17 / 22
連載
番外編 アクア・カルケルへ その1
しおりを挟む
「これで全員分、か」
ここ数日で集めたアイテムの数が足りていることを確認し、ガッツポーズをとる。敵のドロップはともかく、採取系はほぼゴビーが見つけた。なんとなくだが、一生アイテム採取には困らない気がする。
「じゃあ、ついに行けるんですね! 【アクア・カルケル】に!」
アリスさんの声を聞き、他の面々も嬉しそうに頷く。
アクア・カルケルは東側のゾーン内にある湖、その水中にあるダンジョンのことだ。外から見た感じは城のようにも見える形をしており、だがどことなく不気味な様相ももっていた。
で、当然これはテストダンジョンだ。
水中にあるため素材を集め、秘薬を作った。ふふふっ、これで水中でも息ができ、アクア・カルケル内を探索できるというものだ。
「よし、それじゃあ――」
「また明日ですね」
拳を突き上げた俺へ対し、アリスさんが平然と本日は終わりだと告げる。
おいおいおいおい、待ってくれよ! 今、やっと集まったんだよ? これからアクア・カルケルへ入り、探索を楽しむんじゃないか!
なぁ? とゴビーを見る。しかし、瞼を擦り欠伸をしていた。NPCの癖に眠いとか高性能すぎるだろ。
「アリスさん! このハイテンションのままじゃ眠れないよ!」
もう行くしかないよね? と問いかけたのだが、アリスさんは首を横へ振り、指を差した。その先にいるのはポワンで、座っているカイルさんの肩へもたれかかり、すーすーと寝息を立てている。
とりあえず今度見せて楽しむためにSSを撮っておいた。
「ですから、今日はもう終わりです。時間も23時ですし……」
「でも!」
「「シーッ」」
二人が同時に口の前で人差し指を立てる。気付けばゴビーもポワンの膝で横になっていた。正直、体が痛そうな体勢だ。
え、でも、その、なに? 夜はこれからじゃないか。ちょっとだけ覗いてみても……。無言のまま首を横へ振られた。
「今日は解散で。ほらポワンさんも起きて」
「ママ、後五分……」
ママだってよ! え、こいつママとか言ってるの? ぷっぷー! などと思うことはなく、俺たちは彼女の純粋さに目を覆った。な、なんて眩しい存在なんだ。ポワンのくせしてちょっと可愛いじゃないか!
「うひ、うひひひひ、王子様ぁ」
すっと一瞬で気持ちは落ち着き、先ほどまでの感情は嘘だったかのようだ。さすがに「うひひ」はない。
その後、寝ているやつらをなんとか起こし、その日は終わりにすることとした。
明日が本番だぜ!
◇
岸辺から透き通る湖を見る。それはどこまでも先が見えており、美しい世界に見えた。ちなみに俺が住んでいる場所の近くに海もあるが、濁っているのでこうはいかない。たぶん日本海側の海とか、沖縄の海はこんな感じなのだろう。イメージでしかないけど。
「綺麗ですね……」
風に流れた金髪をアリスさんが片手で撫で上げる。魅力的な仕草に、思わずドキッとした。
隣へ立っていることすら恥ずかしく感じ、ドギマギしてしまう。デジタルな体が熱を帯びており、頬を冷たい風が撫でた。
「海だー!」
「ゴブー!」
大きな水音が響く。ちらりと目を向けると、馬鹿二人が飛び込んでいた。後、ここは海じゃなくて湖だから。
うん、台無しだよ。妙にロマンチックな気分となっていたが全て霧散していた。こいつらに空気を読むとか情緒を気にするなどの機微は無いのだろう。
だがまぁいいか、と思い直し、全員へ声をかける。
「よし! ではこれよりアクア・カルテル攻略作戦を開始する!」
「カルケル、ですよ」
「……アクア・カルケルを攻略する!」
言い間違えをアリスさんへ正され、俺も大概だなと思った。
そして各々秘薬を飲み、いざ水中へ。
「よし、行けゴビー!」
「ゴーブゴーブ」
「なにその、どーぞどーぞって感じの手」
一番手を譲ってやったにも関わらず、ゴビーは尻込みしている様子を見せていた。なので俺も同じように、どーぞどーぞと手を出す。
「どーぞどーぞ」
「ゴーブゴーブ」
こいつ、本当に水の中で息ができるのか? 苦しくて溺れるだけなんじゃないか? そんな風に疑ってやがる。
ゲームなのにそういう不思議要素を疑ってどうするんだ! 飼い主の顔が見たいぜ! と不服に思い告げると、カイルさんが複雑な表情で俺を見ていた。そんな目で俺を見ないでください!
「やっぱりここはリーダーのヴンダーくんからどうだい」
「ゴブゴブ」
「骨は拾います!」
「今、死ぬこと前提な感じじゃなかった!?」
誰が最初の犠牲者になるか。生贄を決めるべくお互いの背を押し合っていると、湖のほうから水音と声がした。
「ねぇ、行かないの?」
「……ポワン、たまにお前のことを尊敬するよ」
「え? あたしのことを尊敬してる!? 照れちゃうなー、もー!」
なんとも嬉しそうに答えている。たまにの部分がスッポリ抜けているところとか、こいつは将来幸せになりそうだなぁと思った。
で、一人試せば後退りしているのも情けなく、俺たちは湖へと勢いよく飛び込んだ。
全身が軽くなったような独特な感触。水温は若干低く設定されているのか、少しだけ冷たい。
……そしてゆっくりと目を開いた。
日の光を受け水中は煌めいており、透き通っているからどこまでも先が見通せる。幻想的なその光景に、思わず息を吐きそうになった。
しかし、そんなことはしない。段々息が苦しくなり、他の人はどうしているのだろうと横を見た。
アリスさんは顔を赤くしながら頬を膨らませている。カイルさんはまるで瞑想するように目を閉じ動かない。ただポワンは魚を追いかけて泳いでいた。現実的な考えを持っているほど、息が吸えるという事実を認められず苦労するのかもしれない。
よし、吸うぞ。息を……水を吸っちゃわないか? え? 水を飲むの? それじゃ息はできなくない?
踏ん切りが尽かず困っていたのだが、ふと気付く。またもやゴビーがいない。
周囲をキョロキョロ見てみたが影も形もなく、まさか水上へあがったのかと目を動かす。だがやはり姿は無く、動揺を隠せぬまま探した。
「ゴビーがいません!」
「さっきまでわたしと一緒にいましたよ?」
「あぁ、水の中へ入るところは僕も確認した」
だがいない。どこに? 冷静さを失い、泳ぎながら探す。どこだ、どこにいるんだ? ……待てよ? ここで一つのことに思い至った。ゴビーは泳いだことがあるのか? 恐らくない。つまり、溺れて、いる?
「ゴ、ゴビー!」
「ゴブー」
「今助けに行くから! 死ぬな! すぐ行く!」
「ゴブー」
とりあえず水上へ戻り、そこから泳いだところを……あれ? 声が聞こえる。間違えるはずもない相棒の声が。だが、どうして下から?
よく分からないまま下を見る。そこには手を振っているゴビーの姿があった。
「ゴビー無事だったのか!」
「ゴブゴーブ」
ゴビーは口元を手で押さえ、頬を膨らませる。それからぶはーっと息を吐き、もがき苦しんだ。が、ピョンッと飛び上がり歩き出す。うん、さっぱり分からん。
「これ、溺れて下まで行ってしまったけれど、息ができたってことじゃないかな?」
「カイルさん素晴らしい推測です。ゴブリン検定準二級を与えます」
「あたしはあたしは!」
「十五級」
「やったー!」
皮肉のつもりだったがポワンは大喜びしている。むしろこちらが若干申し訳なくなったが、ポワンだからいっかと思い直した。
気付けば会話もしており、息も出来ている。ゴビーのお陰というかなんというか。とりあえず、行きますか。
ゴビーを小脇に抱え、アクア・カルケルを指差す。言葉にせずとも伝わり、俺たちは泳ぎ始めた。
しかし、すぐにアリスさんが横へ来て、耳元に顔を近づけた。
「珍しくゴビーちゃんのことで慌てていましたね」
「……気のせいです!」
そもそも死ねばモニュメントで復活するか、リサモンして起こせばいいだけだ。
当たり前のことに今更気付き、アリスさんの言葉を思い返し頬が熱くなる。俺は顔を見られないよう、泳ぐ速度を上げて逃げ出した。
ここ数日で集めたアイテムの数が足りていることを確認し、ガッツポーズをとる。敵のドロップはともかく、採取系はほぼゴビーが見つけた。なんとなくだが、一生アイテム採取には困らない気がする。
「じゃあ、ついに行けるんですね! 【アクア・カルケル】に!」
アリスさんの声を聞き、他の面々も嬉しそうに頷く。
アクア・カルケルは東側のゾーン内にある湖、その水中にあるダンジョンのことだ。外から見た感じは城のようにも見える形をしており、だがどことなく不気味な様相ももっていた。
で、当然これはテストダンジョンだ。
水中にあるため素材を集め、秘薬を作った。ふふふっ、これで水中でも息ができ、アクア・カルケル内を探索できるというものだ。
「よし、それじゃあ――」
「また明日ですね」
拳を突き上げた俺へ対し、アリスさんが平然と本日は終わりだと告げる。
おいおいおいおい、待ってくれよ! 今、やっと集まったんだよ? これからアクア・カルケルへ入り、探索を楽しむんじゃないか!
なぁ? とゴビーを見る。しかし、瞼を擦り欠伸をしていた。NPCの癖に眠いとか高性能すぎるだろ。
「アリスさん! このハイテンションのままじゃ眠れないよ!」
もう行くしかないよね? と問いかけたのだが、アリスさんは首を横へ振り、指を差した。その先にいるのはポワンで、座っているカイルさんの肩へもたれかかり、すーすーと寝息を立てている。
とりあえず今度見せて楽しむためにSSを撮っておいた。
「ですから、今日はもう終わりです。時間も23時ですし……」
「でも!」
「「シーッ」」
二人が同時に口の前で人差し指を立てる。気付けばゴビーもポワンの膝で横になっていた。正直、体が痛そうな体勢だ。
え、でも、その、なに? 夜はこれからじゃないか。ちょっとだけ覗いてみても……。無言のまま首を横へ振られた。
「今日は解散で。ほらポワンさんも起きて」
「ママ、後五分……」
ママだってよ! え、こいつママとか言ってるの? ぷっぷー! などと思うことはなく、俺たちは彼女の純粋さに目を覆った。な、なんて眩しい存在なんだ。ポワンのくせしてちょっと可愛いじゃないか!
「うひ、うひひひひ、王子様ぁ」
すっと一瞬で気持ちは落ち着き、先ほどまでの感情は嘘だったかのようだ。さすがに「うひひ」はない。
その後、寝ているやつらをなんとか起こし、その日は終わりにすることとした。
明日が本番だぜ!
◇
岸辺から透き通る湖を見る。それはどこまでも先が見えており、美しい世界に見えた。ちなみに俺が住んでいる場所の近くに海もあるが、濁っているのでこうはいかない。たぶん日本海側の海とか、沖縄の海はこんな感じなのだろう。イメージでしかないけど。
「綺麗ですね……」
風に流れた金髪をアリスさんが片手で撫で上げる。魅力的な仕草に、思わずドキッとした。
隣へ立っていることすら恥ずかしく感じ、ドギマギしてしまう。デジタルな体が熱を帯びており、頬を冷たい風が撫でた。
「海だー!」
「ゴブー!」
大きな水音が響く。ちらりと目を向けると、馬鹿二人が飛び込んでいた。後、ここは海じゃなくて湖だから。
うん、台無しだよ。妙にロマンチックな気分となっていたが全て霧散していた。こいつらに空気を読むとか情緒を気にするなどの機微は無いのだろう。
だがまぁいいか、と思い直し、全員へ声をかける。
「よし! ではこれよりアクア・カルテル攻略作戦を開始する!」
「カルケル、ですよ」
「……アクア・カルケルを攻略する!」
言い間違えをアリスさんへ正され、俺も大概だなと思った。
そして各々秘薬を飲み、いざ水中へ。
「よし、行けゴビー!」
「ゴーブゴーブ」
「なにその、どーぞどーぞって感じの手」
一番手を譲ってやったにも関わらず、ゴビーは尻込みしている様子を見せていた。なので俺も同じように、どーぞどーぞと手を出す。
「どーぞどーぞ」
「ゴーブゴーブ」
こいつ、本当に水の中で息ができるのか? 苦しくて溺れるだけなんじゃないか? そんな風に疑ってやがる。
ゲームなのにそういう不思議要素を疑ってどうするんだ! 飼い主の顔が見たいぜ! と不服に思い告げると、カイルさんが複雑な表情で俺を見ていた。そんな目で俺を見ないでください!
「やっぱりここはリーダーのヴンダーくんからどうだい」
「ゴブゴブ」
「骨は拾います!」
「今、死ぬこと前提な感じじゃなかった!?」
誰が最初の犠牲者になるか。生贄を決めるべくお互いの背を押し合っていると、湖のほうから水音と声がした。
「ねぇ、行かないの?」
「……ポワン、たまにお前のことを尊敬するよ」
「え? あたしのことを尊敬してる!? 照れちゃうなー、もー!」
なんとも嬉しそうに答えている。たまにの部分がスッポリ抜けているところとか、こいつは将来幸せになりそうだなぁと思った。
で、一人試せば後退りしているのも情けなく、俺たちは湖へと勢いよく飛び込んだ。
全身が軽くなったような独特な感触。水温は若干低く設定されているのか、少しだけ冷たい。
……そしてゆっくりと目を開いた。
日の光を受け水中は煌めいており、透き通っているからどこまでも先が見通せる。幻想的なその光景に、思わず息を吐きそうになった。
しかし、そんなことはしない。段々息が苦しくなり、他の人はどうしているのだろうと横を見た。
アリスさんは顔を赤くしながら頬を膨らませている。カイルさんはまるで瞑想するように目を閉じ動かない。ただポワンは魚を追いかけて泳いでいた。現実的な考えを持っているほど、息が吸えるという事実を認められず苦労するのかもしれない。
よし、吸うぞ。息を……水を吸っちゃわないか? え? 水を飲むの? それじゃ息はできなくない?
踏ん切りが尽かず困っていたのだが、ふと気付く。またもやゴビーがいない。
周囲をキョロキョロ見てみたが影も形もなく、まさか水上へあがったのかと目を動かす。だがやはり姿は無く、動揺を隠せぬまま探した。
「ゴビーがいません!」
「さっきまでわたしと一緒にいましたよ?」
「あぁ、水の中へ入るところは僕も確認した」
だがいない。どこに? 冷静さを失い、泳ぎながら探す。どこだ、どこにいるんだ? ……待てよ? ここで一つのことに思い至った。ゴビーは泳いだことがあるのか? 恐らくない。つまり、溺れて、いる?
「ゴ、ゴビー!」
「ゴブー」
「今助けに行くから! 死ぬな! すぐ行く!」
「ゴブー」
とりあえず水上へ戻り、そこから泳いだところを……あれ? 声が聞こえる。間違えるはずもない相棒の声が。だが、どうして下から?
よく分からないまま下を見る。そこには手を振っているゴビーの姿があった。
「ゴビー無事だったのか!」
「ゴブゴーブ」
ゴビーは口元を手で押さえ、頬を膨らませる。それからぶはーっと息を吐き、もがき苦しんだ。が、ピョンッと飛び上がり歩き出す。うん、さっぱり分からん。
「これ、溺れて下まで行ってしまったけれど、息ができたってことじゃないかな?」
「カイルさん素晴らしい推測です。ゴブリン検定準二級を与えます」
「あたしはあたしは!」
「十五級」
「やったー!」
皮肉のつもりだったがポワンは大喜びしている。むしろこちらが若干申し訳なくなったが、ポワンだからいっかと思い直した。
気付けば会話もしており、息も出来ている。ゴビーのお陰というかなんというか。とりあえず、行きますか。
ゴビーを小脇に抱え、アクア・カルケルを指差す。言葉にせずとも伝わり、俺たちは泳ぎ始めた。
しかし、すぐにアリスさんが横へ来て、耳元に顔を近づけた。
「珍しくゴビーちゃんのことで慌てていましたね」
「……気のせいです!」
そもそも死ねばモニュメントで復活するか、リサモンして起こせばいいだけだ。
当たり前のことに今更気付き、アリスさんの言葉を思い返し頬が熱くなる。俺は顔を見られないよう、泳ぐ速度を上げて逃げ出した。
0
あなたにおすすめの小説
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」
公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。
死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」
目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。
「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」
隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。
そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……?
「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」
資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。