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三章 薄藍の魔導書(アルファルド編)
7.ユークレース家の秘密(前編)
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***
レグルスに連れられ、俺たちはユークレース邸に着いた。ここにアルファルドを苦しめた相手がいるに違いない。
俺は震えるアルファルドの手を握りしめた。
「アルキオーネ?」
レグルスが俺の顔を窺う。
「レグルス様、何か?」
俺は冷たい声色でレグルスに返す。レグルスは慌てて頭を振った。
まったく、こんな人でなしの王子が婚約者だなんて。傷のことを知っていて親元に帰すなんて俺にはできない。
何か事情があるなら話してくれれば俺だって納得するのに、それすらしない。俺の意思を尊重する気がないのなら、俺だってレグルスをそのように扱ってやる。自分のやってることは、八つ当たりだと分かりつつ、そんな態度を取ってしまう。
婚約者だなんだと言って散々まとわりつく癖に、肝心のところは話してくれない。きっとそれはレグルスの優しさなのだろう。それが分かっているから余計腹立たしい。
結局、友だちだと思っているのは俺だけだと突き付けられたようで、俺は少し傷ついていた。こうやって拗ねてみせるのが俺のささやかな抵抗だった。
そうこうしているうちに、ある部屋に案内される。
「護衛の方はここで」
どうやら、話が話なだけに部外者は入らせないらしい。泣く泣くアントニスは廊下に待機することになる。俺はアントニスに手を振って別れを告げた。
通された部屋には男性と女性がいた。男性の方はアルファルドと同じ銀髪で青い目をしていた。直感的にアルファルドの父親だと思った。一方、女性の方は栗毛色の髪にアンバーの瞳をしている。この人がアルファルドの母親だろうか。
二人とも酷く疲れ切ったような顔をしていた。二人はアルファルドを見るなり、立ち上がり、弱弱しい笑顔を浮かべた。
「ようこそいらっしゃいました」
やはり思った通りだ。二人がユークレース伯爵と夫人――つまり、アルファルドの両親らしい。
アルファルドは俺の後ろに隠れると、ドレスの裾を掴んだ。俺もアルファルドを隠すように前に出た。
「久しぶりです。アルファルドを連れてきました」
レグルスはいつになく丁寧な物言いだ。あのレグルスがこんな喋り方をするなんてちょっと気持ち悪い。
そんなことを思いながら俺はレグルスを見つめた。
「いきなりの訪問を快く迎え入れてくださり、ありがとうございます。レグルスの婚約者のアルキオーネ・オブシディアンと申します」
俺は一歩進み、微笑みをつくると、片足を引き、逆の片膝を曲げて体を沈めた。
「では、貴女が、アルファルドを見つけてくれたという方なんですね。本当にありがとうございます。ずっと探していたんです!」
ユークレース伯爵夫人は涙ぐみながら頭を下げた。その拍子にぽろりと涙が零れる。
これは演技か、それとも本当に安堵の涙なのか。俺は傷のことを思い出しながら訝しむようにユークレース伯爵夫人を見つめる。
「恐れ入ります。どのようにお話が伝わっているか分かりませんが、川で溺れているアルファルド様をわたくしが見つけました。記憶がないということでしたので、オブシディアン家の屋敷に泊っていただいたのですが……」
俺は二人の様子を探った。
俺の言葉を聞いて、ユークレース伯爵夫人は真っ青な顔をする。
「川? やっぱりあの女が……」
「何か?」
「いえ、こちらの話です。この度はアルファルドを連れてきてくださってありがとうございました。このお礼は後程させていただきます。さあ、アルファルドこっちへ来るんだ」
ユークレース伯爵は体を屈め、アルファルドに手を差し出す。
アルファルドは頭を振った。嫌だという明確な意思表示。
「アルファルド、迷惑がかかるだろう?」
ユークレース伯爵は苛立ったようにもう一度アルファルドの名前を呼ぶ。
アルファルドは先ほどよりも強く頭を振る。そして、逃げるように俺の後ろに隠れた。
ユークレース伯爵は戸惑うような顔をしてから、所在のなくなった自分の掌に目を落とした。そして、ゆっくりと手を下ろした。
俺はユークレース伯爵の前に立つと優雅に微笑んでみせる。はったりでも精神的に優位なのはこちらなのだと見せつけることが肝心だ。舐められてしまってはアルファルドを守ることができない。
「失礼ですが、アルファルド様は記憶喪失らしく、人に対して酷く怯えているのです。過去のことなど、何か思い当ることはありませんか? 例えば、背中のこととか……?」
ユークレース伯爵夫妻は驚いたような顔をして顔を見合わせる。その表情には警戒心と困惑が見え隠れする。
俺は二人を見極めようと目を細めた。
「失礼だぞ」
レグルスが俺を制止するように肩を掴んだ。
俺は凍えるような目つきでレグルスを見つめる。
(何もしないなら黙っていろよ、クソ王子。)
レグルスは吃驚したように目を開いてから真っ青になり、そっと手を引っ込めた。
「ねぇ、あなた……やはり、お話して協力していただきましょう」
ユークレース伯爵夫人は首を振る。そして、ユークレース伯爵の腕を引いた。
ユークレース伯爵はため息を吐く。
「そうだな。話が長くなるので、座っていただいてよろしいですか? それから、できればアルファルドは席を外してもらえたら……」
「やだ」
「アルファルドがいたらまずいことでも?」
「あ、嗚呼、それは……」
「ここにいる」
アルファルドの意思は固いようだ。俺のドレスを掴んでテコでも動かない姿勢を見せる。
「あまり聞かせたくないのです。どうか……」
「いやだ」
「あなた、アルファルドにも知る権利はありますわ」
ユークレース夫人の言葉にユークレース伯爵は頭を振り、ため息を吐く。
「わかりました。いいでしょう。座ってください」
ユークレース伯爵の言葉に俺たちは頷くとソファに座った。
ユークレース伯爵は人払いをするように使用人に命じた。どうやら使用人にも聞かれたくない話らしい。
本当に長い話になるようで、まずはと紅茶を勧められるが、そんなもので警戒心を解くような俺ではない。俺は紅茶に口を付けずにユークレース伯爵たちの言葉を待った。
「恥を忍んでお話します。表向き、アルファルドは私たちの実子ということになっていますが、実は養子なんです」
ユークレース伯爵は重い口を開く。
後継ぎの問題などで養子をもらうことは多い。それを隠したがる家があってもおかしくはないのだが、開口一番、なんでそんなことを言い出すのだろう。
「それで何が……?」
ユークレース伯爵は言いにくそうに下を向いてから顔を上げる。
「あまり言いたくなかったのですが、私の妹のプルーラは駆け落ちをしているんです。アルファルドはその息子なのです。これはレグルス王子もご存知だとは思いますが、私たちがプルーラを見つけたとき、妹は男に捨てられて娼婦をしていました」
ユークレース伯爵の声が震えた。
自分の妹が駆け落ちして娼婦になる。俺は背中がぞっとした。もしも、妹が駆け落ちなんてしたら……そう考えただけで体が震える。
怒りなのか悲しみなのか分からないけど、鉛でも飲み込んだみたいに息がつまり、胸の奥が重くなる。しかも、捨てられて自分の身を売るようになるだなんてあんまりじゃないか。
確かにこれは赤の他人に聞かせるような話でない。これはレグルスの立場やユークレース伯爵の心中を考えるとレグルスの口からはなかなか言えるような話ではないだろう。わけを話して欲しいと言ったとき、レグルスが言えなかった理由が分かった。
「こんな若いご令嬢に娼婦なんて……こんな話、すみません」
「いえ、続けてくださいますか?」
俺は首を振る。お気遣いはありがたいが、俺はご令嬢であってご令嬢ではない。前世の記憶もあるので、そんな気遣いは不要だ。
「どうやら、アルファルドは当時、プルーラとプルーラが付き合っていた男に暴力を受けていたようなんです」
なるほど。アルファルドの背中の傷はそのときのものなのだろう。
「私たちはこの子を置いておけないと思い、養子にすることにしました。プルーラも家に戻ることを望みましたが、私は妹がアルファルドにしたことをどうしても許せなかった。アルファルドの将来も考え、十分な金をやるから手を切ってくれと頼みました。彼女は金を手に入れ、アルファルドを置いて姿を消しました」
つまり、ユークレース伯爵のいうことが本当なのならば、アルファルドは実の母親にお金で売られたということになる。ユークレース伯爵がアルファルドに席を外してほしいと言った理由はおそらくアルファルドにそれを知られたくなかったからだろう。記憶がないとは言え、傷つくと考えたに違いない。
俺はアルファルドの心中が気になった。アルファルドは俺のドレスの裾を掴み、無表情にじっとユークレース伯爵たちを見つめる。その表情からは何も読み取れない。
「ところが、最近になってアルファルドに接触しようとしてきたんです。アルファルドがいれば私たちが金を出すと思ったに違いありません」
ユークレース伯爵はため息を吐きながら、忌まわしいものでも見るような目つきでテーブルを睨みつけた。
「オブシディアン伯爵令嬢、川で見つけたとき、この子、ドレスを着ていたんじゃありませんか?」
ユークレース伯爵夫人が話を引き継ぐ。
「ええ、確かにドレスを着ていました」
「彼女、この子が本当に小さいときしか知らないんです。この顔でしょう。女装させておけば分からないと思ったのです」
産んだのは男の子だから、女の子の恰好をしておけば分からないと思ったのだろう。確かに身長も歳の割に小さいし、顔も美少女にしか見えない。俺はアルファルドを見ながら頷く。
アルファルドは自分のことを言われているのに、全く知らない物語を聞かされているかのようにきょとんとした顔をしていた。
「でも、考えが甘かった。どうやら、あの女はメイドを使って攫っていったようなんです」
「メイドが?」
「ええ。駆け落ちしたとはいえ、古くからいるメイドたちにとってはプルーラはこの屋敷のお嬢様だったのでしょう。子どもとの仲を引き裂かれたと思い、同情的なメイドがいたようなんです」
ユークレース伯爵夫人の言葉にユークレース伯爵は思い出したかのように机を叩いた。
レグルスに連れられ、俺たちはユークレース邸に着いた。ここにアルファルドを苦しめた相手がいるに違いない。
俺は震えるアルファルドの手を握りしめた。
「アルキオーネ?」
レグルスが俺の顔を窺う。
「レグルス様、何か?」
俺は冷たい声色でレグルスに返す。レグルスは慌てて頭を振った。
まったく、こんな人でなしの王子が婚約者だなんて。傷のことを知っていて親元に帰すなんて俺にはできない。
何か事情があるなら話してくれれば俺だって納得するのに、それすらしない。俺の意思を尊重する気がないのなら、俺だってレグルスをそのように扱ってやる。自分のやってることは、八つ当たりだと分かりつつ、そんな態度を取ってしまう。
婚約者だなんだと言って散々まとわりつく癖に、肝心のところは話してくれない。きっとそれはレグルスの優しさなのだろう。それが分かっているから余計腹立たしい。
結局、友だちだと思っているのは俺だけだと突き付けられたようで、俺は少し傷ついていた。こうやって拗ねてみせるのが俺のささやかな抵抗だった。
そうこうしているうちに、ある部屋に案内される。
「護衛の方はここで」
どうやら、話が話なだけに部外者は入らせないらしい。泣く泣くアントニスは廊下に待機することになる。俺はアントニスに手を振って別れを告げた。
通された部屋には男性と女性がいた。男性の方はアルファルドと同じ銀髪で青い目をしていた。直感的にアルファルドの父親だと思った。一方、女性の方は栗毛色の髪にアンバーの瞳をしている。この人がアルファルドの母親だろうか。
二人とも酷く疲れ切ったような顔をしていた。二人はアルファルドを見るなり、立ち上がり、弱弱しい笑顔を浮かべた。
「ようこそいらっしゃいました」
やはり思った通りだ。二人がユークレース伯爵と夫人――つまり、アルファルドの両親らしい。
アルファルドは俺の後ろに隠れると、ドレスの裾を掴んだ。俺もアルファルドを隠すように前に出た。
「久しぶりです。アルファルドを連れてきました」
レグルスはいつになく丁寧な物言いだ。あのレグルスがこんな喋り方をするなんてちょっと気持ち悪い。
そんなことを思いながら俺はレグルスを見つめた。
「いきなりの訪問を快く迎え入れてくださり、ありがとうございます。レグルスの婚約者のアルキオーネ・オブシディアンと申します」
俺は一歩進み、微笑みをつくると、片足を引き、逆の片膝を曲げて体を沈めた。
「では、貴女が、アルファルドを見つけてくれたという方なんですね。本当にありがとうございます。ずっと探していたんです!」
ユークレース伯爵夫人は涙ぐみながら頭を下げた。その拍子にぽろりと涙が零れる。
これは演技か、それとも本当に安堵の涙なのか。俺は傷のことを思い出しながら訝しむようにユークレース伯爵夫人を見つめる。
「恐れ入ります。どのようにお話が伝わっているか分かりませんが、川で溺れているアルファルド様をわたくしが見つけました。記憶がないということでしたので、オブシディアン家の屋敷に泊っていただいたのですが……」
俺は二人の様子を探った。
俺の言葉を聞いて、ユークレース伯爵夫人は真っ青な顔をする。
「川? やっぱりあの女が……」
「何か?」
「いえ、こちらの話です。この度はアルファルドを連れてきてくださってありがとうございました。このお礼は後程させていただきます。さあ、アルファルドこっちへ来るんだ」
ユークレース伯爵は体を屈め、アルファルドに手を差し出す。
アルファルドは頭を振った。嫌だという明確な意思表示。
「アルファルド、迷惑がかかるだろう?」
ユークレース伯爵は苛立ったようにもう一度アルファルドの名前を呼ぶ。
アルファルドは先ほどよりも強く頭を振る。そして、逃げるように俺の後ろに隠れた。
ユークレース伯爵は戸惑うような顔をしてから、所在のなくなった自分の掌に目を落とした。そして、ゆっくりと手を下ろした。
俺はユークレース伯爵の前に立つと優雅に微笑んでみせる。はったりでも精神的に優位なのはこちらなのだと見せつけることが肝心だ。舐められてしまってはアルファルドを守ることができない。
「失礼ですが、アルファルド様は記憶喪失らしく、人に対して酷く怯えているのです。過去のことなど、何か思い当ることはありませんか? 例えば、背中のこととか……?」
ユークレース伯爵夫妻は驚いたような顔をして顔を見合わせる。その表情には警戒心と困惑が見え隠れする。
俺は二人を見極めようと目を細めた。
「失礼だぞ」
レグルスが俺を制止するように肩を掴んだ。
俺は凍えるような目つきでレグルスを見つめる。
(何もしないなら黙っていろよ、クソ王子。)
レグルスは吃驚したように目を開いてから真っ青になり、そっと手を引っ込めた。
「ねぇ、あなた……やはり、お話して協力していただきましょう」
ユークレース伯爵夫人は首を振る。そして、ユークレース伯爵の腕を引いた。
ユークレース伯爵はため息を吐く。
「そうだな。話が長くなるので、座っていただいてよろしいですか? それから、できればアルファルドは席を外してもらえたら……」
「やだ」
「アルファルドがいたらまずいことでも?」
「あ、嗚呼、それは……」
「ここにいる」
アルファルドの意思は固いようだ。俺のドレスを掴んでテコでも動かない姿勢を見せる。
「あまり聞かせたくないのです。どうか……」
「いやだ」
「あなた、アルファルドにも知る権利はありますわ」
ユークレース夫人の言葉にユークレース伯爵は頭を振り、ため息を吐く。
「わかりました。いいでしょう。座ってください」
ユークレース伯爵の言葉に俺たちは頷くとソファに座った。
ユークレース伯爵は人払いをするように使用人に命じた。どうやら使用人にも聞かれたくない話らしい。
本当に長い話になるようで、まずはと紅茶を勧められるが、そんなもので警戒心を解くような俺ではない。俺は紅茶に口を付けずにユークレース伯爵たちの言葉を待った。
「恥を忍んでお話します。表向き、アルファルドは私たちの実子ということになっていますが、実は養子なんです」
ユークレース伯爵は重い口を開く。
後継ぎの問題などで養子をもらうことは多い。それを隠したがる家があってもおかしくはないのだが、開口一番、なんでそんなことを言い出すのだろう。
「それで何が……?」
ユークレース伯爵は言いにくそうに下を向いてから顔を上げる。
「あまり言いたくなかったのですが、私の妹のプルーラは駆け落ちをしているんです。アルファルドはその息子なのです。これはレグルス王子もご存知だとは思いますが、私たちがプルーラを見つけたとき、妹は男に捨てられて娼婦をしていました」
ユークレース伯爵の声が震えた。
自分の妹が駆け落ちして娼婦になる。俺は背中がぞっとした。もしも、妹が駆け落ちなんてしたら……そう考えただけで体が震える。
怒りなのか悲しみなのか分からないけど、鉛でも飲み込んだみたいに息がつまり、胸の奥が重くなる。しかも、捨てられて自分の身を売るようになるだなんてあんまりじゃないか。
確かにこれは赤の他人に聞かせるような話でない。これはレグルスの立場やユークレース伯爵の心中を考えるとレグルスの口からはなかなか言えるような話ではないだろう。わけを話して欲しいと言ったとき、レグルスが言えなかった理由が分かった。
「こんな若いご令嬢に娼婦なんて……こんな話、すみません」
「いえ、続けてくださいますか?」
俺は首を振る。お気遣いはありがたいが、俺はご令嬢であってご令嬢ではない。前世の記憶もあるので、そんな気遣いは不要だ。
「どうやら、アルファルドは当時、プルーラとプルーラが付き合っていた男に暴力を受けていたようなんです」
なるほど。アルファルドの背中の傷はそのときのものなのだろう。
「私たちはこの子を置いておけないと思い、養子にすることにしました。プルーラも家に戻ることを望みましたが、私は妹がアルファルドにしたことをどうしても許せなかった。アルファルドの将来も考え、十分な金をやるから手を切ってくれと頼みました。彼女は金を手に入れ、アルファルドを置いて姿を消しました」
つまり、ユークレース伯爵のいうことが本当なのならば、アルファルドは実の母親にお金で売られたということになる。ユークレース伯爵がアルファルドに席を外してほしいと言った理由はおそらくアルファルドにそれを知られたくなかったからだろう。記憶がないとは言え、傷つくと考えたに違いない。
俺はアルファルドの心中が気になった。アルファルドは俺のドレスの裾を掴み、無表情にじっとユークレース伯爵たちを見つめる。その表情からは何も読み取れない。
「ところが、最近になってアルファルドに接触しようとしてきたんです。アルファルドがいれば私たちが金を出すと思ったに違いありません」
ユークレース伯爵はため息を吐きながら、忌まわしいものでも見るような目つきでテーブルを睨みつけた。
「オブシディアン伯爵令嬢、川で見つけたとき、この子、ドレスを着ていたんじゃありませんか?」
ユークレース伯爵夫人が話を引き継ぐ。
「ええ、確かにドレスを着ていました」
「彼女、この子が本当に小さいときしか知らないんです。この顔でしょう。女装させておけば分からないと思ったのです」
産んだのは男の子だから、女の子の恰好をしておけば分からないと思ったのだろう。確かに身長も歳の割に小さいし、顔も美少女にしか見えない。俺はアルファルドを見ながら頷く。
アルファルドは自分のことを言われているのに、全く知らない物語を聞かされているかのようにきょとんとした顔をしていた。
「でも、考えが甘かった。どうやら、あの女はメイドを使って攫っていったようなんです」
「メイドが?」
「ええ。駆け落ちしたとはいえ、古くからいるメイドたちにとってはプルーラはこの屋敷のお嬢様だったのでしょう。子どもとの仲を引き裂かれたと思い、同情的なメイドがいたようなんです」
ユークレース伯爵夫人の言葉にユークレース伯爵は思い出したかのように机を叩いた。
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