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連載
番外編 アクア・カルケルへ その1
「これで全員分、か」
ここ数日で集めたアイテムの数が足りていることを確認し、ガッツポーズをとる。敵のドロップはともかく、採取系はほぼゴビーが見つけた。なんとなくだが、一生アイテム採取には困らない気がする。
「じゃあ、ついに行けるんですね! 【アクア・カルケル】に!」
アリスさんの声を聞き、他の面々も嬉しそうに頷く。
アクア・カルケルは東側のゾーン内にある湖、その水中にあるダンジョンのことだ。外から見た感じは城のようにも見える形をしており、だがどことなく不気味な様相ももっていた。
で、当然これはテストダンジョンだ。
水中にあるため素材を集め、秘薬を作った。ふふふっ、これで水中でも息ができ、アクア・カルケル内を探索できるというものだ。
「よし、それじゃあ――」
「また明日ですね」
拳を突き上げた俺へ対し、アリスさんが平然と本日は終わりだと告げる。
おいおいおいおい、待ってくれよ! 今、やっと集まったんだよ? これからアクア・カルケルへ入り、探索を楽しむんじゃないか!
なぁ? とゴビーを見る。しかし、瞼を擦り欠伸をしていた。NPCの癖に眠いとか高性能すぎるだろ。
「アリスさん! このハイテンションのままじゃ眠れないよ!」
もう行くしかないよね? と問いかけたのだが、アリスさんは首を横へ振り、指を差した。その先にいるのはポワンで、座っているカイルさんの肩へもたれかかり、すーすーと寝息を立てている。
とりあえず今度見せて楽しむためにSSを撮っておいた。
「ですから、今日はもう終わりです。時間も23時ですし……」
「でも!」
「「シーッ」」
二人が同時に口の前で人差し指を立てる。気付けばゴビーもポワンの膝で横になっていた。正直、体が痛そうな体勢だ。
え、でも、その、なに? 夜はこれからじゃないか。ちょっとだけ覗いてみても……。無言のまま首を横へ振られた。
「今日は解散で。ほらポワンさんも起きて」
「ママ、後五分……」
ママだってよ! え、こいつママとか言ってるの? ぷっぷー! などと思うことはなく、俺たちは彼女の純粋さに目を覆った。な、なんて眩しい存在なんだ。ポワンのくせしてちょっと可愛いじゃないか!
「うひ、うひひひひ、王子様ぁ」
すっと一瞬で気持ちは落ち着き、先ほどまでの感情は嘘だったかのようだ。さすがに「うひひ」はない。
その後、寝ているやつらをなんとか起こし、その日は終わりにすることとした。
明日が本番だぜ!
◇
岸辺から透き通る湖を見る。それはどこまでも先が見えており、美しい世界に見えた。ちなみに俺が住んでいる場所の近くに海もあるが、濁っているのでこうはいかない。たぶん日本海側の海とか、沖縄の海はこんな感じなのだろう。イメージでしかないけど。
「綺麗ですね……」
風に流れた金髪をアリスさんが片手で撫で上げる。魅力的な仕草に、思わずドキッとした。
隣へ立っていることすら恥ずかしく感じ、ドギマギしてしまう。デジタルな体が熱を帯びており、頬を冷たい風が撫でた。
「海だー!」
「ゴブー!」
大きな水音が響く。ちらりと目を向けると、馬鹿二人が飛び込んでいた。後、ここは海じゃなくて湖だから。
うん、台無しだよ。妙にロマンチックな気分となっていたが全て霧散していた。こいつらに空気を読むとか情緒を気にするなどの機微は無いのだろう。
だがまぁいいか、と思い直し、全員へ声をかける。
「よし! ではこれよりアクア・カルテル攻略作戦を開始する!」
「カルケル、ですよ」
「……アクア・カルケルを攻略する!」
言い間違えをアリスさんへ正され、俺も大概だなと思った。
そして各々秘薬を飲み、いざ水中へ。
「よし、行けゴビー!」
「ゴーブゴーブ」
「なにその、どーぞどーぞって感じの手」
一番手を譲ってやったにも関わらず、ゴビーは尻込みしている様子を見せていた。なので俺も同じように、どーぞどーぞと手を出す。
「どーぞどーぞ」
「ゴーブゴーブ」
こいつ、本当に水の中で息ができるのか? 苦しくて溺れるだけなんじゃないか? そんな風に疑ってやがる。
ゲームなのにそういう不思議要素を疑ってどうするんだ! 飼い主の顔が見たいぜ! と不服に思い告げると、カイルさんが複雑な表情で俺を見ていた。そんな目で俺を見ないでください!
「やっぱりここはリーダーのヴンダーくんからどうだい」
「ゴブゴブ」
「骨は拾います!」
「今、死ぬこと前提な感じじゃなかった!?」
誰が最初の犠牲者になるか。生贄を決めるべくお互いの背を押し合っていると、湖のほうから水音と声がした。
「ねぇ、行かないの?」
「……ポワン、たまにお前のことを尊敬するよ」
「え? あたしのことを尊敬してる!? 照れちゃうなー、もー!」
なんとも嬉しそうに答えている。たまにの部分がスッポリ抜けているところとか、こいつは将来幸せになりそうだなぁと思った。
で、一人試せば後退りしているのも情けなく、俺たちは湖へと勢いよく飛び込んだ。
全身が軽くなったような独特な感触。水温は若干低く設定されているのか、少しだけ冷たい。
……そしてゆっくりと目を開いた。
日の光を受け水中は煌めいており、透き通っているからどこまでも先が見通せる。幻想的なその光景に、思わず息を吐きそうになった。
しかし、そんなことはしない。段々息が苦しくなり、他の人はどうしているのだろうと横を見た。
アリスさんは顔を赤くしながら頬を膨らませている。カイルさんはまるで瞑想するように目を閉じ動かない。ただポワンは魚を追いかけて泳いでいた。現実的な考えを持っているほど、息が吸えるという事実を認められず苦労するのかもしれない。
よし、吸うぞ。息を……水を吸っちゃわないか? え? 水を飲むの? それじゃ息はできなくない?
踏ん切りが尽かず困っていたのだが、ふと気付く。またもやゴビーがいない。
周囲をキョロキョロ見てみたが影も形もなく、まさか水上へあがったのかと目を動かす。だがやはり姿は無く、動揺を隠せぬまま探した。
「ゴビーがいません!」
「さっきまでわたしと一緒にいましたよ?」
「あぁ、水の中へ入るところは僕も確認した」
だがいない。どこに? 冷静さを失い、泳ぎながら探す。どこだ、どこにいるんだ? ……待てよ? ここで一つのことに思い至った。ゴビーは泳いだことがあるのか? 恐らくない。つまり、溺れて、いる?
「ゴ、ゴビー!」
「ゴブー」
「今助けに行くから! 死ぬな! すぐ行く!」
「ゴブー」
とりあえず水上へ戻り、そこから泳いだところを……あれ? 声が聞こえる。間違えるはずもない相棒の声が。だが、どうして下から?
よく分からないまま下を見る。そこには手を振っているゴビーの姿があった。
「ゴビー無事だったのか!」
「ゴブゴーブ」
ゴビーは口元を手で押さえ、頬を膨らませる。それからぶはーっと息を吐き、もがき苦しんだ。が、ピョンッと飛び上がり歩き出す。うん、さっぱり分からん。
「これ、溺れて下まで行ってしまったけれど、息ができたってことじゃないかな?」
「カイルさん素晴らしい推測です。ゴブリン検定準二級を与えます」
「あたしはあたしは!」
「十五級」
「やったー!」
皮肉のつもりだったがポワンは大喜びしている。むしろこちらが若干申し訳なくなったが、ポワンだからいっかと思い直した。
気付けば会話もしており、息も出来ている。ゴビーのお陰というかなんというか。とりあえず、行きますか。
ゴビーを小脇に抱え、アクア・カルケルを指差す。言葉にせずとも伝わり、俺たちは泳ぎ始めた。
しかし、すぐにアリスさんが横へ来て、耳元に顔を近づけた。
「珍しくゴビーちゃんのことで慌てていましたね」
「……気のせいです!」
そもそも死ねばモニュメントで復活するか、リサモンして起こせばいいだけだ。
当たり前のことに今更気付き、アリスさんの言葉を思い返し頬が熱くなる。俺は顔を見られないよう、泳ぐ速度を上げて逃げ出した。
ここ数日で集めたアイテムの数が足りていることを確認し、ガッツポーズをとる。敵のドロップはともかく、採取系はほぼゴビーが見つけた。なんとなくだが、一生アイテム採取には困らない気がする。
「じゃあ、ついに行けるんですね! 【アクア・カルケル】に!」
アリスさんの声を聞き、他の面々も嬉しそうに頷く。
アクア・カルケルは東側のゾーン内にある湖、その水中にあるダンジョンのことだ。外から見た感じは城のようにも見える形をしており、だがどことなく不気味な様相ももっていた。
で、当然これはテストダンジョンだ。
水中にあるため素材を集め、秘薬を作った。ふふふっ、これで水中でも息ができ、アクア・カルケル内を探索できるというものだ。
「よし、それじゃあ――」
「また明日ですね」
拳を突き上げた俺へ対し、アリスさんが平然と本日は終わりだと告げる。
おいおいおいおい、待ってくれよ! 今、やっと集まったんだよ? これからアクア・カルケルへ入り、探索を楽しむんじゃないか!
なぁ? とゴビーを見る。しかし、瞼を擦り欠伸をしていた。NPCの癖に眠いとか高性能すぎるだろ。
「アリスさん! このハイテンションのままじゃ眠れないよ!」
もう行くしかないよね? と問いかけたのだが、アリスさんは首を横へ振り、指を差した。その先にいるのはポワンで、座っているカイルさんの肩へもたれかかり、すーすーと寝息を立てている。
とりあえず今度見せて楽しむためにSSを撮っておいた。
「ですから、今日はもう終わりです。時間も23時ですし……」
「でも!」
「「シーッ」」
二人が同時に口の前で人差し指を立てる。気付けばゴビーもポワンの膝で横になっていた。正直、体が痛そうな体勢だ。
え、でも、その、なに? 夜はこれからじゃないか。ちょっとだけ覗いてみても……。無言のまま首を横へ振られた。
「今日は解散で。ほらポワンさんも起きて」
「ママ、後五分……」
ママだってよ! え、こいつママとか言ってるの? ぷっぷー! などと思うことはなく、俺たちは彼女の純粋さに目を覆った。な、なんて眩しい存在なんだ。ポワンのくせしてちょっと可愛いじゃないか!
「うひ、うひひひひ、王子様ぁ」
すっと一瞬で気持ちは落ち着き、先ほどまでの感情は嘘だったかのようだ。さすがに「うひひ」はない。
その後、寝ているやつらをなんとか起こし、その日は終わりにすることとした。
明日が本番だぜ!
◇
岸辺から透き通る湖を見る。それはどこまでも先が見えており、美しい世界に見えた。ちなみに俺が住んでいる場所の近くに海もあるが、濁っているのでこうはいかない。たぶん日本海側の海とか、沖縄の海はこんな感じなのだろう。イメージでしかないけど。
「綺麗ですね……」
風に流れた金髪をアリスさんが片手で撫で上げる。魅力的な仕草に、思わずドキッとした。
隣へ立っていることすら恥ずかしく感じ、ドギマギしてしまう。デジタルな体が熱を帯びており、頬を冷たい風が撫でた。
「海だー!」
「ゴブー!」
大きな水音が響く。ちらりと目を向けると、馬鹿二人が飛び込んでいた。後、ここは海じゃなくて湖だから。
うん、台無しだよ。妙にロマンチックな気分となっていたが全て霧散していた。こいつらに空気を読むとか情緒を気にするなどの機微は無いのだろう。
だがまぁいいか、と思い直し、全員へ声をかける。
「よし! ではこれよりアクア・カルテル攻略作戦を開始する!」
「カルケル、ですよ」
「……アクア・カルケルを攻略する!」
言い間違えをアリスさんへ正され、俺も大概だなと思った。
そして各々秘薬を飲み、いざ水中へ。
「よし、行けゴビー!」
「ゴーブゴーブ」
「なにその、どーぞどーぞって感じの手」
一番手を譲ってやったにも関わらず、ゴビーは尻込みしている様子を見せていた。なので俺も同じように、どーぞどーぞと手を出す。
「どーぞどーぞ」
「ゴーブゴーブ」
こいつ、本当に水の中で息ができるのか? 苦しくて溺れるだけなんじゃないか? そんな風に疑ってやがる。
ゲームなのにそういう不思議要素を疑ってどうするんだ! 飼い主の顔が見たいぜ! と不服に思い告げると、カイルさんが複雑な表情で俺を見ていた。そんな目で俺を見ないでください!
「やっぱりここはリーダーのヴンダーくんからどうだい」
「ゴブゴブ」
「骨は拾います!」
「今、死ぬこと前提な感じじゃなかった!?」
誰が最初の犠牲者になるか。生贄を決めるべくお互いの背を押し合っていると、湖のほうから水音と声がした。
「ねぇ、行かないの?」
「……ポワン、たまにお前のことを尊敬するよ」
「え? あたしのことを尊敬してる!? 照れちゃうなー、もー!」
なんとも嬉しそうに答えている。たまにの部分がスッポリ抜けているところとか、こいつは将来幸せになりそうだなぁと思った。
で、一人試せば後退りしているのも情けなく、俺たちは湖へと勢いよく飛び込んだ。
全身が軽くなったような独特な感触。水温は若干低く設定されているのか、少しだけ冷たい。
……そしてゆっくりと目を開いた。
日の光を受け水中は煌めいており、透き通っているからどこまでも先が見通せる。幻想的なその光景に、思わず息を吐きそうになった。
しかし、そんなことはしない。段々息が苦しくなり、他の人はどうしているのだろうと横を見た。
アリスさんは顔を赤くしながら頬を膨らませている。カイルさんはまるで瞑想するように目を閉じ動かない。ただポワンは魚を追いかけて泳いでいた。現実的な考えを持っているほど、息が吸えるという事実を認められず苦労するのかもしれない。
よし、吸うぞ。息を……水を吸っちゃわないか? え? 水を飲むの? それじゃ息はできなくない?
踏ん切りが尽かず困っていたのだが、ふと気付く。またもやゴビーがいない。
周囲をキョロキョロ見てみたが影も形もなく、まさか水上へあがったのかと目を動かす。だがやはり姿は無く、動揺を隠せぬまま探した。
「ゴビーがいません!」
「さっきまでわたしと一緒にいましたよ?」
「あぁ、水の中へ入るところは僕も確認した」
だがいない。どこに? 冷静さを失い、泳ぎながら探す。どこだ、どこにいるんだ? ……待てよ? ここで一つのことに思い至った。ゴビーは泳いだことがあるのか? 恐らくない。つまり、溺れて、いる?
「ゴ、ゴビー!」
「ゴブー」
「今助けに行くから! 死ぬな! すぐ行く!」
「ゴブー」
とりあえず水上へ戻り、そこから泳いだところを……あれ? 声が聞こえる。間違えるはずもない相棒の声が。だが、どうして下から?
よく分からないまま下を見る。そこには手を振っているゴビーの姿があった。
「ゴビー無事だったのか!」
「ゴブゴーブ」
ゴビーは口元を手で押さえ、頬を膨らませる。それからぶはーっと息を吐き、もがき苦しんだ。が、ピョンッと飛び上がり歩き出す。うん、さっぱり分からん。
「これ、溺れて下まで行ってしまったけれど、息ができたってことじゃないかな?」
「カイルさん素晴らしい推測です。ゴブリン検定準二級を与えます」
「あたしはあたしは!」
「十五級」
「やったー!」
皮肉のつもりだったがポワンは大喜びしている。むしろこちらが若干申し訳なくなったが、ポワンだからいっかと思い直した。
気付けば会話もしており、息も出来ている。ゴビーのお陰というかなんというか。とりあえず、行きますか。
ゴビーを小脇に抱え、アクア・カルケルを指差す。言葉にせずとも伝わり、俺たちは泳ぎ始めた。
しかし、すぐにアリスさんが横へ来て、耳元に顔を近づけた。
「珍しくゴビーちゃんのことで慌てていましたね」
「……気のせいです!」
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