙のため少々お休み中。 誤字脱字ほか、気になる箇所があれば随時修正していきます。

【完結】ハーレムラブコメの主人公が最後に選んだのは友人キャラのオレだった。

或波夏
BL
ハーレムラブコメが大好きな男子高校生、有真 瑛。 自分は、主人公の背中を押す友人キャラになって、特等席で恋模様を見たい! そんな瑛には、様々なラブコメテンプレ展開に巻き込まれている酒神 昴という友人がいる。 瑛は昴に《友人》として、自分を取り巻く恋愛事情について相談を持ちかけられる。 圧倒的主人公感を持つ昴からの提案に、『友人キャラになれるチャンス』を見出した瑛は、二つ返事で承諾するが、昴には別の思惑があって…… ̶ラ̶ブ̶コ̶メ̶の̶主̶人̶公̶×̶友̶人̶キ̶ャ̶ラ̶ 【一途な不器用オタク×ラブコメ大好き陽キャ】が織り成す勘違いすれ違いラブ 番外編、牛歩更新です🙇‍♀️ ※物語の特性上、女性キャラクターが数人出てきますが、主CPに挟まることはありません。 少しですが百合要素があります。 ☆第1回 青春BLカップ30位、応援ありがとうございました! 第13回BL大賞にエントリーさせていただいています!もし良ければ投票していただけると大変嬉しいです!

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

百合豚、男子校に入る。

BL
百合をこよなく愛する男子高校生・眞辺恵。 母の歪んだ価値観により共学への進学を断たれ、彼が入学させられたのは―― 男同士の恋愛が“文化”として成立している、全寮制男子校《私立瑞嶺学園》だった。 この学園では、生徒会長は「抱かれたいランキング」で選ばれ、美貌こそが正義とされる世界。 それでも眞辺は決意する。 生徒会長になり、この学校を“共学”に変え、間近で百合を拝むことを。 立ちはだかるのは、顔面至上主義の学園制度、性に奔放すぎるイケメンな幼馴染、そして彼らに憧れ恋をする生徒たち。 さらに何故か、学園の人気者たちに次々と目をつけられてしまい――。 百合を拝むため男子校を変えようとする異端者が、歪んだ王道学園を改革する物語。

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話

みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。 数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。 そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語

笑わない風紀委員長

馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。 が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。 そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め── ※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。 ※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。 ※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。 ※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ※第33話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

処理中です...