推測と繋ぎし黒は

貳方オロア

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  波の途 流れ立つは赤

1.初回

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カードゲーム。
トランプ。
単純に。
トランプのゲームは昔から好きである。
ただ駆け事の場合は別だ。

け。
そんなような形でやるとなると。
このトランプカード一枚一枚。
全て自分の身体からだへ直結する。

出方でかたがある。
それは自分で引くか相手が出すかにもよる。
出方で決まる。
自分の首。
自分の腹。
かねが掛かっている。
その直結した身体の感覚はトランプの出方に左右される。
切られるか。
心臓がなくなるか。
それとも。

だから単純に楽しむ場合。
け事ではない単純なカード。
それを取り合い取られ。
絵柄や数字の組み合わせ。
自分の運。
そこでどうなのか。
面白いのはそこ。






少しでも水場みずばがあれば、乗ってやる。
軋むボートの上だ。
小さめ。
空は青。
なるべく木が多く人気ひとけの少ない場所。
そんな所がひまつぶしか暇つぶしの穴場。

五月蠅うるさい虫はあまり飛んではいない。
だが昆虫は多い。
蜻蛉とんぼだったり。
青い虫だったり。
水面は今日もよどみがない。
今の穴場は大体だいたいみずの濁りが少なく。

今はババ抜きをやっている。
さっきはダウトだった。
独特の部分もあるので。
ルールは教え合っている。
たぶん通じているからやっている。

今の相手はある意味では仲間だ。
しかしそうでもないとも言える。






穴場から少し行けば。
更に大きな水辺に出られる。
海は多い。
シャーロット。
サラソータ。
「ウォーター」と名を冠するもの。
それだけ水に親しい場所。
のんびりするのにはもってこいだ。

ただビーチは人が年中多い。
単にひまをつぶすなら小さいボートで。
穴場へ来る一択。

住んでいるのはサラソータ。
サラソータとタンパに両方近い辺りといった所。
名前はトルマル。
シャーロットにも車でまあまあといった所。

今日はあまり取引の話はしないことにした。
何故って?
疲れるからだ。
穴場のここはフロリダのとある場所だ。
トルマルからも近い。
正確な名前はトリー・エーカも知らないし、俺も知らない。
トリー・エーカはトランプのお相手。
俺は黒田縫李ぬい

かしいだボート。
さざなみ。
下の方の水草。
結構この辺りは木が多い。
水面と木の距離は近くて、根は水面に浸かる。
たぶん淡水だ。






一艘カヤックもやって来る。
何かしら水の上へ浮かべてのんびりやる。
穴場を始め近くの水面エリアでの常套句。
軋む音。
生温い温度。
少し漕げば海はそこだから。
陰になったこの位置から、砂浜で一気に明かりが増す。
といっても午後には入っている。

名前のないこの場所。
穴場近くもまた海の多い街である。
トルマルから近い名もない場所。
大きい通りも多い。
海に掛かる道路なんかもある。
シャーロットまでは、穴場からなら十五分あれば着く。
車だ。
運転はトリー。

一艘船で走っている人。
車道。
今走る車。
何かしら船で走って、海。
飛沫しぶきはこちらには届かない。
だが窓からでも白い線は分かる。
シャーロットでは買い物か釣りだ。
蟹。
そしてJavascript。
取引の話からまた少し遠くなる。
こちらは埋め込むのかいなかという話だ。
あとは発火するか否か。

ICE。
その看板。
露店。
蟹のぬらぬら。
夕方への生温なまぬるい海の温度。
そして人々。
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