暴力系幼馴染と異世界に転生したら、幼馴染が魔王軍に裏切るとか言ったから、そのクソみたいな面を思いっきりぶん殴った

静内燕

文字の大きさ
4 / 51

第4話 信一君、本当はかっこいいと思う

しおりを挟む
 再び目を開けると、文香の姿はすでになかった。

「信一君……」

 メルアがゆっくりと俺によって来る。俺は戦いの疲れからか、脱力感に襲われ、座り込む。供給を上げすぎて、すぐに魔力がガス欠をしてしまうのが。この術式の欠点だ。

 メルアも疲れ切っていたようで、俺の隣にちょこんと座りこむ。互いの腕同士が触れてちょっとドキッとする。


 俺はメルアに文香の本性。そして彼女に振り回され続けた人生をすべて話す。
 するとメルアは座り込んだまま苦笑いをし始めた。

「そ、そんな子だったんだ。私驚いちゃった」

「まあ、誰だって驚くよな」

「けど、ちょっと裏がある子なんじゃないかとは思っていたけどね。素振りとか見ていて感じてた……
……」

 まじかよ。女の勘ってやつか。文香もそうだったけど、女の子はこういうの鋭いよな。


 とりあえず。もう夜も遅い。とりあえず帰って寝よう。そのあと、どうするかゆっくりと考えるとするか。

「メルア、もう寝よう。色々疲れたし、この後のことを考えるのは、それからでもいいと思うんだ」

 俺がそう返すと、彼女が眠たそうにあくびをする。

「ふぁ~あ、そうだね。じゃあ帰ろう」

 そして俺たちは立ち上がり、帰路に就く。分かれ道が車で、俺はメルアと楽しく会話をした。
 この村のこととか、困ったこと、楽しいことなど。

 やっぱり彼女と会話をするのは楽しい。そして分かれ道。

「じゃあね、信一君」

「そうだね、おやすみ」

 あっという間に感じた楽しい時間は終わりを告げる。さて、これからどうするか。

 そして俺は教会に帰還。当然文香はいない。布団に入ってすぐに夢の中に入る。


 朝、俺は疲れていたようで、起きたころには子供たちはすでに起床し、日は登り始めている。

「ねえねえ信一君」

 毛耳をつけた男の子が寝起きの俺の体を揺さぶってくる。
 俺は目をこすりながら彼の話を聞く。

「こんな置き手紙があったよ」

 男の子が渡してきた手紙に俺は視線を移す。
 文香からの手紙だ




 文香

 しばらく用事があるので、教会を留守にします。
 ごめんなさい

 さみしいかもしれないけれど、信一君がいるから大丈夫だよね。

 みんな、私がいなくてもいい子にしているんだよ。
 きっと、また戻ってくるから

 さようなら

 文香より。


 悲しそうな表情をする子供たち。うつむいたり、シュンとしているのがわかる。


 人当たりだけはいいからな。文香、俺があいつの本性をしても子供たちは信じてくれないだろう。


 今はこいつの本性を話すのはやめておく。子供たちがかわいそうだ。
 そんなことを考えていると、玄関をノックする。

「信一君。おっはよー」

 メルアだ。昨日の疲れを感じさせないくらい、笑顔で明るく元気な姿を見せている。

「メルア。今日はどうしたの?」

「う~ん。今日はクエストもないしちょっと信一君にお礼がしたいの」

 お礼? なんだ──。するとメルアは肩にかけていたカバンからはさみとブラシを取り出し始める。

「昨日のお礼に、イメチェンさせて。信一君がもっとかっこよくなるところ、見てみたくってさー」

 俺がかっこよくなる? 何かの都市伝説か? 俺はそもそもイケメンでもなんでもないし。お世辞でも言っているのか。

「俺がかっこいいって。ありえないだろ」

 するとメルアがぷくっと顔を不満げに膨らませ始めた。

「そんなことないよ。信一君、髪切って男前になれば絶対かっこよくなれるよ。私に任せて。さあさあ」

 そういってメルアは俺の肩をぎゅっとつかみ、外にある庭のベンチへ。



 はさみやくしなどで俺の髪と切ったり、整えたりする。それだけじゃない、彼女が液体の入った瓶を取り出し、液体を自分の手に擦り付けた。

 そしてその手で俺の髪をもみもみとする。すると髪の毛から柑橘系の香りが漂い始めた。

「ふふん。オレンジの香水だよいい匂いでしょう」

 確かにオレンジっぽい。髪に香水なんて不思議な感覚だ。でも何か気持ちいい。

 1時間ほどで、イメチェンの時間は終わる。

「できたよ!」

 メルアがそう叫ぶと、隣に座り込み、カバンから、手のひらサイズの手鏡を取り出し、俺に見せてくる。
 そして鏡に映った自身の姿を見る。

「た、確かにすごい──、俺、ここまで格好良くなっているのか?」

 どこかぼさぼさだった髪が、うまく整えられている。長めだった髪は少し短くなり、あまり目の部分が見えていなかった以前と比べて、明るい印象になっていた。

「うんうん。信一君、もともと素質はあると思っていたんだよね。だからそれを引き出してみたの」

 俺に素質か──、考えてもみなかったけれど、この姿を見るとあったのかもしれない。今までは興味がなかっただけで。
 するとメルアが再び立ち上がって、玄関を開ける。

「ちょっと子供たち呼んでくる。みんなに見せてあげようよその姿」

 そしてメルアは意気揚々と家に中に入っていった。
 数十秒もするとメルアと一緒に子供たちがわらわらと出てくる。


 そして俺の姿を見た子供たちはその姿を見るなり、表情をぱっと変え始める。

「信一兄ちゃんかっこいい~~」

「かっこい。私信一君のお嫁さんになりたい!」

 子供たちが目をギラギラとさせながら俺の元にすり寄って来た。子供たちは両手をぎゅっと握り、羨望の眼差しを送ってる。
 子供とはいえ生まれて初めての経験。どこか自信がついた気分だ。ちょっと外見を整えるだけで、ここまで変わるなんて。

 そしてそれをくれた本人、メルアに視線を送る。

「うんうん、かっこいいねぇ。モテモテじゃん!」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる

暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。 授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた

黒崎隼人
ファンタジー
★☆★完結保証★☆☆ 毎日朝7時更新! 「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」 過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。 絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!? 伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!? 追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

嫁に来た転生悪役令嬢「破滅します!」 俺「大丈夫だ、問題ない(ドラゴン殴りながら)」~ゲームの常識が通用しない辺境領主の無自覚成り上がり~

ちくでん
ファンタジー
「なぜあなたは、私のゲーム知識をことごとく上回ってしまうのですか!?」 魔物だらけの辺境で暮らす主人公ギリアムのもとに、公爵家令嬢ミューゼアが嫁として追放されてきた。実はこのお嫁さん、ゲーム世界に転生してきた転生悪役令嬢だったのです。 本来のゲームでは外道の悪役貴族だったはずのギリアム。ミューゼアは外道貴族に蹂躙される破滅エンドだったはずなのに、なぜかこの世界線では彼ギリアムは想定外に頑張り屋の好青年。彼はミューゼアのゲーム知識をことごとく超えて彼女を仰天させるイレギュラー、『ゲーム世界のルールブレイカー』でした。 ギリアムとミューゼアは、破滅回避のために力を合わせて領地開拓をしていきます。 スローライフ+悪役転生+領地開拓。これは、ゆったりと生活しながらもだんだんと世の中に(意図せず)影響力を発揮していってしまう二人の物語です。

処理中です...